第2章 ミミッサス大森林①
ミミッサス大森林①
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中継の街 ボードード
ハルマール王国の大街道を結ぶ、5大都市の1つ。
高いレンガ作りの壁に囲まれ、夕陽が沈みかけて徐々に薄暗くなる中でも大勢の人が行き交い、とても活気のある街だ。
「はぁ〜〜……やっと着いたぁ〜〜……」
王都を出てから3日、なんとか門が閉まる前にたどり着いた。
王都からボードードまでは馬車で半日とお城のメイド、アイリさんに聞いていた。
なので、その日の内か、遅くても次の日には着くだろうと思って歩き出した。
大誤算だった……
馬車のイメージが違い過ぎた……
パッカ、パッカ、と街道を進む長閑な幌馬車……そんなイメージだった……
しかし…………
街道を歩くオレの横を通り過ぎて行く馬車は、遥か彼方から ドドドドドド………
と、足音を響かせ、余裕で時速100km以上出して、あっという間に見えなくなって行く……
あの速度なら東京〜大阪間でも半日で余裕だろう。
この世界は馬も御者もオレの想像を遥かにぶっ飛んでパワフルだった。
それでも、3日で来る事が出来たのはレベルアップの指輪のおかげだ。
現在、レベル4,000を超えて、5,000に迫っている。
ステータスの恩恵は半端ない!!
雷十ノ助さんが言っていた「身体が羽根のように軽い」は本当だった。
本気で走ってみたら、“あの馬車”を追い抜けた!!御者にビックリされたので立ち止まって、死にそうなくらい息を切らしている風を装った。
今後は本気で走る時には人目に付かないように気をつけようと思う。
まだ、目立つ訳にはいかない。
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1時間ほど街を見ながら宿を探した。
日はすっかり沈んでしまったが、店はまだどこも開いており十分明るかった。
そこそこ良さそうな宿を見つけて中に入る。
1階は受付と食堂の様だったので受付の方に向かった。
「いらっしゃいませ。お泊まりですか?」
「はい、夕食も一緒に取れますか?」
「はい、大丈夫です。お一人様ですか?お一人様、500エルになります」
大銀貨を1枚渡して、お釣りの銀貨5枚と303と書かれた部屋の鍵、夕食と朝食と書かれた2枚の木札を受け取る。
「あと、お風呂ってありますか?」
「すいません、ウチは無いので裏の井戸か、前の通りを左に5分くらい行ったところにある、お風呂屋さんに行ってもらう様になります」
「お風呂屋さんは何時まで開いてますか?」
「21時まで開いてますよ、まだ2時間くらいは大丈夫です」
「じゃあ、先に食事を頂きます」
「わかりました。今日のメニューはハンバーグセットになります。パンとライスはどちらがいいですか?」
『!!パンとライス!?米が!ご飯があるのか!!』
「ライスで!!」
「!!は、はい、わかりました。お酒は別料金で、ビールとワインどちらも1杯50エルになります」
『!!酒もちゃんと有る!!』
「ビールも下さい!!」
「はい、わかりました。空いてる席でお待ち下さい」
オレの勢いに若干引き気味だったが、可愛らしい笑顔で注文を通しに行ってくれた。
少し待っていると、まず、ビールが来た。
ガラスのジョッキだ!!ジョッキも冷えてる!!ゆっくりと口を付ける……
『あぁ〜……うまい、キンキンとは言えないがちゃんと冷えてる!!
結構キツめだから、ビールでもエールビールなんだろうな。異世界と言ったらやっぱエールだよな!!』
飲み終わる頃に料理が届いたので、一緒におかわりを注文する。
『お…おいしい…涙が出そうだ……パンとスープ、硬いパンと干し肉の生活……異世界だからこんなものか、これが普通かと思ってた……
違う!!保存食は仕方がないとしても、城での食事は完全な冷遇だ!!
このお米も!!このハンバーグも!!付け合わせのサラダも!!
