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第2章 ミミッサス大森林⑦

ミミッサス大森林⑦



▪️▪️▪️▪️



翌日、ルナルーレに「明日からの訓練の準備をする」と言って地下室へ。


鍵を掛けて“変身魔法”で“誰でも無い誰か”になって“リターン”でボードードの街と王都に行って鉄柱の買い占めをする。


買ったものはどんどん“空間魔法 ディファレントスペース”でオレの異空間に放り込んで行く。


家に戻って“変身魔法”を解いて地下室から裏庭に行き、魔法の実験用の穴を塞ぐ。


そこから地下に深さ100m位まで“グランドディフォメイション”で階段を作って行く。

その間、“鉄柱入りストーンキューブの壁”で床、壁、天井の補強も忘れない。


ウチは東の端の方なので、ちゃんと村の外に出ている筈だ。




“グランドディグ”で高さ50m、幅、奥行き200mの大きな四角い穴を掘る。

イメージは東京ドーム1個分だ。



全面を“鉄柱入りストーンキューブの壁”で覆い、最後に入り口近くに10m四方の建物を作って、リビングに戻ってお昼ご飯だ。



お弁当を食べているとルナルーレが帰って来た。


「お買い物はもう終りましたので、明日の準備をお手伝い致しましょうか?」と聞いて来たので、ソファーセットとコーヒー、紅茶、水が飲める様に魔導具と食器類。

日付けも分かる時計と洗い物用の給湯の魔導具をお願いする。


不思議そうにしていたので、休憩室に置くから持ち運びの物じゃ無いのを買って来て欲しいと伝える。

やっぱり不思議そうにしながら頷いた。


ルナルーレが食べ終わるのを紅茶を飲みながら待ち、一緒に出掛けて、建材屋の前でお金を渡して別れる。オレは建材屋だ。


窓付きのサッシを2つ、片開きの玄関ドアを2つ、木材を少し、小さな給水タンクとシンクを買って帰る。


作成中の訓練場に戻り、階段口と入り口横の建物に扉と窓を2箇所。

木材で剣と盾掛けと棚を作って行く。

“ストーン”と“ストーンウォール”で魔導具や食器用の棚、流し台と排水路を作って、浄化槽?を目指して“グランドディグ”で穴を開けて繋げる。


給水タンクとシンクを設置して完成だ。


建物から出て、訓練場の仕上げに入る。ここからは実験だ!!


まずは下準備で建物の横の窓が覗ける位置に“ストーンキューブ”と“ストーン”で台座を3本作り“グランドディフォメイション”で左から1つ、3つ、3つの窪みを作る。


よし実験開始!!オレは以前魔力消費0の指輪を作ったが、あれは失敗に終わった。


魔力を消費しないとスキルや魔法はそもそも発動しないという結論になった。


今回は“魔力消費を1割に下げる”効果に出来ないか?だ。


キチンと“同じ効果で魔力の消費だけが1割になるスキル”をイメージして、“スキル 創造”



----------


魔力消費1割の指輪

オリハルコンの指輪


スキル 魔力消費1割を習得する


----------


よし、検証だ。

魔力回復の指輪で魔力を全快にして、魔力10、100、1000を込めた“ストーン”を作る。

自分に“鑑定”を掛けて魔力を確認、ピッタリだ。

再度魔力を回復して、魔力消費1割の指輪を着けて、同じ感覚で“ストーン”を作り、“鑑定”、魔力消費は1割に減っている。


各“ストーン”同士の強度を確認。バッチリ同じだ!!成功した!!


続けて、“ウルトラグレートベアー”の魔石を思い出し、更に魔力が凝縮したイメージで“スキル 創造”を使う。

“ウルトラグレートベアー”の魔石は手のひらサイズの赤い球だったが、赤黒い球が出来る。“鑑定”すると“超高純度魔石”だった。同じものを計7つ作った。



次の実験は“錬金術で複数スキルを付与出来るのか?”だ。おそらく出来るだろうと思うが、初の試みだ。


先程作った台座の1番左、一つしかない窪みに魔石を置いて“ストーン”で固定する。

台座を含め、この訓練場全体を一つのモノと認識するイメージ、魔石がスイッチになるイメージをして、“錬金術”で“スキル 魔力消費1割”と“スキル スキル使用可否”を付与する。


魔石に触れると、頭に“ONorOFF”のイメージが浮かぶ。自身のスキルから“魔力消費1割”をOFFにして、“ストーン”を使って試す。“鑑定”で確認、成功だ!!


