本性
私は夢の中にいた。
「シャルロット!」
目の前には私の男性版と大女優シャルロットと女子高生のオリヴィアがいた。
「あんたも中々の大女優ね。これからも大女優で生きたら?」
「偉そうね。あなたに言われたくないわ。」
「才能は徹底的に活かさないと。」
「流石。プロは違うね。」
シャルロットは何も言わずに遠くに姿を消した。
「ルネ。あんたもソフィーのようにいじめられっ子だったんだ。」
「そうよ。私のことがそんなに面白いのかしら?」
「そうよ。ソフィーのやつよりはマシだね。アイツ、自殺してそのまま帰ってこれなくなったから。つまり死んだんだよ。こっちはちょっと追い詰めただけで自殺するとかウケる。」
彼女は笑っていた。
「そんなに言うならこっちも楽しませてもらうよ。オリヴィアをビルの最上階から突き落とした。」
姿がみえなくなった。
「俺達だけだな。」
「この夢の中でいていいのは私達だけ。余計な外野がいると重要な情報が話せないから。」
私は目を覚ます。今日は初めてのターゲットを見つける。今日はお隣の国に住む女子だ。彼女は中学や高校で3人くらいイジメて、全員自殺に追い込んでる。子供を失ったことに遺族は苦しんでるのにも関わらず、彼女は給料の良い会社で成功していてのうのうとしている。イジメた人間が美味しい思いをする世の中だ。彼女のイジメは自分の手を汚さずに相手がボロボロになってるのを楽しむタイプだ。このタイプの首謀者は皆の見えない所で人をイジメる。大人になっても変わらない。だけど物事は状況次第で終わらせる。その人物を見つけて、拘束する。
「よくやく目が覚めたようね。」
「あんた誰よ?何か動けない。不審者よ。」
「黙りなよ。」
私は笑顔で言いかける。スタンガンで攻撃する。
「あんた頭おかしいんじゃないの?」
「今さら気がついた?あんたみたいにこうやって人のこと追い詰めるのが好きなの。ただ私にはあんたが思い描いてるサイコパスじゃないわ。大人なら少し考えれば分かると思うけど。私は人の心がまだあるからサイコパスではないわ。強いて言うなら、あなたみたいな人間を目の前にした時には頭おかしくなる感じね。さあ、今までの罪をここで懺悔しなよ。」
「懺悔することなんてない。早く解いて。あんたみたいな人間に絡んでるほど暇じゃないの。」
「じゃあ何で3人を自殺に追い込むことに時間を費やしたのかしら?それと今の勝ち取ったポストも人を踏み台にして勝ち取ったものよね?それのどこが暇なのかしら?」
彼女は冷や汗をかいていた。
「冷や汗をかいてるならこの話は本当ね。私ね、人を追い込むのが好きって言ったけど、罪悪感を感じるから普段は人を追い込むなんて無理なの。だけど、あなたみたいな人を散々虐げて美味しい思いをして来た人間に対しては人の心なんてないわ。だから思う存分追い込める。」
彼女にどんどん精神攻撃をする。
「私を高校時代にいじめた女に聞いた質問だけど、何故人をいじめちゃいけないか分かる?」
「傷ついて人生が台無しなるからとでも言いたいのかしら?成功者は逆境とかに対して常に分析して乗り越えてきてる。ちょっと傷ついたくらいで前に進めないなんてただの甘え。自己責任よ。文句ばかり言う向上心のない人間に未来なんてないわ。」
「やっぱりそういうと思ったわ。自分が優位に立ちたい人間にそのような理由なんて通じないなんて分かってんのよ。私が言いたい本当の理由知りたい?」
彼女にゴミを投げつけた。
「分かりやすく教えてあげる。」
スタンガンで攻撃する。さらに無理矢理イヤホンをつけて爆音を鳴らす。
「やめて!」
「分かったんじゃないの?自殺した子達がやめてと言ってもあんたはやめたのかしら?そうじゃないよね?」
ペンキで彼女に犯罪者と書いた。
