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第24章 初恋④

初恋④





▪️▪️▪️▪️





惑星ベータ狩り大会ルール


出場資格は個人でレベル1,000万以上、チームでレベル1億以上。


チームは最大6人迄。


機動兵器の出力は、全機レベル100万、ステータスはオール5,000万に固定。


魔法は、機動兵器を介しての5,000万までの出力での使用のみ。


機動兵器が一部でも欠損した場合は、脱落。

それによって、チームのレベルが1億を切った時点でチームも脱落。


万が一、パイロットが1人でも負傷した場合は、チーム全員脱落。


標的はSランク以上のみ、1体に付き、1ポイント。

但し、Aランク以下の魔獣及び原住民を殺した場合は、マイナス1ポイント。


殺した魔獣は必ず回収、回収していない場合には0ポイント。


Sランクの魔獣が居なくなった時点で終了。


特例として、数体居るレベル2,000万以上の魔獣と遭遇した場合のみ、リミッターを解除しても良い。

但し、倒しても0ポイントだ。


優勝チームにはチームで1つ、お願いを聞いてあげる。

オレのチームが優勝した場合は無しだ。


因みに、オレのチームは特に欲しいモノの無かったメンバーだ。

オレ、シロネコ、シロリュウ、ミケネコ、ヒィ、エリカの6人だ。


シロネコ達は、特に欲が無かっただけだが、ヒィとエリカは今は結婚したてで満足していたからだ。



今回は、チームで1つのお願いなので、必然的に同じ願いの者達でのチーム分になる。

妻達もペット達も今回は組み合わせは、バラバラだ。




7月25日


狩り大会初日だ!!



機動兵器は、基本20mサイズだ。

大きさは宇宙戦争向けだが、見た目は騎士の鎧っぽいデザインになっている。


汎用機は、兜も肩当ても丸っこいデザインで、隊長機は兜にツノと各所が角ばった感じにしてある。

色は、隊長機は青系統、汎用機は緑系統で、10色づつ有る。


各自の専用機に関しては、別だ。



オレの専用機は、赤に金の装飾の入った一際豪華な機体で、一目でボス機体だと分かる様にしている。


武装は、腰に2本の刀と背中に左右6本づつ、翼の様に刀が有る。

右側が、腰も背中も白い刀で、左側が黒い刀だ。



シロネコの専用機は、正に、全身鎧のシロネコだ。

白銀の鎧に6本の足、鏃が飛ばせる専用装備も付いている。



シロリュウの専用機は、メカシロリュウなデザインだ。

近接戦闘用に腕が伸ばせる事と尻尾の先が刃になっている。


ミケネコの専用機は、シロネコの金色、4本足バージョンだ。



ヒィの専用機は、6本腕の鬼武者だ。

ヒィは可愛らしい顔立ちだが、専用機の方は正に鬼の面の表情で、武装はもちろん6本の刀だ。



エリカの専用機は、細身な白い女騎士な見た目だ。

武装は片手剣1本のみ。

ドレスアーマーっぽく、腰の部分はスカートをイメージしたデザインだ。


レンもそうだが、どうも勇者は片手剣1本が定番の様だ。



コックピット内は2m四方の空間で、パイロットスーツの左右の腕輪に、コックピット内のチューブを接続すれば、起動する。

機動したら、後部出口以外は全面スクリーンになる。


操縦は、頭で考えた行動が優先、次に身体を動かした動きに合わせて動く。


なので、『じっとしてろ』と、思いながらで有れば、中でどんな動きをしても機動兵器は動かない。

無心だったり、考えているのが、先の行動である場合は身体の動きに合わせて動く。


逆に、全ての動きを頭で考えられるなら、身体を動かす必要はないので、スイッチ一つでリクライニングシートも出せる様になっている。


情報の伝達は全て魔力で行うので、シロネコの鏃の様に武装の魔導具をコントロールするのも生身の時と同じだ。


一応、本人の魔力が尽きた場合に備えて、“天の雫”仕様の魔力バッテリーも搭載して居る。



そして、パイロットスーツだ!!


