第4章 クルス商会②
クルス商会②
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領主夫人 ラム ルザスン
彼女はシエラールルとは別のタイプの妖艶な美女だった。
纏う雰囲気は違うが、見た目年齢も同じくらいだ。
「初めまして、この度、この街で商会を立ち上げました、クルスと申します。
本日はお時間を頂き有難う御座います」
「初めまして。今日はどんな魂胆で来たのかしら?」
「幾つか、お聞きしたい事があって来ました」
「夫に取り入りたいなら、私じゃダメなのは分かっているのよね?弱みでも聞きに来た?」
「いいえ、領主様、ご本人の事ではありません。
ラム様とお子様達のお考えをお聞きしたいのです」
「私と子供達の考え?
子供って言うのはラルとリムよね?呼びましょうか?」
「お願いします」
2人を待つ間、お菓子を出しておいた。やはり女性には甘いお菓子だ。
手土産で渡したモノも、オレの“スキル 創造”で、オレが今まで食べた中で最も美味しかったケーキを造った。もちろん、“日本の時”のヤツだ。
「「お呼びですか、母上」」
「こちら、クルス商会のクルスさん。
座りなさい。私とあなた達の考えが知りたいそうよ」
娘のリムさんは、“領主の娘”っぽく、可憐な美少女の雰囲気だったが、息子のラルさんはジャンボジュニア髭のゴツいオッサンだった。
姉と弟では無く、娘と父にしか見えない。
「初めまして、クルスと申します。単刀直入にお伺いします。
領主様が亡くなられたら、どうしようとお考えですか?」
「あら、直球ね。暗殺でもするの?」
ラムさんは軽いが、リムさん、ラルさんは顔を顰めた。
あの表情は、父親は殺されても仕方ないが暗殺は頂けないと、いった感じだろう。
「いいえ、その必要はないので。
ただ、そうなった場合はどうされようと思われているかを知りたいのです」
「ふぅ〜ん……あなた、強いの?」
「ええ、とても」
「あら、謙遜しないのね」
「いいえ、とても控えめに言って、とても強いです」
そう言って、ニッと笑う。
「なら、私に勝ったら教えて上げる」
「それは構いませんが確認です。領主様は今のラム様よりお強いですか?」
「いいえ、今は私の方が強いと思うわ」
「では、誰も見ていない所でお願いします」
そう言うと、ラムさんは面白くなさそうに言った。
「……私に勝ったらあの人が逃げるから?もう、勝った気でいるのね。
ウチの者は全て私の使用人よ、問題無いわ」
「彼女は違いますよね?」
そう言って、壁際のメイドの1人を指差した…………
必死に言い訳するメイドに“真偽の魔導具”を使って、洗いざらい話させる。
彼女は領主では無く、長男のスパイだった。
後継者争いを考えているなら、長男は父親に下克上を考えているかも知れない。
“真偽の魔導具”をあげる事で見学はラルさんリムさんだけで、屋内訓練場で行われる事になった。
ダルグニヤンには外で誰も近づかない様に見張りを頼み、4人で中に入った。
ラムさんはアダマンタイトの軽鎧にアダマンタイトの双剣を下げている。
「あなた、武器は?」
「今日は要りません、素手の気分なんです」
「そう、じゃあ始めましょうか!!」
そう言いながら、双剣を抜きつつ、迫って来た。
オレが装備を与える前の黒火一族くらいの感じだ。
左右から同時に振り下ろされる剣を一歩引いて避け、剣の腹を2本纏めて蹴り抜いて、アダマンタイトの剣を折る。
そのまま一回転して、後ろ回し蹴りをラムさんの首元でピタッと止めた。
「オレの勝ちで良いですか?」
「……ええ…………ねえ、リム……これ、ちゃんと私のアダマンタイトの剣よね?」
「…………はい……」
「ラム様、お借りしても?」
そう言って、ラムさんから折れた剣を受け取り、蹴り飛ばした刃の方へ向かい、くっつけて戻る。
3人が目を丸くして驚く中、
「もっと折れにくい剣がご所望でしたら、オレの店がオープンしたらご来店下さい」
と言って笑顔を向けたが、
「…………でも、それもあなたなら折るんでしょう?」
と言われてしまった。仰る通りだ。
「ええ、まあ。ですが、1番高い剣ならこの剣が斬れるくらいのモノは御座います」
「!!!伺うわ!!」
「!!!伺います!!」
「!!!行きます!!」
3人とも、揃っていいお返事だったので、応接室に戻った…………
応接室に入って、再度お茶が出されて、ラムさんの最初の言葉は…………
「クルスさん、あの人が亡くなったらどうするか、私の考えも聞きたかったのよね?
