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遺跡

教えてもらった遺跡は地図に書かれていない場所だった。わざと地図に記載してなかったのか別の場所と勘違いしているのか。今の私たちに判断する術はないけれど、目の前まで迫ったその遺跡の大きさに目を丸くする。


「おっきい!!」

「周りには武器の山ね。あのおじいさんはここから持って行ったのね」


 風化した武器たちが墓石のように地面に刺さっている。いくつか崩れているし、穴が開いてそのままになっている場所もある。中まで入っているのかは分からないけれど、この辺りには何度も来たことが伺える。

 

「ここまで一日くらいかかったけど、よく来れたよね」

「馬車でのんびり一日よ? 戦士が走るなら半日で往復はできるでしょう」


 できるだろうけれど、わざわざこんなところまで走ってきた理由があるのだろうか?

 聞いていればよかったのだろうけれど、当の本人はすでにこの世にいない。あの戦いで命を落とした一人だ。本当に多くの命が失われた。

 私たちの力不足で――


紗雪さゆき思いつめちゃダメよ」

「でも、もっとうまくやれたんじゃって······」

「戦うと決めたアイサと対立してまで戦わないで引きこもった人たちよ。戦えば、もっと被害減らせたかもしれない。強くなっていれば抗えたのかもしれない。そうでしょ?」

 

 確かにそうである。

 かもしれない未来を思えば、後悔しかなくなる。それを言ってしまえば、村を襲われた時だってやれることはたくさんあったはずだ。それを何もしなかった。できなかった。


「まっミィだけは違うでしょうけど」

「み?」

「あなたは一人で大量の戦果を上げたじゃない」

「あ~にゃ」


 てへっと舌を出して顔を擦る。

 あまり話す気はないようだ。私たちでは全滅していた戦いを一人で勝ち抜いた方法はすごく気になるけれど、話す気がないのに無理矢理に聞き出すつもりはない。いつか話してくれる時が来ることだろう。

 

「あっ結界」

「そうね。でも、いつも見るのとはちょっと違うわね」

「うん。魔物の侵入を完全に防ぐことを目的としてるみたいに感じる。他にも、色々含めてるみたいだけど分からない。魔法陣を見ても理解できるか······」


 どこに魔法陣があるのか分からないから正確な答えを手に入れることができないけれど、肌感で何となくの効能が分かってしまう。それだけ結界に入った時の感覚は違うのだ。それを理解できるだけの経験が生きたところである。


「それだけ特殊なところっことよ。何か特別な理由があるかもしれないわね」


 ニヤリと微笑むルナ姉。この遺跡が特別であるならば色々なことを知られたり、特殊な武器があるのかもしれない。期待しすぎてもいけないとは分かっていても、胸の高鳴りを抑えられない。


 この先に、何が待っているのだろうか――

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