自身のスキルを戻して、再度試すが重複はしなかった。

取り敢えず訓練場はOFFにしておく。


次の作成に移る。

まず、“スキル 創造”で“魔導具のONor OFFが出来るスキル”の指輪を作成する。



----------


魔導具使用可否の指輪


スキル 魔導具使用可否を習得する


----------



指輪を付けて、魔力回復の指輪を取り出して“スキル 魔導具使用可否”を使うと頭にONorOFFが浮かぶ、 OFFを選択して魔力回復の指輪を付けて“鑑定”、魔力は減ったままだ。ONに戻して“鑑定”、魔力が全快した。成功だ。


次の実験だ。“錬金術でスキルと魔法を一つの魔導具に付与出来るのか?”だ。

コレは試してみないと分からない。


真ん中の台座に魔石を3つ置いて固定する。

付与するのは“スキル 魔導具使用可否”と“重力魔法”だ。


重力魔法は範囲を台座より手前の訓練場内、重さを2倍でイメージして魔石の1つ目に付与。

身体に重さが掛かって来る。


魔石を触ると頭にONorOFFが浮かんだのでOFF、重さが無くなる。成功だ!!

再度ON、 OFFして確認し、残りの2つの魔石を5倍、10倍の重力で作成する。


最後の右の台座に魔石を固定して、“感知”でリビングにルナルーレがいるのを確認してから一旦リビングに戻る。




ルナルーレにコーヒーをお願いして、買って来てくれた物を確認した。


ちゃんと全部揃っていたので、おつかいとコーヒーのお礼を言ってちょっと休憩。


「他にお手伝い出来る事は有りますか?」


と、ルナルーレに聞かれたので、少し考えて、時計の魔導具が目に入った。


「時計の魔導具を時間の止まった“ディファレントルーム”に入れて出したらどうなるか知ってる?」


「入れている間は止まっているので、出した瞬間に一気に進んで正しい時間になりますよ」


「それは試した事があるって事?」


「はい、先程。私も“ディファレントルーム”が使える様になりましたので」


「本当?これで狩りがグッと楽になるね、おめでとう。いつの間に覚えたの?」


「ふふ……ありがとうございます。

実は昨日使える様になったばかりなんです。

今までは全然スキルレベルが上がらなかったんですけど、レンジ様のおかげです」


「オレのおかげ?」


「はい!!レンジ様のご指導のおかげで、常に“サーチ”を使い続ける様になって、魔獣の強さもより正確に探る様になったからレベルが上がったんだと思います。


今まではどちらの方向に向かうか決めるくらいにしか使っていなかったので。


ちなみに、火属性、風属性、土属性のレベルもレンジ様にご指導頂く様になってから上がったんですよ!!

同じ魔法でも複雑な使い方をする様になったからだと思います」


「そうか、たった1週間ちょっとで凄いな!!」


「ありがとうございます。でも、それをレンジ様が仰います?」


「それもそうか。で、話しを戻すんだけど“ディファレントルーム”は時間をゆっくりにも出来るよね。その場合、中ではどう動いて、出したらどうなる?」


「それはやった事が無いので分かりませんが、試してみられますか?」


「是非、試したい!!お願いして良いかい?」


「はい、もちろんです。どれくらいの遅さにされますか?」


「じゃあ、分かりやすい様に10倍くらいで」


「はい、では……」


そう言って、ルナルーレは“ディファレントルーム”を使う。

人が通れるくらいの黒い穴が現れた。



空間属性魔法の“ディファレントルーム”、“ディファレントホーム”、“ディファレントスペース”は、大きさが違うだけで同じ魔法だ。


ルームは5m四方、ホームは50m四方、スペースは自分がイメージ出来るだけの広さの“自由な異空間”を作れる。


“自由な異空間”は、見た目も、時間の流れも、気温も自由だ。

そして、発動中は変更も自由で最後に指定した状態が次に変更するまで持続される。


その為、冒険者の多くは中に入る時は時間を通常、もしくは遅くし、外に出てから時間を止めて魔法を解く。

そうする事で中の物が一切劣化しないからだ。

そのせいで事故もあるそうだ。

時間を止めたまま、慌てて飛び込んでそのまま時間の止まった世界から戻って来られなくなる。

なので、空間属性魔法を誰かから習う時は必ず時間の流れを思い浮かべ、まず、片手を入れて確認してから中に入る習慣を身に付ける事を徹底される。


と、魔導書を買ったときにルナルーレが教えてくれていた。




ルナルーレの“ディファレントルーム”は落ち着いた薄いピンク色の空間だった。

“出来る美人秘書”な見た目のルナルーレとのギャップが相変わらず可愛い!!


