快感
ポールとキスをする。お互い背中をゆっくり触った。香水をかけてる所にキスをした。
「ここが1番好きなんだね?」
「そうよ。」
ことが終わり、ポールのもとに離れた。ポールの香水が髪に残る。顔全体に香りが広がる。髪を手に取り、ゆっくりとかぎながら歩く。
もう私は3人くらいイジメっ子を追い詰めて楽しんだ。イジメっ子にとって都合良くイジメをやめないように、虐められたことのある人間もイジメっ子を忘れるほど、いざとなった時助けるほど都合は良くない。私もその一人。ある条件を除いては。一生かけてイジメの罪を償う人を除いては。イジメるのが人としての本能だと言いたいなら、復讐して虐げた人間を快感を得るのも同時に人としての本能ということだろう。それはさておき、次のターゲットが見つかったのでアクションを起こす。次のターゲットはアメリカにいる。フランクという名前の男。30代の独身の男だ。彼は学生時代アジア系の同級生をイジメていて、中には不登校の子も出してしまった。そのまま変わらず大人になり、街なかでアジア系の人に暴力を振るったり、言葉で罵倒する白人至上主義になってしまった。
「おい、何であの中国人ろくに英語話せないのにここでウェイターしてるんだ!他のウェイターにしろ!」
彼はお店で中国人のウェイターを罵倒する。
「泣くくらいなら仕事やめればいいだろ。郷に入ったら郷に従え。」
彼は店を出る。すれ違ったアジア系の女性にわざとぶつかる。
「国に帰れ!ここはアメリカだ。」
テレビの扇動がさらに彼のヘイトを加速させる。さらに他のアジア系の女性にもわざとぶつかって言葉で罵倒する。
彼はカフェに入り、配信をしてる女性ライバーの妨害をした。
「この目細すぎて俺には真似出来ないな。」
誰もが見る配信の画面で、世界に恥を晒してるのはどちらなのか分かっていない可哀想な人間だ。
「私はアメリカが好きでここに来てます。」
彼女の言葉なんて聞かない。
「白人に生まれるべきだったな。」
彼女が配信をきるとまた言葉で人を罵倒した。
また道を歩いて、中国人の観光客の男性を突然殴った。こんな状況になっても誰も被害者を助けずに見て見ぬふりだ。
私はターゲットを集団で捕まえて、誰も立ち入らない所に連行した。
「ようやく目が覚めたようね。」
「お前は誰だ!早く紐を解け!女がそんなことしてどうなるか分かってんのか?」
「だから何?今の状況でよくでかい態度で言われるね。でかい態度でいたいなら今のうちね。あんたの心がボロボロになるまで追い詰めてあげる。皆、入って!」
フランクが今まで傷つけたアジア系の人達が入って来た。
「この人達のこと見覚えがある?」
「誰だ?何の嫌がらせだ?早く、縄を解け。」
「黙りなよ。」
ボールを彼に思いきり投げて、当てる。
「早く、答えなよ。それとも本当に悪いことしてる自覚がないのね。」
追い詰める価値のある良いターゲットが見つかった。
「答えられないなら教えてあげる。この人達はあなたの差別的行為の被害にあった人よ。中にはあんたみたいな人間に復讐したくない人もいたから、全員は揃わなかったけど。この場に10人はいるわね。そう言えばニーハオと言って、この人達を馬鹿にしてたよね?ニーハオと言ってみてよ。」
「ニーハオ!これで満足か?ちょっと馬鹿にしたくらいで何むきになってんだよ。」
「ちょっと馬鹿にしたくらい?」
私は中国人の女の子と話す。
「どうやら、声調も子音の発音も悪くて、聞くに耐えないようね。罰として、あんたにカラーボールを当てるわ。これはゲームよ。」
ある一人が彼の顔面にカラーボールを投げる。彼は咳をした。
「もう一度やり直し。発音が合うまでやめないから。」
私はゲラゲラ笑う。発音が合わない度に彼は顔面にカラーボールをくらう。
「ニーハオ。」
「また合ってない。もしかしてカラーボール当てられるのに快楽を感じてるのかしら?」
私の笑いはとまらない。人を虐げた人間の惨めな姿に笑いなんてこらえられない。
「笑うな!いかれビッチ!クソ女、くたばれ。」
「この状況でも頭使えないんだ。ある意味天才だ。クイズを出すわ。今彼女が話してるのは何語かな?」
