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第17章 評議会③

評議会③





▪️▪️▪️▪️





龍人の里の後、竜人の里でも歓待を受けて、その後3日間観光、そしてまた移動。


3月17日


今日からルールナ都市国家連合の1つ、ナシムンの街を観光して、その後、この街の北にある無限ダンジョンにダンジョンアタックの予定だったが、急遽1日仕事になってしまった…………



『来る4月4日、商業ギルド評議会への参加を要請する。

グラール帝国、帝都グラールの商業ギルド本部に10時迄に来られたし』


と、いうモノが届いたのだ…………



Sランク商会になったのは、単なる税金対策だ。


クルス商会は基本的にギルドでの人員の斡旋を受けたり貸付をしたりはしていないので、税金を払って報告をしていただけだ。


Sランク商会には評議会への参加義務があるのは知っていたが、全く興味が無かったので気にしていなかった。


実は評議会は毎年あったらしい。



クルス商会がSランクになったのは去年の5月だったので、4月の評議会には呼ばれなかっただけだそうだ。


と、いう訳で、興味が無かった為に全く知らなかった評議会についてお勉強をする事になった。

今日の仕事はこれだ!!


事前準備などが必要な場合に備えて、先ずは知っておく必要がある。




先ずは、評議会は何をするのか?


基本は、立法機関だそうだ。

商業ギルドのルールの改善、変更を行なっている。


やり方は非常に単純。

本部ギルドマスターと各Sランク商会の代表が1人1つづつ新規のルールを提案して、多数決で決める。


もしも、提案が通らない場合は、再度、提案内容のプレゼンを行なって、もう一度、多数決。

ここで、否決ならその案は無し。と、いうモノだ。


確実に自分達だけが有利になる法律を作りまくっている事だろう。

裏工作や根廻しも幾らでも有りそうだ。



次に現在の評議会のメンバーは?


本部ギルドマスターの、ヴドゥバ ローニンソン。


150年もギルドマスターを務め続けている。

グラール帝国の皇帝の犬と言われる程、帝国有利のギルド運営をし続けている。



ローニンソン商会会長の、ゴバジェ ローニンソン。本部ギルドマスターの兄。


ローニンソン商会は1万年以上続く魔導具と武器の老舗で、グラール帝国の建国時から帝国の繁栄の為に商売を行なっている。


商業ギルドの立ち上げも行なっていて、初期からSランクの商会で、現在では魔導具と武器だけで無く食料品や日用品、魔法に奴隷、飲食店から宿屋迄、手広く商売を行なっている。



シレイブン商会会長の、ニーシ シレイブン。


シレイブン商会も1万年以上続く商会で商業ギルドを立ち上げ初期からSランクだった商会。ローニンソン商会と同じく、グラール帝国建国時から帝国の繁栄の為に商売を行なっている。


元々は帝国の戦争奴隷を扱っていたが、現在では奴隷だけで無く食料品と生活用品も扱っている。



ファレマーテ商会会長の、タッキン ファレマーテ。


ここも、1万年以上、立ち上げ参加のSランクスタート。帝国万歳だった…………

商品は、魔導具と武器だが、販売よりも貿易で稼いでいる。

グラール帝国の運送馬車は殆どがファレマーテ商会の経営だ。



カマルタ商会会長の、シヤカマ カマルタ。


ここも!!ここも!!1万年以上、立ち上げ参加、Sランクスタート、帝国最高!!だ!!もう、聞き飽きた!!

商品は、アレだ、食料品だ。正直もう、何でもいい…………



「…………なあ、ローラス……。

もう、商業ギルドに税金払うのやめないか…………」


オレは、この商業ギルドの運営にゲンナリを通り越して、ゲンゲンナリナリだ…………


「会長、お気持ちは分かりますが、商業ギルドへの加入と税金の納税は商会を経営する上での義務なので…………」


「でも、もう、既に5票だぞ!!帝国有利な法律以外通らないじゃないか!!

多数決の意味無いだろ!!


どうせ、アレだろ?今迄の8つ目のSランク商会になった商会は重税が掛かったり、商売の制限が掛けられたりして、倒産か吸収合併されてるんだろ?」


「はい、仰る通りです。

過去3つの8番目のSランク商会は全て倒産しております」


「はぁ〜〜…………。もっと早く知っとくべきだった…………。

ここまで、酷いとは…………。

ローラス、一旦中断だ。


セバス、キルス王国の状況は?」


「はい、現在の勢力は3つ迄絞られております。


旧王家の縁戚に当たる、ドキルス公爵家。

オオサカ国の後ろ盾を持つ、サワルタル公爵家。

そして、ロンドベレクロ侯爵家です。


最も優勢なのはサワルタル公爵家。

このまま進めばサワルタル公爵家が勝利し、オオサカ国の属国同然となるモノと思われます」


「うぅ〜〜ん…………。

内乱には加担したく無いけど、候補で残ったのは、もうロンドベレクロ侯爵だけなんだなぁ〜…………。


特に残りの2人は完全にダメだもんなぁ〜…………」



ドキルス公爵は、前国王と同じく、傲慢が服を着て歩いている様な人物だ。

コイツでは、結局、元のキルス王国に戻るだけだ。


サワルタル公爵は、セバスが言った様に完全にオオサカ国の子飼いだ。

ほぼ、オオサカ国の植民地になると言って良い。



「お館様。僭越ながら、評議会開催迄にキルス王国の内乱を終結させて、商業ギルド脱退の足掛かりにとお考えでしょうか?」


「お?!さすがセバス、その通りだ」


「それでしたら、諜報守護部をビルスレイア女王国からの援軍として派遣されては如何でしょうか?

