表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/132

第30章 世界③

世界③





▪️▪️▪️▪️





ドゥアールの拠点、大門をくぐって直ぐの応接用の建物に、カオス神、ウラノス神、ポントス神、ガイア神、ルーイルダー神、アラトゥーム神が揃っていた。


結論から言うと、ウラノス神もポントス神もカオス神同様に眠らされていて、オレでなければ運べない重さだったので、此処迄運んで来た。



ウラノス神は、高校生くらいの美少女だったので、特に問題は無かったのだが、ポントス神は20歳くらいの美青年だったので、頭に一瞬“BL”の単語が浮かんでしまい、服の襟を持って持ち上げ様として、服がビリビリに破れてしまった…………


仕方なく、おぶったら、今度は、背中に“アレ”が密着してしまった…………


仕方なく、仕方なく、彼もお姫様抱っこで運んだのだが、目を覚ました時の彼の上目遣いの潤んだ瞳は夢に出て来そうだ…………





と、一悶着有ったが、彼らを迎えに行っている間に、ルーイルダーとアラトゥームにも来て貰った。

名目は情報共有だが、ハリルドラの事を他の神に伝えていないと言うのは疑わしい。


“敵の可能性”が高いが、敢えて知らぬ振りで呼んだのだ。



「…………と、現状、アンラ・マユ神が何か企んでいる可能性が高いと思われます」


ギルスーレの説明に、ウラノス神達、今初めて説明を受けた神達は、全員難しい顔をしている。


「でだ、オレ達とカオス神は、アンラ・マユ神に直接問い但し、必要なら排除する予定なんだが、アンラ・マユ神が何処に居るか知っている者はいるか?」


そう、応龍もカオス神もガイア神もアンラ・マユ神の浮遊大陸の場所を知らなかった。

正確には、知っていた場所には浮遊大陸が無かったのだ。



「その口振りから、“本来の場所には居なかった”と云う事だな?」

と、ルーイルダー。


「もし、そうなら私には分かんない」

「私もです」

と、ウラノス神とポントス神。アラトゥームはいつも通り無言だ。



「そうか、じゃあ、先ずは探す所からだな。

とりあえずは以上だ。


カオス神達は暫く此処に居ると良い。

オレの配下達が現在おまえ達を眠らせた原因を探しているから、排除出来てから帰る方が良いだろう。


狙われたのは、ミクチュリアの維持を行っているこの3柱だけだろうが、ルーイルダー神達も一応気を付けろよ」


「うむ、分かった。十分に注意しよう」



「ところで、ルーイルダー神。

何で“オレがハリルドラを殺した事”を他の大神に言ってないんだ?」


「「!!」」


「…………私にカオス神達に報告する義務は無いからな」


「そうか…………じゃあ、“誰に報告する義務”があるんだ?」


「…………どう云う意味だ?」


「オレに嘘は通じない。

だから、おまえはアンラ・マユ神の居場所を“知らない”とは言わなかった。


だが、エシュアの占いで、おまえが24時間以内にアンラ・マユ神に会う可能性は5%だった」


「…………5%ならば、偶然出会う可能性ではないのか?」


「いいや、おまえが此処でオレに殺される可能性が95%だから、おまえが生き延びる、若しくはオレがおまえを泳がせる選択をする場合は確実にアンラ・マユ神に会うと云う事だ」


「…………だが、私を泳がせる選択をしなかった。

つまり、マユ様の居場所が分かったと云う事か…………」


「そう云う事だ。

つまり、アラトゥーム、おまえも敵だと云う事だ。


一応、聞くが、アンラ・マユ神は何の為に浮遊大陸に仕掛けをしたり、カオス神達を眠らせたりしてるんだ?

そして、おまえ達は何でアンラ・マユ神に従っているんだ?」


「マユ様は我ら“魔為る神”の為の世界を取り戻そうとされている。

だから、私達はマユ様に従っているのだ」


「…………“魔為る神”?なんだか、話しが長くなりそうだな。

もう一度、座って話すか。


シェーラ、悪いがもう一度お茶を配ってくれるか?


