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第7章 結婚式③

結婚式③





▪️▪️▪️▪️





ラムとの3日間を過ごした翌日からは、飛空船の図面の作成だ。

全員の個人部屋の原案が出来ていたので受け取り、描き込んで行く。

報告も特に変化無しと、言うものだったので、集中して図面を描いて行った。




3日働いたら、“リムとの初夜”だ。

リムもウエディングドレスで現れた。


“結婚指輪”を渡すと、リムも涙を流して喜んでくれて、“その夜”はリムには珍しく、何度も“おねだり”された…………




「今日はどうしたい?」と、聞くと、「私にも黒竜狩りの手解きをして欲しい」と、言われた。


絵に描いたような貴族令嬢、可憐な美少女なリムだが、やっぱり武闘派だ。

ラムから聞いたのだろうが、2人っきりの狩りが羨ましいとは…………



ラム同様、もちろん、ボディタッチ多めでも、ちゃんとした内容の指導をして行く。

ちょっと、カッコつけたくて、オレも“槍を創造”して、1匹狩って見せた。


瞬殺はせず、ちゃんと手本になる様に、徐々に削ってから、キッチリトドメを刺した。


カッコつけたくてやった事なので、途中“クルス流 槍術1”の技を幾つも織りまぜていたが、リムには、そこがツボだった。


明日は、“クルス流槍術1”の手解きに決定した。


リムもトドメ以外はオレの補助無く出来る様になったので、サーラールのレストランで夕食をとって、帰った。


その夜は、披露宴で着ていたドレスだった……




翌日、“クルス流槍術1”の訓練をした。


クルス流槍術の技の数々は、全て完成と共に死蔵されていたので、使い手が生まれるのは、ちょっと嬉しい。


ちなみに、リムはちゃんと食事を作ってくれた。

これも、ラムから最高の調味料の伝授を受けたのかも知れない。



“某無双するゲーム”の様な、それって槍の使い方じゃ無くない?な、槍をぶん回す様な技も教えて行った。


別に激しい動きで、リムのスカートが舞い上がる姿が見たかった訳では断じて無い!!


スカートが翻った瞬間にしゃがんだりは断じてしていない!!

たまたま、ちょっと座りたくなって、偶然見えただけだ!!

パステルブルーが見えただけだ!!




3日目はゆっくりと過ごし、リムともレベル1万を超えたら、装備をプレゼントする約束をして、夕食を作って上げる。


「本当にとっても美味しい……私はとっても、お父様に愛されているんですね!!」

と、眩しい笑顔で言われた。とても可愛い。


「もちろん、とっても愛してるよ」

それから、各料理の味付けを教えながら、ゆっくりと夕食を取った。







▪️▪️▪️▪️






翌日は飛空船の図面の最終チェックをした。

若干の修正改善を行って、“飛空船の設計図”が、完成した!!


お披露目は1月1日の予定だ!!