私はあなたと結婚するわ!!」
「「!!」」
「お気持ちは嬉しいのですが、すでに約束した相手がいますので、その後でよければ」
「「!!」」
「それで良いわ。だって、あなたは私が子供の頃お会いした、初恋の大魔王様に勝るとも劣らない強さですもの」
「「!!」」
「いいえ、そんな事は無いですよ。オレは大魔王よりも強いので大差で勝りますから」
「「!!」」
「素敵…………」
「「!!」」
驚き続ける2人の子供をよそに、最初の妖艶な雰囲気を微塵も感じない、恋する少女なラムさんは取り敢えず置いておく事にした。
「ラル様とリム様はどうお考えですか?」
ハッとして2人が我に返ってくる。
「ラルで結構です、クルス様。その……お父上になってしまいそうなので……敬語も不要です」
「私もリムでお願いします。お父様」
「それじゃあ、ラルとリムの考えは?っと、まだ、お父様は早いよ、ラム様の気が変わるかも知れないからな」
「!!私もラムって呼んで貰いたいわ!!それと、リム。お父様でいいわ!!」
「はぁ〜…、それじゃあ、ラム、話しが進まないから、こっちに来て大人しくしていろ」
そう言って、オレが自分の座るソファーの横を指すと、「はい!!あなた!!」と、言ってテーブルをジャンプして来て、オレの腕に抱き着いて来た。
「…………じゃあ、どう考えてるか教えてくれ」
オレがラムを無視して話し出したので、頑張って真面目な顔をしてラルが話し出す。
「自分は現在も少しでも、この街が間違いを正せるよう、警備局の視察は繰り返していますが、年々、悪くなるばかりです。
正直なところ、領主が変わり、継承権の義務が無くなればこの街を出ようと考えています」
「分かった。少し教えてくれ。
今まで領主や魔王に訴えたりはしていないのか?それと、継承権の義務はどんなモノなんだ?」
「領主へは訴えましたが、「自分で何とかしろ」と、言われました。
なので、領主に挑みましたが返り討ちに合いました。
しかし、もし自分が領主よりも強くなったとしても、母上同様、勝負を受けてくれなくなると思います。
魔王様へはお会いする権利が有りません。
書状を送った事も有りますが、1度も返答は有りません。
恐らく、この街の検閲に引っ掛かったものと思われます。
継承権の義務は、領地を持つ上級貴族のみの義務です。
継承権のある者は、年に1度、領主への御前試合を行います。
その順位が、そのまま継承順位になります。
そして、継承順位5位までの者は、領主の許可無く、領地を出ることは出来ません。
自分は4位、姉上は3位なので、この街を自由に出る事が出来ません。
そして、おそらく、今後もこの順位は変動しません」
『可憐な少女リムの方が、ゴツいオッサンのラルより強いって事だもんな〜。
本当に空想の異世界感を感じるな。それより…………』
「領主の子供は7人だよな、ワザと負けて順位を落とせば、済むんじゃ無いのか?
それと、上位2人はそんなに強いのか?」
「ワザと負ける様な真似は出来ませんが、どちらにしろ無意味です。
御前試合の対戦方法は、各試合毎に領主と官僚達が決めます。
ワザと負けようとすれば、不戦勝にされるだけでしょう。
そして、上位2人に勝てない理由もそれです。
自分と姉上は必ず準決勝でその2人と当たり、絶対に勝てない試合をさせられます」
「なるほど…………。
きっと本来は色々な戦況を作って、より強い後継者を生み出すルールなんだろうな」
「はい、父上の仰る通りです」
『おっと、ラルも父親認定して来た!!』
「ちなみに、ラルとリムは自分が領主になる事になったら、引き受けるか?この街を出ずに」
「…………自分はもし、そうなれば引き受けます。
僅かですが、警備局や官僚にも自分を慕ってくれる者もいるので」
「私はお断りします。母上が結婚したら、お父様と結婚します」
『親子丼が現れた!!
この世界ではオレはそんなにイケメンなのか?!
