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雪白姫②


次の日


1人体育座り肩に腕を回しながら、回していない手で何もない真っ白な床に指で何かを書く動作をする少年ナシ、


そしてその背中を厚いガラス越しに眺める、

少女雪白姫は窓に手を当て、目を擦り

眠そうな顔を近づけて少年を見つけては、

無垢な少女の目を光らせていた。


「おはよ!ナシくん。」

起きて数分も経っていない声とは到底思えない

やかましい声でで挨拶をされる。

「......ああ」


「無視しないなんて、えらい!」


ナシは「馬鹿にしてんのか」とも言えなかった

話しかけられる直前まで昨日のことは忘れて

無視しようと考えていたからだ。

そんな勝手に声が出てしまった自分に落胆したが、


「ハァ。」


結局は大きく疲れたため息をついただけだった。



雪白姫の質問からたわいも無い会話が始まる、

ナシは淡白で無関心だが器用に質問

に答えながら何かを書き続ける。


「ナシくんはいつからココにいるの?」


「数日前」

「細かく言うとどれくらい?」


「5日と10時間26分、、、ちょうど30秒」


「え、へ〜細かいね、...ハハ」

雪白姫は思っていた回答とは違い、

少し引いた顔になってしまう。


「今まで暇だった?」


「ここの生活か?

暇ではないな設備的には快適だし、

そうだな...やれる事はある。」



「やれる事って、それ何か書いてるの?」


「...教えられない」

「へーそうなんだ。」


「じゃあ〜、私の踊りどうだった。」


朝からずっと書き続けていた手が初めて止まる。


ナシは今までの質問には即答で答えていたが、

今回の質問は悩み時間を使い、平然と答える。


「まあ綺麗だったよ、

記憶にある中で1番綺麗な踊りだった。」

少し皮肉めいた事を言うが、

真っ白な髪から

見えるか見ないかくらいで覗く、

ナシの耳は赤白く染まっていた。


「そう。」

雪白姫はニコニコしながら、

優しく艶っぽい声でそう呟いた。


「嬉しいなー!」

やっぱりガキだった。



会話で時間が経ち、

固形食の茶色いバーを片手で持ち食べながら

書き続けたナシに、

雪白姫が思い出した様に声を上げる。


「あ!わかったナシくんが書いてるの何かわかっちゃった!」

「何だ、」



「出てくるご飯の献立だね!」

「違う。」

たわいも無い会話で解けていた顔が、

キリッと絞まり、顔を直す。


雪白姫も気づかないくらいだが

ちょっとずつ2人の距離は縮まっていた。



「気になってたんだけどそのポーズ何?」


「集中してるだけだ。」

「辛く無いの?」


「辛い?何がだ、」

「その、ずっと同じポーズだから。」


「...そうだな考えがまとまったら、一旦伸びするよ。」

ナシが面倒くさそうにでも、

今までの様に言う事を聞き流すことはなかった。



1時間ほど静かになっていた時、

唐突に雪白姫がナシに命令する。

「ナシくん、遊ぶよ。」


「私はお姫様でナシくんは王子様で舞踏会をするの

早く立って。」


「ガラス越しじゃ踊るも無いだろ。」


立って無理だと話すが

雪白姫は話を聞かずに踊るポーズになり、

ナシに早くと急かす。

「良いからガラスに映る私の腰に手を回して

下手でも良いから踊るよ。」

よく見れば服をダンス衣装に寄せるために、後ろで結んでいる、その体はピッタリと張り付いた服がより腰の細さを強調する。

ガラスの光沢が乗る体に恐る恐る手を触れると、力を入れたら壊れてしまいそうであり、無邪気な彼女とは正反対の魅力が増す。


「ハイ、イチ、二、サン!」


雪白姫とナシは目を合わせながら、

踊る、ナシは雪白姫に合わせる様に優雅に踊る。


2人は息が合っていた、完璧とは言えないが

雪白姫の綺麗な踊りを妨げることは無く、2人が2人を高め合う形で踊り合う。


「踊るの上手いね、なんかやってたの?」


「一回見たら覚える、まあーーーからな」


「え何て」

踊りの中で激しく回る時、ナシの発言を聞き逃した雪白姫が聞き直すが、ナシは踊りの主導権を握ろうと命令する。


「何でも無い、会わせろ。」


「え?うわー!そっち行くの?」


ナシが少し悪い笑顔で、

雪白姫をわざと動かす様な踊りをする。


「下手でも良いんだろ。」

すると

「アハハハ!」

雪白姫は笑いながら

糸も容易くナシの乱暴な踊りに慣れ、自分から舞う。


嬉しそうな顔でナシの方を向くと笑い合った。

「楽しい!

私の踊りについて来れたのナシくんが初めて!」


「ハーそうかハー、流石にハー疲れた。」

ナシは数日ぶりの運動だったため息も絶え絶えに

床に顔をつけて倒れていた。


雪白姫がナシを見つめると、決心した顔で話し出す。

「ナシくんそのままで聞いて。」


(えこのまま?)


「実はさあここに来た時、私も怖かったんだ、

性格だとか言って誤魔化しちゃったけど、

知らない場所で私も直前の記憶が無いの、


でも君に会った、

友達になれそうだって人目見た時から思ってた、

私の事話しても嫌いにならない人だと思った。」


心が開かれて言葉が溢れる様に、激しく流れ出す。


雪白姫は少し深呼吸して落ち着けると話し始める。


「お母様は好きなのでも継母けいぼ様は嫌いなの、


私普通の女の子だって嘘ついた。


私ねお姫様だったのでもね....

小さい頃、お母様は病気で死んでしまって

国王様が新しい王妃様として継母が来たんだけど

色々嫌われてね。色々と酷いことされたの、

あのね...その...身体を、」

涙が流れて、苦しそうに話すその姿を見て、

ナシは声を遮る様にガラスに人差し指を当てる。

「言いたくないんだったら言わなくて良いゼーハー。」


「うんごめんね私....


ってまだ行き切れてんの!?

体力つけなきゃだね。」

シリアスな雰囲気の中ナシの話と関係ないところで

疲れ切っている様子に、雰囲気が晴れる。


「でも今は楽しい、友達が居るから。」


「まあ..そうか。」

2人は仲良くなり心を開いていた、

その夜ガラスに寄りかかりながら寝る。


2人を取り囲む暗闇の中誰かの声が響く。

もちろん誰にも聞こえない。

「さらなる段階だッ!」



眠いので寝ます

おやすみなさい。


今回も読んでいただきありがとうございます。

投稿ペースは不定期ですが

楽しみに待っていただけたら幸いです。


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