ファミレスのより美味しいと思う!!食事のレベルが低い訳じゃなかった。
多分、役に立つか立たないか分からなかったから、とりあえず安く済ませてたか、戦場に行かせる為の交渉材料にするかのどっちかだろうな……
今は美味しく食べよう!!』
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食事を終えて、お風呂屋さんに。お風呂屋さんはまんま銭湯だった。
男湯、女湯に分かれた入口。ロッカー室に浴場に入ってすぐに並んだ洗い場。奥に広い湯船。
唯一の違和感は入っている人達が堀の深い顔立ちのムキムキ。髪やその他の毛の色が色々カラフルだった事だ。“某ローマの銭湯映画”を思い浮かべる客層だった。
ホテルに戻ると真っ直ぐ部屋に。久しぶりのベットに一瞬で寝てしまった。
ステータスで身体が丈夫になっても生まれて初めての野宿生活に疲れていたようだ。
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翌朝、朝食を食べてから受付でもう1泊分支払いをして街に出た。
本来の予定では、この街は1泊して直ぐに通り抜ける予定だったが距離感の見積もりが甘かったのでしっかりと準備することにした。
何より、昨日風呂から出た時に気づいてしまった、オレの服がめっちゃ臭い事に……
当然だ。ずっと着てるんだから……
さいわいお金はしっかりある!!夜な夜な偽金作りに励みながら野宿していたからだ。
初日に作った物は失敗作だった。何故わかったかというと、無限収納袋小に入れると“金貨”と“金貨(偽)”と頭の中に表示されたからだ。
無限収納袋小、いい仕事をしてくれた。
2日目の何個目かで“金貨”の持ち数に加算される様になった。
本物の金貨として認識される様になったようだ。
“スキル 創造”での完成精度が“知力”か“器用”かどちらかのステータスに依存していて、レベルアップで精度が向上したからだろうと考えている。今後、より複雑な物を作る為にもステータスを上げて行く必要があるだろう。
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服だけでなく、幾つか目的の店があるが、まず最初に見つけたのは武器屋だ。隣に防具屋もあった。
武器を買いに来た訳ではなく、相場の確認と気になる事があったので情報収集だ。
店内をぐるっと見て周って目的の普通の直剣のコーナーで順番に見て行く。
特に装飾のない地味なやつがメインだ。
鉄の剣10,000エル、鋼の剣30,000エル、ダマスカス鋼の剣100,000エル、ミスリルの剣500,000エル……
『やっぱりあった!!オレが気になっていた事、それはファンタジー金属!!
幻の金属ダマスカス鋼、魔法金属ミスリル、きっと店には並ばない伝説的な物もあるに違いない!!
もうちょっと情報収集しよう』
そう思って奥に居た店主っぽいお爺さんに話しかけた。
「すいません、田舎の村から出てきて、これから冒険者になりたいんですけど、1番強い剣はやっぱりミスリルの剣ですか?」
「んんっ?ああ。普通に作られてる剣で1番強いのはミスリルの剣だな」
「普通に作られてる?」
「ああ。ミスリル以上のもんは全部特注品だ」
「ミスリルの剣より強い剣があるんですか!!ミスリルの次に強い剣は何の剣なんですか?」
「ミスリルの次ならヒヒイロカネかアダマンタイトだ。
ヒヒイロカネはミスリル以上に魔力との親和性が高い。アダマンタイトは単純にとんでもなく硬え」
「すごい!!でも、もっとすごいのがあるんですね?」
「そうだ。最強最高の金属、神の金属って言われるオリハルコンだ。
オリハルコンは3種類あるって言われてる。通常オリハルコンは金色で万能なんだが、魔力特化の白オリハルコンと強度特化の黒オリハルコンがあるらしい。
ワシも見た事は無いがな」
「そうなんですか、金色のオリハルコンの剣は見た事があるんですか?」