ビルスレイア女王国は、オオサカ国と余り良好な関係ではありませんから世界情勢としてはあり得る出来事です」


「うぅ〜〜ん…………。

アイデアとしては良いが、オレはそもそもが配下を戦争に行かせるのがイヤなんだよなぁ〜…………。


それなら、オレが…………。

いや、オレで無くても良いのか!!


なあ、セバス。

ドキルス公爵家の兵もサワルタル公爵家の兵も、ウチに来たばっかりの頃のアスモデウス家のヤツらと大差無いよな?」


「はい、寧ろそれ以下であろうと思われます」


「だったら、戦わなくても殺気を放っとくだけで勝てるよな?」


「ええ。

しかし、降伏すれば良いですが、最後まで抵抗する様で有れば戦闘は避けられないと思われますが…………」



「そこはウチの得意分野だろう。


『2,000年前、10万の兵の守る街を一夜にして焼き払った、キスラエラ ビルスレイアの腹心が援軍に来た』とかの、噂を流してから戦場で殺気を放ったら諦めて降伏するんじゃないか?


獣人種族の戦闘と違って逃げたら街ごと焼き払われると思って」


「効果は有るかと思いますが、確実性に欠けるのではないかと…………」


「うぅ〜〜ん……。確かになぁ〜…………」


どうしたモノかと悩んで居ると、セバスのタブレット、もとい“通信情報統括魔導具”に情報が届いた様だ。

セバスが、ニヤッと笑って、言った。


「お館様、朗報です…………」





▪️▪️▪️▪️





「ドキルス公爵軍並びにサワルタル公爵軍に告げる。

オレはクルス商会会長のクルスだ。


先日、戦線に投入された人体改造を受けた兵は、旧王家の悍ましい人体実験の結果生まれたモノである事が分かった。


両公爵家が共に旧王家の実験を引き継いでいる事も調査の結果分かった。

よって、両公爵家は此れよりクルス商会が壊滅させる。


自身の仕える主に正義が無いと思う者は、直ちに武器を捨て、地に手を付けて降伏の意を示せ。


向かって来る者は、敵と見做し殲滅する」



本来のサイズになったシロリュウの背に立ち、戦場どころか半径100kmのエリアに向かってそう告げた。

シロリュウだけで無く、オレの周囲にはミケネコを除く、ペット達が本来のサイズで勢揃いだ。


そして、シロリュウの下には3,000人の配下達が居る。





セバスが伝えた朗報。

それは、さっきの両公爵家が人体改造兵を投入した事だった。


先ず、ドキルス公爵軍が不利な状況を打開すべく、人体改造兵を戦線に投入。

それに対抗して、サワルタル公爵軍も即、人体改造兵を投入した。


そして、調査の結果、その人体改造兵は旧王家の実験の試作や失敗作で、各公爵が秘密裏に受け取っていたモノだと分かった。



実験の引き継ぎ云々は、まあ、詭弁だ。


人体実験を受けた者が生きている。イコール、食事を与えている。イコール、引き続き実験を行なっている。と、言うこじ付けだ。


しかし、オレに両公爵を殺す理由が出来たのは有り難い。

しっかりと、活用させて貰う事にした。




3,000人の配下達が地上に降りて、殺気を放ちながら捨てられた武器を回収して行く。


もちろん、全員降伏している。


ウチのペット達に見下ろされて、それでも、戦おうと思う程の忠義に厚い者は居なかった。

まあ、挑んだところで結果は見えているが…………



そのまま、ドキルス公爵領へ。

ドキルス公爵以下数人の事情を知る者達には全員死んで貰った。


サワルタル公爵家も同じだ。


それと共に武器は根こそぎ奪って行った。



理由は2つ。

1つは、各公爵の後を継ぐ者が現れてもロンドベレクロ侯爵に勝って貰う為。


もう1つは、ロンドベレクロ侯爵が王位に就いた後、クルス商会の武器をたっぷり買って貰う為だ。


ロンドベレクロ侯爵とは優遇政策について口約束すらしていない。

しかし、王位に就いた後、自身の統治下の分かり易い繁栄を国民に見せる為にクルス商会優遇政策は執り行うだろうと踏んでいる。



こうして、キルス王国の内乱は、一気に終息に向かって行ったのだった…………





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