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第10章 ドワーフの国②

ドワーフの国②





▪️▪️▪️▪️





ハルマールとドルレアの問題が解決した翌日、オレ達は、ドワーフの国、リリルー王国に来ていた。


ドワーフの国は2カ国あり、エルフの里の東にロロルー王国、そして、南に今居るリリルー王国がある。



この国は、オレのイメージする、まさにドワーフの国だった!!

エルフの里とは大違いだ!!


ドワーフはみんな背が低く樽の様な体型で、みんなちゃんと良い髭だ!!

服装もツナギや作業服が殆どで、午前中なのにしっかりとみんな呑んだくれている!!

街も大型の工房が数多く見受けられ、非常に楽しみだ!!



今回から、シロネコ達の誰か1人はついて来るシステムにした。

今日はクロリュウだ。


妻や執事達と共に街をじっくり見て周る。


「レンジ様、今日はいつになく、楽しそうですね」

ルナルーレが、オレが楽しそうなのを我が事の様に、満面の笑顔で覗き込む。


「ああ、なんだか新しいモノや技術に出会えそうな気がするんだ」

と、答えると、


「それなら、誰が1番面白いモノを見つけられるか競争致しましょう!!」

と、ラムが言い出し、


「それなら、1番の人は、今夜、お父様を独り占めと言う事で!!」

と、リムが勝手にオレを賞品にする。


「分かりました、必ず勝利します!!」

と、キスラエラが気合いを入れて、


「え、それって私も参加していいの?」

と、戸惑うクリシュナに、


「もちろんです、クリシュナ様。私も負けられません!!」

と、シエラールルも参加を表明して、同行して来た第1のメイドも気合いを入れている。


「シエラールル、別行動になるみたいだから、第2のメンバーを追加してくれ」


「既に、手配済みです。間もなく来ると思います」


…………確かに来た……しかし、気合いの入った、第1のメイド部隊の方が遥かに大勢来た。

オレの賞品価値が高い様で何よりだ…………



ルールを決めた。

夕食後に持ち寄ったモノを全て並べて、オレが1番だと思ったモノが優勝だ。


提出出来るモノは1人1品、技術の場合は技術書か手書きで内容を記入したモノ。


オレは提出されたモノだけを見て、誰がどれを出したかは、オレには秘密にし、優勝結果だけをセバスから伝えさせる事にした。


ガリーとクロリュウの3人になって、オレはオレで面白いモノを探す。

何故なら、面白いモノに出会える予感がするからだ!!




小さな工房に併設された、小さな店だった。

店番の少年が、「いらっしゃい!!」と、元気に挨拶しただけで、特に接客にも来ない。

灯りの魔導具、給湯の魔導具、冷蔵庫の魔導具……どれも、生活用の魔導具ばかりだ。


その中に3本だけ、短剣があった。

抜いてみると、何かの文字がびっしりと刻まれていた。


……そう、何かの文字……“言語理解LV10”の、オレが読めない文字…………

気になったので、店番の少年に声を掛ける。


「キミ、この短剣もここの工房で作った物なのかい?」


「ああ、それも父ちゃんが作った物だよ」


「お父さんに会う事は出来るかな?」


「ちょっと、待って。聞いてみる」


しばらく待つと、ショートボックスベアード髭のドワーフ オブ ドワーフな父ちゃんが現れた。


「初めまして、オレはレンジ クルスと言います」


「挨拶はいい。要件は何だ?」


「じゃあ、単刀直入に、この文字は“あなたが作った文字”ですか?」


「!!あんたも“言語理解”がレベル10なのか?」


「はい、そうです。

それでも読めなかったので、オリジナルの言語だと」


「そうか。だが、これはオレの死んだ女房の作ったもんだ。


女房は生まれ付き、“言語理解LV10”だった。


レベル10だと、好きな文字が作れんだろ?