「にいちゃんは田舎から出て来たって言ってたが、王都の聖剣祭に行ったことないのか?」
「はい、王都には行った事が無いです」
「そうか、毎年王都で開かれる聖剣祭でパレードがあるんだがそこで皇太子様がオリハルコンの聖剣を持って街を周るんだよ」
「へぇ〜…カッコいいですね!!じゃあ僕もいつかオリハルコンの剣を持てる様に頑張ります!!」
「はっはっはっ!!そりゃ〜無理だ。オリハルコンの剣なんて白金貨1,000枚積んでも買えるかわかんねぇよ」
「じゃ、じゃあ、ヒヒイロカネかアダマンタイトなら?」
「それでも10,000,000エル以上はするなぁ〜…」
「10,000,000エル……白金貨1枚……」
「普通じゃあ無理だが不可能じゃねぇってくらいだな。
まずは地道に鉄の剣から買いに来い。
ミスリルの剣が買える頃には一流冒険者だ、とりあえずそこが目標だろう」
「わかりました!!色々教えてくれてありがとうございます」
『ヒヒイロカネにアダマンタイト、オリハルコン、白オリハルコン、黒オリハルコン……
夢が広がるなぁ〜……全部サンプルの金属を手に入れて、最強装備を目指そう!!』
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街の散策を再開する。
雑貨屋と本屋を発見、まずは雑貨屋から。
石鹸、シャンプーとタオルが4枚とバスタオルが2枚、小ぶりな鍋と箸とバーベキューフォーク、小さいバケツと洗濯石鹸を購入。
そのまま隣の本屋へ、魔法全集とスキル全集を購入。
2冊とも分厚くて荷物が嵩張って来たので一旦宿に戻る。
お昼も近かったので荷物を部屋に置いてから宿の食堂で昼食を取る。
肉と野菜の炒め物だったので当然ライスセットで頂く。
食後は再度散策再開。
紳士服屋を見つけたので店内へ。
ぐるっと見て周ったが今持っているリュックサックと同じくらいの大きさのバックしかなかったので「もっと大きなカバンを売っている店はないか?」と、尋ねると近くのカバン屋を教えてくれた。
教えて貰ったカバン屋で1番大きいリュックサックをお願いすると、オレが住んでたアパートの湯船くらいのが出てきた。さすがに大き過ぎて引こずってしまいそうなので、オレの身長で背負えそうなものでお願いすると大き目のキャリーバック2個分位のが出て来たのでそちらを購入して、先程の紳士服屋に戻った。
服はインナーシャツとトランクスと靴下を4枚づつ、ドレスシャツとチノパンが2枚づつ、
トレーナーとパーカーとジャンパーを1枚づつ購入して靴屋の場所を聞いて店を出た。
靴屋ではデッキシューズとブーツを購入、再度宿に戻る。
着替えを済ませて、宿裏の井戸で洗濯をして部屋に干す。
大分、薄暗くなって来たので再度街に繰り出す。
肉屋でジャーキーを30本購入し路地裏に隠れる。周りに人目が無いのを確認してから無限収納袋小に次々と入れて行く。
次はパン屋でスティック状のパンを2種類30本づつ購入しこっそり収納。
串焼き屋で焼きたての串肉も30本購入しタレがつかない様に慎重にこっそり収納。
風呂に入ってから宿に戻る。予定通り食堂には殆どお客さんは居なかったので食事を手早く食べて、昨日から受付や給仕をしてくれているこの宿の看板娘っぽい娘に声をかけた。
「すいません、ラットック村の事を教えて欲しいんですが、今いいですか?」
「ラットック村?それなら主人の方が詳しいから、ちょっと呼んで来るんで待ってて下さい」
『おっと、看板娘じゃなくて女将さんだったみたいだ。まだ、この世界の見た目年齢、実年齢差になれないなぁ〜』
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ラットック村、アイリさんに貰った地図でハルマール王国の最も南東にある村だ。
この村で準備をしてミミッサス大森林に入ろうと考えている。
