男性2
目が覚めた。今日はいつもより良い天気だった。小鳥や鳴いている。
「何これ?」
玄関前にネズミの死体が置いてあった。きっと最近嫌がらせる人の仕業だ。犯人はクロードか?ちょうど彼から電話が来る。
「どうしていつも電話に出ないんだ。俺のこと避けてるのか?」
「ねえ、私の部屋の前にネズミの死体おいたのクロード?すごい気味が悪い。そんな悪趣味なことやめてくれる?もしクロードじゃなければ犯人を探して。切るね。」
すぐに電話を切る。また彼から電話が来る。無視すると大量のメッセージが来た。色んなことに疲れきって無視をした。
「ルネ、ネズミの死骸捨てておいたわ。」
「ありがとう。」
意外にも隣のおばあさんがネズミを片してくれた。嫌がらせは隣のおばあさんではないことが分かった。そうなると誰が何のために嫌がらせをしてくるんだろう。私は本当に悪いことをしていない。
母親から電話が来た。
「もしもし、何のよう?」
「今度、あなたのお兄ちゃんを連れてくるから一緒に食事をしよう。ルネ、私からのお願いよ。」
「無理よ。それ、兄さんから許可とったの?」
「事前に言ったら絶対来ないから、まだ言ってない。」
「どんな方法を使っても無駄よ。お兄さんは小さい時から私のことが嫌いなんだから。仲悪い兄妹で食事して何の意味があるの?誰が何を言おうと兄さんとは食事しないわ。」
「嫌いなのはルネに原因があるの。」
「私は何も悪いことしてない。兄さんが一方的に私を嫌ってるのよ。私が何をしたって言うのよ!」
持っていたハンカチを投げ飛ばした。
「何でもないわ。本当に覚えていないのね。そんなに会いたくないなら、お母さんと食事しましょう。そうじゃなければ、あなたはいつも自分の殻にこもるんだから。」
「分かったよ。お母さんとだけなら一緒に食事してあげるわ。」
来月一緒に食事に行くことになった。兄さんと私との間で何が起きたんだろう。
隣の老夫婦が呼び鈴を鳴らす。
「しばらく私達、ヴァカンスに行くのよ。」
猫を抱えていた。何だか抵抗する気力もない。
「どっちに行くの?」
「ブダペストよ。」
「良いね。私も言ったことあるけど、美しい所だね。楽しんで来てくださいね。」
「ありがとう。さあ行きましょう。」
両隣とも誰もいない状態となった。あの老夫婦と猫がしばらくいないから快適だと思うようにした。
「クロード、今度ヴァカンスどこに行きたい?」
「アヌシーのビーチとか良いわね。」
「ビーチならニーズとかの方が良いんじゃないか?アヌシーなんかよりもっと見どころたくさんあるだろ。」
「アヌシーだって見所があるわ。もし見所がなければ、他の都市もたくさん回れば良いのよ。」
この前のヴァカンスはドイツやポーランドなどに行った。今年は何だかフランス国内でヴァカンスを過ごしたい気分だった。クロードはフランスかイタリアが好き。
「アヌシー行くついでに、スイスとか良さそうね。クロード、他に行きたいところあれば教えて。」
電話を切る。
気がついたら夜になった。隣から物音がする。
「何の音?」
隣がいなくても容赦なく音がなる。知らない電話番号から電話が来た。
「どちら様ですか?」
私が言葉を発すると電話は切れる。また電話が鳴る。
「あの、何なんですか?」
また電話は切れる。何通かメールが来る。
「何これ?」
私に関しての数々の暴言がメールで送られた。冷や汗が止まらない。誰か分からないから気味が悪い。リンクを押すと、私の悪口が書かれている掲示板が出てきた。私を擁護するような言葉は一言もない。電話がかかってくる。
「バラバラになって死ね。」
死体の画像が送られて来る。顔面はボコボコに殴られて、全身が腐敗していた。
「何なのよ!」
ベッドに向かった。窓を見ると、誰がアパートの前で不気味に笑っていた。メールの悪口が耳に響く。
「ジョエル。」
「イル。待ちくたびれたわ。」
俺と彼女は南京錠を持って18区の公園に行った。
「ここに吊るす?」
「嫌よ。嫌いな女の名前の南京錠より上の位置にしたいわ。」
上の方に南京錠を吊るす。
