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第20章 武芸者の国①

武芸者の国①





▪️▪️▪️▪️





11月13日、やはり、この日はオレにとって、運命の日かもしれない…………





新しい家族が増えて、オレの周りでは空前のレベルアップブームが到来した。


トーメー一家に触発されて、新入りに負けるモノかと、ホネリュウ達も一気にレベルアップを試み、其れと共に、妻達がメキメキとレベルを上げ、妻達よりも弱い訳には行かないと、最高幹部がグイグイとレベルを上げ、上司達よりも努力しなければと、配下の者達もドンドンとレベルを上げて行った…………


いつの間にか、オレの配下にレベル1万以下は居なくなってしまった…………


スラム出身の一般人だった店長達どころか、商業部幹部秘書の孤児院の子供達迄、レベル1万を超えている…………


妻達などは、レベル1,000万を軽く超えて、誰がレベル1億を超えるクリシュナに最初に追い付くか競争している…………


健康的な妻達を持って、オレは幸せ者だ…………。

諸事情で、ベットを強化して作り直す程の、幸せ者だ…………。



そんなこんなで日々を過ごしていたのも、此れと言って特別な事が無かったからだ。

グラール帝国を経由した事で、新婚旅行の進路を大きく変えた。


グラール帝国の後は、ハルマール王国、そのまま、ドルレア王国、ビルスレイア女王国、ギルナーレ王国と、色々な街を観光して回ったのだ。


完全にただの観光だったので、移動、観光、移動、観光の繰り返しだった。


途中、ラットック村の家でルナルーレと2人っきりで過ごしてみたり、ラムと2人でドルレアの王城に顔を出して見たり、久しぶりに女王城のキスラエラの私室で2人で過ごしたりしながら、ゆっくりと回って行った。