…………違うか、力が全ての魔族の“強いイコールかっこいい”の理論だな。
この2人は特にその傾向が強いんだろう』
その後、3人の事を色々聞いた。
ラムの“領主以外の相手”との子供は全員この街を出て自立しているそうだ。
ラルとリムは領主の許可が出ず、結婚はしていない。
子供はいるそうだが、こちらも全員自立しているそうだ。
ちなみにリムには現在恋人がいるが、明日別れるらしい。リムの彼氏ゴメン。
ラムのたっての希望でそのまま夕食に、そして、そのまま“お泊まり”の流れになってしまったので、ダルグニヤンはセバスと交代。報告は全て明日の朝、聞くことになった。
その夜のデザートは“予想通り親子丼”だった。
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翌朝、ラム達に凄く引き留められたが、オレも忙しい、早朝に出て、店に向かった。
会長室で調査報告と店舗の進捗状況と従業員募集の報告を受ける。
従業員の応募者は100人程と、結構多かったが、殆ど審査落ち。
他の商会からのスパイが多かったのが1番の原因だ。
結果、ローラス店長の1次面接の通過者は13名。
その13名とは、今日オレが直接面接をする様に手配させる。
各種魔導具を使って、確認事項も押さえているので、1次面接を通過した時点でほぼ採用だが、念の為の確認だ。
ちなみに、13名の内4名は“あの孤児院”のあの時の5人の内4人だった。
オレが目を付けていた2人も含まれていた。
この2人は上手く行けば将来の幹部候補だ。
クルス商会の労働条件は、週休1日、勤務時間は9時〜19時で内休憩1時間、店舗の営業時間は10時〜18時で前後の時間は準備、掃除、朝礼、終礼の予定だ。勤務内容は商品の陳列と接客。
給料は月30,000エルで結構高め。これは平均のほぼ倍くらいだ。
昇給も有り、各店を任せる主任は1.5倍、副店長は2倍、店長は3倍だ。
それ以上の幹部は業務拡大に合わせて順次作っていく。
福利厚生は、まず、制服支給。ついで、昼食の無料支給。そして、万が一の怪我や病気の場合は無償で治療を受けられる。最後に社員寮だ。
社員寮に住み込みの場合は、3食支給。
寮費は1人の場合は5,000エル、家族や恋人と住む場合は何人でも10,000エルだ。
もちろん、食事も出す。
但し、事前に申請して、審査を受けた者しか同棲は出来ない。
口だけの家族や恋人は認められない。寮に人を招くのも不可だ。
そして、同居人の出入りは店舗の裏手の、寮がある4階直通のエレベーターの魔導具からのみで、他階への移動は不可だ。
最後に最も重要な“絶対禁止事項”だ。
“私利私欲の為、商会及び仲間を裏切った場合は粛正する”と、“無断退職した場合も粛正する”だ。
粛正はハッキリと殺す事だと1次面接で伝えさせている。
“無断退職”は禁止だが、“退職出来ない”訳ではない。
申請すれば退職出来る。
但し、勤務期間の記憶の消去と身辺調査をして、問題なければだ。
“どこのマフィアだ”と、オレは思いながらの提案だったが、黒火一族の面々からは、“一般の労働者をそこまで優遇するんですか?”と、反対の意見が出た。
裏切ったら消されるのは、忍者な黒火一族だからでは無く、この世界では普通の常識らしい。
午前中は集まった順から、“会長面接”を行って行き、早めの昼食をとって、午後からは今日の1次面接合格者を“会長面接”して行った。合計30名の合格者が出たので、そこで1次募集は終了した。
合格者の振り分けはオレの面接と共に伝えた。
2名は店長付きの事務員。
この2名は例の“孤児院の2人”だ。
そして、残り28名は、従業員用食堂と各店に4名づつだ。
食堂に関しては、当分の間、メイドを1人派遣して監督させる予定だ。
ローラス店長達に、採用した従業員達に店内と寮の部屋、各施設を案内させて、入寮希望者と入寮希望家族の集計をさせて最終的に大会議室に集合させる。
入寮希望者は、今日採用された2名を足した、計6名の“孤児院組”を除く24名全員だった。
“明日の初出勤日”に同居人を全員連れて来させて審査する事になった。
大会議室でありきたりな“頑張ってね挨拶”をして、店長と主任達の自己紹介と、現在の主任達は特別でこの店が落ち着き次第、順次、別店舗の店長になる予定である事を伝える。
最後に“会長すげぇ〜”なデモンストレーションだ。
孤児院組を除く殆どは、スラムの住人だ。
病気の者や部位欠損をした者が多く、それが理由で働けず、スラム落ちした者もいる。
そういった人間を前に並ばせる。
全員黙って並ぶが、見せ物にされた様に、若干嫌そうな顔をしている。
前に並んだ者も含めて、全員の顔を見渡して、
「これから先、万が一の事があった時に君達がオレを頼れる様に、オレの力を少し見せておく」
そう言って、“神聖属性魔法”を使って、前に並んだ全員を一瞬で“完全に”治して見せた。
大会議室が大きくどよめいて、前に並んだ者達は、膝を着いて祈る様に感謝していた。