だから、本来は長ったらしい魔法の呪文を短くして、刻んだのがソイツだ。

この1本だけで、7つの魔法が刻んである」


「!!そうか、呪文の一文を一文字にしてるんですね」


「そういうこった。

だが、コイツは欠陥品だ。文字を理解してなきゃ魔法が発動しねぇ。

魔法の付与として成り立ってねぇんだ」


「いえ、多分それは違います。

オレの研究しているモノの1つに、呪文を魔法陣にする研究があります。


おそらくですが、呪文をただ刻んでも魔法は発動しません。

単に、声に出さずに読んで魔法を発動させているだけだと思います。


ですが、呪文を魔法陣に出来れば、呪文と魔法陣の違いが分かり、この、呪文の一文を文字にする技術が必ず役に立ちます。

なので、この技術を売って頂けませんか?」


「……あんたは魔法の研究者かなんかなのか?」


「いいえ、オレはクルス商会という商会の会長をしています。

魔法の研究は商品開発と、妻との共通の趣味の様なモノです」


「嫁さんとの共通の趣味か…………。分かった。


いいぜ、この技術が本当に使えるモノになったら、死んだ女房も喜ぶだろう。

だから、金はいらねぇ。好きにやんな」


「申し訳ありません。

お気持ちは大変有り難いのですが、オレは商人なので、タダでという訳には行きません。

どんな無茶な要望でも良いので、試しに何か仰ってみて頂けませんか?」


「…………父ちゃん、普通にお代を貰おうよ…………」


「!!バカやろう!!

アイツの残したモンがもしかしたら日の目が見れるかもしれねぇんだ!!

ケチケチした事が言えるか!!」


「ご主人、大変失礼な質問で申し訳ありませんが、経営状態が良くないのですか?」


「!!ああ、まあ、ウチに限った事じゃねぇ。どこの工房も似たり寄ったりだ。

この国も、隣のロロルーも職人が余っちまってるのさ。


昔は何処も戦争ばっかりで、武器の需要も多かったが、今じゃ武器は僅かに冒険者が買ってくだけだ。


仕方がねぇから生活用の魔導具を作っちゃいるが、結局は魔法ギルドと商業ギルドに税金で持って行かれちまう。

今じゃ、腕を磨いた職人よりも鉱夫の方がよっぽど稼ぎがいい」


「…………ちなみに、ドワーフの方々はこの土地への執着があって、皆さんこの国や隣の国で工房を営われているんですか?」


「あん?いいや、単にコシュツマーヤ山脈が、鉱石がよく取れるから、自然とドワーフが集まっただけで、別に拘ってるヤツはいねぇと思うぜ?

少なくともオレは拘っちゃいない」


「では、皆さんは自分で完成させる事に意義を求められているんですか?

例えば、決まった装飾を繰り返し施したり、出来上がったモノに装飾だけを加える様な仕事は嫌がられますか?」


「ソイツは個人に寄りけりだろうな。

自分で全部やんなきゃ気が済まねぇヤツも居るだろう」


「装飾だけの仕事でもいいと言う人はどれくらい居ると、ご主人は思われますか?」


「さぁなぁ?でも、半分よか多いんじゃねぇのか?」


「なるほど。

ちなみに、ご主人は装飾だけの仕事でも問題ありませんか?」


「ああ、おれぁ、この腕が活かせるならそれでも構わねぇぜ」


「ありがとうございます。

では、これは、先程の技術と今のお話の情報料です。

其れから、3日後にオレの商会で、今の仕事の面接会をするので、宜しければお越しください」


そう言って、白金貨を1枚カウンターに置くと、そそくさと店を後にした。


後ろから、「父ちゃん、あの人、白金貨置いてってるよ!!」「なんだとぉ〜〜!!」と、言う声が聞こえたが逃げる様に帰った。




ガリーに第2部隊と第3部隊の時間の取れる幹部に、昼食後に本部に集まる様に連絡をさせる。


緊急ではないから、今日の出勤者で時間の取れる者だけで良いと強調して伝えさせた。




その後も何件か見て周り、ガリーとクロリュウの3人で昼食を取って、本部会議室へ。


まとめ役で来たのだろう、執事のゴラジスと、商会役員2人、工場長と副工場長2人が来ていた。


先程のドワーフのご主人の話しを伝えて、本部内に第2工場とデザイン室を作り、ドワーフを雇う提案をする。


理由は、オレも工場勤務者も、基本は研究者肌で、機能性の事は考えられてもデザインや装飾は得意では無いからだ。


本部内に作るのは、工場の場所はトップシークレットで、現在もオレの直接の部下以外は、工場の場所もどうやって本部に商品が納品されているのかも誰も知らないままだからだ。


なので、雇ったドワーフ達には、本部に納品された後のモノに装飾をして貰い、デザイン室で出来た新デザインは、工場長達に来て貰って協議をしてから製造ラインに組み込んで貰う流れだ。