もちろん、仕事もしていた。


最も遅い産業ギルド加入国のトルナ王国迄、クルス商店の出店は終わったので、一応、当面の出店予定は無くなった。


最近のオレの仕事は、もっぱら研究部での研究で、時々、工場の製造ラインを作る程度だ。



クルス商会の知名度が高く、平和な新婚旅行を進めて来た訳だが、次はそうも行かないかもしれない。


ギルナーレ王国の次は、ナナツ国に向かったからだ。



ギルナーレ王国の領土は、西中央大陸の南部と南大陸だ。

オレ達は西中央大陸を南下して、南大陸側も観光してから東に進路をとった。


ナナツ国は、東中央大陸の南海上に有る、名前の通り7つの島で出来た国だ。

ナナツ国も一応は王国で、国王も居るが4年に1度変わる。

大統領みたいな感じだ。


4年に1度、武闘大会が行われて、7つの島で代表者を出し、優勝した者が国王に、その島の役人達が大臣になって、4年間政治を行う。と、いうルールらしい。


もちろん、優勝者が連覇し続ければ、ずっと、ソイツが国王だ。


完全なる脳筋国家と言えるだろう。

強い者が正義の魔族の国以上に、強さが全ての国だった。


そして、国民全員が強く『他国の英雄など、ナナツ国では雑兵だ』と、言われる程らしい。


なので、ナナツ国の民は全員が他国の者を見下していると、言われている。

因みに、この国は世界に残り2ヶ国しかない産業ギルド非加入国だ。


この国に関しては、産業ギルド発足の時に加入を促すか議論して、誘わない事になったからだ。

その後、此方からは声を掛けていないし、向こうからも、の反応も無い。


誘わなかった理由は、3人の魔王達が「アイツらムカつく」と、言ったからだ。


そんな訳で、次の目的地は、今迄、殆ど交流の無い国なのだ。



オレ達は、先ず、ナナツ国の最も東に有る島“ヒガ島”に来ていた。

此処に来たのは、ギルナーレ王国から最も近かった事と、この島には未攻略ダンジョンが有ったからだ。

とりあえず、街に着いてから直ぐに冒険者ギルドに移動届けを出しに行く。


一応、オレも含めて、全員のステータスは偽装して、レベル1,000万にして置いた。


これでも、十分驚かれるだろうが、レベルが低いと未攻略ダンジョンをクリアした時に信じて貰えない可能性が有るからだ。


やっぱり、驚かれて、ちょっと騒ぎになったが、こういう時はクリシュナの出番だ。

クリシュナが、「聖樹に誓い、全員の強さを証言します」と、言うと煩わしい確認などは入らなかった。


もちろん、偽装しているので詭弁だ。

“強さを証言”したのであって、ステータスの真偽を証言した訳では無い。


クリシュナは若干不機嫌になったが、その後の街の散策で甘いものを食べてご機嫌取りをちゃんとした。


その日は、街を散策して帰って、翌日から未攻略ダンジョンにアタックするつもりだったのだが…………



朝起きて、今日が、11月13日だと思い出す。

『もしかしたら、今日のダンジョンアタックは何かあるかもな……』と、そんな事を考えながら、朝食を取って、みんなでダンジョンに向かった…………



イベントは、ダンジョンでは無かった。

ダンジョンの入り口に、兵士達がワラワラと居て、こっちにやって来たのだ。


「おまえ達は、Sランク冒険者パーティーのクルス商会だな?

国王陛下がお呼びだ。我々に着いて来る様に」


「断る。オレはどの国の王の呼び出しも全て断ると決めてるからな。

用があるなら、そっちが出向いて来いと国王に伝えろ」


「ならば、ステータス偽装の罪で連行する迄だ」


「ステータスの偽装?

どう言う意味だ?」


「レベル1,000万など有り得ない。

そして、全員が全く同じステータスなど有り得ないだろう」


「其れは、おまえの疑惑であって、罪に問える証拠にはならないだろう。


用は、オレ達のステータスが本当に高ければ良いんだよな?


良し、なら、其処の大盾を持ったヤツ、ちょっと手前に出て来い。

其れで、後ろのヤツらはソイツを後ろから支えてやれ」


「貴様、何を勝手に話しを進めている。

オイ、おまえ達も何で従っているんだ」


「まあ、いいから見てろ。

良し、良いな?全力で受け止めるんだぞ?」


兵士達は、結構ノリノリで大盾の男を支えている。

オレの実力を見てみたいのだろう。


さすが、脳筋の国。


オレは、大盾の前に歩いて行くと大盾にデコピンをした。

全員が吹き飛んだ。

吹き飛ぶ程度で殺さない様に手加減を行ったが、大盾は粉々だ。


「貴様、一体どんなスキルを持って…………」


「ただのステータスの差だ。

なんなら、おまえのオデコで確認してみるか?


レベル1,000万のデコピンを…………


有り得ないんだろ?レベル1,000万なんて。

別にオレでなくても、妻達でも、執事でも、メイドでも、好きなヤツで良いぞ?」


「ぬぐぐ……。そ、それは…………」


「反論が思い付かないなら、国王を連れて来い。

オレは、オレの都合でしか出向かない」


そう言って、オレがダンジョンに向かおうとすると、


「ま、待って下さい、クルス様。

今から、国王陛下にお越し頂けるか確認して参りますので、どうか、少しお待ち頂けないでしょうか!!」


さっき、吹き飛んで行った、大盾の男が駆け寄って来た。


「何でそんなに必死なんだ?」


「この、大自然ダンジョンに挑まれたら、後から追いかけても見つける事が出来ませんので」


「ああ、途轍も無く広いんだろ?

でも、其れなら、オレが出て来る迄、待てば良いんじゃないか?」


「其れでは間に合いません!!