これは、ピッタリフィットのボディーラインのそのまま出るスーツで、一応、胸周り、腰周りと靴の部分、腕輪部分だけ金属製だ。


このパイロットスーツには、“緊急脱出”、“緊急避難”、“緊急警報”、“状態異常無効”、“病気無効”、“ステータス異常無効”、“環境適応レベル1〜10”が付与されて居る。


環境適応レベル8は、高水圧、無酸素状態を無効。

環境適応レベル9は、1溝℃から-273℃まで無効。

環境適応レベル10は、宇宙空間で任意の方向に移動可能。


以上の事から分かる様に、ぶっちゃけ機動兵器は必要無い。

パイロットスーツさえ装備すれば、みんな宇宙空間で戦える。


しかし!!


其れだとロマンが無いので、みんなには、パイロットスーツは、万が一、宇宙に投げ出された時の保険以上の事を求めてはいけないと、言ってある。


本当は、機動兵器よりもパイロットスーツの方が頑丈なのだが、其れは伝えなくていい事なのだ。





▪️▪️▪️▪️





惑星ベータの上空に突如、巨大な黒いキューブが現れた……


そして、そのキューブから次々と“ゴーレム”が出て来たのだ…………


キューブはゴーレムを吐き出しながら、海、森、山脈と、人の住まないところを飛び続けた…………


しかし、そのキューブは余りにも巨大だ。

遠く離れた街や村からも、その姿が目撃されたのだった…………




と、言った感じで、ブラックキューブモードのシルバーウィングから、各自の配置について行った。


そして、我が家時間の午前10時。

狩り大会が幕を開けた!!


「よし、スタートだ!!」

「「「はい!!」」」


今回、オレ達のチームは人型3機、動物型3機なので、基本はオレがシロリュウ、ヒィがミケネコ、エリカがシロネコに騎乗して行動して、複数との戦闘時にだけ降りてフォーメーションを組む事にしている。


最初に発見した獲物は、4本腕のゴリラの様な魔獣だった。


「では、先ずは我らから参ろう!!」

「はい!!」


シロネコの声にエリカが答え、走って来た勢いそのままにシロネコが左足を爪で斬り裂き、飛び上がったエリカが、首を一閃。

そのまま、また、シロネコに騎乗した。


其処に後ろから来たミケネコが、“ディファレントスペース”を出して、ヒィが魔獣の身体、頭、左足を刀で串刺しにして放り込む。


素早い連携が出来ている。

一瞬の停滞も無く、次の獲物に向かう。


今度は入れ替わる様で、ミケネコ達が前に出た。


「行きます」

「はい!!」


さっきと同じ、4本腕ゴリラだ。


ミケネコが左腕の下を潜って進みながら、ヒィが左腕を敢えて斬り落とさない様に、しかし、深く斬り付ける。

腕を潜り抜けたミケネコは、振り向く事無く、ワイヤーアンカーで、後頭部から串刺しにした。


其処を今度は、シロネコとエリカが回収、次の標的に向かった…………




1時間程、次々と狩って行った時、やっとオレにも出番が来た。

レベル1,000万の魔獣が3体纏めて居たのだ。


「ポイントとしては、美味しく無いけど、こうじゃ無いと出番が無いとこだった」


「そうですね、主様。ちょうど3体ですし」



3体の魔獣はどうやら、群れの様だ。

此処惑星ベータは、惑星ゼータと同様に、アルファに比べて非常に空間魔力が高い。


そのお陰で強力な魔獣も多く、この群れの様にレベル1,000万を超えて居ても普通に闊歩している。

戦争などせずに、ちゃんと狩りをしていれば、毎日良い肉が食えるだろうに…………



「シロネコ達は右、ミケネコ達は左、オレは奥のヤツを殺る」


「「「はい!!」」」



今度のゴリラは、6本腕、4本足だ。

そして、大岩で出来た棍棒まで持っている。

ウチのペット達以外で、道具を使う魔獣は初めてだ。


「先ずは、手足から削るか」


「では、私は足を」


「分かった。行くぞ!!」


オレは、腰の刀を抜いて、背の“刀と鞘”を展開する。

周囲に12本の刀と12本の鞘が円を描く様に広がった。


別に特別なスキルでは無い。


セバス達のナイフやシロネコ達の鏃と同様に極細のワイヤーで魔力を流して動かすだけだ。



オレは常々思っていた…………


剣を複数出して飛ばす技は色々な物語で出て来るが、『どうせなら、鞘も使おうよ!!』と…………


何故なら、剣は斬撃、鞘は打撃に使える。


刀1本で戦う話しだと、結構、鞘で打撃を与えたり、鞘で防いだりするのに、飛ばす時には使わないなんてナンセンスだと!!