で、“魔為る神”ってのは一体何なんだ?」


「うむ…………

先程、95%の確率で私を殺すと言っていなかったか?


何故、落ち着いて話す流れなのだ?」


「其れは其れ、此れは此れだ。


話しはちゃんと聞くし、殺す必要が無いなら別に殺さない。

例えば、その“魔為る神”とかの言い分が正しいなら、別におまえ達の邪魔はしない。


オレはカオス神から対価が得られれば、別にその後はどうなっても構わないからな」


「な?!其れは、ボク達をアンラ・マユ神に売ると云う事か?」


「其れは多分無い。

オレがアンラ・マユ神と取引きをしたとしても、他人の命を取引き材料に使う事は余り無い。


それより、今はルーイルダーの話しを聞くのが先だ」


「う、うむぅ〜〜……。多分…………。余り…………」


「で、“魔為る神”って言うのは一体何なんだ?」


「うむ。“魔為る神”とは、“魔獣から生まれた神”の事だ」


「魔獣から生まれた神?

其れは、応龍みたいに魔獣の様な姿の神って事か?


獣人種族みたいに、魔獣ではなく、普通の獣の特徴を持った者はどうなんだ?」


「応龍も獣人種族の様な姿の神も“魔為る神”だ。


“魔為る神”とは、“ヒト為る神”以外、全ての神だ。


“ヒト為る神”とは、人種族若しくは天使の特徴しか持たない神の事だ」


「…………なるほど、おまえ達は、“人種族の姿の神と天使との間には、光輪を持つ天使の姿の神しか生まれて来ない事”を知ってるんだな」


「ああ、そして其れが全て“マナの系譜の者”だと云う事もな」


「また新しいワードが出て来たな。

“マナの系譜の者”って云うのは?」


「!!待て、クルス神。その話題はいかん!!

其れ以上聞いてはいかん!!」


カオス神が慌てて、オレを止めようとする一方で、ウラノス神とポントス神は既に臨戦態勢だ。

しかし、其れに気付いたカオス神が即止めに掛かった。


「ルーイルダー神、其れ以上、クルス神やガイア神達に聞かせるな!!


ウラノス神、ポントス神、矛を納めよ。

ボク達では、クルス神には歯が立たん!!」


「はぁ〜〜〜……

カオス神、オレとは敵対しないと言っていたが、残念ながらそうは行かない様だな。


“秘匿された女神”がその“マナ”なんだろう?


で、その“マナ”が、カオス神達とアンラ・マユ神達との諍いの種なら、オレは絶対に情報を手に入れる。


どうする?

“マナ”の事を此処でオレに話して、敵対するかどうか判断するか。


其れとも、聞かせない様に今から敵対するか…………」


「…………くぅ〜…………

仕方ない…………ルーイルダー神、続きを話せ…………」


「何言ってんのカオス神!!

あの方の事を教える事は絶対にしない約束でしょう?」


「そうだ!!あの方の情報は一切出さないと決めたではないか!!」


「ウラノス神、ポントス神。キミ達は浮遊大陸を持ち上げてみた事が有るか?


ボクも知らなかった。


浮遊大陸の重さは、連動した宇宙と繋がっていて、ボクが分割した10分の1の宇宙が加算された重さが有る様だ。

そして、眠っていたボク達の重さは魂が繋がった、浮遊大陸の重さが加算されていた。


つまり、そのボク達を抱き抱えて運んだクルス神は、宇宙の10分の1を軽々と運べる程の存在だ。

おそらく、宇宙そのものでも運べるだろう…………」


「そんなバカな事が出来る訳ないでしょ!!」


「そうだぞ、カオス神。

宇宙には持つところが無いんだから、オレにも持てる訳が無いだろ?」


「…………クルス神、ボクは物理的な事を言ってるんじゃない。能力の事を言ってるんだ。


言い方を変えようか?


