遺跡探索
コルトに馬車を任せ、帰ってきたシフィが勝手に用意した布団の中ですやすやしてるのを確認してから、私たちは遺跡へと足を踏み入れる。
半分森に埋まった建物は、これから向かう予定の森人の村が近いことを示していた。鬱蒼とした森の中を馬車で移動できるのか不安はあれど、ルナ姉は行けると断言しているので今は気にしなくてもいいのだろう。
「研究所。かしらね」
「文字がかすれてるけど、そう読みそう」
「古い文字~ミィは分かんない」
建物の中にまで植物は入ってきているが、中は破壊されていない。錆びれてはいるし、ところどころ罅が入っているけど、歩くのに支障はない。
薄暗い建物の中は外から入ってくる光がなければ一寸先さえ見えない。
「灯りは二つ分ね。広そうだし別れましょうか」
「どうやって別れるの?」
『あたしは紗雪がいい!』
ぴょこんと陰から顔を出したシフィが私たちの前で大きく手を上げる。
馬車で寝ていたから置いてきたはずなのでビックリして固まってしまった。
「起きてたの?」
『ちょっと目が覚めたらみんないないんだもん。それでフラフラって来たら分担するって言うし、それなら、紗雪がいい!』
「ん~じゃあ、ルナお姉ちゃん。一緒に行こ」
「仕方ないわね」
はいと渡されたランタン。
大昔に作られた品を現代に蘇らせたものだ。昔と全く同じとは言わないので使い勝手はそんなに良くない。それでも、灯りは重要なので使わざるおえない。
灯りをつけると奥に道が見える。
階段があり、廊下の先に道もある。パッと見ただけで探索箇所は多そうだ。外から見た限りは三階くらいあったけれど、階段の向きから地下もありそうである。
話し合いの結果、最初は左右に別れ、次に上下に別れることになった。地図があれば分かりやすかったのだが、かすれてしまって読めなくなっていた。
間取りも途切れ途切れになっているので目的の場所がどこにあるのか分からない。しらみつぶしに探すしかないので、じゃんけんでまずは左右に別れる。
私たちは右。ルナ姉たちは左に決まり、手を振って移動を開始する。
武器は一応持ってはいるけれど使うことは多分ないだろう。魔物は入ることができない。入れるとしたらそれ以外。機械兵なんて出てきたら一巻の終わりではあるので、それだけは注意が必要だ。
見向きもされていない遺跡にいるとは思えないけど――