「一生お仕えします」とか「命を懸けてお仕えします」とか言われたので、
「よろしく頼む」と、カッコつけて大会議室を後にした。
残念だったのは、“スラムの子供”の採用が無かった事だ。
これは能力の問題ではなく、“スラムの子供は全員スパイ”だった為だ。
将来への希望よりも目の前の小銭を選択したからだろう…………
夕食後、シエラールルに褒められた。
「お館様、昨日の件、ダルグニヤンより聞きました。
流石お館様です。たった1日であのラム様を籠絡されるとは」
「シエラールルはラムの事知ってるのか?」
オレの質問にシエラールルが詳しく教えてくれた。
ラムは大魔王健在の頃は有名人だったそうだ。
5歳で剣を握り、6歳で魔獣を狩り、8歳でワイバーンを狩った天才美少女剣士だったそうだ。
ラムは公爵の娘、幼少期から婚姻の申し込みは絶えなかったが、全て断っていた。
そんな中、剣に自信を持ち始めた10歳のラムは言ってしまった。
「私に勝ったら結婚してあげる」と。
ラムに挑んだ子供達はことごとく敗れ、“将来的には……”と、考えていた大人たちも、流石に10歳児に挑むのは“恥”だ。
しかし、“恥も外聞も気にしない”大人が現れた。
当時、公爵の跡取りだった“現サーラールの領主”だ。
彼は当時500歳、立派な大人だ。いや、立派では無いが大人だ。
そんな彼は“10歳児の剣士”を遠距離攻撃で攻め続け、一度も近寄らず勝利したそうだ。
何であろうと負けは負け。婚約をして成人と共に結婚したらしい。
ラムの成人は黒火一族と同じ30歳だそうで、10歳がいかに幼いかと言う事だ。
ラムの武勇伝は結婚と共に無くなった。
しかし、結婚までに大魔王の御前剣術大会で10連覇を打ち立てて武勇伝の幕を引いているそうだ。
“もしもラムが大魔王城に居れば、勇者の大魔王暗殺は失敗していただろう”と、当時は言われていたらしい。
少し疑問に思って、「ラムの実力はオレが出会った時の黒火一族の平均くらいだったぞ?」と聞くと、「成人してから2,000年以上実戦無しで、私達の平均レベルなら、驚異的なのでは?」と言われた。確かにそうだ。『今度、オレの狩りに一緒に連れて行ってみるか?』と、思った。
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翌日、当初の計画よりも早く進んでいる、出店準備の修正と“サーラールの街クリーン計画”の為の情報報告を“我が家”で受けて、昼食を食べ、サーラールの街へ。
従業員と家族の入寮状況と孤児達についての提案を聞く。
入寮に関しては、全員問題無し。
家族達を集めて「家族からの情報漏洩も粛正対象の為、従業員達に不要な詮索をしない様に」と伝え、同意を得ているそうだ。
孤児達についての提案は30分前に出社させて、入浴後に出勤させてはどうか?と、言うものだった。
孤児院には風呂は無く、拭いているだけ、普段着も清潔とは言えないからだそうだ。
一瞬、『孤児院に風呂を作って、服と洗濯機の魔導具を寄付するか?』と、考えて、孤児院の所有権がオレに移ってからにしようと考え直す。
「いや、1時間前に出社させて、代わりに朝食を出してくれ。
今後、通勤をする者も自宅に風呂が無い者はそうさせてくれ。
それと、入寮者から不満が出ない様に、夕食を予定よりも少し豪華にして、休日前に限って、食堂内でのみ酒も無料提供してくれ」
と、指示を出して店を出た。
今日のお供はセバスとガリーだ。2人と共に魔法ギルドに向かった…………
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「話にならんな!!」
そう言って、魔法ギルドのカウンターから立ち上がる。
1,000件以上の魔導具と理論の提出に対して、許可が出たのは10個ほどで残りは保留か却下だ。
まあ、予想通りだ。
魔法ギルドは真っ黒ギルドだ。
領主、ひいてはドルスンダとズブズブだったからだ。
オレがスタスタと、上の階に上がって行こうとすると、5人のギルド職員が階段を塞ぐ。
「許可無く上がられては、困ります!!」
目の前の5人と駆け付ける職員達を一瞥し、“ステータスを鑑定”して、“スキル 殺気コントロール”でオレが殺気を放つと、立ち塞がった5人と、オレ達を囲もうとしていた職員たちが、全員腰を抜かして、全員が失禁した。
殺気に対しての耐性はステータスの“耐久”で決まる事が研究で解っている。
これは、シエラールルを筆頭に“そういう方が好き!!”な、メイド達の協力の元、実験を繰り返した結果だ。
シエラールルは“そういう方じゃない方も好き!!”だが…………
と、いう訳で、メイド達の“努力と悦び”の結果、“スキル 殺気コントロール”が完成した。
効果は“指定した範囲又は人物に対して、任意の強度の殺気を与える”だ。
耐久値に対して1人1人に、腰が抜けて失禁する殺気の強度を調節して与えた訳だ。
「死にたくないなら、余計な事はするな」
そう言って、階段を上がって行く。ギルドマスター室は3階だ。