宿屋の主人にはとても見えない、ショートボックスベアード髭の似合うナイスミドルな筋骨隆々の2mくらいの男性がやって来た。
「ラットック村の事が聞きたいと?」
「はい、ラットック村にはここからどれくらい掛かりますか?」
「直行の馬車は無いから一週間は掛かる。ほかの村を経由しながら向かう事になるからな」
「馬で直行だったらどれくらいで行けますか?」
「馬で直行なら丸2日か3日くらいだ。ん?馬を連れていたか?」
「いえ、歩いて行く場合の距離感を知りたかったので」
「歩きだと2週間は掛かる。食糧を運ぶ事を考えたら馬車で行った方が利口だ」
「なるほど、ご主人はラットック村には行かれた事が有るんですか?」
「オレは元々ラットック村の生まれだ。
今でも毎年夏には1ヵ月程、冒険者として魔獣を狩り行っている」
「夏に1ヵ月?」
「ああ、この辺りでは魔獣を見る事は多く無いが、ラットック村はミミッサス大森林に近い。だから、繁殖期を過ぎて夏頃になると近隣に魔獣が増えて来る。
それを間引きするのと、肉を確保する為に狩りに行くんだ」
「そうなんですね。どんな村なんですか?」
「ラットック村は林業と冒険者の村だ。
ミミッサス大森林から木を切り、ここボードードまで運ぶ。
冒険者が多いのもミミッサス大森林があるからだ。
森は奥に行けば行く程、強い魔獣が増える。
ラットック村は森の奥に行くのに最も近い村だ。
駆け出しから大ベテランまでいるが、森の奥に行きやすい分、ランクの高い冒険者が多い。
王国内で村としては最も冒険者の人数も多い。
村の住民よりも冒険者の方が多いくらいだ」
その後、魔獣の種類や特徴などの話しを聞いてから、少し多くビール代を払って部屋に戻った。
翌日、少し早い朝食を取り、ボードードの街を後にした…………
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ボードードの街を出て2日、高い丸太の壁に囲まれたラットック村に入った。
宿屋の主人には馬車を進められたが、今のオレは走った方が馬よりも早い。
そろそろ12時だが、さっき、とうとうレベル9,999になってレベルアップの指輪を外した。
10分以上前からステータスプレートを何度も開き、9,999になった瞬間「テレテレッテッテッテ〜〜!!」と1人で叫んで外した。
これを叫びたいが為に村の少し手前で座り込んで待っていた。
オレは勇者じゃないので人前では恥ずかしかったのだ。
レベルは良いが、スキルはまだまだこれから整えて行く必要がある。
少しの間、滞在する予定なので、露店で軽く腹を満たして不動産屋の場所を聞いて向かう。
不動産屋は雑貨屋の中にカウンターが1つあるだけだった。
ラットック村はかなり大きな村で建物は木造ばかりだが村自体は5大都市のボードードの半分くらいはある、しかし、冒険者が多い為、不動産屋の需要はそんなに高くないのかもしれない。
「いらっしゃい、どの様な御用件で?」
オレが不動産カウンターに近づくと、雑貨屋のカウンターから小太りのおじさんが来た。
「一戸建の賃貸住宅って有りますか?」
「賃貸住宅?毎月とか毎年とか金を払って借りるってヤツかい?
そんなモノ、この村にも、いや、この国には無いよ。アンタ、帝国の人かい?」
「いえ、王国ですけど、すごく田舎の村の出身で冒険者ギルドでそういうモノがあるって聞いたもので、この村は冒険者も多くて、長く滞在してる人も多いって聞いたので、もしかしたら有るかもしれないと思って」
「そうなのか?まぁ、冒険者ギルドは世界中にあるから一応ある事は教えてんのか?
どっちにしろ、ここじゃあ土地か土地と家を売ってるだけだな」
「じゃあ、長く滞在してる冒険者の人はどうしてるんですか?」
「ずっと宿屋に泊まるか、家を買うかだな。
Bランク以上の冒険者なら安く買えるからな」
「Bランク以上の冒険者なら安く買える?」
「なんだ、そっちはギルドじゃあ教えてくれなかったのか?
