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第27章 新たな力②

新たな力②





▪️▪️▪️▪️





象徴への対応が出来る様になり、ラムの“ゼリー状生物”やシロネコの“戦乱”などの、不要な象徴を取っ払ってから、再度、ドゥアールの神達の確認を再開した。



先ずは、フウクウ神から情報を貰った“打倒応龍”を目指す4柱の幼い神に関しては、唯の力自慢の集まりで、特に問題無く応龍にボコボコにさせて終わった。


丁度良いので、彼らには応龍のパシリとして、他のドゥアールの神達の身辺調査をさせる事にした。


オレが応龍よりも上位の神だと、身体に分からせたら直ぐに素直になった。

オレも随分と脳筋達の扱いが上手くなったモノだ。



そうして、着々と身辺調査を進めている中で、1柱の神と出会った…………





「ようこそ、クルス神様。

お待ちしていました」


「…………オレの事を知っているのか?」


「ええ、立ち話もなんですし、どうぞ」


オレの事を知っている時点で警戒は必要だが、雰囲気的には好意的な印象だ。

促されるに従って、建物内に入って行った…………



建物も少し大きめの屋敷程度で、天使も居ない。

中も普通の家の様な印象だ。


通されたリビングの様な部屋も来客用のソファーセットとティーワゴンが有るだけの簡素な部屋だ。

但し、既にお茶の準備がしてある…………



「どうぞ、お好きに掛けて」


そう言って、自分は1人掛けのお誕生日席に座ってお茶を淹れ始めた。


今日のメンバーは、オレとクリシュナ、エリカ、ミケネコ、キキリンにセバスだ。

向かいのお誕生日席にオレ、右手にクリシュナとミケネコ、左手にエリカとキキリン、セバスはオレの後ろに立ったままだ。


オレ達にお茶を配った後、立ち上がってセバスにも手渡して席に着くと、


「冷めない内にどうぞ」


と、言って一口飲んだ。


オレも一応警戒は解かずに一口飲む…………

優雅な雰囲気で淹れてくれてはいたが、普通だ…………


別に不味くはないし変なモノが入っている訳ではないが、普段からウチの妻達やメイド達の淹れてくれたお茶を飲んでいるので、舌が肥えてしまっている様だ…………



「…………ごめんなさい。

来客はとても久しぶりだったから…………」


「いや、別に不味い訳じゃないから気にしないでくれ。

其れよりも、オレ達が来る事を知っていたのか?」


「いいえ、知っていた訳では無いんだけど、今日の運勢は『運命の出会い』で300点だったから、きっと、貴方か、あの子が来ると思ってたの」


「…………色々とツッコミたいところだが、順番に教えて貰おうか…………

今日の運勢と言ったが、ミクチュリアには日にちが無いよな?どう云う事なんだ?」


「ああ、其れは、私は時間も司ってるから…………」


そう言って、腕時計を見せて来る…………


「此れは、アルファの時間か?」


「ええ、そうよ。

やっぱり、日にちや時間が無いと不便だし、ちゃんと貴方がこのドゥアールの時間を早くした後に調整もしているわ」


「…………もしかして、貴方は、アルファから転生した神なのか?」


「ええ、そう。さすがクルス神様ね。

もっと言うと、その前は日本人で、更に貴方の妻の1人のキスラエラの母親です!!」


「!!キスラエラの母親?!」


「ええ、そう」


そう言って、ずっと目深に被っていたフードを取った…………


「じゃーーん!!」


「……………………いや、別に似てないけど…………」


「そんな事無いでしょ!!

だって、私の見た目は、光輪以外はアルファに居た時も、日本に居た時も同じだから、キスラエラにも私の面影が有るじゃない!!」


オレは、クリシュナとエリカを見たが、2人とも首を横に振った…………


「確かに、日本人っぽいところは似てると言えばそうかもしれないけど、似てるとは思わないんだが…………」


「ええ〜〜!!みんな、そう思ってるの?!

