February
法廷
「あなたは遅くまで仕事をしてストレスを感じることはありませんか?」
『もちろん仕事柄、かなり帰りが遅くなることはありますよ』
「疲れ切って自宅に帰った時に、あなたが大切にしていたものが壊されているのを目にした場合、どう思いますか?」
『そら、腹が立つでしょうね。ただ・・』
「そうでしょうね。裁判員の皆さま。今回の事件のようなケースは誰にでも起こると思われますがいかがでしょう」
『い、意義あり、意義あり、裁判長!』
【被告人、あなたはこの法廷において、自ら質問することは差し控えてください。今は、あくまで検察官の質問に対して発言することに専念してください】
「申し訳ありません。刑務所で裁判の本を読んだものですから、つい自分も真似してみたかったものですから」
【よろしいですね。それでは検察官、質問を続けてください】
『はい、被告人、あなたは仕事で疲れて帰った時に、大事に保管していたタヌキの置物が壊されていたのを見て、かっとなって同居人に危害を加えたことを認めますか』
「はい、あまりにも腹が立ったものですから」
『そして、その置物が盗品で以前にあなたが盗んだものであることも』
「はいその通りです。ついつい欲しくなり間が差して、盗んだことも事実です」
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医療崩壊
「報告します。ただ今、大量のビールが流入しております」
『わかった。代謝マシンを作動して様子を見よう』
「今度は酎ハイが流れ込んできました。しかも種類も様々です」
『どうもいつもよりペースが速い。抗体液の注入を準備しろ』
「緊急連絡。日本酒が冷で混ざり、現在三濁の状態のようです」
『まずい。胃長に、経口部に対して摂取拒絶信号を送るように勧告しろ。保護フィルター強化。あらゆる手を尽くして悪化を防ぐんだ』
「肝長、対策の効き目がありません。更にウィスキーが流入、それも低級のものだそうです。マシンも全開状態でこのままでは分泌、合成機能にもダメージを与えそうです」
『やむおえん。血路を通じて各臓長に緊急事態宣言発令を通告。脳長にノックダウンを依頼せよ』
「は! 了解しました」
(兄さん兄さん、こんなところで寝ていると風邪を引いちまうよ)
(ウェ!)
(あーあ、ゲロ吐いてるよ。飲みすぎだよ)
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多重人格者
(精神科医)
「これからあなたに催眠治療を施して、脳の深層に潜んでいる他人格を抽出し除去していきたいと思います。よろしいでしょうか」
(患者)
「先生、ぜひお願いします。私が記憶を無くしている間に色々と問題を起こって困っています。すっきりしたいんです」
(精神科医)
「それでは始めます。あなたの目の前のメダルを注視してください。ゆっくり揺れますが目を離さずに追ってください。すると少しずつ眠くなります。眠くなる。眠くなる。よろしい目が塞がりましたね。今度目が開いた時は深層部の人格が現われます。いいでしょうか、いいですね。 では目を開けてください。皆さん、一人一人出てきてもらって、サヨナラのご挨拶を」
(A)
「チェッ、ふざけんじゃねえよ。俺が何したっていうんだよ。出て行ってやらあ。ばあか!」
(B)
「ぼくちゃん、もっともっと遊びたかったな。呼んでくれたらまた来るからね」
(C)
「まあ何てことでしょう。でも可哀そうだから行ってあげるわ。私のこと忘れないでね。バイバイ」
(D)
「学識豊富な私が去れば、この男は無能な木偶の坊に成り下がるだろう。思い知るがよい」
(精神科医)
「どうやら皆さん行ってしまったようですね。それでは元に戻します。 はい、目を覚ましてください。治療は終わりました。気分はどうですか」
(患者)
「・・・・・」
(精神科医)
「どうしました。もうあなたは以前のような記憶喪失に陥ることはないのですよ」
(患者)
「■▲Φ§¶ΘΠΔ」
(精神科医)
「しまった。本来の人格までもが消滅してしまったようだ」
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#つぶやき
(野党議員)
「企業担当者はあなたと面談し、便宜を図ってもらったと言っていますが間違いありませんね」
#キオクニナイ・キオクニナイ
(官僚)
「この件に関しましては、記憶にございません」
(野党議員)
「おかしいですね。実際には認可されているんですよ。どうお考えでしょうか?」
#セキニンツウカン・セキニンツウカン
(官僚)
「この件に関しましては、責任を痛感しております」
(野党議員)
「では、どのように責任をお取りなんでしょう」
#サイハツボウシ・サイハツボウシ
(官僚)
「この件、いや、今後は再発防止に努めて参ります」
(野党議員)
「もう一度聞きますが、担当者と会われたのではないですか?」
#キオクニナイ・キオクニナイ
(官僚)
「この件につきましては、全く記憶しておりません」
(野党議員)
「議長!議長!」
(野次多数)
(議長)
「静粛に!静粛に!」
(議場騒然)
#ジョウデキ・ジョウデキ