クルス神、キミは宇宙を……そうだな、“ディファレントスペース”に入れたり、別の空間に動かす事が出来るだろう?」


「…………まあ、出来るだろうな」


「さっきから何を言っているんだ、クルス神、カオス神。

私にはキミ達の話しが全く分からない。


確かに、私を抱き抱えるクルス神はとても逞しかったが、其れでも宇宙を持ち上げるとか、宇宙を運ぶと云うのはどう云う意味なんだ?」


「ポントス神、そのままの意味だ。

クルス神はボク達とは全く別の次元の存在だと云う事だ。


はっきり言うが、ボク達は絶対にクルス神と敵対してはいけない。

ボク達が敵対したならば、クルス神は容赦無くボク達を殺すだろう。


そして、クルス神にとってはミクチュリアの存亡など全く意に解さない。


滅んでも良いと云う意味ではなく、ボク達が居ようが居まいが、ミクチュリアが有ろうが無かろうが問題なく世界を維持出来ると云う事だ」


「…………可能なのね?私達無しでも世界を維持する事が…………

其れに“ヤツら”よりも遥かに強いって事ね?」


「うん、間違いなくね。


だから、ボク達はクルス神と敵対してはいけない。

クルス神が居れば関係ないかもしれないが、ボク達の“使命”の為にも死ぬ訳にはいかないからな。


幸い、クルス神は話しの通じない相手では無い。


“あの方”の事を聞かれても、“あの方”を害する事は無いだろうし、今の“あの方”の状況を知れば、恐らく何もしないだろう」


「…………分かった…………」


「仕方なさそうだな…………」


「話しは纏まったか?

なら、ルーイルダー、続きを話してくれ」


「…………うむ…………

ハリルドラ神が何も出来なかったからクルス神はかなり高位の神であろうとは思っていたが…………

私が話す事で、マユ様が危険に晒されるのでは…………」


「ルーイルダー。おまえ達はカオス神達とは敵対関係かもしれないが、別にオレと敵対関係になるかどうかはまだ分からない。


だが、おまえ達の考えや言い分が分からない事には、判断出来ない。

判断が出来ないなら、“念の為に殺しておく”と、云う選択になってしまう。


オレは出来れば無駄に殺したく無いから、ちゃんと話してもらいたいんだが?」


「カオス神、念の為殺すとか言ってるけど大丈夫?」「話しが通じない相手では無いのではなかったのか?」と、ウラノス神やポントス神が言っている様だが、無視だ!!


彼らは、もう満場一致で口出ししないと言ったばかりだからだ!!



