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第16章 東大陸⑥

東大陸⑥





▪️▪️▪️▪️





「なんで誰も気付かなかったんだ!!」


“第1クルス島村”の研究施設にオレの叫びが響き渡った!!





“天使種族”の宇宙船から洗脳の魔導具を持ち帰って研究を始めた。

今回は当事者だったキングA達にも参加して貰っていた。


洗脳の魔導具は要は大きめのリング状のピアスだった。


洗脳の仕組みを調べる前に、先ずは、外すと爆発して命の危険があるというのでその解除方法から対策する事になった。


一度でも嵌めると無理矢理外す事も出来ず、破壊しようとした場合も、引き千切ってしまった場合も、爆発した。



この魔導具は本人の魔力を使って動く。

引き千切った場合は魔力の供給が無くなり爆発する仕組みだった。



オレは1つの単純な方法を一応試してみた。


これで上手く行くとは思っていない。

どういう反応になるか確認する為だった。


しかし…………



「なんで誰も気付かなかったんだ!!」


結果は成功、先程の叫びとなった…………



オレのやった方法は、至って単純だ。

魔力の供給が止まらない様に魔核を耳に当てた状態で耳ごと切り落としただけだ。


耳はその後で“神聖属性魔法”で回復すればいい。

魔導具は離れた所で爆発させればいい。



キングA達の時代、この星の人々は自らが死んだ後でさえゴーレムとなって戦う程、存亡を掛けた戦いをして居た筈だ!!


悪魔種族達も大量の奴隷となる程の争いがあったに違い無い!!


なのに!!こんなに簡単に外せるなんて!!




オレの叫びに、キングAは、非常にバツの悪そうな雰囲気で、


「クルス様、申し訳ない……みんなバカで…………」


と、言った…………


キングA自身も、余りにも簡単な方法で外せた事に結構ショックを受けていた。




気を取り直して“歌”の方の分析に移ろうとして、またも、ガックリした…………


洗脳効果以前に歌が酷かったのだ…………


アスモデウス家が傘下となってから色々と歌を歌わせてみたりしたが、洗脳効果は確認出来なかった。


特にセレンとセリンの歌声は正に天使の歌声で、とても素晴らしかったが特別なモノでは無かった。


そして、手に入れた魔導具の歌はというと…………



『天使ぃ〜〜種族はぁ〜〜、至高のぉ〜〜種族ぅ〜〜、最高!!最高!!