2階の連中は、先程の光景を目撃しており大人しかったが、3階のギルドマスター室の前には護衛が2人いた、ガリーの方をチラッと見ると、何も言わずとも、ガリーが一瞬で護衛を気絶させた。
ドアを開けてギルドマスター室に入る。
すると、如何にも“悪い魔法使い”な爺さんが、立ち上がって何か言おうとしたので、オリジナル呪属性魔法“拷問用 無言”を放って黙らせる。
“拷問用 無言”は“使用者が解除するまで、喋る事と気絶する事を禁止して痛覚を2倍にする。但し効果は使用者と受け手の魔力にのみ依存する”という魔法だ。
これは、相手よりも魔力さえ高ければ、魔導具やスキルでの妨害や回復を受付ない効果がある。
これも、“そういうメイド”に魔導具や反魔法等を使って、夜な夜な実験済みだ。
この魔法は、簡単に口を割るヤツ用だ。
拷問を受けて、早く喋って助かりたいのに喋れない状況にして、心を完全に折ってから喋らせる為だ。
魔法ギルドのマスターが喋れない事に驚いている中、オレはスタスタ近付く。
黙っていても、ガリーは入り口に待機して、セバスのみ入って来て、周囲を警戒する。
オレはギルドマスターの頭を掴んで床に放り投げる。
「オレが誰だか分かるな?」
そう言って、“ディファレントルーム”から“あえて切れ味を悪くしてある拷問刀”を取り出し、ちゃんと見える速度で手足を切り落とす。
「!!!!!!!!…………」
声は無いが、叫んだ表情をしている顔を、“スキル 手加減”でステータスを落として、“体力”を確認しながら何度も殴る。“体力”が残り僅かになったところで“神聖属性魔法”で手足をくっ付けて“体力”を回復する。
それを黙って5回繰り返し、ギルドマスターの首に“魔導具”を付けて、“拷問用 無言”を解く。
「それは“自殺禁止の魔導具”だ。
自殺しようとしたり、外そうとするとオマエを気絶させて、オレに知らせる…………。
1度だけ聞く。オマエの従うべき相手は誰だ?」
「……貴方様です……」
「オレの出した申請を全て今日中に許可しろ」
「はい……」
セバスに目を向けると、セバスが“ディファレントルーム”から3人の男を放り出す。
魔法ギルドマスターがドルスンダに報告とオレの技術の横流しの為に出した使いだ。
2人はギルドマスターの子飼いだったので“教育”させ、1人は何も知らなかったので気絶させただけだ。
もう一度、拷問を受けるのかと、ギルドマスターが涙、鼻水、涎でぐしゃぐしゃの顔を恐怖で引き攣らせる。
「まだ、ドルスンダにも領主にも情報は行っていない。
オレの申請は“魔法ギルド本部からの圧力”で全て通さなければならなかったと報告しろ。
圧力の出所を聞かれたら調べるのに時間がかかると答えておけ」
「はい……」
「今日あった事は誰にも言うな。
あと、あの申請が全て通ればオレのランクはSだな?その手続きも今日中にしておけ。
夕方来た時に終わってなかったら……分かるな?」
「!!はい!!」
そう言うと、座り込んでいたギルドマスターが飛び上がり、90度で頭を下げた。
「分かったら、さっさと行け」
「はい!!」
そう言って、部屋を飛び出して、「今すぐ!!クルス様の申請を全て受理しろ〜!!」と叫びながら、階段をバタバタ降りて行った。
下の方で「全員でクルス様の申請許可の作業をしろ〜!!他は全て後回しだ!!2時間以内に必ず終わらせろ!!終わったら直ぐにクルス様のランクアップ手続きだ!!Sランクだ!!」と言う叫び声が聞こえた。
ゆっくり歩いて出て行くオレをギルド職員達は恐怖の表情で、ギルドマスターは土下座で見送っていた…………
まあ、これで、オレにとっては健全なギルドになった事だろう。
2時間後、店舗1階で教育を見ていると、自動ドアに魔法ギルドマスターがへばり着いていた。
セバスを向かわせると、全ての手続きが完了したと書類を持って報告して来た。
セバスに指示してギルドマスターを帰らせる。
あれでは今日の事を黙らせても怪しすぎる。
少しだけ、やり過ぎたかな?っと思った。
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5日後
今日は従業員は全員休み。店長と各主任から従業員1人1人の教育進捗と性格分析の報告を受け、幹部候補の仮決定をした。
幹部候補は副主任として、主任の休みの日の管理者として任命。
あくまで幹部候補なので、給料は据え置きとした。
教育もあと2、3日で目処が立ちそうなので、オープンを1週間後の5月10日として、明日からは教育と並行して、ローテーション休み、チラシ配り、事前会員登録を行う事にした。
ところで、この5日間は何があったかというと、ドルスンダ商会との“報復合戦”だ!!
なんと店に放火をされた!!
もちろん、“聖龍の鱗製”の当店は完全な無傷だが、報復だ!!
違法薬物を全て燃やして、奴隷を全員、本社に保護して、建物は地下もあったので、更地ならぬ凹地にした。
従業員の家族が襲われそうになった!!