私は似てると思ってるんだけどなぁ〜…………」


「まあ、似てるかどうかは別にして、キスラエラの母親って云うところと元日本人だって云うところ、あと、このミクチュリアに転生したって云うところを詳しく教えてくれ」


「そうね〜〜…………。


先ず、日本人から。


私は貴方達3人の同級生で、1,990年生まれで、あんまり大きな会社じゃないけど、一応社長令嬢だったの。


で、20歳の時に運悪く、住んでたマンションの階段から落ちて死んじゃったんだけど、その後で、アルファでスライムに生まれ変わったの。


スライムだと直ぐに殺されちゃうと思って、必死に隠れて暮らしてたんだけど、運悪く、住んでたダンジョンの階段から落ちて死んじゃったの。


でも、今度はアルファで魔族として生まれ変わったの。


魔族の時は、今はもう無いけど、スーモス伯爵家に生まれてね。

その後、ビルスレイア侯爵家に嫁いで、キスラエラが生まれたの。



キスラエラの後にもう1人息子が生まれて、キスラエラも大魔王様に嫁いで、息子もお嫁さんを貰ってしばらくは何事も無かったんだけど、ある日、運悪く、自宅の階段から落ちて、壁に飾ってあった魔剣が刺さって死んじゃったの。


でも、今度はこのドゥアールで神様に生まれ変わったの。



神様になってからは、特にする事も無かったんだけど、私は生まれた時から天輪もあって、象徴もいっぱいあったから、しばらくは、其れを色々試して過ごしてたんだけど、たまたま、別の神様と会った時に、アールドゥアーデを見れる魔導具が有る事を教えて貰って、其れで、その魔導具を手に入れてからは、時々、キスラエラや息子の様子を見る様になってね。


息子はもう死んじゃったけど、キスラエラの事は最近も時々見てたの。


そこで、クルス神様を見たのよ!!


そしたら、私の天輪がすっごく輝いてね!!

で、直ぐに占ったら、なんと!!クルス神様との相性が300点だったの!!


で、もっと占ったら、1年以内に出逢える可能性も300点!!

で、付き合える可能性も300点!!

結婚出来る可能性も300点!!

幸せになれる可能性も300点だったの!!


因みに、私の占いは100点で100%だから、300点は普通は出ないの。


だから、結婚して!!」


「……………………なんか、行動の速さだけは、キスラエラと血の繋がりを感じるな…………。

悪いけど、今の話しを聞いただけで結婚しようとは、微塵も思わないんだけど…………」


「微塵も!?」


「いや、普通そうだろう。

占いで相性が良いって言われただけで、結婚するヤツなんて…………


まあ、居るかもしれないけど、極一部だろ?

で、オレはその極一部じゃ無い」


「そんな!!

でも、私、キスラエラと同じくらい可愛いし、あの子には遺伝させてあげられなくて申し訳ないけど、スタイルも良いでしょ?


其れに、貴方の為なら何でもする、とっても都合の良い女よ?」


「いや、其れを自分で言うか?

其れに、なんだかグイグイ来過ぎてて、ちょっと疑わしい…………」


「全然疑わしく無いよ!!

だって、ミクチュリアにはお金が無いから結婚詐欺とか無いから!!」


「まあ、しかしだ。

オレは占いを信じて結婚なんてしないから、この話しは此れで終わりだ。

で、キスラエラに会いたいのか?」


「え?!あ、ああ、うん。会いたい」


「じゃあ、付いて来ると良い。

セバス、キスラエラに連絡しといてくれ」


「畏まりました」





「お母様…………」


「キスラエラ、久しぶり!!」



拠点の入り口付近に作った来客用の建物の応接室で、感動の再会を果たしたキスラエラ母子だったのだが、母の反応が軽い…………


「その反応は、本当にお母様なのですね…………

お久しぶりです…………」


「ごめんね、キスラエラ…………

胸を遺伝させてあげられなくて…………」


「本当の本当にお母様なのですね…………。

1万年以上振りの再開で、最初の挨拶がその話しというのは、お母様以外有り得ないでしょうね…………」


まあ、嘘は無いだろうとは思っていたが、ちゃんとキスラエラの母親で合っていた様だ。

なんだか、キスラエラからは、再開の喜びよりも怒りを感じなくもないが…………



「…………お母様、教えて下さい…………。

何故、あの日、あんな形で自殺を謀られたのですか?」


「え?自殺?なんの事?」


「惚けないで下さい!!

何故、私の初めての出産の日に!!

私が帰っていた日に、自殺なんてしたんですか!!」


「キスラエラ、落ち着いて。

私、自殺なんてしてないわよ。あれは事故よ」


「事故?!

あれが事故だと言うんですか?!


