表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/132

第23章 鬼③

鬼③





▪️▪️▪️▪️





今年の周年祭は、何と、33兆エルも売り上げた!!


その内、22兆エルは、オークションの最終品目、3周年記念の杖だ。

此れを買ったのは、予定通り賢王だ。


さすが、商売の国の影の支配者。

たんまり持っていた様だ。


セバスとローラスがしっかりと見極めて、値段を釣り上げてくれた様で、オレはとても満足だ!!


ロボットオモチャもバカ売れで、ローラス社長の報告も非常にテンションの高いモノだった。



周年祭の報告を聞いた後は、惑星ゼータの報告を聞く。

そのまま、今後の方針を決めて、予定を組んで行った。


惑星ゼータには、3日後の5月15日に出発する事で決定したのだった…………





新入社員、初参加の合同訓練を行い、惑星ゼータに持って行く、商品サンプルの準備を終えて、とうとう、出発だ!!



今回は、交渉がメインになるので、妻はキスラエラとクリシュナだけで、商業部の幹部も同行する。

ペットも、シロリュウ、シロクラゲ、ミケネコだけだ。


シルバーウィングの船橋から見下ろす街並みは、木造だがしっかりした造りの家がキッチリと縦横に碁盤目状に並んで居て綺麗に整っている。



街の少し手前に着陸して、敢えて自動車で向かう。

街の入り口の門は、オレ達が来た事で閉ざされて多くの兵が堅めていた。



鬼族は、特別変わった種族では無さそうだ。


黒曜石の様な2本のツノが額に有るだけで、他は“人種族”と変わらない。

体型もゴツい者も居れば、スリムな者もいる。


但し、“アルファの人種族”と違って、此処の兵達は全員、黒髪一色のみだ。


兵達の前迄、ゆっくりと向かって自動車から降りる。



「オレは、この星とは違う別の星から来たクルス商会の会長のクルスという。

この国の王に会いたいんだが、どうしたら良いか教えてくれ」


「私は、国王直属の近衛兵のシツだ。

別の星の商人という事で間違い無いか?」


「ああ、そうだ」


「分かった。国王陛下に確認に行って来る。

申し訳無いが、しばらく、その場で動かずに待って貰いたい」


「分かった。

これ以上は近付かないから、休んで居てもいいか?」


「問題無い。しばらく、待ってくれ」






いつもの様にテーブルセットを作って、ゆっくりお茶をしながら、小一時間待っていると、門が開き、兵士達に囲まれた大きな牛車がやって来た。

先頭は、先程のシツだ。


「お待たせした、クルス殿。

国王陛下がお会いになる。牛車の方へ、お入り頂きたい」




牛車の中は、応接室の様な部屋だった。

そして、中にはソファーに座った1人と、後ろに立つ2人。

左右の壁際に20人程の武装した兵士がいた。


“牛車で会いに行く”のではなく、“牛車の中で会う”だった様だ。



ソファーの人物が国王で、鬼王族なのだろう。

そして、後ろの2人も鬼王族の様だ。


この3人は、他の鬼族と違い、ツノの間に目が有る。

第3の目とか、変わった力が有りそうでワクワクしてしまうが、我慢だ!!