と、思いつつ、持って入った時計を見る。

「10分待って出て見よう」、そう言って黙って10分待つ。


10分経って、「よし出よう」と、外に出ると、時計の針は9分戻った。


「なるほど……」


「時間が止まった場合と同じで戻るんですね」


「ああ、そうだね。そして、中ではそのまま進み続け、そして、外にでると、外で過ぎた時間に揃う形で戻る。

“ディファレントルーム”の中で進むのは“ディファレントルーム”の中に何月何日、何時何分って概念が無いから、機械的に進み続けるんだろうな…………

ルナルーレ、悪いんだけど、もう一度おつかいをお願いしても良いかな?」


「ええ、もちろんです」


「じゃあ、この時計の魔導具をもう1つと、2段ベットを2つ、あと、普通に食べるものとは別に、食事を3日分買って来て貰えるかな。


朝食は簡単に持ち運びが出来るもの、昼食はいつも作ってくれてるお弁当、夕食は下拵えがしてあったら短時間で作れるものをお願い。


時間がある様なら、その下拵えもしておいて欲しい」


そう言うと、ハテナ顔で「わかりました」と答えてくれた。




お昼と同じ様に建材屋まで一緒に行き、お金を渡して別れる。

建材屋で小さめの窓付きサッシと水洗トイレ、小さい貯水タンク、室内用の扉を購入して、家のリビングでルナルーレが買って来てくれた物を“ディファレントスペース”に入れて訓練場へ。


訓練場の出入り口の直ぐ横の壁に神棚くらいの穴を開けて、“鉄柱入りストーンキューブの壁”で補強して買って来た窓を取り付けて中に時計を置く。

水洗トイレ、小さい貯水タンク、室内用の扉で休憩室の奥を拡張してトイレを作った。


念のため、“魔力消費1割”の効果が問題ない事を確認して、右の魔石に“錬金術”で“スキル 魔導具使用可否”と“ディファレントスペース”を付与する。

“ディファレントスペース”の定義は“実在するこの訓練場を2分の1の時間速度で気温20度出入り口は訓練場の出入り口”に設定する。“この空間はオレの世界だ”と強く意識した。



気温の変化は感じたが、一旦OFFにして、時間を10分の1、100分の1の設定で残りの魔石に付与し、10分の1だけONにしてから、先程設定した時計を見に行く。


成功した!!時計の針は10秒に1秒しか進まない!!

“魔力消費1割”と“重力2倍”もONにする。


重くなったので、“ストーン”を試しに使って確認する。全て併用出来ている。


完成だ!!訓練場!!修行と来れば“神様の家にある長時間修行が出来る部屋”だ!!



