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第17章 評議会①

評議会①





▪️▪️▪️▪️




「…………と、言う訳で、一応は“天使種族”と“悪魔種族”にはお暇頂いた」


クルス商会本部の応接室で、3人の魔王達に“天使種族”と“悪魔種族”の顛末を説明した。

今回は今後の為に直接来て貰ったのだ。


「…………おまえ、ホントにとんでもねぇな…………」


「ええ、まさか、別の星を幾つも用意してあるとは…………」


「まあ、でも、今回使ったのは実験に使ったとこだから、別にやっても痛くも痒くもない。

時間を掛けて作った、即生活出来るところは勿体無いから残してるしな」


「…………おまえ、そんなモンまで作ってんのになんで王になるのを拒んでんだ?

聞いたぞ、ビルスレイアでもギルナーレでも王位を譲るって言われたんだろ?」


「オレは、知らないヤツの面倒を見るのが面倒くさいんだ!!」


「世界単位の保険を準備してやがるヤツのセリフとは思えねぇな…………

まあいい、オレらを呼んだって事は結果報告だけじゃねぇんだろ?」


「ああ、冷凍睡眠装置の並び方から恐らく1万個位が海中に流れ出ていると思われる。

キルス王国のベリアルの事は聞いてるよな?

アイツは3年前に冷凍睡眠装置ごと発見された事が分かった。


今後も発見される可能性が有るから、見つかったらそいつらも同じ星に放り出しに行くから回収をして貰いたい。



それと、東大陸を今後どうするか意見を聞こうと思ってな。


近い内に東大陸の魔力吸収は止まる。


彼処は大地じゃ無いから空気中の魔力しか無い魔力の薄いところではあるが今後は生活が一応可能になる。

何処かの国で奪い合いが起きるんじゃないかと思ってさ」


「…………なるだろうな、奪い合いに…………」


「クルス様が支配されては如何ですか?

幸いに、人は住んでおりませんし」


「オレが魔力吸収を止めたからオレのモノにするって言って、誰が信じるんだよ」


「我が国に疑う者はいないと思いますが?」


「…………そんな訳ないだろう…………」


「…………なあ、クルス、おまえは東大陸をどうしたいんだ?」


「そうだな……折角なら当分はこのまま放置したい。


魔力が無かったせいで変わった生き物が多いから、今後、魔力の影響でどうなって行くか興味がある」


「だったらよ、クリシュナ様に東大陸は立ち入り禁止だって正式に発表して貰えば良いんじゃねぇか?


まあ、コソコソ入って来るヤツらはいるだろうが、クリシュナ様の発表に正面から逆らうとしたら、今はもう、グラールだけだと思うぜ?

