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3人の夢人格  作者: ピタピタ子
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過去の回想

私は縛られた状態で思い出したくもない過去を思い出した。

「あんた今縛られてるの?」

「そうよ。あんたには関係ないでしょ。」

「大人になっても私達の立場は変わらないから。」

イジメに関わった5人の笑い声が聞こえる。中々消えない。早く薬を飲んで落ち着きたい。でもこんな状況だと何も出来ない。

「しばらくお風呂とか入ってないでしょ。掃除してあげる。」

彼女達に汚い水をかけられる。この現実から目をそらしたい。早く解放されたい。気がつくと無気力になる。


私は母親がアメリカで仕事する関係で高校から3年間アメリカの高校に通うことになった。兄はすでに就職して人暮らしをしていたので、この時から兄とはほとんど会わなくなった。

「ルネ、アメリカの学校慣れないと思うけどちゃんと通うのよ。学校で何があったかも教えて。」

「私、高校なんて通いたくない。どうせフランスの高校でもきっと友達出来ないのに、異国の地で友達出来るわけないよ。」

お母さんは何も分かってなかった。私は本当に高校を行かずに人生を歩みたいのに、通わせようとした。私はお母さんのように高校生活を満喫出来るようなタイプではない。

高校生活はなるべく目立たないように過ごした。友達なんて欲しいと思わなかった。中学時代もイジメまでいかなくても嫌がらせを受けたことがあったから、人間不信になった。廊下を歩くと私とは正反対の世界で生きてる子達が歩く。チアリーディング部のリーダーという所だろうか?クインビーで彼氏の一人や二人を作ることなんて簡単だろ。私は高校という場所においてはネードに分類される。よくチェスクラブにいそうだとか言われるタイプだ。

「ちょっと痛い。ぶつかったんですけど。」

「ごめん。」

最初から目をつけられてしまった。

「行こう。テイラー。」

テイラーは私の学年でも凄く人気な女の子。こういう人がまさにクインビーになる。普段ワン・ダイレクションあたりのリア充ソングを聞いてるんだろうか?私には縁のない世界の人間だし、深く関わりたいとも思わない。国が違ってもスクールカーストは目に見える。

私は教室に入って席に座る。

「ちょっと、あんた私の席に堂々と座らないでくれる?」

「知らなかった。」

またテイラーに目をつけられた。こんな人間とは関わりたくない。他の取り巻きたちも私のことをにらむ。

お昼の時間になると一人で食堂に向かい持って来たサンドイッチを食べる。いつでも自立できるように母はいつも私に学校に持って来るお昼を作らせる。もちろん朝ご飯も自分で作る。

「ちょっと、あんたここ私が使うんだけど。」

「そんなの誰が決めたの?」

「私達よ。一人で5人席使うのやめてくんない?図々しいにもほどあるわ。」

テイラー達は私を邪魔者扱いした。

「てか食堂に来てまで何でサンドイッチ持って来てるの?」

「私自分で毎日作ることになったから。」

「あんた名前は?」

「ルネよ。」

私を皆馬鹿にした目で見る。悪い視線はすぐに感じ取れる。入学から半年後私の通ってた高校で事件が起きる。

「最悪!」

「テイラー、どうしたの?」

「私の財布が盗まれた!」

周りはざわつく。私みたいな人間が財布を盗まれたら同じような反応をしない。盗まれてもどうでも良いと思う人もいるだろう。

「皆、持ち物検査して!ルネ、あんたのカバンから調べるから。」

私のカバンが調べられる。

「あんたどういうこと?泥棒だったんだ。しかもエマの財布まであるんですけど!」

本当に見に覚えがない。何でテイラーの財布が私の所に入っていたんだろう。

「私は本当に盗んでない。」

「嘘でしょ。盗んでないならここにあるのおかしいよね?」

テイラー達に囲まれる。

「本当にやってない!」

「私、ルネがテイラーの財布盗んでるの見たわ。」

カミーラが言う。カミーラはテイラーの5人組のグループではなく私のようなポジション。私を突き落として、優位に立ちたいようだった。だけど当時の私には気がつけるほど頭が回っていなかった。