とても満足したので、訓練場の設定はそのままに、次の作業に移る。


鉄とアルミを混ぜて、オリハルコンとの合金と同じ比重にする。

それを使ってランド達の剣と盾と同じ形で刃の無い物を2組作る。



続いて、“スキル 剣術”“スキル 双剣術”“スキル 盾術”のレベル1〜10の指輪を作る。

その途中で“あるコト”が起こり“3つにコト”を思い付いたが、まずは予定をこなす。


“武技のスキル”は各レベル毎に技があり、それを使う毎にスキルを習得すると共に動きも洗礼されて行った。

あっという間に達人の動きだ。


“各武技スキル”のレベル10は共通して最大威力の技と“流派の作成”だった。

“流派作成”も後で試す事にした。


最後に“スキル 教導”と“スキル 模倣”のレベル1〜10を作って一旦終了だ。


休憩室に入り、作った剣と盾、ルナルーレに買って来て貰った家具等を置いて、コーヒーを淹れて一息付く。


“武技スキルの指輪”作成中に起こった出来事。

それは“スキル 創造”がレベル2になった事だ。


“スキル 創造”の弱点。それは、“知らないモノは作れない”事と“この世界のルールと矛盾すると効果がない”事だ。


オリハルコン、数々の物語に登場する超有名物質だが、“この世界に実在するオリハルコン”を知るまでは作る事が出来なかった。


“土属性魔法のレベル6”も“創造のレベル2”も効果を知らなかったからなんの効果も無いものになった。


逆にこの世界に存在しなかったであろう。“自動レベルアップ”や“スキル習得”は新たに生み出す事が出来ているのではないかと思う。


その為、元々持っていてスキル全集に載っていない、“創造”、“環境適応”、“言語理解”は手が出せなかった。


この事は今までは予想だった。しかし、“創造レベル2”になった事で作り出せる大きさが大きくなったと共に理解が深まり、“予想”が“確信”になった。


それによって思い付く。“スキルレベルを上げるスキル”!!これなら生み出せるだろうと!!

これが1つ目の“思い付いたコト”だ。



2つ目は“知らないなら教えて貰えばいい”だ。


オレは思い出した。

“某スライムになんでも教えてくれる賢者なスキル”の事を!!

これなら、本を探して調べる必要もなく、“この世界のルールに矛盾しないか”もわかる。


3つ目は全く別のコトだが、“転生の先輩スライムさん”の事を思い出したのがきっかけだ。

明日の訓練で“教導”と“模倣”を使って教えて行くつもりだったが、3人同時、もしくは3人に次々と教えて行く為に“並列思考”か“思考加速”が出来ないか?だ。


コーヒーを飲み干して、早速試して行く。


まず、直ぐに結果が出そうな3つ目からだ。


“スキル 並列思考”と“スキル 思考加速”の指輪を作り、指にはめて念じる。


そして、剣術、双剣術、盾術の流派をどんなモノにするかを一気にバラバラに考える。


指輪を外し、ステータスでスキルを確認してから、今度は“念じずに”流派を考える。

完璧だ!!常時発動で併用可だ!!


別々の事を考えているのに同時進行出来て、考えている時は時間が止まっている様にゆっくりだ。


休憩室から出て、魔法も試してみる。“ファイア”“ウォーター”“ウィンド”“ロック”が同時に現れた。


「本当に完璧だ!!」思わず1人で叫んでガッツポーズをして、休憩室に戻る。


2つ目の“スキル 賢者”は失敗だった。何の効果も無かった……

「賢者はスキルじゃなくて、称号だよ?」と、いう世界の声が聞こえた気がした……


念のため“スキル 大賢者”も試したが結果は同じだった。


しかし!!しかしだ!!諦めて、次に行こうとして思い出した!!

もう一つのあの“超有名チートスキル”のコトを!!



----------


森羅万象の指輪


オリハルコンの指輪

スキル 森羅万象を習得出来る


----------



そう!!これなら“スキル”だろうと思った!!


指輪をはめて、“スキル 森羅万象”と念じて質問する。


「今日の夕飯は?」

『……………………』


何の反応も無い……

「じゃあ!!ルナルーレの今日の下着の色は?!」

『白』


そうか、起きてから着替えたんだなぁ〜……じゃない!!答えた!!

それもオレの知らない事だ!!


確認に行こうと立ち上がって、やっぱり座って他の質問もどんどんして行った。



----------


スキル

森羅万象

存在した全ての事象を知る事が出来る


----------



色々と質問して分かった。


森羅万象が教えてくれるのは“存在した全ての事象”だ。

なので、まだ出来ていない、今日の夕飯は答えて貰えなかった。

未来はダメだという事だ。


それと、人それぞれで認識が違う事と、思っている事や考えている事は答えて貰えなかった。


世界最強の魔獣は?とか世界一の美女は?などはダメ。

ルナルーレの初恋は?はダメで、ルナルーレの初体験は?はオッケーだった。

“初体験”は事実だからだ!!


“スキル 森羅万象”は今後、間違いなく大きな戦力になる!!