ハルマールは、おまえにビビって何にもしてこねぇだろうからな」


「…………クリシュナってそんなに影響力あんの?」


「当然だろうが、聖樹の守人を敬わねぇヤツは居ねぇ」


「でも、クリシュナ、威厳とか全然無いし…………」


「…………あのなぁ。

普通は“原初のモノ”の方々は神に等しい存在なんだ。

その中でもクリシュナ様は聖樹の声を聞ける特別な方なんだよ。


クリシュナ様を女としてしか見てなかったり、“原初のモノ”の方々をペット扱いしてんのは、世界中でおまえ1人だけなんだよ!!」


「そうかなぁ〜……まあ、しかし、良いアドバイスをありがとう、お義理兄さん。

クリシュナに頼んでみよう。


因みにドルレア王国とギルナーレ王国的には東大陸は要らないのか?」


「その、宇宙船とやらをそのまま資源にするなら欲しいとこだが、おまえの話しからすると宇宙船を壊したら、また、魔力のねぇ大陸になっちまうんだろ?だったら必要ねぇ」


「ギルナーレ王国としても同意見です」


「分かった。

だったら遠慮なく、立ち入り禁止にしよう」




その翌日、クリシュナから全世界に向けての正式な書状を出して貰った。


『東大陸で空間魔力の復旧を確認した。


しかし、聖樹への負担の軽減の為、当面の間、東大陸への上陸及び周囲での魔力の使用を禁止する。


特例として東大陸の調査を依頼したクルス商会の調査員のみ上陸と魔力の使用を許可する。


この内容を各国は国民に発表する事。

これは、聖樹との協議の上での結論で有る』


と、言うモノだ。


これは、まあ、脅しだ。

クリシュナの独断では無く聖樹との協議の上での内容ならば、逆らえば“原初のモノ”達が粛正に来る可能性が有る。


基本的には従うだろうがクルス商会の事を知らない国の者は、一攫千金を狙ってクルス商会の調査員になりすまして入って来る者もいるかもしれないが、その場合は侵入した者も其れに関わった者も粛正して、クリシュナから賠償請求をさせる予定だ。





▪️▪️▪️▪️





“天使種族問題”が解決し、空っぽになる迄しっかりと貰える物は貰ってから再度穴を開けて吸い取っていた海水を注入した。


修理装置も魔力吸収装置も全て回収済みなので、今後、魔力吸収が起こる可能性はないのだが、お義理兄さんには、あの時何も言わなかったのだ。


全ての作業が終わってから、5日間は妻達と東大陸でキャンプやピクニックをして楽しんだ。

あくまで、この旅行は新婚旅行なのだ。



最も好評だったのはクルス商会の“自動車”を使ったオフロードレースだ。


魔力の少ないこの大陸では荒野がそこかしこにあったので、妻達には1人1台買って上げて各自の趣味に合わせてデコって上げた。


ラムだけは見た目だけで無くクッション性や耐衝撃への効果を徹底した使用にした。


本当はラムは合同訓練の様に見学をさせたかったのだが、最近は大分お腹も大きくなって来たのでメイド達から何もさせて貰えず退屈していたので、ちょっと、息抜きのつもりで参加させたのだが…………


