悪夢2
パーティーが終り、土日も終わってまた学校がはじまる。ロッカールームにソフィーがいた。あいつを追い詰めてやる。
「ソフィー、昨日なんでパーティー来なかったの?」
「私の名前がリストになかったから。」
「それならザックと一緒に車乗るなんておかしいよね。」
セレーナとフェリシアが来る。わざとソフィーにぶつかる。彼女は床に倒れる。キャシーは手首まで踏む。
「痛い。」
「何かこの床段差ない?」
さらにフェリシアがソフィー顔まで踏みつける。
「確かにキャシーの言う通り段差があるわ。」
「皆、よく見て!ソフィーよ。」
「本当だ。」
ソフィーはゆっくりと顔をあげる。
「どこにいるのか分からなかった。まさか床に倒れてるなんて思ってもいなかった。」
「私達、わざとじゃないから許して。」
「私も!」
私が笑うと皆ソフィーを見て笑う。
「もし私達のこと誰かに言ったらどうなるか分かってるよね?この尻軽女。」
私はソフィーの耳元で言う。
ソフィーが教室に入ると、皆ゴミを見るような目で彼女を見た。
「ねえ聞いた?パーティーに行くふりしてザックのことずっとつきまとってたみたいよ。」
「それやばくない?」
女子たちはソフィーのことを噂をした。
「どうして転んでんだよ。」
ある男子がソフィーの足を引っかける。皆、その様子を写真で撮る。
「動画まわしてるの?」
「もちろんよ。ソフィー写真撮られるの好きなのよ。そうよね?ソフィー!」
「何でそんなことするの?」
ソフィーはずっと下を向いている。
「マジでウケる。」
授業が終り、休憩になるとトイレに行く。
「ソフィーもトイレ行こうよ。」
「うん。」
トイレに行くとソフィーにバケツで水をかけた。
「ねえ、あんたいい加減気がつかないの?昨日なんで私達に黙ってザックと帰ったの?」
「それは…ザックが声かけてくれたから。」
「は?ザックがあんたに声かけるわけないじゃん。どうしておどしてデートを強要したんでしょ。あんたの気持ち悪いノートの記録見たら誰でもそう思うわ。」
「オリヴィアにちゃんと罪を償いなよ。」
さらにセレーナがバケツに水をかける。たまたま通り過ぎた女子達は笑いながら動画を撮った。
「あんたの不潔な体を洗ってあげた。」
「ついでにカッコいい男子にすぐつきまとう汚れた心もどうにかしてやりたいわね。」
「私達のレッスンが必要ね。」
掃除用具を取り出した。彼女を個室の便所に連れて行く。
「ここで顔を洗ったら今までのこと許してあげる。」
「早くやりなよ。」
「どういうこと?」
ボソボソと彼女は話す。
「言わないと分からないわけ?便器で顔を洗えって言ってるの!あんた頭も悪いの?」
何だか頭が痛い。だけど一瞬で痛みが過ぎる。フェリシアとセレーナがソフィーの顔にモップを押しつけ、便器に顔を突っ込ませた。
「やめて、やめて!」
ソフィーの声が響かないように深く突っ込んだ。しばらくするとモップを離す。
「どう?まだまだこんなんじゃ罪の償いにはならないわ。」
モップを押しつけられる様子を皆で撮影した。
「あんたは女優よ。こういう所だけでしか才能はいかせないの。」
ソフィーは咳をする。ずっと止まらない。
「頭が綺麗にならないわね。」
「やめて!」
「声を出すんじゃねーよ!」
「今日はこの辺にしておこう。」
私達は床に倒れるソフィーをそのままにして、その場を離れた。それからも私達はソフィーのことをいじめて楽しんだ。あれから2週間が過ぎて、ソフィーはとうとう学校に来なくなった。
「今日、ソフィーのやつ学校来てないけど、流石にやりずたんじゃないの?」
「先生にバレなければ何も問題ない。チクったら、もっと酷い罰を与えると皆で脅したのよ。逆らえば徹底的に追い詰めといたから。それと映画でそういうの録音するとかよくあるでしょ?盗聴防止で私は毎回携帯を取り上げていたわ。何もデータが無ければ、彼女何も出来ないわ。」