Bランク以上の冒険者は半額で家が買える。
ただし、条件付きだ。
ギルドで依頼を受けて半年以上帰って来なかったら家は売った不動産屋に返ってくる。
遠出の依頼の場合や指名依頼を受けた場合には、ギルドの依頼書を持って来たら、内容よって1年か3年のどっちかに延長して所持出来る。
って条件だ」
「なるほど、長期滞在して、実力のある人は家を買うって事ですね」
「本当に実力のあるヤツなら条件無しで普通に買うよ。金があるからな。
じゃないと、万が一、自分が死んだら一緒に住んでる家族が家を追い出されるからな」
「確かにそうですね。ちなみに、1番安い家で幾ら位ですか?」
「1番ってならこの家だな。400,000エルだ。正直、住める状態じゃねぇから解体しなきゃなんねぇ事を踏まえて土地だけ買うよりちょっと安い」
そう言って、間取り図を見せてくれた。1階はリビングにキッチン、トイレ、風呂。2階に2部屋。そして、リビングと同じ位の広さの地下室。場所は村の東の外れで東の入り口近くだった。
「Bランクでの条件付きなら、200,000エルって事ですか?」
「ああ、ただ、さっきも言ったが住むんなら建て替えが必要だから、その金がいるがな。土地だけ買うって考えとけよ」
「はい、ありがとうございます」
そう言って、不動産屋を出て宿屋を探す。
『半年たったら不動産屋に家を返すシステムか。これは使える。
ただ、買うだけなら張り出してあった1番高い7,000,000エルの家でも“スキル 創造”で一晩で余裕で買えるけど、このシステムを活用したい。
万が一、王国がオレの足取りを追って来た時に死んだ事に出来る。
まずは冒険者ランクを上げに行こう』
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3軒目の宿屋で大浴場有りの宿屋を発見。
そこで、取り敢えず夕食朝食付きの3泊予定にして冒険者ギルドの場所を聞いて出発。
ギルドの向いの喫茶店に入ってコーヒーを注文し“スキル 偽装”を使う。
雷十ノ助さん達のレベル5,000であの大騒ぎだ。
レベル9,999なんて絶対に見せられない。
王都からなんか色々頑張ってラットック村までやって来たという心の設定で、レベルは30、各ステータスは初期値の2倍、土属性魔法のレベルは3に上げた。
簡単に変更出来たのは、“スキル 偽装”を使ったら、前回変更した内容でそのまま表示されたからだ。
コーヒーを一気に飲み干してギルドに向かう。
王都からの移動届けを書いて、ランクアップの仕方を教えて貰う。
冒険者のランクアップの方法は非常に簡単で依頼を100件こなしたらランクアップ、但し2つ違う条件がある。
1つはAからSに上がるのは1,000件の依頼とソロかパーティーでAランクの魔獣を倒さなければいけない。
魔物でなく魔獣なのは死体という証拠が有るか無いかの問題らしい。
そのため、魔獣でも討伐部位ではなく死体が必要だそうだ。
もう1つは魔獣の討伐の結果だ。
依頼は自身かパーティーのランクまでしか受けられないが自分達より高ランクの魔獣や魔物に出会う可能性は勿論ある。
1つ高ランクの魔獣を倒せば10件分、2つ高ランクの魔獣を倒せば50件分の依頼達成扱いになる。
こちらも魔獣だけなのは死体の有無だ。
魔獣のランクはD、C、B、BB、BBB、A、AA、AAA、S、SS、SSSと有るがランクアップ条件に限りB〜BBBまでをBランク、A〜AAAまでをAランク、S〜SSSまでをSランクとしてカウントするそうだ。
ちなみに3つ以上上のランクの魔獣はどうなるのか聞いてみると、討伐自体無理だと思うが、2つ上と条件は変わらないらしい。
お礼を言って、討伐依頼の魔獣を一通り覚えてから宿屋に戻った。
ちなみに魔物の討伐依頼は無かったのでこの辺りには居無いようだ。
宿屋に戻って、風呂と食事を済ませて、スキル全集を開く。
「あった!!これとこれだ!!」
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スキル
感知
LV1 半径10m以内の魔物と魔獣を感知する事が出来る
LV2 半径10m以内の存在を感知する事が出来る
LV3 半径100m以内の魔物と魔獣を感知する事が出来る
LV4 半径100m以内の存在を感知する事が出来る
LV5 半径1km以内の魔物と魔獣を感知する事が出来る
LV6 半径1km以内の存在を感知する事が出来る
LV7 半径10km以内の魔物と魔獣を感知する事が出来る
LV8 半径10km以内の存在を感知する事が出来る
LV9 半径100km以内の魔物と魔獣を感知する事が出来る
LV10 半径100km以内の存在を感知する事が出来る
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スキル
鑑定
LV1 触れた物質の真偽、材質が解る
LV2 触れた生物の名前、年齢、種族、称号、レベルが解る
LV3 触れた物質の価値と効果が解る
LV4 触れた生物のステータスが解る
LV5 触れた生物のスキルが解る
LV6 見た物質の真偽、材質が解る
LV7 見た生物の名前、年齢、種族、称号、レベルが解る
LV8 見た物質の価値と効果が解る
LV9 見た生物のステータスが解る
LV10 見た生物のスキルが解る
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「なるほど……感知はLV9とLV10、鑑定はLV6〜LV10があれば良さそうだけど、念の為全部作っとこう。もしかしたら、距離と触るかどうかで精度や内容が変わるかもしれないからな」
感知と鑑定の魔導具指輪を一気に作り、今度は魔法全集を開いて土属性魔法を見る。
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土属性魔法
LV1 ストーン
LV2 ストーンアロー、ストーンバレット
LV3 ストーンウォール、グランドディグ
LV4 ストーンストーム、グランドウェーブ
LV5 ストーンキューブ、グランドディフォメイション
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グランドディグ
地面に穴を開ける
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グランドウェーブ
土の波を起こす
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グランドディフォメイション
地面を任意の形状に変える
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「魔法スキルはレベル5までしか無いのかな……違う!!