なら、お母様は、偶然、ビルスレイア家の宝剣が飾られた日に、偶然、留金が緩んでいて、偶然、その剣が落ちて来て、偶然、武器庫の床が抜けて、偶然、その日配布用の剣が大量に武器庫に合って、偶然、其れらが全てお母様に落ちて来たとそう言うんですか!!」


…………一体どんな事故だったのか…………

其れにタイミングも最悪だった様だ…………



「…………キスラエラ、貴方には分からないかも知れないけど、あの日、私は階段を上がっていて、自分のスカートの裾を踏んで階段から落ちたの。


足元が見え難いのは、胸の大きな女性の宿命なの…………」



本気で怒っている娘に、あくまで胸の大きさをイジる母…………



本当にそうなのかちょっと、気になって、ルナルーレを見ると、サッと視線を逸らす。

ラムを見るとゆっくり首を振る。

リムをスルーして、クリシュナを見るとサッと視線をそらし、セレンを見ると此方も視線を逸らす。

セリンは首を振って、レンはスルー、ヒィもスルー、エリカは首を傾げていた…………


スルーした面々の抗議の視線を浴びながら、“胸が大きくて、おっちょこちょい”だと、自分のスカートを踏んで階段から落ちると云う事だろうと思った。



尚も言い合いを続ける母子に、


「キスラエラ、そんなに疑わしいなら、一旦アルファに戻って、“万物の記憶”で確認してみないか?」


「!!ご主人様、申し訳ありません。

取り乱してしまって…………」


「いや、キスラエラがムキになるのは珍しいから、其れは其れで新鮮だったから良いんだが、実際に見て見るのが一番だろう」



と、云う事で、応龍の神殿経由でアルファの我が家に戻って、みんなで『ビルスレイア侯爵夫人殺人事件』の真相を見たのだが…………



「…………人間って、こんな転け方が出来るんだな…………」


「…………うん、物理法則を完全に無視してると思う…………」


「…………そうね、ギャグ漫画以外で、転んだだけで頭から落下する人初めてみたわ…………」


「…………其れに、あんなに綺麗に剣が落ちて来て刺さる事があるんですね…………」


「…………転んだ衝撃で、上階の天井が抜ける何て事が起こるとは思いませでしたわ…………」


「…………其れに、落下しながら、綺麗に鞘から抜けていって刺さってしまうなんて…………」



“万物の記憶”の魔導具で確認した結果、キスラエラの母親は無実だった。


しかし、内容は、どんな名探偵でも解決不可能な、天文学的な偶然に天文学的な偶然が重なりまくって起きた衝撃映像だった…………


キスラエラの母は、仕切りに“運悪く”と言っていたが、運が悪いにも程がある。

キスラエラが言った様に、故意に自殺したと思われても仕方ない。


みんなが衝撃を受けている中、当の本人だけは、「どうよ!!」と、胸を張っていた…………



「…………お母様、今迄疑っていて、申し訳ありません…………」


「良いのよ、キスラエラ、分かってくれたなら…………」


こうして、2人が和解出来て、めでたしめでたしと、なるかと思いきや…………



「でも、やっぱり、ずっと疑われていたのは悲しい…………。

キスラエラ、こういう時は、慰めてくれる優しい男性が必要だと思わない?」


「…………ええ、そうですね…………」


「だから、私がクルス神様と結婚出来る様に協力して!!」


「え?!私がですか?!」


「だって、私を傷つけたのはキスラエラだし、私はキスラエラのお母さんだし、キスラエラはお母さんの幸せを願ってくれる良い子でしょ?」


「…………お母様。お母様を傷つけた事はお詫びします。


ですが、ご主人様の意思を私が変える様な真似は断じて出来ません。

ご自分で、なんとかして下さい」


「そんな!!

キスラエラが応援してくれたら、クルス神様も前向きに考えてくれると思ったのに!!」


「ご自分で、なんとかして下さい」


「じゃあ、キスラエラ。

お母さんの事は任せるから、久しぶりに親子水入らずで過ごすと良い」


「あ!!待って下さいクルス神様!!

キスラエラとはもう十分なので、貴方と水入らずで過ごさせて下さい!!」



キスラエラ母の必死の訴えを無視して、さっさと部屋を出て行ったのだが…………

シロリュウが、オレに付いて来なかったのが僅かに気になるところだ…………




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