一通り説明すると、すんなり受け入れられたので、3日後に採用面接をする事と、明日、明後日の求人チラシを配布する段取りを丸投げして、オレはもう1度、ドワーフの街を堪能しに行った。





ドキドキワクワクの妻やメイド達に囲まれた夕食を終えて、セバスの案内の元、工房へ。

ズラリと並んだ魔導具や書物を1つづつ順番に見て行く。

初めて見て、“森羅万象”に確認した鉱石や宝石。

有りそうで、今まで見た事の無かった、加湿器やマッサージ機の魔導具など、かなり面白いラインナップだった。



その中で、優勝に選んだのは、オルゴールの様な小さな箱の魔導具だ。

効果は込めた魔力によって“何かが起きる”、と、言うモノだ。


“某、竜を探求するゲーム”で念のためセーブしてからでないと、使うに使えないアレだ。


この魔導具の何が凄いかと言うと、このスキルを付与したと言う事は、このスキルを持つ人物が居たと言う事だ。


残念ながら、セバスの説明では、この魔導具を作った人物は既に亡くなっているとの事だった。

もしかして、スキルで自爆?と考えてしまう…………


使ってみたい衝動を何とか我慢する!!


万が一、スキルが無くなるとかになると、オレは全く身動きが取れない。

高すぎるステータスの弊害だ。


かと言って、ステータスを下げて使うと死ぬかもしれない。

非常に危険なので、泣く泣く封印だ。




優勝者が部屋にやって来た。


今回の優勝は、我がメイド部隊の誇る最強の合法ロリの一角、サーニヤだった。

よく考えたら、サーニヤと2人きりになるのは初めてだ。


サーニヤは常にアキナと一緒にいるイメージだ。

任務も基本一緒に行動している様だし。


今日の賞品は、オレの独り占めチケットなので、別に、本人の希望如何によっては必ずしも“致す”訳ではないが、アキナと2人の時とはまた違った背徳感を感じる…………



サーニヤは紅茶を2人分入れて、オレの横に座って、今日の魔導具を見つけた経緯から始まって、もう少しで、自分もアキナもレベル1万に届きそうだとか、最近のシロネコ達の世話の話しなどをとても楽しそうに話して行った。


ぱっと見はどう見ても親子だが、本人は恋人気分で話しているのだろう。

こうして、面と向かって色々と聞くのも採用面接以来かもしれない。


オレもちょくちょく質問したりしながら、夜がふけるまで話しをした。

徐々にサーニヤが船を漕ぎ始め、そのまま眠ってしまった。


オレはサーニヤを抱き抱えて、ベットに寝かせると、オレも横になった。


…………しかし、彼女は幼く見えてもオレよりもかなり年上だ。

眠ったのは、“お誘い”だった…………





▪️▪️▪️▪️





翌日もドワーフの街を見て周る。

今日は、昨日の面白いモノ集めで、トップ10入りした物が売っていたり、技術を聞いたりした店を中心に周った。


残念ながら、より面白い物には出会えなかったが、技術に関しては、面白い話しが聞けた。


それは、複数の宝石を“錬金術”で融合する際に、色にグラデーションを作っていくモノだった。


通常、融合した場合、2色にするか、混ざった色にするかだが、その職人は、色の成分を完全に理解しており、その濃淡を僅かづつずらしながら融合していたのだ。


やはり、ドワーフの国は面白い!!

職人達が自身の技術に魂を賭けているのが伝わる!!