「…………いや、話したところで敵対する事になるだろうが…………


まあ良い。“マナの系譜の者”についてだったな。


そもそも、この世界には魔獣しか居なかったのだ。

其処に“人型の魔獣”が生まれた。


其れが“マナ”だ。


そして、マナは他の魔獣達と違い、自分と同じ“人型の魔獣”を自ら生み出して行った。

其れが“人種族”の始まりだ。



しかし、魔力溜まりから自然に生まれて来る魔獣に比べて、生み出された人種族は非常に弱かった。

更に、通常の魔獣はお互いに喰らい合い、どんどんと強くなるが、魔獣に勝てない人種族は弱いままだった。



其処で、マナは自らの肉体を使って、カオス神達3柱の“神”を生み出した。


そして、カオス神達は、“神”を増やそうとしたが、どうしても“神”を創る事が出来なかった。

其処で、“神を産む為の存在”、“天使”を生み出した。



天使達が神を宿す事が確認出来てから、カオス神達は宇宙を分割してミクチュリアを創った。


しかし、ミクチュリアが出来た事で、“ミクチュリア以外では魔獣から神”が生まれなくなってしまった。

ミクチュリアが大量に魔力を消費する為、中層世界では魔力が足りないからだ。



故に中層世界では、少ない魔力でも“神”になれる、マナが作った“人種族”からしか神に至れる者が居なくなってしまったのだ。



我らが敵と見なす“マナの系譜の者”とは、“人種族”の事だ。


そして、“ヒト為る神”とは、クルス神、おまえの様に“人種族”から神へと至った者、人種族の姿で生まれて来た者、人種族の姿の神と天使との間に生まれて来た者の事だ。


我らは、ミクチュリアの魔力の大量消費を止め、宇宙の分割を戻す事で魔獣からも神へと至れる者が現れる様にする事が目的なのだ」


「…………なるほど、アンラ・マユ神からはそう言われているのか。

ルーイルダー、おまえは自分で言っていて、アンラ・マユ神の行動がおかしいとは思わないのか?」


「…………どう云う事だ?」


「宇宙の分割を取り払ってミクチュリアを壊し、宇宙に満遍なく魔力が行き渡る様にして、魔獣からも神に至れる様にする。


此れを達成したいなら、答えは簡単だろ?


カオス神を殺せば済む。


カオス神が死ねば、宇宙を分割して居る秩序が失われ、ミクチュリアを維持する力が失われる。

そうすれば、自然と世界は魔力で満ちて、魔獣からも神が生まれるだろ?


