雪白姫①
そして数日間何も無い時間が過ぎていった。
人工の青白い朝の光が降り注ぎ目が覚める、
いつの間にか置かれている食料、
いつも通りの部屋のはずが何かが起こっていた。
「おはよっ!」
「ハッ、誰だ!?」
少年が声のした方を向くと、
ガラスに張り付いてこちらを見ている
お姫様がいた。
雪の様に白い肌
血その物の様に赤い唇と頬
ブルーベリーの様に淡い青髪
静かで優しそうなお姫様の様な顔とは裏腹に
活発的に話しかけてきた。
「私は雪白姫、貴方は?」
少年はまるで人形の様な美しさに当てられて、
言葉を失う。
「オーイ聞いてる?」
作者は美しさに当てられて言葉を失ったと書いたが
それは少し違った少年は、
自分の事を何も覚えていなかった
自分の事を紹介できるものが無く
言葉に詰まっていた。
「...覚えてない。」
「え?そうなんだ、記憶が無いの?
じゃあココはどこか分かる?」
少年は警戒していた。
何かコイツも実験の中で出て来る
研究のイベントだったりしないか。
「...お前は何者だ、」
「私?私はおh...普通の女の子だよ。
記憶はあるよ、好きな食べ物はリンゴ。」
笑顔でいらないことまで答えてくれる
雪白姫と名乗る少女、
雰囲気は物語に出て来る姫その者だった。
「....」
だからこそ怪しい。
「え?無視、アハハハ...」
無反応に耐えられなくて顔を赤くして笑う
少年は真偽を確かめるため
カマをかける様に強く当たる、
「本当のことを言えよ
どーせ、お前もグルなんだろ。」
「え?ああ...私も混乱してるよ、
怖いけどその...本当...だよ。」
雪白姫は本当に心から反省した様に
悲しそうな顔をする、
「ごめんね質問し過ぎて。
私昔から普通に聞いてるはずなのに、
質問責めにしてるって怒られちゃうんだ。」
少し気まずそうにしていた少年だったが、
すぐに切り替えて強気に質問を返す。
「何でそんな風に話しかけられるんだ
見知らぬ場所で、知らない奴に、」
「それは性格だと思う、うん、
あと友達になれそうな人がいたから。」
少年はそんな事の為に必死に喋っていたのかと
目を見開き呆れていた。
「…友人を作るつもりは無い、
何をしても構わないが邪魔h」
「そうじゃあ信じてもらえるまで
おしゃべりしましょう!」
手をパンと叩き、雪白姫は犬の様な人懐っこい笑顔で
少年にそう答える。
少年は心の中で何でそうなるんだよ!とツッコミながら、
鬱陶しそうに背を向ける。
「ねーねー、ねーねー、ねーってば、」
静かな白部屋の中、
やかましく少女の声が反響する。
「何だ!」
ついに痺れを切らした少年が
苛立ちを露わにした顔で振り向く。
「ヒッ、いやあの〜、」
雪白姫は白々しい顔で、何を言おうか悩み
顔に汗を浮かべている。
「何も無いんだったら呼ぶな、」
「あ、あるもん、用あるもん、」
「何があるんだ。」
「あっお腹が空いたの、ご飯はどこに?」
雪白姫はおなが空いたアピールをする様にガラスに張り付いてお腹を摩る。
少年も同時にお腹を摩る。
「ああ、そういえばそろそろか
少し待っていれば出て来る。」
言い終わったその時2人の背後にまた音が鳴る。
カタン
少年は首だけを瞬時に動かし視界の端で背後を見る
「ウッ!見えないか、」
そして首を痛める。
そんな事をしていると
雪白姫の無邪気な声が聞こえてくる。
「やったーご飯だー、私リンゴ好きなの。
あれ今、ねーねー」
食事の中に林檎があることに喜んでいた。
「何だ?」
「今ガラスが動いた気がしたんだけど、」
「ガラスが?体重か?」
「ムー!違うよー意地悪だなぁ、」
「それにしても
林檎の好きなやつには林檎、
まさか好みを知られているのか?」
「おいし〜〜」
「まあ別に僕に好みなんて無いが、
ある物を食べるだけだ。」
パンにレタスと卵トマトが挟まれた
薄っぺらいサンドイッチ
色の薄いコンソメスープ
とゼリー飲料。
甘く水水しい果汁が溢れている
見た目よりずっしりした重みのある梨。
少年はは無自覚で笑顔になる
「貴方って梨が好きなの?」
「ハッいや別にそんな事は、
食事中に話しかけるな。」
「じゃあ貴方の名前ナシくんでどう?
貴方は言いずらいし、」
「ナシくん、どう呼ぼうがどうでも良い
名前も思い出せないからな。」
少年は少し恥ずかしがりながらも
否定はしない
「じゃあリンゴくんは?」
「黙れ。」
数時間後
「ナシくん、ナシくん」
「どうした、」
「やっと気づいてくれた…ココって何なのかな?」
少年はまだまだ疑いの目で見ながら
自分の見解を答える。
「多分実験施設...」
「へーそうだからこんなに綺麗な壁、
実験って何の実験」
「薬品実験か観察実験か倫理的な人体実験か
または非倫理的な人体実験分からないけど
そんな物だろ。」
少年は楽しそうに語る、
まるでヲタクが好きなアニメのことを話す様に
急に流暢に語る。
「へー何でそんなに詳しいの?」
急所をつかれる様な一言、
今まで一方的な疑いの目だったが、
逆転した。
「これじゃ俺が怪しいな…仕方ない…
何でか忘れたけど本が好きだったんだ。
だから知ってるそれだけだ。」
「本が好きだったんだ、
そうなんだ...私はダンスが好きなの、見てて。」
「え?」
そう言い出すと雪白姫は、
一人で何もない部屋で踊り出した、
全身が流れる様に美しく踊る。
自分と同じ服が優雅に舞うドレスの様に見えて
主役をより引き立たせる背景に
オーケストラと周り舞う舞踏会が見えた。
静かな舞踏会に迷い込んだナシにとって
初めての隣人だった。
気合い入れ直します。
ずいぷん日にちが経ってしまいました。
コレ↑ぷ
今回も読んでいただきありがとうございます。
投稿ペースは不定期ですが
楽しみに待っていただけたら幸いです。