「これでも分からないようね。しょうがないわ。言葉で教えてあげる。人をいじめては行けない理由は被害者が一生その傷を負って生きていかないといけないこと。でも人をイジメて快感を得てる人間にそんな論理なんて通じない。だからもっともっと分かりやすく教える。人をイジメるとその分たくさんの人の恨みを買うことになる。どんなに成功しても、いざあんたが窮地に立たれても誰も助けやしない。人をイジメると言うことは誰かに敵に回すこと。イジメた側はそんなこと忘れて平穏に人生を満喫してるけど、イジメられてる側やその親族は一生あなたを恨むことになるわね。あなた一人どうなろうといじめられた子の死に悲しんでる方々はあなたがどうなろうとどうでも良いの。最初から存在すべき人間じゃないと心の奥底で思っているから。」
私は彼女のロープを解く。
「もうすぐ刃物持った男がこっちを向かうよ。じゃあね。」
私は部屋を出て男性の肉体になる。つまりもう一人のルネの肉体に。もちろん全身見えないように黒ずくめだ。
「来ないで。」
私は無言のままだった。部屋に備えつけた灯油をばら撒いた。そして火をつける。彼女の逃げ場はない。
「これから、2つの選択肢を与える。ここで飛び降りるか、火を乗り越えて遺族に謝るか?時間はすぐすぎるよ。ここで死んだら死ぬでも恨まれるけど、それで良いかな?」
彼女は叫んだ。
「後者を選ぶしかないわ。死にたくない。」
「何か言うことは?」
「謝ることを誓うわ。」
私は火を消して、彼女を救い出した。彼女の言ったことを録音した。彼女が建物から出る様子を見る。
「これからが生地獄という本番だけどね。」
彼女の仕事は汚職や職権乱用など様々な問題が摘発されて仕事がなくなってしまった。電話がなる。
「どうやら仕事がなくなったようね。これからあんたにピッタリな仕事を見つけたからそれをしなよ。今困ってるんでしょ?」
私は笑いながら聞く。
「あんたには関係ないでしょ。」
「この話、断るならまた同じような目にあわせてあげようか?今度は本気よ。あんたが今どこにいるかなんてお見通しね。」
「いい加減にして。」
謝罪したいというのは助かりたいためだけの口実。そんなことだろうと思ってこっちにも策がある。
「あんた明日からメイドの仕事をしてもらうわ。仕事ない時だし、給料も悪くないよ。だけど断れば、今度はあんたを殺すよ。本気だから。」
彼女のメールに家の前の写真を送る。笑いがとまらない。
「ほら?あんたの居場所くらい特定してんのよ。」
「やればいいんでしょ!分かったわよ!」
彼女は電話をきる。
彼女は過去にイジメた子の遺族の家でメイドをすることになった。もちろん3世帯の家で。挨拶の第一声は「私はあなたの子供を殺しました。一生かけて謝ります。」だ。彼女は屈辱的な生活を余儀なくされた。
「ルネ、あんたの肉体使わせて貰った。最初はなれない所、多かったけど。」
「その体で女子トイレ行って引っ叩かれた時は驚いたよ。」
ルネはくすりと笑う。
「笑うな!あんたも恥かいたようなもんでしょ。自分なのに、低い声が出てるのは中々面白くて街なかで大熱唱してたけどね。」
「あんまりやりすぎると、不審人物だと思われるぞ。俺より俺の肉体を上手く使いこなしてるな。」
「女性の体でも男性の体でもいれるなんて色んな発見があって面白いわね。」
「遊びで肉体を貸してるわけじゃないからな。」
「分かってるって!全て私の計画のためくらい分かってるわ。この身体だと男女ともにモテるから困るけど。」
私は夢から覚めた。電話がなる。
「ポール、朝から何?」
「オペラ座の前で今日は会わないか?」
「舞台?それとも街歩き?」
「美味しいものを食べよう。」
彼氏のポールと休日を過ごす。