ラムはハンドルを握ると性格が変わるパターンの人だったのだ…………



妻達だけで無く“自動車”を持っていた執事やメイド達も参加して結構大掛かりなレースになったが、余りに好評だったので今度は正式にレースを開催しようという事になった。




東大陸を出発したシルバーウィングは現在、ルールナ都市国家連合に向けて移動中だ。


キルス王国ではちょっと目立ってしまったので、人目の少ない所を迂回して向かう為、若干時間が掛かり2〜3週間での移動予定だ。


その間にやりたい事を進めて行く。

先ずは、組織編成の拡大だ。


今回の編成で最高幹部を増やす事にして、部署名での編成に変更した。


執事を4人と副メイド長を3人追加。

そして、キスラエラを第2メイド長から解任して、アンジェを第2メイド長に昇進させた。


執事達と第1メイド部隊、第2メイド部隊は統括部として他の部署よりも上位の部署とした。


旧第1部隊は、諜報守護部として隊長は総隊長にビルスレイア女王国の宰相を参謀長に任命して、最高幹部とした。


旧第1部隊の副隊長とビルスレイア女王国のキスラエラの影武者や大臣達の内、15人を隊長、45人を副隊長として、隊長迄が幹部、副隊長迄が準幹部だ。


この部隊は第1隊から第9隊迄が今迄通りの諜報部隊で、第10隊から第15隊迄がビルスレイア女王国の守護だ。

あくまで、これは基本任務で状況に合わせて連携を取って行く事になる。



旧第2部隊は、商業部として、社長に加えて専務を2人役員から昇進させて最高幹部とし、現地採用者を含む15人を本部役員にして幹部とした。


そこに加えて、全学園長と全孤児院長を幹部として追加。


全学園長と全孤児院長は、一応は、社長と専務の下の立場だが基本経営は全権を任せる事になる。


この2人と準幹部にした2人の全副学園長と2人の全副孤児院長の人選は非常に悩んだ。

信頼が置けて、経営力と戦闘力を併せ持っていて、子供好き。

そんな人物が必要だった。



黒火一族は一族全体で子供を育てる考えの為、子供達に平等に愛情を注いでくれるのでは?と、思ったのだが孤児には親を失った子もいる。


そんな子供の喪失感を共有して上げる事が黒火一族では出来なかった…………


生まれながらの忍者な黒火一族は、常に死と隣り合わせが日常過ぎて残念ながら一般家庭の感覚を持っていなかったのだ。


結果、ビルスレイア組から選ぶ流れで考えているとキスラエラとシエラールルからアドバイスが来た。


第2メイド部隊所属の6人を推薦して来たのだ。


この6人は、昨年の1周年記念祭の屋台優勝メンバーだ。



オレもこの6人は考えた。

しかし、この6人の子供達は全員オレの学園にまだ通っている事と経営に関しては素人だろうと思ったのだ。


しかし、2人の意見はオレよりもずっと先を見ていた。


誰を選ぼうともオレの配下の子供が学園に通わない訳がない。

それなら、今か今後かの違いしかない事。


そして、孤児院や学園の経営経験は全員無いのだから、これから身につけて行けば良いと言うモノだった。


確かにその通りだ。

更に2人曰く、この6人は優勝祝いの晩餐会以来、他の者よりも頭1つ忠誠心が高い事が1番のポイントだと言う。


オレが、学園や孤児院に求める、子供の幸せな未来を実現する為に、損得勘定の無い経営をしてくれるだろうと…………


結果、2人の意見を採用して、この6人に学園と孤児院を任せる事にした。

今後は、教員の採用等も彼女達に任せる事にした。



旧第2部隊に関しては、25ヶ所の大都市の店長達も準幹部として加えた。


このメンバーは、ほぼ現地採用者だ。

特に多いのはサーラールのスラム出身者で彼らの忠誠心はセバスからもお墨付きが出る程だ。


商業部は最高幹部と幹部、この準幹部迄、それと各幹部2人づつの秘書がオレの直轄となった。



旧第3部隊は、製造部として工場長を統括工場長に任命して、第1クルス島村のダンジョン内の工場を第1工場長、サーラールの街の工場の製造ラインの管理を第2工場長、商品の開発と管理を第3工場長に任せる様にして、この4人を最高幹部とした。


第1工場長と第2工場長の下に各副工場長が10人、第3は30人の副工場長が幹部とした。


オレの直轄はここまでで、各部門の主任は今まで通り準幹部だが、直轄と言う訳ではない。

現地採用の主任は、あくまでクルス商会の従業員だ。



そして、新たに研究部を立ち上げた。


これは、今迄はビルスレイア組の有志達が行っていた事だが、第1クルス島に移った研究施設と共にサーラールの自由研究工房の管理運営もそちらで行う事にした。


今後は製造部の一部では無く、完全に独立させた。


もちろん、今迄通り製造部所属の者も研究や開発は自由に行えるが、オレが研究テーマを次々と持ち込む為、旧第3部隊に所属だけしていて研究のみを行い続ける者が多数いた為に分ける事にしたのだ。


ここは、ビルスレイア女王国の魔法大臣を研究部長に、魔法省次官を研究施設長に、ドワーフの国、リリルー王国で出会った、呪文の分節の文字化を教えてくれたドムドンを自由研究工房長に任命して最高幹部とした。


研究部に関しては、まだ幹部は無しだ。


研究結果は結局はオレが直接確認するし、予算管理は無いも同然なので、お金の事は商業部に相談させる様にした。



以上の内容で大幅な人事を行った。

事前に現地採用組みは身辺調査は行わせていたので、人数の割には早い決定だった。




3月1日


ビルスレイア組で、まだオレの直轄になっていなかった者、今回、現地採用者の中からオレの直轄になった者達も含めて全員を集め、新たに第1クルス島に作った収容人数5万人規模の特大ホールで昇進パーティーを行った。