「私はやってないわ。」

「証言者がいるのよ。あんたが泥棒じゃないの。」

「違う。犯人なんかじゃない!」

テイラー達は私にわざとぶつかった。

「泥棒するなんて最低ね。」

私のスクールライフはあっと言う間に地獄に変わろうとした。その日の夜、お母さんと話した。自分が濡れ衣を着せられていることなんて言えない。

「今日、ロッカーの鍵締め忘れた。」

「何やってんのよ。自分の荷物を守る時は鍵をちゃんとしないと。泥棒はどこにいるのか分からないのよ。ちょっとした油断で盗まれることだってあるの。」

「盗まれるようなものは入れてなかったから大丈夫だよ。」

次の日学校に行って、ロッカーの所まで行った。開けてみると、大量のゴミが出てきた。

「ルネ、どうしたの?こんなに散らかして!ゴミを漁るのが趣味なの?」

テイラーとエマが私のことを見てクスクス笑う。

「最悪!ゴミが服についたんだけど!弁償してくれない?」

「ゴミは自分が入れたわけじゃないし、自分からゴミに近づいたでしょ。」

「早く片付けなよ。」

私はゴミを放置して、教室に入る。テイラーのグループ以外の女子や男子からもイジメのターゲットになる。テイラーのグループのアメリアが私のカバンをつかむ。

「何すんの!」

私は抵抗するがカバンをとられてしまう。彼女はカバンの中身を全部出す。

「私の荷物が!」

会ったこともない父の遺品の腕時計が入ってる。それだけは絶対に駄目だ。肌見放さず持ち歩いてるのに、その日はたまたまリュックに入れていた。

「持ち物検査よ。」

彼女達は拾う様子をあざ笑う。廊下を通る全員が悪魔に見えてしまう。さらにアンナが来て、彼女もイジメに加担する。私にコーラをぶっかける。

「あんたにコーラプレゼントしてあげる。」

「私もあげるよ。」

さらにはコーラ入った空き缶を私に投げる。私の服は汚れた。彼女達は笑い声をあげる。

「何か臭くない?」

さらに数人の女子が私にゴミを投げる。為す術もなく固まってしまう。カバンから落ちた腕時計を胸ポケットにしまう。他の物を拾うと、誰かに手を踏まれる。

「痛い。」

見上げるとテイラーだった。

「私とエマに言うことないの?」

「痛い。」

「それ、答えになってない。謝りなよ。」

エマも私を責める。さらにこんな状況でもアメリアとアンナは私にゴミを投げ続ける。ジェニファーはその様子を見て笑っている。これがテイラーのグループ5人の団結だ。人をイジメるときはどんな時よりも団結する。私は泣いて、席に座る。

「トイレ行こうよ。ルネ。」

私は彼女達に服を脱がされて、上半身が下着姿になり、写真を撮られた。

「もし私達がしてること親とか先生にチクるなら、この写真をネットにあげるから。」

私は脅迫された。

モップで私の顔をこする。水をかける。

「コーラがかかってたから水で掃除してあげる。」

「やめて!」

「もっと浴びなさいよ。」

水をたくさんかけられて心身ともに苦しい。

「あと、この腕時計何?カバンの中に入ってたわ。」 

「これは駄目!」

私は腕時計を取り上げられる。

「質問に答えてくれない?そうすれば返すわ。」

「これは会ったこともないお父さんの遺品なの!気安く触らないで。」

私はとっさに嘘をつくことなんて出来なかった。

「それなら、チクったらこれを壊す。そこまで馬鹿じゃないよね?」

「そんな!返すって言ったでしょ!」

「嘘に決まってんじゃん。」

彼女達は私に指を指して笑った。私は涙が溢れてしまう。私の心がどんどん壊れかかろうとした。

父親がいない寂しさを補う腕時計が脅迫の道具に変わった。

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