今、このタイミングでクルス様達が来られたのは、正に天の采配です。

どうか、お願い致します!!」


天の采配……。その言葉に、思わず、“アノ指輪”を見る…………。

久しぶりにコイツの仕事の可能性が有るのか…………。


「分かった。30分だけ待ってやる。

国王が来るなら、話しだけなら聞いてやる」


「有難う御座います。

直ぐに戻って参ります!!」


そう言って、大盾の男は最初に話していた偉そうなヤツを完全に無視して、“リターン”で、戻って行った…………


残った連中も、半分が呆然としていて、もう半分が祈っている様だ。

この兵士達も一枚岩では無いのだろう。





待つ事、20分程、オレ達は、いつも通りティーセットを準備してゆっくり待っていた。


先程の大盾の男と共に、20人程の騎士っぽい連中と、1人の女性がやって来た。


その女性が、現国王の様で、後ろに騎士達が着いて来ている。

なんだか、見た事の有る様な女性だ…………


「クルス様、お待たせ致しました。

此方が、現国王 エリカ ミナミイ陛下で御座います」


「…………エリカ ミナミイ……。南井 絵梨花?」


「…………もしかして、レンジくん?」


「エリカなのか?」


「やっぱり、レンジくんなのね?!」





南井 絵梨花


オレの実家の隣に住んで居た、同い年の幼馴染だ。


家が隣で、近所に歳の近い子供がおらず、良く2人で遊んで保育園、小学校と一緒通った仲だ。


思春期の少年少女らしく、中学に上がってからは若干疎遠になったが、それでも、オレの“家族との不和”を知っていた事から、時々、気に掛けてくれていた。


幼いオレの初恋の相手でも有る。


控えめだったオレと違って、常にみんなの中心に居た彼女は、いつの間にかオレにとっては高嶺の花になってしまっていたが…………



オレは中学卒業と同時に、生まれた街を出て、アルバイトを掛け持ちして、ネットカフェで暮らし、金を貯めて免許を取る迄、色々な街を転々としながら過ごし、実家にも一切連絡をしなかったので、エリカにもずっと会っていなかった。


同姓同名と言う事は、異世界転移者だ。


つまり、向こうで、エリカは行方不明になっていたという事だ…………

全く知らなかった…………


「久しぶりだな……


まさか、こんな形でエリカに…………。

いや、知り合いに会うなんて、思いもしなかった…………」


「私も。まさか、知ってる人が生きてるとも思わなかったし…………」


「…………そうか、こっちに来て長いんだな。


でも、オレの予想では、こっちの2,000年が向こうで1年くらいっぽいんだ。


だから、エリカの知り合いも向こうでなら、きっと生きてるよ」


「!!そうなの?!

なら、お父さんもお母さんもお姉ちゃんも元気にしてる?」


「ゴメン、それは分からない。

オレは、中学卒業してから、一回も実家に帰ってないんだ」


「あ!!そっか、ゴメンね」


「いや、でも、元気にしてる可能性は十分に有るよ。

ところで、積もる話しも有るけど、何か用があったから国王として来たんじゃ無いのか?」


「そうだった。

ゴメンね、懐かしくって…………


国王として来たのは、来週から始まる武闘大会に私の所属するヒガシナカ島代表として出場して欲しいの」


「エリカの頼みだし無碍にはしたく無いけど、それに優勝したら、この国の王にならないといけないだろ?

オレは王様にはなりたくないんだ。


それに、政権維持の為に、助っ人を頼んだんじゃ、この国の武闘大会の趣旨にそぐわないんじゃないのか?」


「…………本来だったら私も負けたら潔く玉座を譲るんだけど、今回の大会では、どうしても、キタ島に優勝させる訳には行かないの…………


でも、キタ島の代表には私じゃ勝てないし、他の島の代表でもきっと無理だから…………」


「…………キタ島に優勝させられない理由と、代表者に勝てない理由は?」


「キタ島は、オオサカ国から来たヤツが牛耳ってしまってて、もう、オオサカ国の植民地になっちゃってる。

もしも、キタ島に政権が奪われたら、この国は全世界に向けて戦争を仕掛ける事になっちゃうわ。


そして、代表者に勝てないのは、キタ島の代表は“原初のモノ”の1人、赤き梟 ラクタパクシャ ガルラ様だから…………」


「は?島の代表じゃないのか?