「初めまして、国王陛下。

オレは、クルス商会の会長のクルス。

こっちの2人は、妻のキスラエラとクリシュナです」


「ようこそ、クルス殿。

私は、このロウの国の国王、シン ロウだ」


『!!なんて、疲れていそうな名前なんだ!!苦労の絶えない国王に違いない!!』と思ったが、勿論表情には、一切出さない。


「お時間を頂き、ありがとうございます。


早速ですが、オレがこの星に来た目的は3つです。


1つ目は、この星の3ヶ国と、オレの住んでいる星との国交を結ぶ事。

2つ目は、この星にクルス商会の店舗を出店する事。

3つ目は、この星の異世界召喚の魔導具を回収、若しくは破壊して、異世界召喚を出来なくする事です」


「ふむ…………。

順番に聞こうか。

先ずは、クルス殿は商人だと聞いていたが、貴殿が他国と其れも他の星の他国との国交を結ぶ権利を持って居るのか?」


「そうですね、お答えする前に先に確認をさせて貰いたいのですが、オレ達は、自分達の星をアルファと呼んでいます。


そして、この星を便宜上、ゼータと呼んでいるのですが、この星の此方での呼び方は有りますか?」


「いや、星に呼び方は特に無い。

なので、そのまま、ゼータと呼んで話しを進めてくれて良い」


「分かりました。


では、先程の答えですが、アルファには、13の国と地域が有ります。

なので、最初から全ての国との国交とは考えていません。


そして、オレは、どの国にも所属していない私有地を広く持っています。

其れから、オレの妻のキスラエラとクリシュナは、2人共一国の代表です。


ですから、先ずは、その3ヶ所から始めて頂ければと考えています」


「2人共と言うのは2ヶ国と言う事なのか?

其れと、他の多くの国との関係はどうなのだろうか?」


「はい、2人は別々の国の代表です。

其れと、13の国は全ての国で、和平条約が結ばれていますので、関係は良好です」


「クルス殿の他国への影響力は、どれ程であろうか?」


「そうですね…………。


先ず、今、お話しした2ヶ国の他に、1ヶ国はオレの配下が治めています。

そして、もう2ヶ国は、オレの親族が治めており、もう1ヶ国はオレの幼馴染が治めています。


後は、クルス商会は現在、アルファの魔導具を一手に販売しており、商業に関しての協会で、アルファで唯一の最高ランクの商会です。


全ての国の王や代表に直接会って、交渉が出来る程の地位にはいます」


「…………申し訳無い、クルス殿がアルファを支配されている訳では無いのだろうか?」


「いいえ、違います。

オレは、絶対に支配者にはならないと決めているので」


「…………なるほど……ならないと決めている……。

なれるがならないという事か……」


「ええ、武力であれば、簡単になれるでしょうが、そんな事をするつもりは有りません」


「!!武力で?!経済ではないのか?!」


「陛下、経済は支配するだけではダメなのです。

円滑に回してこそ意味がある。


経済が、回らなければ発展は有りません。

オレの目標は、努力した者がキチンと報われて、更に上を目指し続ける社会です」


「なるほど……素晴らしい考えだと思う。


しかし、武力というのは、どういう事なのだ?