サーラール本部の屋上で空中に作る。


前もって、ラルに伝えて、結婚式のお礼の意味を込めて、お正月観光イベントに使ってくれと、言ってある。




その翌日は、訓練場の拡張を行う。

黒火一族の村の地下訓練場に、さらに地下2階と地下3階を作る。


地下2階は上の訓練場と同じ、そこに宿泊と調理、飲食と食材保管庫を追加して、“時間延長は100倍”のみだ。


ここは、休日にしか使ってはいけない事と“不老永寿の指輪”の着用を義務付けた。

前回希望していない者にも全員に指輪も支給した。



地下3階は上の半分の広さの部屋を5部屋と、休憩室。

各部屋には“ゴーレム作成装置”と、“緊急避難装置”を取り付ける。


ゴーレムはこの世界では、ダンジョンなんかにいる“魔物”だ。


魔物は魔獣と違い、ダンジョンや魔力溜まりで“発生”する。


人間や魔獣を殺して魔力を奪って成長して、食事も繁殖もしない。


倒し方も魔核の破壊のみで、どちらかと言えば、生物よりはロボットに近い存在だ。

魔物は大体、このゴーレム系かアンデット系が殆どの様だ。



実はこのゴーレムは、以前しっかりと研究していた。


黒火一族が配下に加わる前に、護衛や警備、雑用なんかに使おうと思っていたからだ。

オレの“魔力電池”計画では、魔獣は完全に食用で、魔核が余り続けたのもあって、有効活用出来ないか考えての事だ。



その時の研究で、魔核に“成長本能”が生まれた時に周囲のものを取り込んで魔物が発生し、“成長本能”は魔核が周囲の魔力に刺激を受けて発生し、魔核は魔力が凝縮されると出来る事を突き止めていた。



周囲にある物が鉱物ならゴーレム、死体ならアンデットになり、強力な魔獣なんかは、死体の中でその魔獣の魔力が凝縮されて、魔核を取り出しても、もう一度魔核が出来て、アンデットになりやすい様だ。



魔物は魔核の大きさと純度でレベルが決まる事が分かっている。


そして、ゴーレムでもアンデットでも、どれだけ強くなっても、発生して1,000年以内に意思を持つ事は無く、成長本能だけで行動する。


この事から、訓練で殺す為に作っても良いだろうと考えた。



以上の事から、“ゴーレム作成装置”は、魔核を素材で包んで、魔力で刺激する構造だ。


レベルを魔核の大きさと凝縮具合で決めて、大きさは、大50m級、中10m級、小2m級の3段階の選択。

素材は石、鉄、アダマンタイトから選べる様にした。


レベルに関しては、1,000から1,000万まで、1,000単位で変更可能。

レベルを1,000万まで作ったのは、いつかは大魔王よりも強くなって貰うことと、シロネコ達の成長の為だ。



完成すると、例によってガリー達“修行中毒者”は涙を流して喜んだ。

他の者達も大いに喜んでいた。


が!!最後に大切な注意事項だ!!


“緊急避難装置”は、妻達の結婚指輪の部屋版だ。

当然、発動したら、オレに直通で危険信号が来る。


よって、無謀な挑戦はせず、自分に見合った訓練をする様にと釘を刺した!!


全員キチンと頷いた。

オレに無駄な時間を取らせる様な浅慮な配下はいない。

全員とても優秀なのだ…………




その日の内に、警報を鳴らした、クロリュウの「自分よりも本当に強いのか試したかったんっスよ〜〜……」という叫びも虚しく、オレ直々の“回避力強制アップ訓練”が執行された…………