もちろん、事前に我が優秀なメイドが阻止し、襲われそうになった本人は気付いていないが、報復だ!!
襲おうとした3人組と、ドルスンダ商会の“誘拐専門従業員”全54人を皆殺しにして、おでこに『誘拐してごめんなさい』と書いた紙を貼り付けた生首をドルスンダ商会の各店舗の前に並べた。
孤児院に石を投げ込まれた!!
もちろん、我が優秀な村人がキャッチしたが、報復だ!!
投げ込んだヤツは頼まれただけのスラム住人だったので、軽い教育で許したが、依頼したヤツは別だ。
ドルスンダ商会の“従業員”で殺人の経歴がある者の首を『殺人してごめんなさい』と共に並べた。
石を投げ込まれただけだが、きっちり生首を並べた。
何故なら報復だからだ!!
…………と、そんな日常だった。
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午前中に会議を終えて、オープン日が決まったのでラムの所に行く。
今日はリンドレージェと2人だけだ。
ノーアポ、顔パスでリビングへ、少し待つと3人揃ってやって来た。使用人は無しだ。
「おかえりなさい、あなた」「おかえりなさいませ、お父様」と、左右の腕に抱き着く母と娘を無視して、正面に座ったラルに話す。
「店のオープン日が決まったから、伝えに来た」
そう言って、チラシをラルに見せる。
腕に抱き着いたまま、母娘もチラシを覗き込む。
3人とも、「ほぉ〜…」とか「ふぅ〜ん…」とか「へぇ〜…」とか言って、じっくり見ていた。
「ラルは意味が分かるみたいだな」
「おそらくですが、魔導具は低所得者向け、会員制なのは強力な武器を戦場には持ち込ませず、魔獣退治に使わせる為でしょうか?」
「惜しいがいい線行ってるよ、ちゃんと低い目線も持てているな。
これなら、安心して領主を任せられそうだ!」
「!!ありがとうございます、父上!!」
まるで、オレが領主で息子に後を継がせるみたいな会話になってしまっているが、ラムの『私も知りたい』な目線とリムの『どう言う事ですか、お父様?』な視線を受けて説明する事にする。
まず、1番の目的、それは“エネルギー革命を起こして独占する”事だ。
クルス商会の魔導具は全て、“魔力電池” が無いと動かない仕組みになっている。
通常、魔導具は大きく分けて3種類、1つ目は自分で魔力を込めて使うモノ。
オレの多くの指輪類や水が出る水筒の魔導具、魔法剣なんかがそれだ。
2つ目は魔石を消費して使うモノだ。
最も多く生活に使われ、照明、冷蔵庫、コンロや風呂の給水などなど、あらゆる所にある。
3つ目は、空間魔力を吸収して使うモノだ。
これは殆ど出回っていない。前時代の遺跡の発掘品や神器などのごく一部にあるだけだ。
1つ目のメリットは壊れなければ永久に使える事。
デメリットは身に付ける物か、魔力を注げる距離でないと使えない事と本人の魔力が低いと使えない事。
2つ目のメリットは自動で動き続けること。
デメリットは魔石は一つ一つが違う為、錬金術を使わなければ魔石の交換が出来ない事だ。
錬金術を使える者を呼ぶか、買い替える必要がある。
3つ目はそもそも殆ど無いが、作れない訳では無い。
但し、出力が低過ぎて使いものにならないのがデメリットだ。
そして、何より、3種類とも総じて高い!!
冷蔵庫や空調の魔導具なんかは、小振りな物で一般人の平均年収位する。
そこで、魔力電池商品だ。
なんと価格は通常の魔導具相場の10分の1!!
そして、1つ目の魔導具と違い、魔力の低い人でも魔力電池が補助してくれるので動くし、スイッチを入れて置けば離れることも可能。
2つ目の魔導具と違い、電池は誰でも交換可能。
3つ目の魔導具と違い出力も出せる。
これによって、安くて便利になった魔導具を数多く普及させる。
但し、永久に使える訳では無い。電池の交換が必要だ!!
電池と名付けたのは電気は使わないが、便宜上良かったからだ。
この“魔力電池”はオレしか現状作れない。
“現状”はいつまで続くのか?
其れは、この世界の人間が宇宙に進出するまでだ!!