鞘で、棍棒を逸らし、刀で腕を斬り落とす。

腕が落下する先に“ディファレントスペース”で回収して行く事も忘れない。


縦横無尽に動く、オレの24本の武器は、瞬く間にレベル10倍の魔獣の6本の腕を斬り落とした。

オレが腕を斬り落としたのを合図に、シロリュウも尻尾をブンブン振り回して、4本の足を斬り飛ばす。


オレは、倒れて行くゴリラに突っ込んで行って首を両手の刀で斬り飛ばし、“ディファレントスペース”でキャッチした。

足と身体は、シロリュウが回収、オレも全ての刀を納刀して、シロリュウに着地した。


オレ達が終わって間もなく、シロネコ達の戦闘も終了、また、森の中へ駆け出した…………





その後も、狩りを続け、昼には川辺で昼食を取って、夜はテントを張ってキャンプをした。

オレの“ディファレントスペース”内の方が、もちろん快適だが遊び心だ。



今回の狩り大会は、高レベルの魔獣を狩り尽くすのが目的の為、夜行性の魔獣も狩る必要がある。


なので、各チームの判断で、現地宿泊か家に帰るかは自由だ。

因みに、オレのチームでは、交互に行う予定だ。


どうしても、ラムやシエラールルなどの子守り組は、ハンデになってしまうが、参加出来なかったルナルーレよりはマシだろう。


今回の狩り大会は、比較的安全だが、旦那が非常に過保護なのだ!!



焚き火を囲んで、コーヒーを飲みながら今日の感想を聞いてみた。


「そうね、魔獣はアルファよりも強い魔獣が多かったけど、こう、変わった能力の有る魔獣が全然居なかったよね」


「確かに、そうだな。

スキルのバリエーションが少ない様な印象だな」


「そうなのですか?

ゼータでも、魔獣は大体、肉弾戦で力任せのモノが多いですが、アルファではスキルや魔法を駆使する魔獣も多く居るのですか?」


「ああ、と云うか逆だな。

スキルや魔法を駆使出来る魔獣の方が、より強くなれるから、レベルが高いモノが多い感じだな」


「主様、やはり空間魔力の違いではないでしょうか?

私も、この星でなら元の大きさでも自由に行動出来ていたでしょうし、魔力を糧にレベルも上がって行き易かったと思います。

そのせいで、戦闘技術が疎かになってしまっているのでは?」


「そうだな、シロリュウの意見が正解の様な気がするな。

ゼータもアルファよりずっと空間魔力が高いからな…………


でも、何でだろうな。

太陽との距離は、気温的にそんなに変わらないと思うんだがなぁ〜…………」


「えっと、レンジさん、其れってボクのせいじゃないかな?

アルファは、ボクが、地中にも魔力を巡らせてるから…………」


「う〜ん…………。

確かに、ミケネコの意見も要因の1つだろうけど、3の月だって、オレが聖樹で魔力を集めてるが、そもそも、降り注ぐ魔力自体が、ベータやゼータの方が多い様な気がするんだよなぁ〜…………」


「主よ、では、太陽の方が違うのではないか?

機動兵器の魔力バッテリーの様に、魔力電池よりも魔力の高い物質で出来ているのではないだろうか?」


「そうか、確かに太陽だから同じとは限らないな。

今度、生き物の居ない星系の太陽を何個かバラしてみよう!!」


「レンジくん?!太陽をバラすの?!

太陽って、あの太陽だよね?!」


「ん?多分、その太陽だと思うけど?」


「レンジ様、太陽というのは倒せるモノなのですか?」


「ああ、この焚き火と一緒だよ。


太陽だって燃えてるけど、中には燃えてる“ナニカ”が有るから、火を消したら中の“ナニカ”が残る。

其れを分解して行くんだよ」


「なるほど…………。

先ずは、相手の防御を破って攻撃すると云う事ですね」


「そうそう、そんな感じだ」


「そんな感じだって…………。

太陽だよ?確か、地球の100倍以上有るんだよ?