その頃、屋上にはソフィーがいた。彼女は私にメッセージを送る。
「もう私、来れない。今までありがとう。」
彼女が屋上から落ちる姿が窓から見える。
「今の何?」
皆、下の階まで行き様子を見た。ソフィーが落ちた勢いで血を流していた。でもこれは私達のせいではない。彼女がただ精神が弱かっただけだ。私達は何も悪いことをしていない。
「ソフィー!何でこんなことに!」
先生は悲鳴をあげて涙を流して救急車を呼んだ。応急処置をしようとした。救急車が来て、病院に運ばれる。私達は戻ると、私達のセレーナが言う。
「流石にこれヤバくない?もし死んだら私達調査されるかもしれないんだよ。」
「何言ってるの?適当に誤魔化せば良いのよ。死んだら証拠もないんだから。」
「他のやつがチクるかもしれない。」
「私に案があるわ。」
「どんなの?」
「今すぐには教えないわ。とにかく私達がしていたことは話しちゃ駄目よ。ソフィーのようになりたく無ければね。」
「自分だけ助かるなんて考えてないよね?」
キャシーと私でセレーナをおさめた。セレーナとフェリシアは利用しやすいがいつでも自分の保身のためにチクる可能性はある。何もしないように釘を刺す。世の中は賢く生きたものが勝つ。
ソフィーは打ちどころが悪く。死んでしまった。
「あとはあれしかないね。」
ソフィーの次に地味な女子ケイリーにいじめをしたと嘘をつかせた。
「ケイリー、よく出来たじゃん。」
彼女は何もしゃべんなかった。
「もしこのこと引き受けなかったらどうなるか分かってるよね?」
「何してんの?」
後ろからスマホを奪う。
「こいつ録音してる。」
録音データを消す。
「録音してたんだ?このこと報告したら、あんたソフィーのようになるから。二度とこんな馬鹿な真似をしないで。あとザックに接近したら絶対に許さないから。」
「行こう。」
彼女の携帯を投げつけた。セレーナ、フェリシア、キャシー、私の準でケイシーにぶつかる。彼女はそのまま床に座ったままだった。
これで一生誰もいじめに関して言及しない。ソフィーは最初からいない存在。これから、私はそんなこと忘れて生きる。
私は目が覚めた。とても嫌な夢だった。私の予感は的中していた。でもあれは私自身ではないから凄い頭がおかしくなりそう。男性版の私は正体を知っているのだろうか?記憶が無くなっている間に何があったのか本当に分からない。過去を知るのが怖い。知るくらいなら何も知らない方が良い。
「ルネ、どうしてここに来た?」
「一つ聞いておきたいの。」
過去を知るのが怖くても、私自身にはこれくらいは聞ける。さっき見た夢を向こう側の私に話した。
「聞いた感じ君がいじめっ子みたいな感じになってるけど、少なくとも君がそんな悪いことをしてないのは分かってるよ。何が起きたのかまでは分からないけど、君はいじめの主犯格にはなってないよ。」
「私、過去に何をしていようがそれを自分として受け入れる準備がまだ出来てない。」
頭が一瞬痛くなった。
「いずれ思い出すことになるよ。それだけは分かるよ。」
ルネは笑顔で消えていく。また頭が痛くなった。
私は目が覚めた。また頭がズキズキしだす。私はクロードに手足を拘束されているので、頭を手でおさえることも出来なかった。どんどん頭の痛みが強くなる。だけど何も出来ない。すると私の記憶の断片が一瞬思い出した。知らない女の子達が私を囲んでいた。また記憶の断片が流れる。私は昔、アメリカの高校にいた。その時、5人くらいの女子からイジメられた時の記憶がよみがえる。苦しくて苦しくて涙が止まらない。思い出したくもない過去を思い出してしまったのだから。