今回のドワーフの採用面接の結果次第では、本部の横に自由研究工房を建てるのもいいかもしれない。


その翌日も、新たな発見は無かったが十分に楽しんだ。




そして、採用面接の日、面接会場にした貸切のレストランには大勢の人が集まっていた。

オレは、面接会場が見下ろせる2階の席で、1人1人を見ていた。


この3日で、見た店の中で有望そうな人物と、採用基準とは関係無いが面白いスキルを持っている人物等を会長権限で採用する為だ。


もちろん、通常の審査で、人間性に問題の有る者は不採用だが。



初日に出会った、オリジナル文字のご主人やグラデーション技術のご主人も来ていた。


他にも、各魔導具に美しい装飾を一品づつ施していた職人や名剣と断言出来る程の剣を打っていた職人なんかも来ていた。


あれだけの技術があっても経営が上手く行かない程、ドワーフの国の職人過多は深刻な問題の様だ。



採用者は250人、思った程多くなかったのは、求人内容を見ずに、空に浮かぶシルバーウィングを見て、「自分も作りたい!!」と、やって来た者が多く居たかららしい。


そういう人達は審査に落ちた。

中には求人内容でも働きたかった者もいただろうが、そういう人は次の機会を待って貰う。




採用面接が終わった後、ローラス社長から提案があるので時間を取って欲しいと言われて、本部の会議室へ。


3人の商会役員と3人の副工場長も待っていた。


提案内容は、魔力電池と、装備品を除く商品の製造ラインをサーラールに作って、通常採用者で運用する“工場の建設”だった。


現状の第3部隊、工場勤務部隊は、魔力電池と装備品の製造のみとして、第3部隊の幹部を増員して、“工場”の管理を行わせる。


その提案は採用した。

ついでに、大型の従業員寮と、自由研究工房の建設についても協議して、全て作る事にした。


問題は場所の確保だ。

1つは本部の近隣を買い取って、現在の住人に家を提供する方法。

もう1つは、本部の北は街の外壁なので、街自体を北に拡大する方法だ。



正直、後者を採用したい。

今後の拡大の度に土地を買い取っていたら、住人への商談をいちいちするのが面倒だし、前以て土地を購入して、高値で売ってこようとする者が現れるのも面倒だ。



街の外壁まで、オレが拡張するなら、ラルがダメだと言う事は無いだろうが、一応、キチンと確認をする為にラムリムと一緒に訪問する事を伝えると、なら夕食を一緒にという流れになり、夕食を食べながら、街の拡張の話しをした。



拡張については問題ないが、土地はサーラールの領主である、ラルからの購入になる事、寮に住む者はサーラールの住人になる為、人頭税が掛かる事などの説明を聞いて、全て了承する。


最後にラルが申し訳なさそうに言ってきた。

「父上、リカーヅ公爵より、伝言を承っておりまして…………」


「ラル、別にお前が悪い訳じゃないんだから、とりあえず言ってみろ」


「はい、父上の行われている、合同訓練にリカーヅ公爵も参加されたいと……

申し訳ありません!!

部下に外出理由を告げた時に口止めしておくべきでした!!」


そう言って、深々と頭を下げるラル。


「まあ、しょうがない気にするな。

だが、リカーヅ公爵を呼ぶとなると、毎回使いを送ったら、周りに詮索されるのも面倒だな…………。


それに、何度か参加したら、きっと、全員の成長速度に気付いて訓練方法とか聞かれたら、我が家に入り浸りになって貰ってもこまるし…………


ちゃんと、ラルみたいに自分の役割と両立するタイプには見えないし…………」


悩むオレに大きな溜め息と共にラムが答える。


「あなた、おそらくあなたの想像通り、ずっと、訓練場に入り浸りになると思いますわ。

なので、お父様には引退して貰って、ここの私の家に住んで貰っては如何ですか?