最後は“スキルレベルを上げるスキル”だ。これには、もう1つ試みを取り組む。



----------


スキルレベル操作の指輪


オリハルコンの指輪

スキル スキルレベル操作を習得する


----------



“スキルレベル操作”と念じると、頭の中にスキルの一覧が思い浮かぶ。

まずは“言語理解 LV2”を選択、頭の中にUP or DAUNN or キャンセルと浮かぶ、UPを選択。“鑑定”で確認。



----------


スキル

言語理解

LV1 汎用語での会話が可能

LV2 汎用語の読み書きが可能

LV3 汎用語の地域差を受けない


----------



よし!!落ち着いて、念のため“言語理解”のレベルを4にすると“ルーン語での会話、読み書きが可能”になった!!


これは検証が出来る!!“リターン”ですぐさま地下室へ行き、ルーン語の辞書を開く。

読めた!!紙とペンを取り、適当な文章を書く。書けた!!


古代語の辞書を開くと汎用語の部分しか読めない。

“言語理解”のレベルをもう1つ上げると今度は“古代語”だったので、再度、古代語の辞書を開くと読めた、そして、書けた。


辞書を片付け、訓練場に“リターン”。



“言語理解”、“環境適応”、“創造”をレベル10にした。

ちなみに、レベル10のスキルはDAUNNとキャンセルしか思い浮かばず、レベルの無いものはキャンセルしか思い浮かばなかった。




“スキル 創造”はもちろん、“スキル 環境適応”もぶっ飛んでいた。


“スキル 創造”はレベル8まではどんどん作れる大きさが大きくなり、レベル9で大きさの制限が無くなった。

極め付けはレベル10!!なんと“魂”が作れる様になった!!


大きさの制限完全撤廃は“世界”を!!“宇宙”を!!作れると、言う事!!


魂の作成は“生命”を作れると、言う事だ!!


はっきり言ってとんでもないのレベルじゃあない!!


実験したい衝動に凄まじく駆られたが、自重した。

ゆくゆくは分からないが、今はまだ早い。



そして、大いに驚いたのが“環境適応”だ。

なんと、水中どころか、深海にも地中にも宇宙にも“適応”してしまった。


更に、こちらの極め付けはレベル9だった。“1溝℃からマイナス273℃まで無効”だった。

マイナス273℃は言わずと知れた“絶対零度”だ!!

確かに凄いが、レベル10で宇宙に適応するのだ、当然かどうか分からないが当然だろう。


しかし、“1溝℃”……。億、兆、京……の“溝”だ!!

何かのテレビで見たが、これは確か、理論上の“ビックバン”の温度だと思う。


“森羅万象”に確認したらあっていた。


ビックバンに耐えられる肉体…………


「もう、人体とはいえない……」



なお、“言語理解”が上がったせいか、この“溝”以外にも、ステータス表示に“万”が現れた。

オレに分かりやすい様になったのか、別の言語だったのかは不明だ。

これについては、のちのち確認をしようと思う。




“言語理解”の検証を後回しにしたのは理由がある。


1つは“流派作成”を試したかったのと、もう1つは“スキルレベル操作”が上手く行った事で、“あのチートスキル”に思い当たったからだ。

早速、作って検証する。



出来てしまった……

オレの“ステータス”はオール999万9,999になった!!


そう、“スキル ステータス操作”が完成した!!

余りにも高すぎて、調整が難しいので“クルス流剣術1”と“クルス流双剣術1”の流派を作って、それに合わせて“武器”も作り、技や動きを決めながら力加減を覚えて行った。





▪️▪️▪️▪️




力加減の調整が魔法も含めて十分に細かく出来る様になったので、今後、見せて行く能力をじっくり吟味して“偽装”を行った。


時計を見ると場外時間で3時間も経っていた。


30時間。まる1日以上経ってしまっていた……


人間、時間が経ってると気付くとお腹が減るモノで、訓練場から出た。

裏庭に出て、台座が低めで中が空洞の“忠義に厚い犬の銅像”で入口に蓋をした。

“ルナルーレの裸婦像”と悩んだが独占欲から犬にしておいた。



リビングに入るとルナルーレが今夜の夕食とお願いしていた食事の仕込みを並行して行っていたので、今夜の夕食を先にお願いして、風呂に入った。


夕食を4人で食べて、ルナルーレの食事の仕込みを手伝いながら、


「明日の訓練は、訓練じゃない!!猛特訓だ!!だから、早めにしっかり休む様に!!」


と、ランドとグッサスをさっさと追い返して、ルナルーレと手早く仕込みを終わらせる。


明日から“実質3日間のおあずけ”をくらう予定だ。“今夜は十分に味わう”必要がある!!