だが、アンラ・マユ神はそうはしていない。


わざわざ、浮遊大陸なんか創って、カオス神達の力は維持しつつ、マナを手に入れ様としている。おかしいだろ?」


「其れは、ミクチュリアを破壊してはミクチュリアに住む者が行き場を失うからであろう」


「いいや、違う。


浮遊大陸が出来る前は、中層世界に直接行って新しい生命を創っていたはずだ。

なら、浮遊大陸など創らず、その状態を維持したまま、カオス神を殺す算段を付けるべきだ。


浮遊大陸は、ミクチュリアに居ながら中層世界に手を加える事と、邪魔だが殺す訳には行かない大神を眠らせる形で封印する為に在るのは明らかだ。


なら、アンラ・マユ神の目的は、別に有ると言う事だ」


「…………私達が騙されていると?」


「其れは一概には言えないだろう。

完全に嘘なのか、別の目的の部分だけ隠しているのかは分からないからな。


別におまえ達に隠し事が有るからといって騙しているとは限らない。

少なくとも、応龍達の様に完全に違う歴史を教えている訳では無さそうだしな。


どうなんだ?カオス神。おまえの話しと大体似通っていたとは思うが?」


「ふぅ〜…………黙っておくと云う選択肢は無いのだろうな…………


違いは有る。


先ず、あの方は“人型の魔獣”ではない。

其処はアンラ・マユ神の“嘘”だ。


あの方は、“ヒトが転生した魔獣”だ。


人型を取られたのは、ボク達に肉体を分け与えられた後からだ。



次に“人型の魔獣を生み出して人種族”が生まれたと云うのも“嘘”だ。


確かに、あの方は多くのヒトを生み出された。

人種族も多く居た。


しかし、あの方が生み出される前から世界には人種族が居た。



そして、“マナの系譜”とは、ボク達に連なる神の事だ。

人種族の事では無い。


ボク達と天使達の間に産まれる神は、全員、人種族と同じ姿で光輪を持って産まれて来る。

此れは、他の神では起こらない事だ。



例えば、クルス神と天使達の間に産まれて来る神は、必ず天使の特徴を持って産まれる。


例外としては、人種族と同じ姿の神同士の子供と魔力溜まりから産まれてくる神だが、マナの系譜との違いは“必ずしも光輪を持って産まれる”とは限らないことだ。



最後に、魔獣から神が生まれて来ない理由は魔力の量では無い、魔獣には神へと至る条件を満たせる者が殆ど居ないからだ。


神へと至るには幾つかの条件が有るが、その中の1つに、“創造”“調和”“破壊”のいずれかの“スキル”を極める必要がある。

此れが魔獣には出来ない場合が多い。



魔獣はモノ作りを殆どしないから、“創造”のスキルを持って生まれても育たない場合が多い。


魔獣は強者ほど、弱肉強食を行っている者が多く、“調和”のスキルも育たない。


魔獣は“食事の為”に殺したり壊したりする者が殆どで、無意味な“破壊”をする者が少ない。

だから、“破壊”のスキルも育たない。



そもそも、“創造”“調和”“破壊”のスキルは後天的に発現する者は先ず居無い。

そして、持って生まれて来る者も本当に僅かだ。


更に、魔獣は“スキル 言語理解”や“スキル 鑑定”を持たない者が殆どだから、自身のスキルも知らない者が殆どだ。

故に、“魔獣から神へと至る”者が現れないのだ。



アンラ・マユ神が“マナの名”や“マナの系譜”について知っていたと云う事は恐らく、ボク達の記憶から情報を得たのだろうから、本来なら、今言った事は知っている筈だ。


その上で先程の話しをしたならば、其れはキミ達が“騙されていた”と、云う事だろう」


「なるほどな。

典型的な詐欺のやり方だな。


ルーイルダー、カオス神はおまえ達が“騙されていた”と言ったが、おまえ達は“騙された”んじゃない。“勘違いさせられた”だけだ。


恐らく、アンラ・マユ神は1つか2つ、僅かに“間違えた”だけだ。

“嘘”をついた訳じゃない。

それ以外は、おまえ達が、“勝手にそう思い込んだ”だけだろう。


でだ、ルーイルダー、アラトゥーム。

おまえ達はカオス神の話しを聞いてどうするつもりなんだ?」


「…………マユ様に直接お聞きする。

マユ様がわざと私達を“勘違いさせた”のか、其れとも、そもそも“カオス神が嘘をついている”のかを…………」


「ダメだ。


おまえ達をオレより先にアンラ・マユ神に会わせる訳にはいかない。

聞きたい事はオレがアンラ・マユ神と話した後で聞け。


もちろん、アンラ・マユ神が生きていればだがな」


「…………そう云う訳には行かない。

もしも、マユ様が正しいなら、私は命に代えてもマユ様をお守りする」


「そうか、なら殺すしかないな。

おまえの光輪の力を使わせる訳には行かないからな」


「…………なるほど、私の光輪の力を知っているのだな。

だから、95%の確率で殺す訳だ…………」


「そうだ。さっきは言わなかったが、アラトゥームを殺す確率は40%だった。


だが、ルーイルダー、おまえが95%なのは、その“移動を司る光輪の力”が有るからだ。

その光輪の力がどれ程の事が出来るか分からない以上、“念の為殺す”必要がある訳だ」


「…………私からは、光輪の力は“奪わない”のか?」


「安い挑発だな。

奪えないんだろ?普通には…………


此れはオレの仮説だが、スキルや象徴は、“肉体か魂”に付随している。

だから、スキルや象徴を封じたり、奪ったりする場合は、“肉体か魂”に向けて発動している。


だが、おまえは“移動の光輪の力”を使って、自身の象徴を常に“移動”させているんだろう?

肉体と魂の間を行き来する形で、其れも肉体や魂の中でも場所を指定しながら。


だから、おまえを鑑定すれば、象徴は分かるが、おまえの肉体や魂を鑑定した時には、象徴が有ったり無かったりする。違うか?」


「流石だ。どの様に象徴迄鑑定しているのかは分からないが、その通りだ。


だが、分かったなら……ば……」




キーーーーン……


ルーイルダーはまだ何か言おうとしていたが、まあ、どうでも良い事だろう。

ヤツの象徴の仕組みが分かれば問題無い。



ゴトンッ


一応は苦悶の表情を浮かべたルーイルダーの首が床に落ちた。



「!!クルス神、何故殺したんだ!!

ルーイルダー神はアンラ・マユ神に騙されていただけだったのだぞ!!」


「ウラノス神、落ち着け。


シェーラ、モニターを付けてくれ」


激昂するウラノス神や睨み付けて来るカオス神とポントス神を手で制してシェーラに指示をすると、シェーラからの連絡を受けて別室からモニターが持って来られた。

そして、運び込まれたモニターには、完全に拘束された、5体のルーイルダーが映っていた。



「な!!どう云う事だ?