それならば、居留守を使って、ミミッサス村に住んでも誤魔化せますわ」


「……でも、それだと南の魔王がなんか言って来たりしないか?」


「それは、お父様の問題ですわ。

ご自分で解決して貰えば良いだけですわ」


「そうだな、それなら南の魔王が止めてくれて、来ないかもしれないしな!!」


「「「いえ、それはありません!!」」」


ラム達親子が一切の躊躇無く口を揃える…………


「…………来る事は、確定なんだな…………」


「はい、魔王陛下でも、お父様を止める事は出来ないと思いますわ。

あの時は、あなたの言う事だから、引き下がったのですわ」


「母上、あの時ってなんですか?」


リムの質問に、ラムは上機嫌で、結婚式翌日のオレとリカーヅ公爵とのやり取りを話し始めた。


リムとラルだけで無く、お供のリンドレージェとシェーラも食い気味に聞き、ラルのところのメイド達も聞き耳を立てている。


オレは1人、コーヒーを飲みながら、頭の中で、建設予定の建物の図面を引いて過ごした…………




ラムの提案を全面採用して、リカーヅ公爵には、引退して、1人で来る事。

来た場合は、自炊をして、家事も自分でする事。

給料を支払う代わりに、ランド達の様に狩りをして働く事。


以上を受け入れるなら、合同訓練への参加資格をやる!!と、走り書きにして、ラルに渡す様に言付けて帰った。




建設予定と採用者の運搬についての会議を明日行う事にして、各所に連絡させ、風呂に入って部屋に戻ると、ラムリムとリンドレージェ、シェーラが待っていた…………





翌日、今後のクルス商会の拡大も踏まえて、かなり大規模な建設計画を進める。

並行して、不公平にならない様に、ロロルー王国の王都でも採用面接を行わせる事にした。


工場は幅、奥行500m、地上200m、地下200mで地上20階、地下20階の超巨大工場だ。

まあ、もちろん我が家よりは小さい。


地上の各奇数階が作業場で高さ10m、偶数階が資材置き場で高さ5mの繰り返しだ。


資材置き場は幹部以外は立ち入り禁止にする。ぶっちゃけ空っぽだからだ。

オレの製造ラインの魔導具は材料は魔力のみで何もいらない。


但し、今後、鉱物の価値が著しく下がる様なら、鉱物資源を使用する予定だ。


もちろん、上階から、資材が来て製造されているかの様に偽装して製造ラインを設置して行く。


動力も魔力電池のみで動く仕組みにしておいた。

万が一製造ラインごと盗まれる、もしくは、製造ラインを複製された時の対策だ。


製造ラインの奥には、装飾スペースを設けている。



地下は各階高さ15mの倉庫だ。

こちらは地下10階まで使用して、それ以下は、幹部以外は立ち入り禁止。

こちらも何も無い。今後使うかもしれないので、ただの予備スペースだ。



従業員寮は、幅200m、奥行25m、高さ100mの27階建てで、1、2階は食堂と談話スペース、大浴場。

3階〜27階が住居スペースで各店舗と同じく、1LDK、バス、トイレ付きが各階40部屋づつの1,000部屋だ。


寮の利用条件も店舗内のモノと同じだ。



自由研究工房は、幅、奥行200m、地上100m、地下100mで上下ともに10階建てで、地上は完全にフリースペース、地下は各階10部屋づつに別れ、部屋の利用権は、研究テーマと予算、利用期間の書類を纏めて提出し、審査が通った者が利用可能。

但し、研究の結果はクルス商会の所有にする契約の元での研究だ。


地下研究室の利用権を得た者は、研究チームを組む事が出来、勤務内容を研究に変更出来る。

予算も設備も全て商会持ちだ。


地上のフリースペースは利用範囲と期間を申請すれば、早い者順で利用可能。

但し、最大範囲は10m四方で最長期間は1ヶ月、研究費用も実費で勤務時間外での利用のみ。


その代わり、研究成果は自分のモノで、クルス商会に販売するのも、他商会やギルドに販売するのも自由だ。


デザイン室は本社内にワンフロア設ける事にした。


各建物の内容を詰めて行き、土地の拡張は今後の拡大の可能性と、シルバーウィングの発着場も含めて3km四方にした。


道もキチンと舗装して車線も作り、自動車で通行出来る様にする。

但し、街との行き来出来る幅は50mだけにする事にした。本部の真正面だけだ。




最後に第3部隊の幹部の増員は準幹部として、50人を工場主任とした。


初期は現在の第3部隊のメンバーで構成し、商会同様に順次現地採用組から昇進させて行く事にした。


我が家の方は魔力電池と装備製造だけになるので、当面は工場での指導に人員を割くようにして、工場の運用に問題が無くなれば、魔法研究の方に注力させる様に徐々に人員を動かして行く事にした。



内容が纏まったので、今日の会議は終了。

街の増設範囲と建物の建設場所の図面のみ、ラルの所に報告に行かせて、土地代金の算出をして貰うように手配して、シルバーウィングに戻る。





シルバーウィングに戻ると、クリシュナがミケネコを抱いて、シロネコと共にやって来た。

ミケネコはとても嬉しそうに、


「クルスさん、見て下さい!!ボクも歩ける様になったんです!!」


と、言って、自分で立ちゆっくりと歩いて見せた。


「そうか、どうだ?自分で歩いて好きな所に行けるのは良いだろ?」


「はい!!ボクも自分の足で歩いて、自分の目でこの世界をもっともっと見てみたいです!!」


「ああ。今、オレ達は新婚旅行で世界中を周ろうとしてるから、次からは、ミケネコも一緒に見て周ろう」


「はい!!ありがとうございます!!」


良いお返事のミケネコを抱き上げて、優しく撫でてやった。

撫でられて、とても気持ち良さそうだ。


撫でられて気持ち良いという感覚も新鮮に違いない。

聖樹に身体を作って本当に良かった。


クリシュナもシロネコもとても良い表情をしていた。



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