オレとルナルーレが早く寝たかどうかはランドとグッサスにはナイショだ。





翌朝、朝食、支度を済ませて、時計とお弁当を持ち、3人を連れて裏庭に、

「「おお〜〜」」と言う声を聞きながら階段を降りて行く。


途中、暗いので光属性魔法の“ライト”で光の道を作るとルナルーレに、


「もう光属性魔法を覚えて、応用まで出来る様になられたんですね」


と、言われたが、笑顔を向けてなにも答えなかった。



訓練場に入って、唖然とする3人を無視して、休憩室へ案内し、荷物を置いて部屋の中を説明、ランドとグッサスに訓練用の武器をオレの分も持って来させて、“魔力消費1割”、“重力増加”、“時間延長”の魔導具効果を説明、休憩室の時計と壁に埋め込みの時計について説明する。


今回は、“魔力消費1割”と“時間延長10倍”のみ使用して、4日間、訓練を行う。

現実時間では丁度夜になる予定だ。


明日からの朝食、昼食、睡眠はここで、夕食と入浴は家で行うと説明する。


「こんな凄い魔導具……いえ、詮索はしない、お約束ですね」


「ああ、ありがとう。いつか必ず全て話すよ」


そう言ってルナルーレの頭を撫でる。


「昨日はずっと、ここにいらしたんですね。だからあんなに……」


顔を赤くして俯くルナルーレに、


「そうなんだ、だからあんなに“お腹が空いて”たんだよ」


「!!!……そうですね!!お腹が空いてらっしゃいましたね!!」


と、それはもう真っ赤な顔をしていた。

ランドの「また、兄貴の前で……」と言う呟きは聞こえない。

無視をした訳ではない、“聞こえなかった”だけだ。


と、オレの説明を“何も聞かずに受け入れる”空気になったところで、具体的に何をするかを説明して、訓練開始だ!!