天使ぃ〜〜種族はぁ〜〜、高貴なぁ〜〜種族ぅ〜〜、最強!!最強!!』


と、いう歌とも言えない様なモノが軍歌の様なオッサンのダミ声で延々と繰り返される……

特殊効果が無くても気が狂うこと請け合いだ…………



一応、特殊効果は発見出来た。


非常に残念な事にオッサンのダミ声にも意味があったのだ。


低音のビブラートのゾーンの更に下、音として聴き取れない空気の振動に一定の魔力が乗っていて、洗脳魔法の呪文の様な効果があった。


セレンとセリンでは其処までの低音の声が出せなかったので他の男性に試して貰った結果、同じ反応を確認出来た。



やはり、アスモデウス家は“天使種族”の末裔だったのかと思ったが、試しにオレや周りの研究者達もやってみたところ、全員では無かったが数名が出来てしまった。


何よりも、オレに出来たのだ。



オレに出来たという事は、適正が有れば誰でも出来ると言う事だ。


何故なら、他の者達と違って、他の世界から来たオレには天使種族の血を引いている可能性はゼロだからだ。



結論、“天使種族の特殊な力”では無く、“洗脳効果のある特殊な歌”で有る事が分かった。

この情報は封印だ。


こんな歌は絶対に誰も歌わないとは思うが、もしも、万が一広まったら洗脳しまくりだ。


一応実験で他の種族名でもやってみたがダメだった。

“天使種族”という歌詞でないと効果が無い様だ。

完全に偶然の産物という他ない。



しかし、この歌が“呪属性魔法”の洗脳の魔法の呪文であるなら、それ用の魔導具を作れば簡単に対応は可能だ。


早速作って効果を確認。

直ぐに上手くいった。



因みに、通常の状態異常防止の魔導具や洗脳防止の魔導具ではダメだったが、オレの全状態異常効果無効では防ぐ事が出来た。


状態異常防止や洗脳防止の通常の魔導具では、常時発動では無く、洗脳攻撃を受けた時にしか防止をしない為だと思われる。






さあ、“悪魔種族”との会談だ。


オレが歌の研究に携わっている間、配下達には“悪魔種族”と“天使種族”の冷凍睡眠状況を確認をさせて、身分が高そうな者をピックアップさせている。



今回、先ず1人、悪魔種族の初老の男性を冷凍睡眠から醒させて即気絶させてから、宇宙船内に準備した部屋で話しを聞く。


オレがソファーに座って待っていると、第1部隊が気絶した悪魔種族を連れて来てオレの前に座らせた後、その男を起こした。




先ずは洗脳された状態で話しを聞いてみる。


「やあ、悪魔種族の方。オレはクルスだ。

あなたの名前は?」


「私は、ペヌエル。

おまえは天使種族様ではないな!!ここは何処だ!!」


「ここは、あなた達がやって来た、オレ達が暮らす星だ。


因みに攻めて来た他の天使種族や悪魔種族は居ない。

生きているのはその末裔と冷凍睡眠から起きていない者だけだ」


「なんだと?!

天使種族様達が貴様らの様な劣等種族に敗れたとでも言うのか!!」


「オレは人種族なんだが、あなたは人種族を知っているのか?」


「そんな物は知らん!!」


『なるほど……天使ぃ〜〜種族はぁ〜〜、至高のぉ〜〜種族ぅ〜〜、か…………


ちゃんと意識があって会話も出来る。

洗脳されているのは、天使ぃ〜〜種族ぅ〜〜、最高!!最強!!って思い込んでるとこか……


これって、魔導具外して洗脳解けるのかな…………』




オレが手を挙げると第1部隊のメンバーがペヌエルを抑えて、耳に魔核のピアスを刺してから耳を切り落とした後、回復する。


ペヌエルは「何をする!!やめろ!!」と、暴れていたが、ペヌエルのレベルは3万程だったので、ウチの精鋭相手では手も足も出ない。




「どうだ?洗脳は解けている筈だが?」


「…………ああ、天使種族に従わなければならないという感覚が消えた……

天使種族どもめ…………」


「取り敢えず、悪魔種族と天使種族の関係から聞かせてくれ」







天使種族と悪魔種族は、元々同じ星で暮らしていたらしい。


種族の違いで争う事も、また、和解して協力して暮らす事もあった様だ。


しかし、ある国の騎士団があの歌を歌い始めた。

あの歌を歌いながら戦う騎士団は連戦連勝で国土をどんどんと広げて行った。


それを見た他の国々でもあの歌を歌い、天使種族のみの国だけが勝ち続けた。


悪魔種族の国は滅され、共存していた国でも悪魔種族を排斥しようという動きが出て、最終的には天使種族と悪魔種族との対立になって行った。



そして、あの魔導具が開発された。


滅された悪魔種族の国の民達は、あの魔導具を着けられて天使種族を敬い、従う様になった。


天使種族は悪魔種族に比べてかなり少なかった様だが、天使種族が支配者で悪魔種族は奴隷の様な関係が標準化するのに時間は掛からなかったそうだ。



因みに、ハーフは居ないのかと聞いてみたところ、黒い翼を持つ物がハーフだそうで黒い翼を持つ者は天使種族では無く悪魔種族なのだそうだ。



ついでに聞いた。

ハーフと天使種族、ハーフと悪魔種族との間の子供はどうなるのか?


答えは、必ず天使種族か悪魔種族の血の濃い方になるという。

ハーフの黒い翼の者は天使種族と悪魔種族の間か、ハーフとハーフの間にしか産まれないそうだ。



そして、肝心の天使種族と悪魔種族の住んでいた星の場所だが分からないそうだ…………

悪魔種族達は冷凍睡眠装置に入ってから眠りっぱなしで移動して来たらしい…………




最後に今後について聞いた。


悪魔種族がこの星の別の種族とも共存可能ならこの星に住んでも良い、それが出来ないなら別の星に住んでも良いと提案したが、自分の一存では決められないと言う。



何人で話し合えば決められるか聞いた所、元々悪魔種族の国があった頃の主要人物だけでも1,000人以上での話し合いが必要だと言われた為、却下。


オレが聖樹の種等の実験の為に使った別の星に放り出す事にした。


動物はまだ殆どいないだろうが、当分は野菜生活でもして貰えば良いだろう。





説明が面倒だったので、ペヌエルにはもう一度気絶して貰って、冷凍睡眠装置の所に行く。


そして、冷凍睡眠装置から出しては気絶させて、第1部隊が悪魔種族を運んで来てオレはそれを受け取っては今回の運搬用に作った“ディファレントスペースバック”に運び込む。


