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まだ更新します。

 どこで奴隷売ってんだろう。路地裏を探したけど、声はかけられなかった。


 死んだ目をしていたら、大体声かけられるのに。ちょっと身ぐるみ剥がされて、騙されて、身分を貶められれば、死んだ目になれるのにな。


 俺だって日本じゃよくそういう目にあってきた。学生時代は告白されて、実は冗談でしたー。お前キモイ。とか言われたし、社会人になっても、騙されてネットに晒されたりくらいする。


 上司にパワハラされてみんなに笑われることだってあった。お前は風俗で我慢しろよなんて馬鹿にされることくらいあったわ。


 でも、声をかけられなかった。俺の目は生きているらしい。


 高校生よりも社会に希望なんて持ってないのにな。


 俺は酒もタバコもしないのに、会社の可愛い女の子は、変な香水をしたチビのイカつい男と付き合った。


 寿退社していった。


「奴隷欲しいな」


 裏切らない愛情が欲しい。俺だけを見てくれるような女の子が欲しい。


「チートが欲しいな」


 気に入らない奴をぶっ飛ばせる力が欲しい。


「ままならないな」


 世界はどうにもならないや。


 やる気が無くなったので、今日は寝ることにした。奴隷が欲しかったので、宿にも止まらず、そこら辺の橋の下で、体を洗って寝た。


 朝。


「おはよう」


 顔も洗ったし下着は乾いた。今日も一日頑張ろう。


 昨日は奴隷を買えなかったので、今日こそは奴隷売りを見つけ出して買うつもりだ。


「あ、怪しい人だ」


 早朝に、フードを被って路地裏へ消える人を見つけた。奴隷商人かもしれない。追いかけよう。


「なんだてめぇ」


 追いかけると、すぐ路地裏を曲がった先でフードの人が待っていた。


「奴隷商人ですか?」


「ああ!? 元だよ元!」


 俺が大きな声で尋ねると、男は周囲を警戒しながら小声で答えた。


「元なんですか?」


「この国じゃあ個人奴隷なんてもう扱っちゃいないよ。違法奴隷になるからな」


「なんでですか?」


「個人奴隷だと効率が悪いんだよ。すぐ使い捨てる奴とか、扱いの悪い奴がいるからな。国で一括管理にして、奴隷区域を作ってそこに住まわせてんだ。んで、街の清掃とか、そういう人のやりたがらないところに当ててる」


「奴隷娼婦っていないんですか?」


「性病が流行るからってんで無くなったな。身売りも禁止だ。最低限の衣食住は保証されてるから、そういうことをやる奴も少なくなったしな。奴隷娼婦だと病気になった時の費用が払えないから一気に流行するんだよ。捨てられるってんで誤魔化す奴もいるしな」


 ダメだった。奴隷は公共の物になっているらしい。それでも人権はないっぽい。


「そうですか……」


「国外から持ってくんのはアリだぜ。そういう時は税金がかかるから気をつけろよ」


「ありがとうございました」


 元奴隷商人に頭を下げて路地裏を出る。


 奴隷が欲しい。なら、移動するか。目指せ国外。時代は海外よな。


 大きな船が止まっている場所へ近寄る。


「すみません。国外へ行きたいんですけど」


「この船から直通じゃ行けないよ」


「お金、どれくらいかかりますか?」


「旅行なら最低でも銀貨五枚ってところかな」


「そうですか。ありがとうございます」


 船番っぽい人に感謝をしてその場を離れた。


 国外にも行けない。奴隷も買えない。冒険者にもなれない。お金が無い。


 働くか。


 だが、資格を持たない俺は多分あまりいい職業にはつけない。年齢もそこそこ。転職するにはちと厳しいものがある。異世界で業務経験者とかって無さそうだし。


 何より、この世界の事を勉強する必要がある。色々知らないからな。相場とかも。


 冒険者になるにしても、お金とそれ以外に資格勉強が必要だ。時間の取れる、そこそこ楽な仕事を探さねば。


 今の俺に趣味はない。資格もない。なら、時間のある仕事って一択だよな。


「警備員。なりますか」


 衛兵だと街の侵入者捕まえるの大変そうだし、冒険者ギルドの警備員になろう。


 いざ、冒険者ギルド。


「警備員って募集してますか?」


 また会いました。受付嬢。


 彼女は既に俺を呆れた顔で見つめている。その表情がたまらない。美人に見つめられるだけで興奮するぜ。


「はあ……ギルドガーディアンなら、ギルド員以上に強くなくてはならないですよ。通常ギルド員から昇格するものですし」


「そうなんですか」


「あの……なにか、スキルとか持ってないんですか?」


 異世界らしい提案が来た。


 いや、今どき会社でも使うか。


「英検二級と数検一級があります。あと、パソコンが出来ますね」


「は、はぁ……」


「あ、えっと。海外言語と計算技能、機械操作ですかね」


「それなら、魔術師ギルドの方が向いていると思うのですが……」


 魔術師ギルド。ということは戦士ギルドとかもありそうだ。


 大盾持った重戦士か、童貞魔法使いの二択か。


「戦士ギルドに行きます」


「いえ、戦士ギルドはありません。傭兵ギルドならありますが」


 無かった。でも傭兵は嫌だ。負けたら陵辱とかされそうだし、荒くれ者しかいない印象だ。

 でも、襲われたいとはおもう。圧倒的パワーでひっくり返されて、プライド粉々にされながら襲われたい。


 俺、喧嘩出来ないしな。


「魔術師ギルドに行きます」


「そうですか。西に本館があるので、近くまで簡易的な地図をお渡ししますね」


「ちなみに資格とかって欲しいんですか?」


「魔術師ギルドは、実質魔法研究所なので、特別な資格はいらないですね。ただ、研究費とかを稼ぐ必要はありますが……。詳しい事情はそちらで聞いてください」


 資格いらないっぽい。大学とかの研究室みたいなものなのかな。よくわかんないけど。


 俺の大学生活はバイト生活だったからな。サークルとかにも入らなかったし。


 受付嬢から貰った地図を片手に魔術師ギルドを探す。


 時々運河のせいで思うように進めなかったが、たどり着いた。


「やっと着いたぜ」


 魔術師ギルドだ。

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