何で、“原初のモノ”が出て来るんだ?」


「私も島の住民が代表になるモノだと思ってたんだけど、キタ島の人が言うには、代表者の条件に種族や住居について制限する様な内容は無いって…………

確かに無かったし…………」


「なるほど……

オオサカ国の連中の入れ知恵か…………。


なら、いっその事、国王の権限でキタ島をナナツ国から除外すれば良いんじゃないか?

そうすれば、武闘大会に出場する権利も無いし」


「でも、そんな事したら、ナナツ国がムッツ国になっちゃうし」


「ならないだろ。九州だって、9県無いし。

それよりも、島を1つ追放する事が出来るのかどうかだと思うぞ?」


「其れは可能だと思うけど…………」


「しかし、陛下。

そんな事をしてしまっては、『ナナツ国をムッツ国にしろ』と、民衆の暴動が起きてしまうかも知れません」


ずっと黙って聞いていた、大盾の男が待ったを掛けて来た。


「理由は、アレだが、暴動が起きても力尽くで鎮圧すれば良いんじゃ無いのか?

この国は、強さが全てなんだろ?」


「確かにそうなのですが、暴動を鎮圧しようにも国の兵の数は多くありません。

市民の方が圧倒的に多いのです」


「ああ……。市民も全員が武闘派な訳か…………。

数で押し切られるんじゃなくて、数も多くて質も高いって事か…………。

力任せって訳には行かないんだなぁ〜〜…………」


「あなた、難しく考える必要はありませんわ。


この国の国民を全員集めて、あなたが全員、叩き伏せて仕舞えば良いのですわ。

その上で、キタ島を排除するか、エリカ陛下の続投を命令するか、好きな様になさったら問題ありませんわ」


「うぅ〜…ん…………」


「レンジ様、私達の事で有れば問題ありません。


エリカ陛下は、レンジ様にとって大切な方なんでしょう?

それでしたら、寧ろ、私達も協力させて下さい」


「分かった。ありがとう、ラム、ルナルーレ、それにみんなも。

ちょっと、幼馴染を助けるのに付き合ってくれ」


オレの言葉にみんなが笑顔で答えてくれた。


「レンジくん、それに皆さんもありがとう。

でも、ナナツ国の人口は他の国に比べたら凄く少ないけど、それでも、1,000万人はいるわ。

それに、レベル10万を超える人も何百人もいるし、中にはレベル100万を超えてる人もいるの。


グラックから、レンジくんはレベル1,000万だって聞いてるけど、ずっと戦い続けるのは難しいんじゃ…………」


「ああ、そこは余裕だから良いんだ。


それよりも、そんなに大勢を何処に集めようか、そっちの方が問題だな…………。

それに、武闘大会まで時間も無いし…………」


「お父様、それでしたら、篩に掛けられては如何ですか?


お父様は、普段、特定の相手にしか殺気を放たれない様にされていますけど、ある程度の範囲に殺気を放って、向かって来る事が出来た者だけを相手にされては如何ですか?」


「なるほどな、それは良いかもしれないな。

エリカ、この国で、1番広い何も無い場所ってどれくらいの広さが有る?」


「それなら、ヒガシナカ島の街の北に有る草原が1番何も無くて広いと思うけど……

多分、2、300㎢はあると思うよ」


「十分だな。

それに、ヒガシナカ島ならエリカの本拠地だから、多少は勝手な事をしても問題無いよな?」


「ええ、多少の事ならどうにでもするわ」


「良し、なら早速準備を始めよう!!」



こうして、今年の11月13日は幼馴染との再会イベントとなった…………




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