商人の私兵団が世界を支配出来る程の規模だという事なのか?」


「まあ、其れもありますが、オレ1人でも、アルファを武力で支配出来るくらいの力は有ります。


因みに、此処ゼータも同じです。

もちろん、鬼族の住んでいない魔獣の領域を含めてです」


「!!!!」


「陛下、お下がり下さい。

この様な与迷い事を!!」


「グイ、おまえこそ下がっていろ。

私の力を知らぬ訳では有るまい。


クルス殿は、一切嘘を吐いてなどいない。

済まないな、クルス殿、部下が失礼な事を言った」


「いいえ、そういった反応にも慣れていますので、お気遣い無く。


其れよりも、陛下が嘘を見抜く能力をお持ちだったのは、オレにとっては僥倖です。

遠慮なく聞いて頂きたい。全て、お答えします」


「分かった。

では、この星での出店をという事だったが、この星でも全ての魔導具店をクルス商会にするつもりなのか?」


「其処は、陛下のご判断にお任せします。


アルファの国々でも、基本的には、各国で魔導具商と国民の事を考えた上で魔導具店がクルス商会だけになっています。

其れについては、アルファの国々で行った政策を纏めたモノを用意してありますので、後ほど、お渡しします」


「分かった。

では、最後の異世界召喚の魔導具を回収か破壊をするというのは、何が目的なのだ?」


「目的はそのまま、異世界召喚を出来なくする事です。


理由は3つ。


1つ目は、オレ自身も異世界転移者なので、向こうの世界には、この世界に来る事を望んでいない者が多くいる事を知っているからです。

2つ目は、異世界召喚によって、この世界に魂が増え続けて悪影響があった場合に備えて、念の為です。

3つ目は、異世界召喚が増えたのは、“魔導神”という人物の所為なのですが、この増えた魂で何か企んでいたら困るので、念の為です」


「そうか…………。


しかし、アレは魔導神クスレン様が、この世界の未来が行き詰まった時の為にと残して下さったモノであって、何かの企みの為とは思えないのだが…………」


「!!陛下は、魔導神に会った事があるのですか?」


「うむ、この国が出来る前、私がまだ王子だった頃にな。

あの時のクスレン様も嘘は言っていなかった」


「なるほど、では、3つ目の理由は、オレの杞憂かもしれませんが、1つ目の理由だけは事実です」


「たしかにな…………。


個人の心情としては理解出来る。

しかし、王としては決断出来る材料が無いのも事実だ」


「其れについては、陛下だけで無く他の2国の王にも、クルス商会の商品を見て頂いて、交換という形を取れればと考えています。


そして、出店の許可もその後で、ご判断頂きたい」


「うむ、其れならば、見させて貰ってからにしよう」


「ありがとうございます。

では、他の2国で同様の話しをしてから、再度、ご連絡致します」


「いや、其れならば、私も同行しよう。

弟達も、私の力を知っているから話しが早いだろう。


それでなのだが、あの空飛ぶ船には、私達を乗せる程の余裕があるだろうか?」


「ええ、有りますよ。

着替えもアルファの物でも良ければありますから、護衛の人員の準備が出来ましたら、お声掛け下さい」


「護衛であれば、此処の者達だけで問題無い。

では、早速向かおう!!」





▪️▪️▪️▪️





シン王と共にシルバーウィングへ。

シルバーウィングには、“販売用飛空船モード”になって貰っている。


販売用は、シルバーウィングと違って、魔導頭脳は喋らないし、自動運転も出来ない。

船橋で5人以上で操作するのだ。



シン王を船橋のソファーセットに案内したのだが、シン王は外の景色を見て大はしゃぎだ。

部下達に宥められても、窓にへばり付き離れなかった…………



実は此れも作戦の一部だ。

今回、付いて来るとは思っていなかったが、3人の王との会談は、このシルバーウィングで行う予定だった。


理由は、ここゼータは魔法が非常に少ない。

使われているのは、火属性魔法と雷属性魔法だけだったからだ。


この事は、“スキル 万物の記憶”で観測していて、偶然見つかった事をオレの“スキル 森羅万象”で確認したのだ。



偶然見つかった事とは、物の運搬だ。

“ディファレントルーム”や、“ディファレントスペース”での運搬が全くされていない事に、観測中の者が気付いたのだ。



そこで、“スキル 森羅万象”で確認した、この惑星ゼータで使われている魔法の属性を。

結果、火属性魔法と雷属性魔法の2種類のみだと分かったのだ。


そして、気付いた。


風属性魔法と重力属性魔法が無いなら、空を飛べるのは、一部のスキルを持った者だけなのではないかと。

つまり、この惑星ゼータの人々は、空を飛ぶ事に憧れているのではないかと。



だから、用意して有ります!!

クルス商会、最高級商品!!飛空船!!


正直言って、飛空船はオレの趣味の乗り物なので、クルス商会にカタログは有っても売るつもりは全く無かった。

だから、70兆エルという、バカみたいな金額設定にして有る。


売りたく無かった理由は、もう1つ有った。

オレの“スキル 創造”でしか、魔導頭脳を作れなかったからだ。



しかし、製造部の技術力の向上と賢王から手に入れた宇宙船用のシステムのお陰で、製造部でも簡易的な飛空船を作れる様になった。


此れにより、飛空船のカタログが追加された。

シルバーウィングの100分の1サイズ。20m級の飛空船だ。


お値段もお手頃な、7,000億エルだ!!


この20m級飛空船を、異世界召喚魔導具との物々交換品の1つとして、準備してあるのだ。



シン王と共に、パイの国、ザンの国を巡り、両国の国王にもシルバーウィングに乗船して貰って、その日はシルバーウィングで会食だけ行って、クルス商会優遇政策の資料、為替差による物価の資料、産業ギルドとアルファでの税金の資料を渡し、シルバーウィングに一泊して貰った。



デルタもそうだったが、此処ゼータも、人の住む領域は其れ程広く無い。

ゼータに関しては、魔族の国3ヶ国分くらいだ。


なので、1日の内に3ヶ国とも回って、国王達に会う事が出来た。

無事に国交が結ばれて、異世界召喚の問題が解決したら大自然を冒険するのも楽しいかもしれない。





翌日、商業部の商品説明とクルス商会の会員制制度の説明を行って、生活用の魔導具から、武器や防具、農業用の魔導具に自動車、飛空船まで、実際に使って貰って、商品価値を確認して貰った。


