ルネとルネ3
私は今夢の中にいる。男性版の私、女優のシャルロットとイジメっ子女子高生のオリヴィアがいた。ルネ以外は何も喋らない。
「正式にテイラーと付き合うことになった。」
もちろん男性版の私は本気ではなくこっち世界の私の復讐に協力するためである。
「ルネ、女運がないのに、自ら女運の無くなるような行為するんだね。」
「ルネは風水とか信じるタイプなんだ。」
「そうじゃなきゃこうやって話せてないでしょ。」
周りの多くがオカルトを信じないが、私のような人間も存在する。馬鹿にされようが大したことではない。
「昔の君よりずっと強くなったね。」
「いじめが私の尊厳を奪って弱くしたのよ。」
イジメは人をむしばむ。どんなに明るい人も弱くする。
テイラーをおとしいれる前に作戦を練り、罠を作った。
テイラーは男性版のルネとデートをしていた。私は何もない白い空間にあるモニターで様子を見た。彼女と付き合って2週間は経つ。テイラーは色んな人に男性版のルネを紹介しては自慢している。
「急にどうしたの?サプライズなんて。」
「君にどうしても見せたいものがあるんだ。」
もう一人のルネはニヤリと笑う。
「もしかしてプロポーズ?」
テイラーは完全にうかれあがっていた。こんな人間に向こうの世界の私がプロポーズするわけない。
「そうかもな。」
テイラーは転んだ。
「最悪、土まみれなんだけど!」
「テイラー、大丈夫か?」
彼はすぐにテイラーの転んだ所を手当した。
「暗くて足どりが良くないね。」
「服が汚れて最悪。この前買った新作なのに。こんな所になんのサプライズがあるの。」
彼女は文句ばかり言って、ルネに対してかなり怒っていた。
「今度買ってあげるよ。」
とっさに指輪を渡す。彼女はプロポーズを受け入れる。
「まだサプライズがあるんだ。」
テイラーには結婚式よりもっと重要な儀式がある。人をイジメて、反省しなかった人間が受けなければいけない儀式がある。復讐という名の儀式を。
「キャー!」
テイラーは仕掛けた落とし穴に落ちる。もう一人のルネはそれを黙って見つめる。
「イル!助けて!」
彼はずっと無表情のままだった。
「イル!ドッキリなの?気がすんだでしょ。助けて!」
暗闇の中、テイラーの声が聞こえる。
「ドッキリじゃないよ。サプライズだよ。」
テイラーに笑いかける。彼女はひたすらもがいていく。
「ルネって女の子のこと知ってる?」
「いきなりどうしたの。そんな奴知らないわ。」
「都合良く忘れんだね。それと最初から君の本性見抜いてるから。さよなら。」
ルネは遠くに行き、私の姿に変身して、私は目を覚ます。
「テイラーはどこ?」
「今、落とし穴に落としたよ。」
もう一人のルネは指示通りに動いてくれたおかげで、無事に復讐を結構できる。
「久しぶりね。テイラー!私誰だか覚えてる?」
落とし穴から私のことを見る。
「あんたまさか生きてたの?何でここにいるんだよ。」
「どうやら覚えいるようね。私はあんたの中では死んだも同然の存在だと思ってた。」
「これ全部あんたが仕組んだことなの?こんなことしたらどうなるか分かってる?年取ってもあんたと私の立場変わらないから。」
「エマとかアメリアが助けてくれると思ってんでしょ?あんた一人じゃ何も出来ないくせに。」
「あんた財布を盗んだ犯人なのによくそんなこと言えるね。」
こんな時でもデマを言う。状況を分かってない。
「黙れ!」
私はとっさにゴミを投げた。
「何、ゴミ投げてんの?最悪!絶対許さない。早くここから出せよ!」
「黙れ!」
私は落とし穴にいるテイラーに上からまたゴミを投げる。
「とっとと黙りなよ。どの口がもの言ってんの?散々人のこと虐めといて自分がピンチになると助け求めるなんて、どんだけ自分勝手な自分大好き人間なのかしら?石をぶつけてないだけ感謝しなよ。」
またゴミを投げる。
「良いこと教えてあげる。あんたと一緒になってイジメてた奴ら皆始末しといたから、これであんたは何も出来ない。出来ることはせいぜいもがくいていくことくらいね。」
「あー、もう何?私に謝れって言うの?ごめん。これで良いでしょ?」
私は無言だった。そして無表情だ。
「ちょっと追い詰めただけでこんな復讐するとかどんだけ暇なんだよ。イジメで人生が狂ったと言いたいの?」
