第4話 ちょっと後ろ向いてて
SBCと比べるとPVもブクマも伸びないっすね…読者層が違いすぎたかな?
ここまでしか書いてないので、これ以上伸びないようなら残念ながらこのままお蔵入りになってしまうかもしれません。
春休みはゲーム三昧のつもりだったのに、ほぼ毎日のように如月家に通うことになってしまった。
まぁ交通費はちゃんと親に貰っているし、用事も女装関連だけではなく、今後数年間は俺の部屋になる予定の客間兼倉庫の整理や掃除が目的だ。
「ふぅ、こんなもんかな?」
ぶっちゃけ荷物の大半が千秋の私物だった。
小中学生時代の品々から、サイズが合わなくなって着られなくなった衣類など、普段の生活に必要ない物を片っ端から放り込んでいたようだ。
その中には例の下着も含まれる。
千秋は従姉というよりも姉に近い感覚なので、無造作に放置された下着を発見した際には一瞬ドキッとはするが、それを着ている千秋の姿を妄想して興奮したりはしない。
どちらかと言えば、ちゃんと片付けろよ!とイライラする。
「これお気に入りだったんだけど、サイズ合わなくなっちゃったんだよねー。ほらっ可愛いっしょ?」
そう言ってTシャツの上からブラを胸に当てがう千秋。
「はいはい、可愛い可愛い」
「それってブラと私、どっちのこと?」
テキトーに返事をしたのがお気に召さなかったのか、更に突っ込んで来やがった。
経験上、どちらかを褒めても意味がない。
「千秋がこんなに可愛いブラを付けたら、めちゃくちゃ可愛いかっただろうね。もう一生見られないなんて残念だなぁ」
我ながら欠片も思っていない言葉がスラスラ出て来るな。
「そこまで言うなら、ちょっとだけ付けて見せてあげるよっか?ちょっと後ろ向いてて」
身内とはいえ、流石に目の前で生着替えをするほど女を捨ててはいなかったようだが、そもそも異性に下着姿を率先して見せようとしている時点で論外だわ。
でもとりあえず言われた通りに後ろを向く。
全く興味がないので「別に着なくて良いよ」とか言おうものなら「さっきの言葉は嘘だったのか?」とキレられる確率100%なので、他に選択肢はない。
「う…やっぱりちょいキツイかも」
「サイズ合わなくなったやつなんだろ?無理しなくて良いぞ?」
見たら絶対感想を求められるので、是非このまま無期延期にして頂きたい。
「大丈夫!去年の夏まで使ってたやつだから、ちょっとキツイだけ。もうこっち向いて良いよ」
残念ながら俺の願いは届かなかったようだ。諦めて振り向くと、ショートパンツに上半身は下着姿の現役JKが「どうだ?」と言わんばかりに腰に手を当てて仁王立ちしていた。
「そこらのアイドルじゃ相手にもならないくらいの美少女だね。彼氏が居ないのが不思議なくらいだよ」
「蒼女は今年まで女子校だったんだから、彼氏とか無理でしょ。4月から男子も入って来るけど、渚と同い年なら弟にしか見えないかも」
「合コンとか行かなかったのか?」
「友達は行ってた子もいたけど、私は1回も誘われなかったわ」
それはたぶん、千秋に男を全員掻っ攫われると危惧したからだと思う。黙っていれば美少女だし。
「まぁ変な奴に目を付けられても何だし、友達に催促してまで合コンなんかに行かなくても良いだろ」
「えー、でも1回くらい行ってみたいんだけどなー。あっそーだ!私が女子を集めるから、渚が男子を集めてよ。それなら変な男は居ないでしょ?」
俺が集めたら必然的に全員年下になるじゃねぇか。
さっき年下の男は弟にしか見えないとか言ってたくせに、合コンに参加すること自体が目的になっていて、異性との出会いを求めるという根本的な開催理由を銀河の彼方に忘れ去ってやがる。
「蒼景に男の知り合いなんてたぶん居ないだろうし、人選に時間掛かるぞ?」
同級生だからって全員がマトモな人間とは限らない。変な奴を千秋に会わせる訳にはいかないから、人選は慎重に行う必要がある。
「夏休み前が無理なら、せめてクリスマス前にはお願い」
「ガチじゃねぇか!」
実は男に飢えてたのかこの女?
「いや合コンの話が出るのって、大体そのくらいの時期だから」
あぁ、そーゆーことか。ビックリしたわ。