アルファは地球よりも大きいらしいけど、それでも、太陽はもっともっと大きいよ?」


「エリカ、大きさは問題じゃ無い。


問題は太陽が無くなったら、重力のバランスが崩れるだろうから、その星系の星を先に全部集めないといけない手間の方だ」


「…………レンジくん。

レンジくんの常識って言葉は、一体何処に置いて来ちゃったの…………」


「エリカ、この世界にもっと慣れた方が良い。

この世界では、このくらいは常識の範囲内だ。」


「…………レンジくん以外に、この世界の人でも、太陽分解するなんて言わないよ…………。

私の方が何百倍もこの世界に居るからね?」



「まあ、其れはいいとして、機動兵器の動きの方はどうだ?」


「我としては、関節の可動域をもっと広くして貰いたい。

我も柔軟を行って、背のチャックを上げられるくらい足が回る様になった故」


「!!なに!!

シロネコ、もしかしてパイロットスーツを自分で着ているのか?」


「レンジさん、ボクも自分で着れる様になりました!!」


「2人とも凄いじゃないか!!」


「…………太陽の解体は普通の事で、ネコがチャックを上げられる様になるのは凄い事なんだね、レンジくん…………」


「エリカ奥様、我は獅子だ!!」





▪️▪️▪️▪️





「な、な、な、何これ…………。可愛いぃ〜〜〜〜!!」


狩り大会3日目、オレ達は狩り場を森から山脈に移していた。


魔獣を狩りながら、最も高い山の山頂を目指す。

この山頂には、この星の特級戦力が居たからだ。



今回の狩り大会は、異世界召喚を出来なくする為の下準備が1番の目的だが、オレとしては次の惑星の準備として、機動兵器の実地試験が大きなウェイトを占めている。


なので、優勝の為のポイント稼ぎよりも、強敵とのリミッター解除戦闘の方を優先したのだ。



そして、山頂に“コイツ”が居た!!


幼稚園児用のカバンとか、お弁当箱に描かれている様な、“短足、3頭身のキリン”だ!!


但し、サイズは尋常では無い。

本来の大きさのシロネコの10倍はデカイ。

陸上で出会った魔獣の中では、1番デカイだろう。



「我を見て、可愛いと言った者は、何万年振りか…………。

変わった、魔物だな…………。

いや、魔物では無いのか?」


コミカルな見た目とは裏腹に、非常に低い渋い声が響いた。


「お?!喋れるんだな。

良く分かったな。

此れはゴーレムに乗り込んで操縦しているんだよ」


「ほう…………。

最近は、変わった事をする者が居るのだな…………。

戦争に勝つ為か?」


「いや、オレ達は、この星の人間じゃない。

ちょっと、この星で、狩りとこのゴーレムのテストをしているんだ」


「ふむ…………。


つまり、“この星の人間”は、まだ戦争を続けているのだな…………。

食う訳でも無く、無駄に殺し合い続けるとは愚かな事だ…………」


「そうだな。

ところで、此処で何をしてるんだ?」


「食事だ。雲を食っていた」


「雲を?美味いのか?」


「味はしないが、我が草木を食っては、この星の植物は絶えてしまうからな」


「なるほどな…………。

この星の魔獣は、レベルの割には比較的小さめだけど、おまえはデカいもんな」


「そうだな。

我は、他の者達とは少し違うからな」


「そうなのか?

何が違うんだ?」


「この星で、我と鸞だけは、この星の生まれでは無い。

応龍に導かれて、この星に来たのだ」


「!!応龍ですか?!」


「どうした、ヒィ?

応龍を知ってるのか?」


「はい、ゼータには、生きとし生けるモノの始まりと言われる、建馬と鳳凰が居ると言われて居るのですが、その、建馬と鳳凰を導いて来たのが応龍だと言われています」


「…………応龍は、宇宙を移動出来るって事か?

