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3人の夢人格  作者: ピタピタ子
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マリリンから電話がかかってくる。

「何?大したようじゃなければ切るよ。」

「ルネ、突然消えないでよ。コリーヌから聞いたよ。今、アメリカにいるんでしょ。」

「そうよ。ヴァカンスなんていつしても良いでしょ。」

「もうすぐ戻るんでしょ?」

「そうよ。一つマリリンに聞いておきたいけど、小さい頃の夢って何?」

「もう諦めたけど、女優よ。時々女優としての人生を想像してるわ。」

「ありがとう。これ以上ようがないなら切るね。」

女優の人格はマリリンの妄想を見ていたところだろう。私は帰国の準備をする。ジェニファーも私が帰国するのは計算済みだろう。ジェニファーに対しての制裁は慎重にならなければいけない。一歩間違えれば人生そのものが終わってしまうかもしれない。私に嫌がらせして参らせても彼女だ。まずはコリーヌの所に戻るのが一番だ。それにクロードは私の場所を探している。


帰国するとすぐにコリーヌの所に行った。

「コリーヌ、これ土産よ。」

「ありがとう。リクエストしてなかったけど。」

コリーヌはチョコレートを食べる。

「アメリカのチョコにしては上品な甘さね。ただこんなの毎日とっていたら健康に良くないわね。」

「一応、オーガニックチョコでフェアトレードなのよ。」

「アメリカのものでもそんなものがあるのね。」

彼女はヨーロッパ意外の食品はあまりとらない。食品に関しては保守的だ。

「探してた人には会えたの?」

「会えたよ。予想通りの反応だったよ。サプライズも驚いたわ。」

「それなら良かったわね。何だか感じが変わったわね。」

「気のせいよ。」

「安心して、クロードはここには来てない。」

「心配しないで。それなら私なりに対処するから。」


私は母からメールが来た。母の家に来るように言われた。

「いきなり私を呼び出してなんのよう?」

「ルネが高校時代の記憶思い出したから、謝りたかった。辛かったよね。お母さんが仕事でアメリカに行ってなかったらここまで酷いことにならなかった。」

「母さんのせいじゃないよ。ここまでになったのは理由を見つけて人が自殺するまで追い込んだからだよ。」

「ルネ、記憶が戻ったなら小さい頃のこと覚えてるよね?」

「思い出したのは高校生の時の記憶よ。」

「ルネの小さい時の行動がジュールを今のようにしたの。」

「嘘よ。私は何もしてない。」

私は机を叩く。

「落ち着いて聞いて。」

「この状況で落ち着けると思ってるの?」

母は昔のことを話す。


私が5歳の時、兄さんは10歳だった。私は記憶にないけど異常行動が多かったと言う。例えば虫を捕まえて粉々にしたり、街にあるポスターに食器を投げて楽しんだりしていた。当時兄と母はいない所で笑い方が不気味と言っていた。