「俺が鍵をかける。」
鍵をかけた。
「それより何でデートの度にお母さんを呼んで来るんだ?」
「私の家族が嫌いなの?」
「そう言うわけじゃないけど、2人の時間とか大切でしょ。」
「二人の時間なら十分にあるじゃん。さっきだって一緒に南京錠かけたでしょ。」
たった数分の出来事だ。
「この子、小さい頃から私のこと大好きなもんで、買い物も映画も全部私と一緒よ。」
彼女はかなりのマザコンだった。最初はそんな感じなかったが付き合うに連れてそれがエスカレートした。
「ママがここのレストラン好きだから、ここに行こうよ。」
いつもお店選びはジョエルの母親優先だ。
「そのバッグ、お母さんもしてるんだ。」
「私とママ、同じバッグをシェアしてるの。この服とかアクセもよ。」
「そうか。」
メニューを見た。
「私これ、頼むわ。それとこのボルドーワインにするわ。」
「私もジョエルと同じのにするわ。」
「ママも同じの好きなのね。私達、本当に似てるわ。」
一人でいる時の彼女と母親といる時の彼女の違いについていけない。一人でいる時はかなり自立してる女性なのだが、母親を目の前にするとかなり子供がえりしてる女性に見える。
舞台を一緒に見に行く。
「この舞台、役者の演技が下手くそね。」
「本当にその通りだわ。物語や会場自体は好きだけど、役者にがっかりね。」
「他が駄目で、主演女優だけが引き立つ感じね。」
舞台のことはよくわからないが、二人は役者に対して酷評していた。映画や舞台にいても二人は俺とは全然話さない。彼氏なのに、まるでお邪魔虫かのように。こんなのが何回も続いている。それにしても途中で出てくる女性役者はどこかで見覚えがある。
彼女を女子トイレに呼び出した。
「あんた、何考えてるの!女子トイレの個室に呼び出して、何のようなの!」
「君はお母さんといすぎだ。もう少し俺と向き合って欲しい。お母さんと仲良いのは良いけど、度が過ぎてる。」
「落ち着いて。私はイルのことが恋愛対象として好き。お母さんとは普通の親子の関係よ。」
「そう言うことじゃない。」
どんなに言っても状況が良くなるわけでは無かった。今回こそは成功すると思ったが、越えにくい壁に直面している。
「どんなことを言おうと私とママの関係はさけない。」
「もう少し今の状況を考えてくれ。」
今回も女性運が良くない。でもいつも違うタイプの女性だからなおさらだ。彼女は性格的には全然問題ないし、絵も好きでいてくれてるが、それだけが価値観が合わない。
扉を開けて女子トイレを出ようとした。
「キャーー、男がいるわ。」
「本当よ。最悪!とっちめてやる!」
女子トイレにいた女性達から引っ叩かれた。
「女子トイレにイル以外の男性がいたら私なら追い出したくなるわ。彼女達の対応は当然の対応よ。」
ジョエルの家に行き、ようやく二人の時間が出来た。彼女は誰かと連絡をとっている。
「やったー!」
「どうしたんだ?」
俺は微笑みながら聞いた。
「ママがこっちに泊まりに来るの。クロードと付き合ってから、しばらく来てなかったから嬉しいわ。」
「急すぎだ。」
これも突然の決定だった。
「他の日じゃ駄目なのか?せっかく二人になれたのに。」
「久しぶりのママの泊まりだから、そんなこと言わないで。」
思ったより早く彼女の母親は来る。
「ママ、一緒にベッドで寝よう。」
ベッドには3人いる状態になった。ジョエルの隣には俺とお母さんがいた。
「待て!俺がいるのにお母さんと寝るのか?」
「そうよ。当たり前じゃない。子供が母親と寝るのは当然よ。」
「もうそんな年じゃないないだろ!」
俺は呆れて荷物をまとめた。
「イル、どこに行くの?」
「帰るんだよ。こんな状況じゃ寝られないだろ。」
「イル、待って!」
ドアが閉まる。しばらく歩いてると前に付き合っていた女性が目の前に現れた。
「私がいるのに、あんな女と一緒だったんだ。許せない!」
彼女は俺をナイフで刺す。
目が覚めた。あの男性の夢は良くない所で目が覚める。だけど今日ようやくあの男性の正体が分かった。今度、夢の中で暴きたい。