ゼータの通貨は“ドウ”と言う。

1ドウは大体10エルくらいで、100円くらいだ。


生活用の魔導具の説明と共に、この通貨の為替差と魔導具以外の衣類や食品での価格価値の擦り合わせも同時に行って、生活用の魔導具の安さと魔力電池の有用性も伝える。



ここゼータには、ギルドというモノは無く、税金は人頭税のみだった。

なので、魔導具に関しても税金の問題で高い訳では無い。


しかし、逆に人頭税のみの為、人頭税の高さと寿命の長さから、元々低い出生率に輪を掛けて少子化が起こっていた。

その所為で、作れる者の限られる魔導具は、徐々にでは有るが価値が上がって来ており、流通も減って来ていた。



更に魔法の種類の少なさが影響していた。

火と雷以外は、スキルでの付与しか出来ないのだ。


冷蔵庫やエアコンの魔導具などの生活必需品の様なモノでも、極一部の職人の作品レベルに出回ら無くなって来ていたのだ。


商業部の商品の説明の傍ら、オレはクルス商会の出店と産業ギルドへの加入によって、国民の生活レベルの向上と少子化問題の改善についても話しを行った。


武器や防具の説明の際には、クルス商会の会員規約で、人に此方からは攻撃出来ない事での戦争回避の目的を話し、農業用の魔導具の説明では、キスラエラからビルスレイア女王国での食糧供給の向上内容を話して貰った。


因みに、自動車と飛空船の時は、王達に好きにさせた。

大興奮過ぎて、口を挟めなかったからだ…………


最後のロボットオモチャも同様だった…………





▪️▪️▪️▪️





「御三方とも、クルス商会の商品はどうでしたか?」


商品説明を終えて、シルバーウィングの応接室で、名前の酷い3人の王に感想を聞く。


「うむ、どれも本当に素晴らしいモノだった」

と、ロウの国の、シン ロウ王。


「そうだな。アルファの魔導具店がクルス商会だけなのも頷ける」

と、パイの国の、コン パイ王。


「ああ、是非、我が国にも出店して貰いたい」

と、ザンの国の、サン ザン王。


ゼータには、家名というモノは無く。


国名は建国時に自分たちで付けたそうなのだが、色々と国名の由来の蘊蓄は聞いたのだが、其れ以前に、この国名だと、自分の名前がどんな名前になるか考えなかったのだろうか…………


「高い評価をありがとうございます。

では、此方が、異世界召喚の魔導具との交換品の目録です」


「「「!!!!」」」


「あの、700億ドウもする飛空船も含まれているのか!!」


「はい。但し、オレの目的は“異世界召喚を出来なくする事”なので、このゼータの5つの異世界召喚魔導具と異世界召喚を行わない法律を作る事との交換で、3ヶ国に同じ内容のモノをお渡しします」