この“魔力電池”にはこの星には無い、“ルナストーン”が使われている。
命名はオレだ。
名前の通り、月から持ってきた鉱物だ。
“森羅万象”に聞いた。
“この星にある、あらゆる鉱石よりも多くの魔力を蓄えられる物質があるか?”と、答えは“ある”。
オレは宇宙にも行けるので、最も近くにあった3つ目の月まで、一走り行って来て、サンプルを入手、それを“創造”して、“ルナストーン”と名付けた。
これが手に入らない事には同じ物をこっそり作る事も出来ない。
そして、ちゃんと、偽物を使うと壊れる仕組みだ。
そして、“魔力電池”は使うと消耗が見える様にしてあり、消耗品の転売も防止している。
製造方法は書いていないが、偽物で出力が足りないと壊れる事と消耗具合の見方までは書いてあり、クルス商会は他商会に商品を卸す事は一切無いとも書いている。
完全な独占目的だ。
“魔力電池”には、魔導具の大きさと出力に合わせて、極小、小、中、大、特大の5種類があるだけで、形は黒いキューブ状、サイズが合えば、どれでも使える。
極小は5mm角で装飾品用。小は3cm角で携帯品用。中が6cm角で持ち運び可能サイズ品用。大が12cm角で設置品用。特大が36cm角で大型品用だ。
武器や防具にもこの“魔力電池”を使い、こちらは同一素材のモノの5倍、魔法効果のあるモノの半額程度の値段設定。
その代わり、武器や防具には別の目玉商品がある。
ヒヒイロカネ、アダマンタイト、オリハルコン合金を使った、超高級既製品だ。
生活用品が薄利多売で武器防具が売上増に繋がる予定だ。
売上増用の商品はもう1項目ある。
それが大型魔導具だ。大型魔導具は大きく2つ。
1つは結界柱だ。
これは、4本の柱と起動停止スイッチのセットだ。
柱のサイズが10段階あり、サイズ毎にカバー出来る範囲が異なる。
結界の効果は“柱を壊さなければ一切の出入りが出来ない”だ。
侵入も防げるが自分たちも出られない。
柱自体はオリハルコン合金でコーティングされていて、並大抵では壊せない。
万が一壊された場合は大きな警報音と上空100mまで光の柱が1時間立ち登る。
夜間警備を目的とした商品だが、実はもう1つ目的がある。
それは、戦場に持って行かせて、膠着状態を作ることだ。
お互いの本陣がいつまで経っても攻め落とせないモノになれば、戦争そのものがバカらしくなってくれればと考えている。
もう1つの大型商品が自動車だ。
この世界の馬車は非常に速い。
おそらく、先達が自動車を作らなかったのは、この馬車が速いせいで、必要に感じなかった、もしくは、需要が見込めなかったからだろう。
しかし、“オレの自動車”は、需要を確信している!!
何故なら、“持ち運び出来る自動車”だからだ!!
魔力電池は特大。これを外してキーになる腕輪の魔導具を起動すると20分の1サイズになる。
車内に荷物があると小型化は起動しないが、我が商会では“ディメンションルームバッグ”の魔導具も多数取り揃えているので、セットでのご購入をお勧めする。
魔力電池と小型化した自動車は合わせても少し大きめのリュックに収まる。
ピッタリサイズの専用リュックも着いて来て、お値段そのままだ!!
これで駐車場問題も起こらず、夢の自家用車が手に入る。
自動車のサイズは2、4、6人乗りの3種類だが、オレの趣味でデザインは色々ある。
但し、どれもオフロード仕様の高車高だ。
街道は馬車が高速で通るので、道なき道を走ってもらう。
その分、ショックアブソーバーは超優秀な仕様で乗り心地もちゃんと良い。
万が一の事故防止に前後のバンパーには、ぶつかった瞬間急停止する仕組みとぶつかった対象を風属性魔法で保護して衝撃も上へ逃す様に出来ている。
但し、車内の急停止の衝撃はそのままだ。
安全運転を覚えて貰う為と、戦場や街中で轢きまくる行為をさせない為だ。
以上が、今後進めて行く“エネルギーの支配”だ。
しかし、あくまで支配しようとしているのは“エネルギー”であって、魔力電池を使った魔導具そのものはクルス商会の許可の元なら作れるし、頑張れば模造品も可能だ。
ここは、大量の失業者を出さない為に容認している。
そして、“会員登録制”の部分だ。
現在使われている、ステータスプレートや鑑定による個人の特定には大きな穴がある。
それは“称号の変化”だ!!