▪️▪️▪️▪️






翌、12月24日


我が家の敷地内のチャペルのバージンロードの先で、ゆっくりと歩いて来る、キスラエラを見つめていた。


本人の努力かシエラールルの教育か、そこは問わないでおこう。


キスラエラは本当に美しかった。


膝から下の見えるシンプルなベルラインのドレスに、薄っすらと化粧をして、恥ずかしそうにしながらも普段は余り見ない、柔らかい笑顔を湛えている……



今回も神父役はシロネコだ。


「……我が主、レンジ クルス。その者、キスラエラ ビルスレイアを妻とし、生涯愛する事を誓うか?」

「ああ!!誓う!!」


「キスラエラ ビルスレイア。我が主、レンジ クルスを夫とし、生涯愛する事を誓うか?」

「はい!!誓います!!」


「では、誓いの口付けを」


「キスラエラ、とても綺麗だ」

肩を抱き、そう言うと、恥ずかしそうにしながら目を閉じる。

目を瞑り、一筋涙を流すキスラエラにそっとキスをする。


「ここに誓いは交わされた。我が主の奥方、キスラエラ クルスの誕生を宣言する!!」


シロネコの宣言にチャペルの中は大歓声に包まれた。


涙を流し見つめて来るキスラエラにもう一度キスをして、手を引いてパーティー会場に向かった。



パーティーはもちろん大宴会、裸踊りトッピングだ。

キスラエラの元部下達も何人も踊っていた。

一糸乱れぬその動きに練習の成果が伺える…………




その夜、キスラエラもやっぱりウエディングドレスだった。

そっと、キスラエラの左手を取り、薬指に指輪を通す…………


「ありがとうございます…………。ありがとうございます…………」

そう言いながら、オレの胸で号泣し始めた。


もしかしたら、今日一日、ずっと泣きたいのを我慢していたのかも知れない。



オレの妻の中で最も立場のあるキスラエラは、オレの直轄の部下とはいえ、人前で感情を露わにするのは憚られるのだろう。



今までで一番優しい声で、

「オレの前でだけは、自分の気持ちに正直になっていい。これから、ずっとな…………」

と、言うと、一度オレの目を見て強く頷くと、大声で泣き出した…………



泣き止むのをゆっくり待って、“初夜”はとても優しくした…………







▪️▪️▪️▪️






翌朝、準備してあった朝食を食べながら、キスラエラに今日の希望を聞く。

朝食はシエラールルの仕込みだろう、キスラエラには過保護だなっと思った。


「もし、宜しければ、何処かの街を一緒に歩いて頂けないでしょうか。

なかなか、自由に出歩ける事はないので…………。せっかく2人っきりなので…………」


「分かった、じゃあ今日は一日デートしよう。服装もバレにくい物が準備してあるんだろ?」


「はい!!シエラールルが色々と選んでくれました」


「なら、着替えたら出掛けよう!!」



キスラエラの希望で、自分を知る者の少ない、サーラールの街に行く事になった。


キスラエラの服装は、ブレザーにネクタイ、チェックのスカート。どう見ても女子高生だ。


一瞬、“援助交際”の単語が頭を過ったが、キラキラしたキスラエラの表情に煩悩は夜に放り投げた。




キスラエラにも、もちろん片っ端から買ってあげたが、1番喜んだのが、“クルス商会の杖”だったのは言うまでも無い…………



昼食、夕食もサーラールで食べた。

夕食のデザートと共に人生初のダブルストローを体験した。

シエラールルの仕込みは芸が細かい…………






女子高生風味を満喫した翌日は、オレの魔法を色々と見せて欲しいと、なった。


議論をしたり、教えて貰う事はあっても余り見た事がないからだそうだ。

確かにそうかもしれない。



10階の訓練場に無意味にお姫様抱っこで向かう。

キスラエラが今日もシエラールルの仕込みであろうミニスカートだったからだ。


こういう格好の時に可愛がっていれば、変な服装のセンスが少しは治るかもしれないと思ったからだ。




「で、どんなのが見てみたいんだ?」


「ルナルーレさんから、ご主人様の魔法はとても繊細で、本当に“魔法の様な魔法”だと伺いました。

中でも、“土属性魔法”は神秘的だと…………」


「なるほど、ルナルーレから聞いたんなら、先ずはこれかな?」

そう言って、手の平の上にペットボトルサイズの裸婦像を作り出す。


結婚式の時の優しい微笑みで、ボディラインの比率も1ミリの狂いもない、全裸のキスラエラだ!!


「!!!!」

驚きと恥ずかしさで、面白い表情になっているキスラエラに手渡す。


最初は面白い表情だったが、徐々に真剣に細部まで見て行く。

髪の毛やまつ毛の1本1本、肌や瞳の色まで完全再現された石像に息を呑んで、

「凄い…………」


と、一言だけ零した。



「じゃあ次はちょっと変わった事をしよう。

キスラエラ、“錬金術”はどんなモノだと考えている?」


「“錬金術”は魔導具を作ったり、物を作ったりするスキルです」


「やっぱり、キスラエラですら、そう考えてるよな。

“錬金術”は“モノを加工する魔法”だよ」


「!!どう言う事ですか?」


「普通、魔法は呪文を唱えるか、スキルとして発動するよな?