「そうよ。飛び降りたあと、記憶喪失になったけど、最近思い出して精神崩壊したのよ。いつでもあんたら追い詰めてく幻覚だって見るくらいよ。あんたみたいな人間には分からかいだろ。人の苦しみなんて。でももう死ぬなんて馬鹿な真似はしない。あんたら私が死んだところで何もなかったかのように明るい未来を過ごすんだから。そう考えると許せない。いじめられっ子は一生傷を背負って生きていかなきゃならないんだから。」
「それなら見下されなくらいの努力をすれば良いじゃん。色々と考えてこっちは成功してんの。ちょっとしたかすれ傷くらいでうじうじしてるなら、もっと自分を磨きなよ。行動しないで文句言うやつは1番の負け犬よ。負け犬は年取っても負け犬なのね。私だって自分の力で自分の事業成功してるのよ。負け犬は何かあるたびに人のせいにする。」
私は黙ってゴミをたくさん投げる。
「やったほうがかすり傷レベルの心の傷だったと思ったとしても、やられた方は死んだも同然な心の傷を抱えることになる。それとやられた方はやった方より数倍覚えてる。それほど傷が深いもの。もし私があの時記憶喪失にならなかったら、前に進む余裕のない絶望が待ってた。死んだも同然で、希望なんてなかった。それなのにイジメた方はそんなこと忘れて楽しく人生を送れる。」
テイラーにゴミを投げる。
「喉が乾いただろうから差し入れにこれもあげるよ。」
テイラーにコーラをかける。
「テメー!ふざけんなよ!」
「もしかしてプロポーズ本気にしてた?残念でした。あんたみたいな人間に明るい未来おくらせるわけにいかないじゃん。」
彼女に砂をかける。
「謝るチャンスはいくらでもあったわ。こうなってからじゃもう遅い。」
たくさん、土を被せる。テイラーは悲鳴をあげていた。
「あんたを助ける人なんて誰もいない。自業自得ね。何故、人をイジメたりしちゃいけないか分かってないようね。分かってたらあんたのことを救出するつもりだった。」
さらに土を被せて顔の所まで土で埋もれる。人をイジメてはいけない理由はどれくらいの人が答えられるんだろうか。
「これでもうおしまいね。」
完全に落とし穴が土で塞がった。あっけなく制裁は終わる。
その日は疲れて、すぐベットで横たわった。
「首謀者をやっと倒したよ。」
夢の中でルネ同士で会話をする。
「中々やるじゃん。」
「ルネがいたから、より良いようにやり返せたわ。今度ルネの彼女探し手伝ってあげても良いのよ。」
「しばらく恋愛はいいよ。」
「きっとお似合いな相手見つけるから。カミーラのやつもあのまま野放しには出来ない。罪としてはテイラー達よりかは軽い。だけどイジメの原因を作った人物でもあるからあのままにしたくない。」
夢から覚める。カミーラの居場所を特定したのでそこまで行く。
「カミーラ!」
彼女は振り向いてすかさず、逃げた。
「逃げないで。」
私は彼女の腕を掴む。
「あんたそこまでイジメには加担してなかったけど、何か言うことないの?私の顔見てすぐ逃げるなら、悪いことしてる自覚があるようね。」
「私だって辛かったんだよ。あんたみたいにイジメられたくなかったから。」
「本当は私を蹴落として自分の立ち位置をあげたいからでしょ。」
「それもそうよ。でも知らないでしょ?あんたが飛び降りて病院に入院してる間私がいじめられたんだよ!一人だけ逃げて許せなかった。今でも夢にその記憶が出てくるくらい酷いイジメをうけた。」
「同じ苦しみが少しは分かったようね。だからと言ってあんたのこと全く同情なんてしないけどね。同情が欲しいなら行動で償いを示せばいい。イジメの原因を作ったあんたがどうなろうが知ったことではないわ。あんたも私がイジメられてもどうでも良かったんだから。」
カミーラは何も言い返せなかった。
「誰かに頼まれたの!」
「どうせテイラーでしょ。これだけは言っとくわ。イジメの主犯格の奴ら、今頃どん底に落ちてるから。」
「ジェニファーよ。あいつは今フランスにいてあんたの居場所を特定してるの。あいつはサイコパスなの。私みたいに復讐していい相手なんかじゃない。ジェニファーは人が死ぬまで観察するのが趣味なの。人の命を軽く見てる。あんたはまだジェニファーに目をつけられてる。」
1番大事なことを忘れていた。
「教えてくれてありがとう。もう二度と顔を合わせないで。」
本当の首謀者はジェニファーだということを。