雷十ノ助さんとキヨさんは魔法レベル8だって騒がれてた。
レベル5までしか載ってないだけだ。魔法全集じゃないのかよ……
取り敢えず、今必要なのは“グランドディグ”はもうレベル3を見せてるからいいとして、“グランドディフォメイション”はレベル5か、“グランドウェーブ”で上手くいくかな?
3から4なら“頑張った”で押し切れるかもしれないけど、あっと言う間に5になったら怪しまれるかもしれないからなぁ〜。
一応レベル5まで作っといて明日、実際に使ってみてから考えよう」
“スキル 創造”、土属性魔法レベル2〜レベル5までの指輪を作った。
「後、気になるのは“ストーン”の魔法だな。
今まで、“ファイア”は焚き火に火を付けたら消してたし、“ウォーター”は使った水は捨ててたからなぁ。
“ストーンで作った石”は、一定時間で消えるのか、そのままずっと存在するのか……
あと、形や大きさの自由度がどうなのかだな。
取り敢えず、ちょっと作って放置してみよう」
“ストーン”を連発して、色々作って部屋の隅に並べる。
あくまで実験なので大きさ、形状、色などを試してみる。
指先ほどの四角い石、出来た。
拳ほどの球状の石、出来た。
レンガにブロックも出来た。
ペットボトル位の石像(美少女フィギア)、デザイン力に問題があるが出来た。
もう1つ、ペットボトル位の色付きの石像(某宇宙戦争用ロボット)、完璧に出来た。
『よし、これで放置しといてどうなるか見てみよう。
魔法は本当にイメージ力と魔力次第だな。
ブロックよりも小さい石像の方がイメージが複雑な分、魔力消費したし。
これなら、“超高温のファイア”や“お風呂に最適なウォーター”も出来そうだな。
それも明日実験してみよう』
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翌朝、朝食を食べて、雑貨屋でロープを買って、昨日見つけたお弁当屋さんで唐揚げ弁当を買ってから村を出た。
お城で貰ったリュックにナイフ、さっき買ったロープとお弁当、ポケットに無限収納袋小を入れて、動き安いようにトレーナーにチノパンで出掛けた。
オレ以外にも村から出て行く冒険者パーティーみたいな人達が結構いたのでその人達とは全然違う方に向かう。
因みに彼らはオレとは違って、しっかりと鎧やローブを装備して武器も勿論携帯している。
少し村から離れて、周りにだれも居なくなったので、レベルが高くなって身に付けた“スーパージャンプ”をする。
レベル9,999は完全に人外だと思う。
高さの距離感がいまいちピンとこないが、絶対にスカイツリーは飛び越えているだろう。
まさに“スーパージャンプ”だ!!
森の中に少し拓けた場所を発見する。
『よし、あそこで実験しよう!!…………“スーパージャンプ”は飛び上がるのは良いけど落下時間が長いよなぁ〜…家を買ったら飛行魔法は絶対研究必須だな……
これ、“ストーン”で足場作ってあそこまで行けないかな?やってみよう!!』
“ストーン”でブロックを作って、それを蹴って真横へ!!出来た!!
これなら森の移動がすごく楽になる!!