2億人程の悪魔種族を全員詰め込んで“リターン”で、彼らの新居に行き、そこら中に放り出して行く。


1ヶ所に多くなり過ぎない様に適当に割り振って放り出し、その時々で数人づつ天使種族の洗脳を解いては洗脳の解き方を書いた物と魔核を置いて行った…………









翌日は、天使種族と会談だ。


此方は身分が高そうで、脅しに簡単に屈しそうな人選にした。




選ばれたのは冷凍睡眠中なのに宝石だらけの格好をした30代後半に見える小太りの女性だ。


「…………!!な、何奴!!

妾をザガン王の娘、ラウムと知っての狼藉か!!」


「知らん。おまえはオレの質問に答えろ」

そう言って“殺気コントロール”で失禁腰砕けにする。


「!!!!ひぃ〜〜!!」


「おまえが素直に答えるまで斬り刻んでから質問に答えるのと、今直ぐ素直に質問に答えるのとどちらが良い?」


「こ、こ、答える!!な、なんでも答える!!」


「分かれば良い。


先ず、教えておいてやる。

おまえ達“天使種族”は、この星に辿り着いたが返り討ちにあって、生きているのは冷凍睡眠中の者だけだ。


そして、冷凍睡眠中の者達も何時でも殺せる様に準備してある。

それを理解した上で答えろ。


おまえは自分達が来た星が何処に有るか位置は分かるか?」


「わ、わかりません」


「さっき言っていた、おまえの父親なら分かるのか?

それとも、誰も分からないのか?」


「だ、誰も分からないと思います。

冷凍睡眠中の事は分からないので…………」


「なら、おまえ達が使うという“不思議な障壁”と、いうのはなんだ?」


「わ、わかりません」


「それは、何の事か分からないという意味か?

それとも、“不思議な障壁”が何を指しているか分からないという意味なのか?」


「不思議な障壁が何を指しているか……あ!!」


「なんだ?思い出したのか?」


「そ、その、それは、アスモデウス王家の“天壁”の事ですか?」


「その“天壁”というのはどんなモノだ?」


「ア、アスモデウス王家の天輪の力で周囲に重力の壁を生み出すモノだった筈です」


「天輪の力か……

ザガン王家の天輪の力は、何だ?」


「ザ、ザガン王家の天輪の力は、て、“天変”です。

も、物を作り変える力です」


「ベリアルの天輪は?」


「べ、ベリアル王家は“天武”です。

どんな武術でも一度見れば覚えられる力です」


「他の2つの王家の天輪の力は何だ?」


「ガ、ガープ王家が、“天心”、人を操ったり幻覚を見せる力で、ヴァサゴ王家が“天眼”で、み、見えないモノを見る力で、です」



『天輪の力か…………

セレン達には輪っかは無いから、その力も無いのか…………


スキルに表示されない、隠しスキルってとこだな。


それにしても、コイツら絶対、宇宙を舐めてるよな。

適当に飛んで住める星が見つかるとか、どんな確率の低さだよ。


いや、もしかして、適当じゃ無いのか?

さっきのヴァサゴ王家の“天眼”で辿り着いたのか?


後で、冷凍睡眠していなかった、アスモデウス王家ともう1つの王家がヴァサゴ王家なのか確認してみよう』



「じゃあ、最後の質問だ。

おまえが知る限り、1番強力な天輪の力は何だ?」


「バ、バアル王家の“天壊”だと、お、思います」


「どんな効果だ?」


「あらゆるモノをこ、壊す力です」


「そうか、分かった」


オレの頷きと共に、ラウムは気絶させられたのだった…………







オレの予想は当たっていた様だった。

冷凍睡眠中のヤツらの中に、ヴァサゴの名のつく者はいなかった。


レベル500万を超える一部の者達はオレが自分で気絶させて他の者達は第1部隊が回収。


その後、悪魔種族達とは別の実験をしていた星に放り出して“天使種族問題”は、一応の解決を見たのだった…………





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