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第22章 天女の女王③

天女の女王③





▪️▪️▪️▪️





「お〜お〜、元気いっぱいだな」


着陸に向けて高度を下げ始めていたとはいえ、飛行中のシルバーウィングに飛び上がって殴って来るとは。


ガンッ!!ガンッ!!ガガガンッ!!


「シルバーウィング、無視して着陸しろ」


「畏まりました、マスター」



スィオー達の実験と訓練を完了させた翌日。

オレ達は、スィオーの支配地から南東のスイージュ スイージュの支配地に向かった。


スイージュ スイージュには配下は居ない。

本人1人だけなので、獣人種族にするか、殺してしまうか、直ぐに判断出来るので最初に選んだのだ。



スィオーの話しでは、スイージュ スイージュは、“全ての人間を滅ぼす事”が目的らしいが、理由迄は知らなかった。

なので、先ずは理由の確認の為に会いに来たのだが、シルバーウィング発見と同時に殴り掛かって来た様だ。





着陸して外に出たが、未だに結界を殴り続けている…………


「まるで、獣だな。

スィオー、スイージュ スイージュは、昔からこうなのか?」


「元々、力押しで解決しようとする性格でしたが、誰彼構わず暴力を振るう訳では有りませんでした」


「そうなのか…………。

でも、おまえを見ても、攻撃の手を緩めないな」


「そうですね…………。

スイージュ スイージュ、話しがあります。

……………………全く、聞く耳持ちませんね…………」


「そうみたいだな。

仕方がない、先ずは、ちょっと、躾けるか」


オレはゆっくりと歩いて行って結界から出ると同時にスイージュ スイージュの拳を掴んで地面に叩き付ける。

そして、そのまま放り投げて、白刃を抜き“スィオー達を斬ったスキル”、“スキル 分離”で両腕を斬り飛ばした。



この“スキル 分離”は、“指定した範囲で分けるスキル”だ。

傷一つ付ける事無く、分割するだけだ。


2つになっても、別に劣化する訳でも、朽ちる訳でも無い。

この屁理屈を押し通す事で、不朽の肉体の“分離を行った”のだ。


まあ、本当に屁理屈だった様で、スィオー達の不老不朽の肉体でも腕が別れれば出血するし、痛みも有る。

傷付けずに分割しても、分割された後は勿論傷付いた肉体になる訳だから当然だが。



「きゃう!!んぐぅ〜〜!!」


腕を失った、スイージュ スイージュは、それでも向かって来る。

翼で飛んで、飛び蹴りをして来る。


スイージュ スイージュはボロ布を被っただけの格好だ。

そんな飛び蹴りでは色々と見え見えの攻撃だが、オレはそんな事では動じない。


足を掴んで、また、地面に一度叩き付けてから放り投げて、今度は足を斬り飛ばす。



スイージュ スイージュは、それでも向かって来た。

飛んで、噛みつこうとして来る。


その顔を鷲掴みにして、


「“久遠の棺”」


オレが魔法を使ったんだと分かる様に、魔法名を言って閉じ込めた…………





「オレの質問に答えろ。分かったな?」


「はい…………」


“久遠の棺”から出して、手足を回復した。

スイージュ スイージュは、まだ、虚ろでは有るが一応分かっている様で、地面に正座している。


「先ずは、確認だ。

おまえが、全ての人間を殺そうとしていると云うのは本当か?」


「はい…………」


「理由は何だ?」


「人間は、残虐だから…………。

全員、殺さないと、ウチも“あんな目”に合うから…………」


「…………“あんな目”と言うのは、旧帝国の城の地下で見たと云う光景の事か?」


「はい…………」


「…………なるほどな…………。

余程のトラウマになってしまっているのか…………。


スィオー、これは、おまえ達の責任でも有りそうだな」


「はい、申し訳有りません。

事実を知って貰う為とはいえ、幼い子供に見せるべきでは有りませんでした…………」


「いや、まあ、其れが発端だろうが、其れよりも、おまえ達が行った“天使種族の女性を使った見せしめ”の方だろう。

恐らく其れを見て、全ての人間が敵に見える様になったんだ。


自分達は、“あの地獄”を終わらせる為に、やって来た筈なのに同じ事を行った事に、誰も信じられなくなったのだろう。


そうじゃないか?スイージュ スイージュ」


「はい……そうです…………」


「スイージュ スイージュ、おまえに良いモノをやろう。


コレは、“真偽の魔導具”と言って、真実と嘘とを教えてくれる道具だ。

『オレは、女だ』と、こんな風に嘘を吐くと、赤く『オレは、男だ』と、本当の事を言うと青く光る。

状況によって人の考えや行動は変わってくるが、少なくとも今言っている事が真実か嘘かは分かるだろう。


スイージュ スイージュ、おまえは嘘を吐いた事があるか?」


「ない…………。!!」


「赤く光ったな?