「どうせ中国語だろ。」
「残念、ベトナム語でした。」
皆、一斉にバスケットボールを投げつける。
「お前ら集団だから調子乗りやがって、社会出たらお前らなんて迷惑な少数派なんだよ。」
彼の言うことを無視してすぐにクイズを出す。
「時間切れだから、これも罰ゲームね。」
またバスケットボールがたくさん飛ぶ。
「今度は何語か分かる?これが最終問題よ。」
「フィリピン語だろ!」
「合ってない。残念でした。全問不正解なので罰ゲームで全員にビンタをくらってもらうわ。覚悟しなさい。」
笑いが止まらない。一人ずつ強く頬を叩く。中には相当恨みを持ってる人がいて、何度も往復でビンタをする。
「ハハハハハハハハハハ。こういうシチュエーション面白すぎて笑いが止まらない。でも安心しなよ。殺したりとかしないから。残念ながらグロテスク好きなサイコパスじゃないの。」
昔のような狂気じみた私はいない。彼に包丁を刺そうとする。
「条件次第で刺しちゃうかもね。」
「キチガイすぎる!その包丁をおろせ。」
「そんなこと言っていいのかな?いつでもあんたのこと刺すことなんて簡単。」
私は包丁をしまう。一匹のオウムを放つ。オウムはフランクをひたすら襲う。
「皆、今日からフランクの地位が下がって、オウムの地位があがったから。それほどコイツには価値がないということ。言うなら喋るゴミ箱というところだろうね。」
「やめてくれ。悪かった。」
「自分の立場分かってる?オウムの方が格上なんだよ。そんなんじゃやめるわけないわ。それならこの落ちた食べ物を残さず食べなさい。」
オウムを彼から話して、食べ物を無理矢理食べさせた。
「今日はこの辺で終わらせておくわ。」
彼は少し安心した表情だった。
「なんて言うとでも思った?私とコイツ以外は帰って大丈夫だわ。」
皆、その場を去った。包丁を彼に向ける。彼はかなり動揺していた。
彼を数人で数日間追い詰めた。少しずつ抵抗力が弱まる。
「今まで人のことを散々差別して来たけど、何で差別しちゃいけないか分かる?」
「差別なんかじゃない。文化の合わない人間と調和する必要がないだけの話だ。シマウマとライオンじゃ暮らし方も違うだろ?共存出来ないだろ?人間だって同じだ。違う相手を拒否するのは人間の本能だ。」
「へー、面白いこと言うわね。でも質問の答えになってない。差別されたら、心の傷を抱えたり、酷い屈辱を受けてトラウマを抱えたり、恐怖などに支配されて人間不信なるからよ。当たり前の生活が差別で当たり前にならないから。でも人が傷つくとかそんな倫理観あなたにはないのくらい分かってるし、そんなこと言っても分からないから違う理由を教えてあげる。」
私は虫の死骸を彼の上からばらまく。
「差別すると、その分数倍の恨みを買うから。どんなに逃げようと試みても、恨みなんて消えない。自分が酷く差別された時やヘイトクライムで殺された時、あなたがどうなろうとどうでも良いと思うからよ。あなたに暴言や暴力を受けた人達はあなたのやったことを恨んでる人もいたわね。仮にあんたが死んだとしても、差別された側はどうでも良いの。人ってやったことより、やられたことをよく覚えてる生き物なのよ。あなたもそのうち殺されちゃうかも。」
私はケラケラと笑う。
「ヘイトクライムがいけないのは子供の時、教えてもらうはずだったけど、変わるチャンスを失ってそのまま身体だけが大きくなったのね。変わるチャンスを失ったやつには拷問しか手はないわ。言葉で変えるほどの綺麗事なんて通じない相手だからね。」
「やめてくれ。」
ムチで何度も叩いた。数日後、彼は精神的崩壊して、無気力な人間になった。
彼は私の指示通り、「私は差別主義者でした。全ての罪を謝罪します。」という張り紙を身体に貼って歩いた。
「ルネ、今回は男性化もしなかったし、長ったな。」
「あういうのはじっくり追い詰めたほうが楽しいのよ。」
「次のターゲットは見つかったのか。」
「世界は意外に荒んでるもんだから簡単に見つかるわ。善人の皮をかぶった悪人とかね。」
私は目が覚める。今日は兄と母に会うつもりだ。