でも、特異属性魔法には基本、呪文は無い。


スキルとして発動するだけだ。

でも、特異属性魔法は魔法だから、複合魔法で合成出来るよな?」


「はい、呪文の無いものでも、合成出来ます」


「“錬金術”もレベル10になって錬成陣が必要無くなると、複合魔法で合成出来るんだよ」


「!!本当ですか?!」


「ああ、おそらくだけど、錬成陣は魔法陣なんだと思う。

だから多分、錬金術も研究すれば、呪文に落とし込めるんじゃないかと思う。

スキルの詳細で、レベル10で錬成陣が必要無いとは書かれてるけど、レベル9までに錬成陣を使うとは書いていない」


「!!確かにそうです。書かれていません!!」


「と、まあ、前置きが長くなったけど、ちょっと変わった魔法を見せよう」


そう言って、両手を前に出して、そこに、2つの石の球が出来ると、そこから触手の様な腕が左右5本づつ伸びる、そして、手には様々な金属製の武器を握っている。


10本の腕がバラバラに動いて武器を振って行く。


「……それも、魔法なんですよね?」


「ああ、キスラエラでも出来るよ。


使っている魔法は、“ストーン”と“グランドディフォメイション”、後は、錬金術の“分離、錬成”だけだよ。

それを“複合魔法”でくっ付けてる。


一応名前も付けてて“千手”だ。

まあ、大きくすれば1,000本以上出せるけどね」


「…………本当に凄い…………。

それに、錬金術が魔法だったなんて…………」


「キスラエラは、魔法で幾つもスキルを再現してたよな?

錬金術は錬成陣が必要だから最初から“魔法には出来ない”って思ってたんじゃ無いのか?」


「はい、剣術や槍術の様に錬金術も道具を必要とする、技術のスキルであると思っていました」


「だろうな。でも、これはキスラエラにとって面白い発見じゃないか?

錬金術が魔法で、錬成陣が魔法陣なら、呪文で錬金術が使えるかもしれない。


逆に、今までの魔法を、錬成陣の様に魔法陣に出来るかもしれない」


「!!確かにそうです!!」


「そして、魔法陣にする事が出来れば、呪文を覚えなくても魔力を注げば魔法が使えるし、錬金術が使えなくても、魔法陣を刻めば魔導具が作れる」


「!!!!」


「面白そうだろ?」


「はい!!今までの常識を覆す、凄い研究になると思います!!」


キラッキラの瞳で見つめながら非常に強い「やってやるぜ!!」な意思を迸らせている……


「…………研究に没頭し過ぎて、忘れるなよ」

「?」


「女王として、第2メイド長として、何よりこれからはオレの妻として、キスラエラは忙しいんだからな」


「はい!!」


「いい返事だが、オレの直轄の者以外にとっては、おまえはまだオレの部下だ。

オレの部下はキチンと休息と睡眠をとる事を義務付けられている、分かってるよな?」


「!!では、一体いつ研究すれば!!」


なんだか、睡眠時間を削る気満々だったと、言わんばかりに泣きそうな顔になっているキスラエラを優しく抱きしめて、

「キスラエラはもう、オレの妻なんだ。オレの妻としての時間に一緒に研究すれば良い」


そう言って、頭を優しく撫でる。


「ありがとうございます。ご主人様…………」

と、トロけそうな声でそう答えた。


やっぱり、不意の優しさに弱いなと思った。




その後も、昼食を挟んで面白半分で作った魔法の数々を見せて、夕食はキスラエラの手作りだった。


以外だったが、キスラエラも“スキル 料理”はレベル10の様で非常に美味かった。

キスラエラの愛も本物だと実感した。






3日目はゆっくりして過ごした。

多分、妻達4人で3日目はゆっくり過ごす事になっていたんだろう。


ラムだけは初日のハプニングでずれ込んだのではないかと思われる。




こうして、聖樹暦20,018年12月、晴れて4人の妻を迎えたのだった。








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