応龍は何者なんだ?」


「応龍は、神の1柱だ。

我も目覚めた時は、応龍の玉の中で宇宙に居た。


そして、応龍がこの星に降り立ち、我と鸞を残して、また、飛び立って行った。

其方の星でも応龍は同じ事を行ったのやも知れぬな」


「応龍は、何で、おまえと鸞をこの星に置いて行ったんだ?」


「生物の目覚めを促す為だろうな。


我らがこの星に来た時には、まだ、生き物は居なかった。

我らが来てから、徐々に生物が生まれ始めたのだ」


「生物の発生を促す為の神という事か…………。

なら、他の星にも色々と居るのかもな…………。


じゃあ、生物が生まれたら、おまえと鸞は、もう、用済みって事か?」


「…………他に、言い方が有るのでは無いのか?

例えば、役目を終えたとか、使命を全うしたとか…………」


「役目を終えて、使命を全うした、おまえと鸞は、今は何の為に居るんだ?」


「うぅむ…………。

言い方は結局腑に落ちんが、まあ、特に理由も無いのも事実だ…………」


「そうか、其れなら別にオレ達が、狩っても問題無いな」


「えぇ〜〜!!待って!!

ちょっと、待って、レンジくん!!

こんなに、可愛いのに狩っちゃうの?!」


「可愛いからって、理由で狩らなかったら、可愛いくても獰猛な生き物が狩れないし、他の可愛くない全ての生き物に失礼だろ?」


「でも、この子は話しが通じるし、別に無理に狩らなくても良いんじゃ無いかな?」


「いやいや、今まで狩った魔獣の中にも話しが通じるヤツが居たかもしれないけど、問答無用で狩って来たじゃないか。

可愛くなかったから」


「う!!でも!!ええっと…………。


そう!!私にはまだ、ペットが居ないじゃない?

私、この子が良い!!」


「う〜〜ん…………。

其れだと、高レベルの魔獣を殱滅するっていう、今回のルールから外れちゃうしなぁ〜…………」


「其方らの話しは良く分からんが、狩りに来たというのは、この星の高レベルの魔獣を狩り尽くすつもりなのか?

我を含めて」


「ああ、ちょっと、この星の魔力を無くそうと思ってな。


そうなると高レベルの魔獣が、他の生き物を殺しまくっちゃうだろ?

その後は、その魔獣も魔力が無くて死んじゃうだろうから、そうしたら、この星の生き物が絶滅しちゃうからさ」


「?何故魔力を無くすのだ?」


「其れは、この星で行われている異世界召喚を出来なくする為だな」


「…………其れならば、異世界召喚を行う者を殺せば済むのではないか?」


「其れだと、異世界召喚が出来るヤツがまた生まれたら面倒だし、人間は食えないからな」


「なるほど…………。

食う為ならば、仕方あるまい…………」


「なんだか、さっきから食べる事に拘るな。

もしかして、腹が減ってるのか?」


「腹が減っている訳では無いが、満足に食事が出来ぬ様になって長いからな」


「そうか…………。

しょうがない、エリカもペットにしたいって言ってるし、おまえを倒してウチのペットにしてやろう」


「…………先程も言っていたが、我に勝てると思っている様だな」


「ああ、そう思っている。

だから、オレが勝ったら、ウチのペットになれよ?」


「1対1でと言う事か?

良いだろう。

其方が1人で我に勝ったら、ペットになってやろう」


「良し、じゃあ、さっさとやろう」


オレは、機動兵器の耐久テストを兼ねて、レベル上限を100億に上げて、刀を抜いて背中の刀と鞘も展開する。

シロリュウ達は、後ろに下がって距離を取った。


「準備は良いか?

では、行くぞ!!」


キリンは、丸っこい可愛い蹄で踏み付けて来た!!


見た目は、ポヨンっと音がしそうな蹄だが、如何せんデカい!!

オレが居た場所は、ドッゴーン!!と、いう音と共に、大きなクレーターになった。


そして、舞い上がった土煙の中を雷撃が走る。

オレは、その雷撃を1つ1つ避けながら、踏み付けられた前足に迫って、刀を伸ばして斬り飛ばした。


「なに?!」


一拍置いて、12本の展開した刀も伸ばして、残り3本の足も斬り飛ばすと12本の鞘も伸ばして、後頭部から首元迄をブン殴った…………





キッチリと足は回収してから、“神聖属性魔法”で回復してやる。


「…………まさか、我がたった1合で敗れるとは…………」


「じゃあ、獣操術で契約するからな…………。


良し。なあ、おまえの名前なんだが、種族も麒麟、名前も麒麟なのか?