そうか、予備の肉体を準備していたのか!!」


「ああ。で、その予備の肉体も全てオレが回収していた訳だ。


ルーイルダー、聞こえるか?


安心して良いぞ。

おまえの予備の肉体はオレが回収していただけだ。

そして、その拘束は、スキル、魔法を封じてステータスを低減させるモノだ。


で、象徴と光輪の力対策は、その“部屋の中”では、象徴も光輪の力も効果が無いと云うモノだ。

此れなら、おまえの象徴が肉体に有ろうが、魂に有ろうが問題無いだろう?」


『…………クルス神、一体いつの間に私の肉体達を…………』


「おまえ達が此処に来た直後から、おまえ達の神殿を探ったんだよ。

だから、アンラ・マユ神がアラトゥームの神殿の奥に居る事も知っている。


ダメだぞ、おまえ達。

ちゃんと出掛ける時には、鍵を掛けて、『誰も入れるな』と言ってから出掛けないと」


「我の神殿は、問答無用で破壊されたがな…………」


「ガイア神。其れについては、ちゃんと理由を説明した筈だが?」


「そうだな。一応、説明はされたな。

だが、我が神殿が欠けらも残さず無くなったのも事実だがな…………」


「そこ迄言うならオレが建て直してやろうか?

対価次第で、CランクからSSSランク迄あるぞ?」


「!!おまえが壊しておいて、対価を要求するのか?!」


「なら、神殿は元の通りに戻してやろう。


その代わり、例の対価だが、“食の象徴”と“大地の象徴”を要求する。

せっかく、“善意”で、“食の象徴”だけにまけておいてやったんだが…………」


「!!いや、済まなかった!!

神殿は自分で何とでもする故に、“食の象徴”だけで事を納めて貰いたい」


「そうか?なら、最初に言った通りに、“食の象徴”だけで、魂の繋がりを変える魔導具と操られていた対策もしてやろう。


話しが逸れたな。


どうする、ルーイルダー?

おまえも対価次第で、最初に言った様に、オレがアンラ・マユ神と話した後で、アンラ・マユ神が生きていれば話しをさせてやっても良いぞ?」


『…………断った場合は?』


「その場合は、ちゃんと自分で研究して、おまえから全てを奪ってから殺す事になるな」


『選択の余地は無いと云う事か…………』


「そんな事はない。


オレが幾ら研究してもおまえから象徴が奪えない可能性も無くは無い。

そうなれば、オレがおまえの象徴を手に入れられない可能性も有るからな」


『…………いや、私はアステリオスの様にはなりたく無い…………

対価は、“移動の象徴”で良いのだろう?潔く差し出そう』



こうして、ルーイルダーから“移動の象徴”、ガイア神から“食の象徴”、カオス神から“ミクチュリアの情報”を手に入れた。



因みに、ウラノス神からは“可能性の象徴”、ポントス神からは“正確の象徴”を対価として貰った。


2柱ともこの象徴に大して意味を持っておらず、光輪の力に至っていなかったが、この2つの象徴はオレにとっては天敵となり得るモノなので、奪ってしっかりと対策の研究が必要なモノだ。



“可能性”は、もちろん、低い可能性を上げたり、有り得ない事に可能性を与えたり出来ては困る。

そして、“正確”は、正確さを下げる事が出来たら困る。


オレの場合、正確さが下がって、“やり過ぎて”しまったら、被害が尋常ではないからだ。



象徴はさっさと頂いて、代わりに応龍にあげたモノと同じ、魂の繋がりを変えて、“此方から浮遊大陸に干渉は出来ても浮遊大陸からの影響は受けなくなる魔導具”を渡した。


ちゃんと、コピー出来ない様にオリジナル言語を使って、尚且つ、いざとなったら破壊出来る様に普通のオリハルコンで作っておいた。



そして、“ミクチュリアの正確な仕組みと創り方”を聞く事になった…………






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