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オープニング

暗い森。どこまでも漆黒が支配する深い森の中。いくつもの影が音もなくするりと歩く。

見回す限り光源はなく。目を細めて見える世界は闇に染っている。

それでも、彼らはなんの問題もないと森を進んでいく。


「魔女様が発見した群れはこの先だな」

「ああ。木々もこっちだと言っている。先遣隊の話だと相当の群れとのことだ。油断はするなよ」


 体を毛に覆われ、猫のようしなやかな体躯の男。カーラスと長い耳を生やしたイケメンのフレットが互いの拳を合わせる。

 獣人と森人。相容れない二つの種族であったのだが、軽口を叩く二人はそんな様子を微塵も感じさせない。長年の戦友であるかのように互いを信用しているように見えた。

 

 鼻をヒクヒクと動かして辺りを確認するカーラス。耳にグルルと唸り声が入ってくる。闇に紛れているが、何者かが近づいているのが分かる。


「これは奇襲を仕掛けるのは無理だな」

「そのつもりもないくせによく言う」


 カラカラと笑いながら拳を構える。その隣では弓に矢をつがえる。

 結果は一瞬。ほんの少し交差しただけで唸り声を上げていたものたちが倒れていく。準備運動にもならないほどに簡単な相手に拍子抜けしながらも、油断することなく奥へと急ぐ。

 他のポイントから向かっている人たちに遅れないようにしないといけないのだ。

 目標地点まであと少し。

 

「もうすぐ夜が明ける。お嬢が起きる前に終わらせたいもんだ」

「そっちのお嬢さんは大変だよな。どんどん強くなる。対してこっちの娘は、なぁ」

「内側に熱いものはあるけど、あんまり表に出さねぇからな」


 ケラケラと笑いながら談笑は続く。

 彼らにとっては難しくない戦いのためか穏やかだ。


 強力な魔物が群れを成している。魔女様がもたらした情報を手に討伐隊が森を行く。

 待っている人たちがいる。だからこそ負けられない。そんな彼らの後ろに蠢く黒い影。

 闇はいつでも、彼らを飲み込もうと迫っている

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