何度か繰り返して発見した空き地に向かった。
目的の空き地で実験を開始、まずは“感知”から、感知スキルは完全にソナーだった。
自分を中心に大体どれくらいの距離に人がいるな〜とか魔獣がいるな〜とかが分かる。
なんとなくだが、大きさや強さも分かる。レベルが上がると広さが変わるだけの様だったのでレベル9とレベル10の指輪だけ付けて後は片付けた。
次は“鑑定”だ。色々な種類の木で試した結果、触っても見ても内容は同じだったのでLV6〜LV10を採用。鑑定の実験はすぐに終わったが大きな成果が1つあった。
“毒”だ。食べると毒がある植物があった。
“ソロプレーヤーに状態異常耐性は必須”これは世界の真理の1つだったのに失念していた。今夜の必須課題だ。
そしてとうとう魔法実験だ。
“グランドディグ”定番の穴掘り魔法だが今回の“討伐の仕方偽装作戦”の要の1つだ。
まずは大きさと深さ、これは予想通り自由だった。次に形状だ。
筒状だけで無く、四角錐、フラスコ状に底面や側面を槍襖みたいにしてみたが全部出来た。
最後に地面を残して地中だけを掘ってみたがこれも出来た。
“グランドディグ”は予定通り使えそうだ。
“グランドウェーブ”は土の波で押し潰す、覆い被すが基本だった。
地面で形状や規模を確認してから本命の“グランドディグで作った穴の中”で“グランドウェーブ”を使う。成功、穴を埋める事が出来た。
変わった形状の穴でも試したが全て上手くいった。
『よし、“グランドウェーブ”で大丈夫だったな。
“土属性魔法”はレベル4で十分だ、忘れずにちゃんと偽装を変更しとこう。
それにしても、この世界の魔法の応用力はハンパ無いな。もっと色々試して“便利な魔法生活”を満喫しよう。その為にまず家、それから隠れ家。予定をサクサク進めて行こう。
気合いを入れて人生初狩りに出掛けよう!!』
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名前 炎の爪
年齢 152
種族 ウルトラグレートベアー
レベル 2,200
体力 500,000
魔力 100,000
力 120,000
耐久 170,000
知力 20,000
魔法耐久150,000
俊敏 60,000
器用 30,000
スキル 火属性魔法LV5、火属性耐性LV5
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少し向こうに見える、“2階建て住宅くらいの森のくまさん”
“人生初狩り”の相手としてはちょっと大き過ぎる気がしないでも無いが、向こうはレベル2,200、こっちはレベル9,999だからか全く怖くは無い。
ここに来るまでの魔獣は全部DかCランクだったので他を探すのもめんどくさい。
運び方の言い訳が大き過ぎてちょっと無理がある言い訳になるがコイツにしよう。
警戒しながらこっちを見るくま。オレの方がレベルが高いのを感じて戸惑ってる感じがしないでも無い。
いざ、戦闘開始!!
ここに来ながらマスターした“高速ストーンキック走法”で、くまの顔の横をすり抜け、首筋に延髄蹴りを入れる!!
こうして、オレの人生初狩りは幕を閉じた……
一撃だった、振り向き様に爪で反撃とかを想像してたのに……
爪や牙を防ぐ為に持っていた右手のナイフが虚しい……
気を取り直して、“ウルトラグレートベアー”を土に埋めて掘り出す。
と、そこで失敗に気が付いた。買って来たロープが短過ぎて“ウルトラグレートベアー”の手足が縛れなかった。
まさか、家レベルの大きさの生き物がいるとは想像してなかった。
これでBランクなら、AとかSには“動く山みたいな亀”とかがマジで居そうだ。
『仕方ない、言い訳が更に苦しくなるけど、“グランドディフォメイション”を使おう。
後、レベルも上げとこう……。
しまった!!自分より強い魔獣を倒したからってどれくらいレベルが上がるかわかんねぇ〜〜……
深く考えるのはやめよう、取り敢えず100上がった。そう、Bランクの魔獣を倒してなんと一気にレベルが100も上がったのだ!!よし!それで行こう!!』
ステータスを偽装して、“グランドディフォメイション”の実験を始めた……




