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ルナマールと戦線状況

紗雪さゆきがシフィを迎えに行ったのを確認してからわたしはわたしのやることをするために森に潜む。


生い茂った木々によって視界は悪い。ただし、それは森人とっては障害になり得ない。森と同化し獲物を待つのは森人の狩りとしては基本になる。木々に視界を奪われていては難易度は跳ね上がる。

だから、身につけたのかもしれない力。森に潜みながらも木々を避けて視界を確保する能力。それをふんだんに使いながら辺りを見回す。


能力なんてたいそれたことを言ってはいるが、簡単に言えば木々が状況を教えてくれるに過ぎない。耳をしっかりと傾けなければ誤った知識はわたしを殺すことだろう。


「ギリギリって感じね」


笑みを零しながらミィの方向に体を動かす。

未だに飛び出した様子はない。


「ぎゃーーーーーー!!」

「うわっうわっ!!」


時折聞こえる悲鳴は襲われている人たちの者だろう。バレている者はことごとく狙われる。

射程圏内であれば、牽制で一発撃つようにしている。

威力の弱い武器だけど護身用としては十分。弾数も他と比べたら豊富なので出し惜しみせずに使える。

視線の端を飛んだ巨鳥に再び弾を撃ち込む。

たった一発。頭に受けただけで地面に倒れ込んだ。


「弱い。弱すぎる」


見た目に対して脆すぎる。

これならこの前に戦った狼の方が手応えあった。

少なくとも、今使っている威力の拳銃では毛皮を傷つけることはできなかっただろう。


数だけを揃えた?

でも、そうだとしたら迎撃は楽なはず。なのに上手くいっていない。

戦士が少ないとしても戦える者がゼロではないはずだ。

脆いならば射程に入った瞬間に矢の雨を降らせることだってできるはず。それが分からなくとも誰かが攻撃してもおかしくない状況で何もしない。


やられて悲鳴を上げるだけ。


不思議でならない。

確かに上空を支配され、圧倒的な物量差。不利ではあるけれど諦めて命を差し出す理由にはならない。

村の防衛として役に立たないのならば、矢面に立つ前に逃げ出すのが一番だ。後々非難されるかもしれないけれど、命あっての物種。


「囮に使うにしても杜撰だものね。獣人みたくポンポン産まれるもんじゃないのよ?」


やれやれと首を振る。

長命だからこそ産まれる数は少ない。短命だからこそ数が産まれる。種族というものはよくできている。


わたしはどうするか。


「このままゲリラしてても好転はしないでしょうし、策を練る必要はあるわね」


辺りを伺う。

視界の片隅。妖精の集まる場所を発見。

シフィみたいな交渉はできなくとも話を聞いてくれる子がいるかもしれない。

戦力になるかは不明でもぼっ立ち森人よりは使えるかもしれない。

希望を胸に突き進む。

ここで死んでいいわけがない。目標は、まだまだ先なのだから。

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