「…………異世界召喚の魔導具には、其れほどの価値が有ると?」


「いいえ、物として見るならば、オレにとっては異世界召喚の魔導具を作るのも、冷蔵庫の魔導具を作るのも、大差は有りません。


しかし、異世界召喚が行われ続ける事で、この世界に万が一の事が有った場合に備えての対処なので、金をケチる様なマネはしないと言う事です」


「なるほど、異世界召喚禁止の法律の方の値段と言う事か」


「そう、捉えて貰っても構いません。

其れに、交換を受けて頂けるならば、クルス商会の出店は確定の様なモノですから」


「…………全て、繋がっているという事か…………」


「どういう事ですか、兄上」


「交換を行って、魔導具を貰ったとしても、魔力電池が尽きれば動かなくなってしまう。


そうなれば、国交を結んで輸入するか、国交を結んでクルス商会の出店を許可するかのどちらかだ。

国交を結ぶ事は確定だろう。


そして、輸入を選択した場合には、完全にアルファ側が有利だ。

此方は、魔力電池が輸入出来なければ困るが、彼方は輸入出来なくて困るモノも無ければ、魔力電池が輸出出来なくて困る訳でも無いからな」


「其れでは、我々が食い物にされるだけなのでは?!」


「クルス殿にその様な考えは無いよ。


聞く限り、アルファの方が物価も安く、人々の生活水準も高そうだが、其れは我らの国でも、クルス商会を受け入れれば変わって来る事だろう。


我々が考えるべきは、アルファには無い輸出品であろうよ」


「なるほど……確かにそうかもしれませんな…………」


「其れについては、一応、3つ案が有ります。


1つは観光です。

アルファの人々も生活が良くなって来た事と平和条約が結ばれた事で、旅行をする者が少しづつ現れています。

別の星への観光と云うのは、人々の興味を強く引くでしょう。


もう1つは、木工品です。

特に建物に使われている木材は、アルファの植物よりも耐久性に優れていると思います。


最後は、食材です。

此れもアルファの生活レベルの向上によるモノですが、現在、世界各国の色々な食材や料理を食べる習慣が広がって来ています。


何が当たるかは分かりませんが、ゼータにはアルファには居ない動植物もいるでしょう」


「さすが、アレほどの商品を生み出しておられる、クルス殿だ。

商品を売り付けるのでは無く、売買として成り立つところまで、お考えとは…………


我がロウの国は、クルス殿のお話を受けようと思う」


「我がパイの国も、クルス殿の御提案、お受けする」


「我がザンの国も、お受けします」


「御三方とも、ありがとうございます。

では、内容は明日からまた詰めて行くとして、今日は友好を深める為に、呑みましょうか?

アルファ各国の酒に、クルス商会で製法を販売している酒も用意して有りますので」


「おお、其れは良い。実に楽しみだ!!」



こうして、始まった3人の王との飲み会は明け方迄続いた…………


3人は、名前の通り、苦労の絶えない国王だった様で愚痴が止まらなかった…………

国に大きな問題がある訳では無い、愚痴の9割は家庭や女性問題の愚痴だった…………





飲み会も無駄だった訳では無い。


一応、有益な情報も有った。

3ヶ国が出来たクーデターの原因と理由についてだ。


3人の王の関係から、王位継承を巡っての争いでは無いだろうとは思っていたが、クーデターの原因は前王の女性問題だった…………



5,000年程前、前王が1人の女性に惚れてしまった。


その女性は、偶然やって来た異世界転移者で、前王からの求婚に対して条件を付けた。

「この世界でも、スマホを使える様にして欲しい」と…………


前王は、魔導具商達にスマホを使える魔導具を作らせようとしたが全く進展しない。

其処で、前王は異世界の技術は異世界に求めようと考えた。



この星の異世界召喚の魔導具は、100人以上の生贄が必要だ。

先ずは、犯罪者達が犠牲になった。


そして、200人の異世界転移者がやって来た。

その中に、数人、スマホの仕組みや通信の仕組みを知る者も居たが、其れを実現したり、作ったり出来る者は居なかった。



今度は、その200人の異世界転移者を使って異世界召喚が行われた。

次は800人やって来たが、スマホを使える様にはならなかった。



此処で、シン王達が待ったを掛けた。


たった1人の女を手に入れる為に、異世界の者達とはいえ国のトップが虐殺を繰り返している事は大いに問題だ。

国民に広まる前に、即刻止める様に前王に迫ったが、結果はシン王達が叛逆者となってしまった。

そして、800人を使った、異世界召喚が行われた…………


やって来たのは、3,000人。

人数の多さに500人程、取り逃す事になり、その500人をシン王達が保護した。



すると、その中に5人の勇者が居たのだ。

シン王達は勇者と協力して、前王を殺して異世界召喚を止めた。



その後、2度と国王が自身の傲慢だけで国を乱さない様に、敢えて国を3つに分けて、其々がお互いに牽制し合える様にしたそうだ。


クーデターについて、多くは語らなかったが、国民の2割以上が亡くなる程の大きな戦いだったそうだ。



念の為、聞いてみた。

前王を唆した女性がどうなったのかと前王が操られていた可能性についてだ。


女性の生死は不明。

恐らく人種族なら既に死んでいるだろうが、確認は出来ていないらしい。


前王が操られて居た可能性は、有るそうだ。

その理由は、シン王達もその女性の顔も名前も思い出せないらしい。


オレは、研究部に細心の注意を払って、その女性について“万物の記憶”で、探る様に指示しておいた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