おまえが覚えていなくても、嘘を吐いた事が有ると言う事だ。


みんな、多かれ少なかれ嘘を吐いている。

オレだって、人間全員を信じるなんて不可能だ。


だが、オレは自分の家族と配下達は、仲間内では“絶対に嘘を吐かない”と信じている。


スイージュ スイージュ、おまえもオレの所に来い。

オレが、おまえの恐れるモノから守ってやろう」


「!!ウチを守ってくれる?

あなたが?怖いものから?」


「ああ、おまえがオレを裏切らなければな」


「!!ウチは、絶対裏切ったりしない!!」


「なら、守ってやる。

オレもおまえを絶対に裏切らない」


「!!青い…………。

ウチは、あなたのところに行く。あなたを信じる」


「分かった。

じゃあ、シエラールル、スイージュの事を頼む。

スイージュ、先ずはオレのクルス商会の説明を聞いて、このシエラールルの指示に従ってくれ」


「はい」





スイージュ スイージュの配属は、スィオー達同様に一旦は保留にして、この星、惑星ガンマの事態が収束する迄は、オレ達と行動する事にした。



オレ達が、スイージュの所に行っていた間、配下達にはスィオーの国の兵達を女王の街その1に集めさせていた。

説明が面倒なので、前線で交戦中の者達も全員気絶させて無理矢理帰還させた。


念の為に、国境には配下を数人残して、敵兵も気絶させて確保させている。


スイージュは、シエラールルの指導の下、訓練を行わせて、オレはスィオーの国から“種族変え”を行う。


国とは言っても、滅亡に向かっていた世界だ。

国民は異世界召喚をされた者も含めて、ほんの3万人程しか居なかった。

街同様に、大きめの村程度だ。


奴隷同然だった異世界転移者を含めて、全員を街の中心部に集めた。



「オレは、クルスと言う。


オレはこの世界の問題を解決しようと考えている。


先ず、そもそもの発端で有る天女種族の“妊娠の呪縛”を解く。

そして、全員に見合った種族になって貰う。


その後で、この星に残るか、オレの住む星に来るかを選んで貰う。



この星に残る場合、一旦は戦争も終わる。

だから、戦争をし続ける必要は無い。



オレの住む星に来る場合も、現在戦争になる予定は無い。

そして、この星よりも遥かに食べ物も衣服も生活も豊かだ。


しかし、この星よりも多くの種族が居て、多くの人間が居る。

もちろん、男女問わずだ。


何方を選んでも良い。

但し、その他の選択肢は無い」



ザワザワはしているが、一応、全員大人しく聞いている。

オレの後ろに、女王が居るからだろう。


「じゃあ、先ずは、オレの配下達の指示に従ってグループで分かれて貰う」



グループは5つ。

翼と天輪の有る者達。翼の有る者達。天輪の有る者達。翼も天輪も無い者達。異世界転移者達だ。



翼と天輪の有る者達と翼の有る者達は、“獣人種族にして”、ステータスプレートを配り、何方の星で暮らすか聞く。


天輪の有る者達と翼も天輪も無い者達は、“人種族にして”、ステータスプレートを配り、何方の星で暮らすか聞く。


異世界転移者達は、ステータスプレートを配って、惑星アルファの事を教えてから、何方の星で暮らすか聞く。



天輪の有った者達は天輪が消えた事で騒いでいたが、スィオーが自分も天輪を捨てた事と、其れが無くなった事で、“妊娠の呪縛”も、今後、自分の子供達にも“妊娠の呪縛”を与えなくて済むと説明して大人しくなった。



惑星アルファに行く者達は、とりあえず、オレが難民用に作った6つの街に振り分ける予定だ。

異世界転移者達だけは、雷十ノ助さん達の居る街に集めるつもりではある。



この星に残る選択をしたのは、全体の2割程度。

その者達には、女だけの世界では、ゆっくりと滅びて行くしか無い事を再度説明して、其れでも残る者達は、今後は自由に生きて良いと伝えた。





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