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森の洗礼

一晩明け、即座に出発を決めた。

ミィに高いところから現在地と村の位置を確認してもらってから向かう方向を決めた。

道という道はない。大きな馬車は通るのが難しく。そこそこに広い場所を自然と選んで進むことになった。

草木をかき分け、魔物に注意しながら森を進む。

馬車は木の根っこや石などで大きくバウンドするので乗ることはできず、コルトに頑張ってもらうことになった。

太陽の位置を確認しながら何度も自分たちの居る場所と出口。村の位置を調べる。時にはシフィやルナ姉に頼り妖精や植物から情報を得る。


その結果。


「出られない?」

「そうね。出してくれそうにないわ」


迷っていた。

迷わないように迷わないようにとルートを選んでいたはずなのに、森から出ることができない。

道が閉ざされていたり、極端に狭くて馬車が通れなかったり、行きたくないほうにしか通れそうな場所がなかったりしたのが原因だ。

森を破壊しながら進むのであれば問題はなかったのだが、数少なくなった自然を壊しながら進むのははばかられた。


終末戦争が終わって長い年月が経っているにも関わらず回復しない環境。当時に使われた武器のせいなのだろうと言われているが、罰だとも言われている。

減ってしまったものを戻すための活動も魔物が踏み荒らす。機械兵が破壊する。

負の遺産ばかりが増えていく世界をどうにかしないと終わりに向かって進むことになるだろう。


『どうする〜大人しく導きに従う?』

「う〜ん」


この森に意思があるのか、私には分からない。声が聞けるのであれば違うのだろうけれど、そんな特別な力は森人にしかない。

シフィは何かしら気づいているようだが、主張するつもりはないようでフワフワと楽しそうに飛び回っている。途中で虫を落とすかのようにルナ姉に叩かれているけど、友情があるからなのだろうとスルーする。目の前で飛び回られるのが癪に触ったのだろう。


「ミィ。通れそうな道は?」

「ないよ〜上から見てもまだまだ出口遠い〜そもっそもクルクル回ってるから無理」

「ルナ姉の考えは?」

「一度向かうのはアリかもしれないわね。ほんっとうに行きたくはないわよ。無駄にプライドの高い頭悪い奴らのとこなんて。でも、そっちからなら抜けられる道があるかもしれないもの」

「そっか」

『ねぇねぇ。あたしは? あたしには聞かないの?』

「······シフィはどうしたい?」

『そっか〜ちょーぜつ可愛いシフィちゃんの意見が欲しいか〜そっかそっか〜』


上機嫌で笑いながらクルクル回る。

調子に乗ると分かってたから聞きたくはなかったけど、ずっと聞いて聞いてアピールされるのも理解してたので仕方なく口にしたのだ。


『オススメとしては行くべき。森の妖精たちは困ってる。あたしたちの力が必要よ!』

「あ〜そうなんだ」


ビシッと指さすのはまだ行っていない道。村へと繋がるであろうルート。

妖精たちが求めているなら行くしかないか。ルーフェンさんに止められてはいたけど仕方ないよね。


「行こう」


目的地は決まった。

この選択がどんな結末を生むのか。今の私には想像できない。

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