「ジュール、ルネ!お菓子を食べなさい。」

兄さんは喜んで、走った。私は兄さんの後ろについていく。私は兄さんの髪を引っ張る。

「何すんだよ!」

「離して欲しいなら兄ちゃんのお菓子もちょうだい。」

私はニタニタ笑う。兄さんは怒って私をビンタする。それでもニタニタ笑う。

「二人ともどうしていつも仲良く食べれないの!」

「兄ちゃんと仲良く食べたいだけなのに、兄ちゃんが殴ってくるの。」

私は何かあるたびに嘘泣きをした。

「嘘泣きするなよ!」

「嘘泣きじゃないよ。」

私はニタニタと声をあげて笑う。

「ルネ、そんな笑い方しないで。悪いことをしたら謝って!ジュールも暴力はやめて。暴力は何も解決に導かないの。」

あの時の母は私達が喧嘩ばかりで、余裕を失っていた。

ある日、私は思いきり転んだ。その時、傷口から血が出た。

「ルネ!」

「お母さん。」

自分の血で絵を描いていた。

「やめなさい、ルネ!」

母はすぐに手当をした。私は笑っていた。

「いつもいつもそんな笑い方しないでって、言ってるでしょ!」

「だって本当に楽しいんだもん。」

母はすごい怒っていた。

「小さい怪我でも、ちゃんと手当しないといけないの。怪我は楽しむもんじゃない。痛みなの。」

母は私の肩を掴む。あの時の私は何が痛みなのか理解していなかった。帰ると、私はぬいぐるみの首をナイフで切っていた。

「何やってるの!」

「血が駄目なら、血が出ないものでやったら良いんでしょ?だからこうしてるの。」

ニタニタと笑いながら言う。かなり私は狂っていた。

また大事件は起る。その日はお母さんは体調を崩して寝込んでいて、兄と私だけで遊んでいた。

「母さん寝てるから静かにしろよ!」

兄は率先して家事をやっていた。

「何が駄目なの?いずれ治るんだから良いじゃん。」

私の目の前に包丁があり、それを握った。

「それはお前にはまだ早いだろ。」

「料理使うんじゃなくて。」

私は兄に刺そうとする。

「やめろ。」

「待ってよ。お兄ちゃん遊ぼうよ。」

兄はひたすら隠れる。

「ここにいた!もうやめた。お兄ちゃんつまらない。」

兄は少しため息をつく。

「息の音が聞こえる!本当はここにいるんだ。見つけた。」

兄は急いでクローゼットから出た。ひたすら兄は逃げる。私はそんなことも気にせず包丁を振り回す。

「危ないから今すぐ離すんだ。」

「やだよ。もっと遊んでよ。」

兄は私に飛びかかり包丁を奪った。その勢いで階段から転落した。

「ルネ!ルネ!どうしてルネを突き飛ばしたの!最低よ。」

この時、母は兄のことをかなり責めていた。

「包丁を振り回して襲いかかって来たんだよ。どんな言葉も通じなかったんだよ。」

「だからって、こんなのあんまりよ。どうしてこんなになったの。」

母は泣いていた。育児に疲れていても母の私に対する愛は変わらなかった。

「死んじゃえば良いじゃん。頭おかしいし、いつ人が死んでもおかしくないんだよ。」

兄をビンタした。

「今なんて言った!私にとって、ジュールもルネも大切な子供なの。そんな言葉使うんじゃないよ!」

「もういい!」

兄の味方をする人は誰もいなかった。この時から閉鎖的な人間になった。今でもトラウマを抱えている。一方私は無事目を覚ましたが、記憶がほとんど無くなった。覚えてるのは言葉くらい。サイコパスだった私も別人のように変わったくらい人が変わった。前よりかは人に対する思い寄りがある性格になった。ネガティブで暗めの性格になった。


「どうして話してくれなかったの。」

私は泣いていた。

「皆を守るためよ。」

母も一緒になって泣く。

「知りたくなかった。」

私の存在が兄を苦しめていたんだ。謝るにももう取り返しがつかない所まで来てしまった。

「もうどうもできないよ。」

私も加害者だった。母に話されても、その記憶が蘇らない。記憶にないだけで恐ろしい私がいたと思うと怖い。今まで話さなかったのはサイコパスな私に戻らないためだった。またそのような感じになってしまったら、何もしてない人を傷つけてしまうし、監獄のような精神病院に閉じ込められてしまうかもしれなかった。母のおかげで関係ない人を傷つけることは無くなった。


私はクロードに電話をかける。彼に自分の居場所を伝えた。

「こんな所にいたのね。ルネ。」

ジェニファーが現れた。彼女は自分の手を汚さずにいじめられてる人を見るのが好きなやつだった。

「あんたのこと許さない。」

「私にそんな言葉は通用しないわ。だって人が苦しんでるところ見るの好きなんだよね。」

ニヤニヤと笑う。

「そんなこといつまで言ってられるのかしら?」

彼女は私のことを刺そうとした。するとそこにクロードがやって来た。

「ルネ!」

彼はジェニファーを拳銃で打った。彼女は倒れた。その後、ジェニファーは死んだ。クロードは警察に捕まった。

「ルネ!何とか言って釈放してくれ。頼む。」

「もうあんたの彼女じゃないんだよね。」

全て計画通りだ。今までずっと演技して生きていたんだ。女優の人格も自分をいつわりながら生きてきた私自身の象徴だったんだ。私は女優ではない。本当の自分で生きていく。

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