まず、ルナルーレと訓練場の端の方に行く。


“ストーンキューブ”で30cm四方で高さ1mの柱をランダムに30本程立てる。


「ルナルーレは空間属性魔法の特訓からだ。

柱から柱へ“スペースジャンプ”で飛び続ける。


最初は正確に柱の上へ、次に柱の中心に片足で、それが出来たら飛び上がって柱の上空から柱の上空へ着地せずに飛び続ける練習をしてくれ」


そう言うと、ルナルーレは返事をして直ぐに始めた。


空間属性魔法“スペースジャンプ”は見えるところに瞬間移動する魔法だが、余り需要は高くない。


ある程度のステータスなら走ればいい、意識を集中する必要も無いし魔力も消費しない。


ただし、今後は戦闘で必要になって来る可能性が高い。

強い魔獣はより大きくなるからだ。


接近や回避で魔獣からの迎撃を受けない動きは戦闘パターンの増加と安全性の向上に繋がる。



“模倣”と“教導”の指輪を10個づつはめながら、ランドとグッサスのところに向かう。


ランドとグッサスは先ずは模擬戦だ。


ランド対オレの“模倣”、グッサス対オレの“模倣”、ランド対オレ、グッサス対オレ、ランド対グッサスの順で繰り返す。

2周目以降はランドとグッサスよりも少し強くして戦って行く。


全く同じ動きをされて凄く驚いていたが、2周目は自分よりも強い事に更に驚いていた。


途中、お弁当を食べて、直ぐに再開。“20時”になったので切り上げてリビングへ。


外に出て、まだ朝なことに3人が驚いていたが、テキパキと昨日仕込んで貰った夕食とお弁当と風呂のローテーションを回しながら作って食べた。


片付けを終わらせて明日の朝食とお弁当を持って直ぐに訓練場へ、休憩室で少しゆっくりしながらルナルーレの進捗状況を確認して、明日も同じ課題にする。


ランドとグッサスは明日は朝から晩まで色々な体勢で“技”を撃ち続ける特訓にした。



布団に入り、そっと指輪を外してステータスの“教導”と“模倣”がレベル10になっている事を確認して眠った……



2日目、ルナルーレは何度かアドバイスをするとメキメキ上達し、午後からは次の課題に移った。

次の課題は“複合魔法”を覚える事だ。


時間経過を考えて、オレが急いで地下室から魔導書を持って来た。


ランドとグッサスが外で汗だらけで訓練を行う中、オレとルナルーレは休憩室のソファーを持って来て必要以上にくっついて真面目に勉強した。




3日目、ルナルーレは午前は“スペースジャンプ”、午後は“複合魔法”の訓練をさせた。

ランドとグッサスは初日と同じ模擬戦だ。


2人の“技”の使用頻度が高かった為、ここが“魔力消費1割”だと、再度認識させて最適なタイミングでの使用を心掛ける様にさせた。



4日目は先ずステータスの確認をさせた。


3人とも経った3日間でステータスやスキルレベルが上がっていた事に大騒ぎだった。

落ち着いてから、今日は新しいスキルで出来る様になった事を各自試して、使いこなせる様になる事を課題にしてバラバラに訓練を始めさせた。


少し早めに切り上げさせて、3人にミーティングをさせてから、最後にオレと1対3で模擬戦を行った。


この模擬戦の目的は2つ。

1つはルナルーレに“オレの戦闘”を少し見てもらって、明日からのオレの狩りの心配を減らす事。

もう1つは昨日作った“クルス流剣術1”と“クルス流双剣術1”を自慢したかったからだ!!


オレとルナルーレの為の模擬戦なので、ランドとグッサスはただの被害者と言えなくも無い。


構える3人を前にオレは左右に“ディファレントルーム”を出してそこに手を入れて、2振りの“模擬刀”を出す。


この演出の為だけに、“ディファレントルーム”にはこの“模擬刀”しか入れていないのだ!!


鞘を腰のベルトに刺して、ゆっくりと刀を抜く。


「じゃあ、行くぞ?」

そう言うと、驚いていた3人が気を引き締めて構え直す。


オレが教えた、強敵と戦う時の姿勢を高く保った“避ける為”の構えだ。

2、3歩歩いて駆け出す。3人にギリギリ見える位のスピードで一気に詰め寄る。


グッサスは左、やや距離を空けて右にランド、グッサスの後ろのかなり下がった位置にルナルーレの布陣だ。


一瞬で近付くと、目を見張るグッサスの“盾の横”を左の踵で蹴り上げ、右の刀で剣の鍔を正確に斬り上げて剣を弾くと、左の刀で胴を横薙ぎに斬り付けてランドの方へ吹っ飛ばす!!


ルナルーレが放った12本の“ファイアアロー”を縦横20mの“ストーンウォール”で防いで目隠しにする。


飛んで来たグッサスを避けるランドに一歩で近付き、両手の剣を両手の刀で絡める様に弾き飛ばして、胴を蹴って吹っ飛ばす!!


“ストーンウォール”を飛び越えて、一瞬でルナルーレの後ろに周り、後ろからルナルーレの左右の床に“模擬刀”を突き刺す!!


ビクッとするルナルーレに、そのまま空いた両手で後ろから胸を揉み、

「オレの勝ちだな」


と、言うと赤くなったルナルーレが、

「はい……」


と、敗北宣言をしたのだった…………




リビングで“本来の今日の夕食”を食べ終わって、ゆっくりしながら訓練の話しになった。


「強いだろう事は分かってたけど、ここまで手も足も出ないなんてなぁ……」


「ああ、全くだ。自信を無くすレベルだった……」


「おいおい、グッサス。自信を無くされたんじゃあ、訓練した意味がないだろう?

まぁ、最後の模擬戦はルナルーレの為にやっただけなんだけどな」


「私の為?」


「ああ。明日からオレも狩りを再開するから、ルナルーレが少しでも安心出来る様にちょっとだけ、実力を見せとこうと思ってさ」


赤くなって、嬉し恥ずかしな表情をするルナルーレ。

しかしランドは、


「レンジさん……そりゃぁ、ルナルーレの為じゃなくて、レンジさんの為じゃないですか、ルナルーレに怒られない為でしょう……?」


ハッとするルナルーレ、

「まあ、そうとも言うな!!2人にはやられ役になって貰った!!」

それを聞いて、膨れるルナルーレも可愛らしい。


わいわいと訓練の話しをした後、明日からの狩りの予定を決めて解散した。



なんだかとても久しぶりな気のする2人きりの夜だった。




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