例えば、ラムは今、“ルザスン公爵夫人”だが、めでたく領主が死んだら、“元ルザスン公爵夫人”になる。そして、めでたくオレと結婚すれば、“クルス夫人”“元ルザスン公爵夫人”になり、時間と共に“クルス夫人”だけになる。
これはステータスが、“本人と世界の認識”で表示されるからだ。
つまり、ラム自身が“領主の妻だった過去”を全く意識しなくなり、世間がラムを“あの人はクルスさんの奥さんだね”っと思う様になれば“元ルザスン公爵夫人”の称号は消える。
これの何が問題かと言うと、所属がコロコロ変わる事だ。
そのせいで、以前どこで何をしていたかわからない。
潜伏期間中の極悪人に強力な商品を売る訳にはいかないからだ。
そこで会員登録制だ。
これは、商品を購入毎に本人のステータスを我が商会のデータベースに蓄積し続ける。
別に、会員カードや会員アプリが必要な訳では無い。
所謂、指紋認証で手のひらをかざせば証明出来る。
登録時は両手登録するが、購入時は片手をかざせばOKだ。
指紋と魔力情報から本人を特定してステータスが記録蓄積される。
この会員登録と商品購入時の真偽の魔導具で、会員規約違反者への商品販売をしない。
ラルの言った、“戦場に持ち込ませない魔獣専用”と言うのはここにある。
会員規約
1つ、戦争及び犯罪の為の購入はしない。
1つ、全ての武器で知的生命体を攻撃しない。但し、自身に対して攻撃された場合は除く。
1つ、転売目的での購入はしない。
1つ、クルス商会と敵対しない。
以上の規約に違反した場合は今後の購入を禁止し、著しい違反の場合はそれに伴った罰則を与える。
と、言うモノだ。
例えば、“ディメンションルームバッグ”1つとっても戦争に使えば大きな戦力になる。
魔力電池で動くので、誰でも大量の物資が運べる。
カバンの中身が分からなければ、迂闊に攻撃も出来ない。
武器に限らず、戦争利用は可能だ。
その為の会員制での個人購入のみの販売だ。
但し、個人で購入して、護身の為に戦場に持って行くのは可能だ。
そして、知的生命体に攻撃出来ないなら、戦争で敵を攻撃出来ない。
しかし、攻撃されれば反撃は出来る。
そうなれば、お互いが“自分が先に必殺武器を使う”為に先に攻撃させたがる。
結果お互いに挑発しあい、“ただの口喧嘩”で終わる戦いも出て来るのではないかと考えている。
ちなみに、あえて“人間”ではなく“知的生命体”としているのは、ハルマール王国あたりが「魔族は人間では無い!!」とか言い出しそうだからだ。
と、色々と盛り込んだ“大きな商売の計画”になっている。
まあ、ひらたく言えば、“経済で偉くなって、ついでに戦争反対!!”と、言う感じだ。
▪️▪️▪️▪️
“魔力電池”の構造以外のオレの説明を一通り聞いて、
「…………強いだけじゃなくて、天才なのね……本当に世界を支配してしまいそう……
もしかして、私なんかじゃ釣り合わないかしら…………」
と、ラムが不安そうな声を出す。そんなラムの腰に手を回して抱き寄せると、
「ラムはとても素敵な女性だよ。キッチリ領主から奪うつもりだから覚悟しといてくれ」
そう言って、強引に唇を奪う。
そっと離すと、トロットロの表情で、
「はい、一生ついて行きます……」
と、つぶやいた。
反対側のリムも不安と期待の表情をしていたので、
「もちろん、リムもだよ」
と言って、同じ様に抱き寄せてキスをした。
向かいのラルは力強く、
「勉強になります!!」
と、言っていたが、店の事か2人への対応か…………
そのあと、幾つか質問に答えて、今日の目的の“お願い”だ。
「……と、まあ、こんな感じだ。それで、お願いなんだが……」
「「「はい、お受けします!!」」」
「……まだ、何も言ってないよ……。
まあ、引き受けてくれるとは思っている。
そんなに難しい事じゃない。
オープンの日、店の前でオープンセレモニーをする。その時に来て欲しい」
「それはもちろん構いませんし、元々初日に行くつもりでしたわ。
ですが、セレモニーへの参加はどうしてですの?」
「たぶん、領主がちょっかい出して来るとしたら、そのオープンセレモニーの時か、その後の会員登録のオープン記念プレゼントを渡す混み合ってる時のどちらかだと思う。
その時、一緒にいて、少し領主を挑発して欲しい」
「分かりましたわ。
ですが、1つ心配があります。
あの人の得意とするのは大規模な攻撃魔法です。
あなたや私達は問題無いと思いますが、その様に人の多い所では周りに被害が出てお店の評判が下がってしまわれるのでは?」
「それなら、全く心配いらない。オレは魔法も得意だ。
攻撃してさえくれれば、もう解決だ。
オレの考える、最悪のパターンは、領主がやって来ても、黙って何もされない事だ。
そうなったら、客は居心地が悪くて帰ってしまう可能性があるからさ」
「流石、あなた!」
「流石、お父様!」
「流石、父上!」
と、3人ともセレモニーへの参加を了承してくれた。
その日も予想通り“お泊まり”になって、リンドレージェはシエラールルと交代。
そこで以前のシエラールルから聞いた話しを思い出して、
「この件が片付いて、店が落ち着いたら、オレの狩りに着いて来るか?」
と聞くと、「是非、お願いしますわ!!」「私もお願いします!!」「自分も宜しいでしょうか!?」と言われて全員に了承する。
その夜は“狩りのお礼の前払い”をラムとリムから、たっぷりと頂いた。
よほど嬉しかったのか“前回”の3倍増しだった。