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妖精の噂話

「それで、準備って何してたの?」

『ん〜応援要請と噂話かな。すっごい情報聞いたの!』

「手短にお願い」

『はーい』


戦う意思が狼たちに伝わったのか、襲いかかってくる頻度が増えた。下手をすればやられるために手が離せないことがシフィにも伝わったようで、手短に教えてくれる。


簡潔にまとめれば内容は二つ。

どうして狼たちが襲ってくるのか。

主戦力の数。

この二つである。

主戦力は、私たちを襲っている進度の低い狼とは別に獣人を食べたであろう二足歩行の狼たち。ボス一体に取り巻きの子供五体の計六体が主戦力らしい。軒並み進度が高く。下手な戦い方ができないそうだ。


もう一方の理由は、簡単に言えば復讐だ。

魔女様が行った討伐は狼たちのところだったそうだ。そこまでは予測が着いていた。予想外だったのは、討伐途中で機械兵が乱入したことだった。

機械兵の唐突な乱入により討伐は一時中断。物量に押し負けて撤退する運びとなった。そのいざこざの中で狼たちも逃げ出したようだが、女王を討伐され子供を一体連れて行かれたそうだ。その復讐と受けた傷を癒すためにアイサさんの村を食料庫として襲いかかっていたのだという。


魔物が多数いて、襲っても倒されることのない安全な食料庫は進度の低い魔物でも大量に運ぶことが可能。それで傷を癒し、戦力を増強して仇を討つつもりだったのだろう。

考え方が大分人間的であるが、人を食べた魔物にはよくあることだと聞いたことがある。

知性があるからこその感情を持ち合わせている。状況さえ違えば、手を取り合っていたかもしれないと考えれば胸が苦しくなる。


『さてさて。この話を聞いて、紗雪さゆきはどうするの?』

「この村を救う。弱肉強食だとしても、ここで全滅していい理由にはならないもの」

『どうやって?』

「傷を癒すために食べていたならば、まだ完治してない可能性がある。そこを突きたい」


あくまで希望的観測だ。

妖精の噂話がどこまで真実なのか判断はできない。それでも、そんな藁のような話に縋るしかないのだ。


「シフィ。力を貸してくれる?」

『当然。ミィだって同じことを言う。頭でっかちのルナは知らないけどね〜』

「説得は任せてよ」


やることは決まった。覚悟も固めた。

後は実行するだけである。


『あれ見て!!』

「あれ?」


チラリと視線を向けた先。空中へと打ち上げられる姿があった。

ミィがダランと脱力したまま空へと向かっている。


「ミィ······」


小さく零した言葉は風に巻かれて消えていった。

あの子が退場してしまえば、計画が全て破綻する。

一体、どうしたらーー

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