眷族はキリンか?」


「うむ、我は種族も名前も麒麟だな。

麒麟は我しか居ないからな。


眷族は、我から生まれた者は、騏驎で、そこから生まれた者がキリンだな」


「…………全部、キリンじゃ分かりにくいな…………。

良し、今日からおまえは、キキリンだ」


「ふむ、分かった」


「じゃあ、キキリン。

これから首輪を着ける。

そうしたら、小さくなってくれ」





小さくなった、キキリンは、なんだかモフっとして、今まで以上にディフォルメされた、デパートに売っている幼児用ぬいぐるみの様になった…………


エリカは、キャーキャー言って、喜んでいた…………



その日のキャンプは、キキリンの歓迎の意味も込めてオレが料理をした。

ヒィとエリカの為に、しっかりと愛情を込めた料理をキキリンも食べて……………


「我は、主に生涯絶対の忠誠を誓う!!」


と、力強く言ったのだった…………





▪️▪️▪️▪️





今回、キキリンをペットに引き入れた為、オレのチームは脱落にした。

但し、ヒィとエリカの機動兵器訓練と、オレ自身での機動兵器の実地テストの為、狩りそのものは最終日まで続けた。



8月2日、思ったよりも時間が掛かったが狩り大会は終了。

そして、優勝は…………


「…………ガリーとブランドが組んでるって事は、訓練に関しての要望が有るのか?」


ガリー、ブランド率いる、クルス商会訓練大好きグループだった…………


そして、彼らに作戦というモノは、一切無かった…………

彼らは、6人バラバラに、ただただひたすら、休む間もなく狩り続け、8日間ぶっ通しで狩りを続けていた…………


「はい、クルス様。

訓練場と真無限ダンジョンに、1対多数、多数対多数の戦闘訓練が行える仕様を追加して頂きたいのです」


と、ブランド。まあ、このチームだ。

訓練に関しての要望以外はあり得ないだろう…………


「分かった。

なら、機能の追加じゃなくて、複数戦闘仕様の訓練場と真無限ダンジョンを追加で新たに作ろう」


「「「有難う御座います!!」」」


休み無く戦い続けた彼らへの賞品が、戦いの場とは…………


軍事国家でも、もっと別の賞品がありそうなモノだが…………

ウチの配下達は、本当に、何になろうとしているのだろうか…………



一通り、報告を聞いた結果、鸞に関しては、リム、セレン、セリン、クロリュウ、アカリュウ、ホネリュウのドラゴンライダーチームに狩られてしまった様だ。


このチームは、どうやら、リミッター解除戦闘を目的として、高レベル狩りを行っていた様だ。

こちらはこちらで、どうかと思うが…………



そして、此処からは、オレの仕事だ。


超圧縮クロオリハルコンの天を突く様な塔を惑星ベータの各大陸に建てて、オレの魔力をガッツリ込めてコーティング。

そこに、“魔力吸収”と、“魔力転送”を付与する。


魔力の転送先は、現在オレが聖樹の育成実験を行なっている星だ。


此処は、東大陸の動物を含めて、普通の動物達を多く放って、魔獣への進化の研究を行っているので、魔力が高くなるのは面白い進化が見られるかもしれないからだ。


オレが塔を建てている間に、配下達が、“異世界召喚系スキル”をこっそり奪って回っている。


今回、召喚された人々を保護するかどうかは、検討の結果、行わない事にした。

理由は、どう言う訳か非常に好戦的な者が多かったからだ。



なんと、勇者が50人も居て、勇者の特売セール状態だったのだが、全員が個別に召喚されて居て、集団での召喚では無かった。


なので、巻き込まれた者も居ない訳だが、其れでも勇者全員が好戦的と云うのは、若干の違和感を感じる。



此れに関しては、一応、奪った“異世界召喚系スキル”をリスト化して、召喚時の希望相手を限定する方法が無いかの確認を行う予定だ。



惑星ベータの人々は、大混乱だろう。


急に魔法もスキルも魔導具もどんどん使えなくなって行くのだ。

魔力の無い影響で、おそらく寿命も短くなって行くだろう。

これを機に、戦争が鎮静化して行く事を願うばかりだ。



こうして、3つ目の惑星ベータの異世界召喚を終わらせたのだった…………





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