オレの直轄になる者達には事前に説明がなされていて、今日は正式に昇進と、オレの直轄になる事を伝えて行く為のモノだ。


まあしかし、今日までにオレやクルス商会の真実を知って行くにつれ驚きの連続だった様で、気絶した者も居たとか、居なかったとか…………




先ずはオレから、最高幹部達を全員発表して、1人1人に役割と今後の期待を伝えて行く。


その後は各部署の最高位者が部署毎に昇進した者の名前を呼んで行って、オレが1人1人に役割と今後の期待を伝えて行った。


その後は5,500人を超えた配下達との大宴会だ。


我らが、筆頭執事率いる裸踊り軍団の勇姿をシャンシェの腕の中で息子グレンも目に焼き付けていた……かもしれない…………





▪️▪️▪️▪️




ところで、組織編成を行う間、オレは人事にのみ従事していた訳では無い。


人選を決めるのはオレだが、本人の意思の確認や、業務内容、合同訓練、オレの直轄のみに伝えている真実等々、各種説明は配下達がやってくれている為、結構時間に余裕があった。


なので、各種研究成果の確認と共に一緒に研究も行った。


その中で、大きな進展を見せたのが錬金術の呪文化だ。

スキルレベル1から3の、土、石、金属の形成、固定と、レベル4の鉱物の分離、錬成を呪文化に成功した!!


レベル5からは、魔法やスキルの付与になって来る為、全く別の呪文になって来るだろうが、大きな進歩だ!!



そして、もう1つ、魔導具との親和性を下げる方法も確立出来たと言って良い。


これは、元々、聖剣の使い手の覚醒時の対策の1つとして、万が一に備えて研究を継続していたモノだ。



初期の段階で、幾つかの方法は見つかっていた。


1つ目は、魔導具を破壊する方法だ。


一度その魔導具を破壊して、再度治っても親和性が下がった。

しかし、この方法は使用出来なくなったりはせず時間と共に親和性が戻って行くという結果だった。



2つ目は、使用者に“偽装魔法”を掛ける方法だ。


これは、効果はあったが“偽装魔法”は、“呪属性魔法”に分類されてしまう様で、その対策で防がれてしまう。



3つ目は、魔導具の効果を無くす魔導具を取り付ける方法だ。


これも効果はあったが、魔導具の効果を完全に理解して対抗魔導具を作らなければならない事と、聖剣の様に武器だった場合、相手よりも圧倒的に強くないと戦闘中に取り付けるのは不可能だ。



4つ目は、別の属性やスキルを追加で付与する方法だ。


これは、親和性は下がるものの、その魔導具自体を強化してしまい、使いこなされた場合、逆に驚異度が上がってしまう。



どれも一長一短だった…………


しかし、今回、成功とした、5つ目の方法は親和性を下げて使用出来なくなった。


その方法とは、“誰でも無い誰かを使用者として、使用者登録の付与を行う事”だ。


別の人物を使用者登録をする事は既に試していた。

結果は、元の使用者から変わる事は無かった。


と、思っていた!!しかし、違ったのだ!!


使用者登録の付与を行った際に、その魔導具はどちらが主人に相応しいか天秤に掛けていたのだ。

その結果で、元の使用者を主人として選んでいた。


そして、“誰でも無い誰か”を使用者として登録した場合、どちらが主人に相応しいか決める事が出来ず、結果、現在の使用者にも使う事が出来なくなったのだ。


こうして、魔導具の親和性を下げる研究は終了したのだが、残念な事に今度は“誰でも無い誰か”を使用者として登録しても使えなくならない、使用者登録の方法を研究する事になった…………


研究とは、深く考え、調べ、明らかにして行くこと…………

終わりは、無いのだ…………





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