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書き上げ次第随時更新していきます。

 俺は異世界転生した。


 真っ白な空間で、神様に会って、死んだと宣告された。


 チート欲しがったら怒られた。こっちの手違いでもないのに図々しいって。


 死因はなんだって聞いたら、生物兵器で死んだらしい。今流行ってるもんな。それでも出社したら、移ったっぽい。


 怒られたまま、異世界転生させられた。日本にいた頃と同じ姿だった。


 少しだけ街と離れた場所に、ぽつんと立っていた。


 周りは川が多くて、足元にも小川が流れている。小さなおたまじゃくしっぽいのが俺の真下を通った。


「あ、俺だ」


 川に反射して俺の顔が移った。マジでブサイクだった。スマホの画面消してふと見た時に見るような、そんなブサイクヅラをそいつは晒していた。


 三十過ぎの中年オヤジがそこにいた。


 よう、相棒。


 こいつと生きてきて、既に三十年以上。だんだんブサイクになってきてる気がするが、そんなもん見慣れた。


 ──やっぱ見慣れないわ。こいついつ見てもブサイクだなって思うもん。


 近くに見える街に向かう。踏み出した足元を泥が跳ねた。


 街の外壁に水門があった。木の船がそこに吸い込まれるように入っていく。


 徒歩で入る場所は見当たらない。外壁ぐるっと回ればあるかもしれないけど、途中途中の大きい川を渡れない。


 しょうがないから泳いで入った。溺れると不味いから、服を脱いだ。


「おい! まて、止まれ! 怪しいやつめ! 不法侵入だぞ!」


 捕まった。さすまたで脇を挟まれて壁に縫い止められた。


 他の衛兵は槍を持っている。剣じゃないらしい。


「牢屋に入れろ!」


 牢屋に入れられた。


「で、なんでこんなことしたんだ?」


 衛兵のおっさんが問い詰めてきた。


「街に入りたくて……」


 俺は答えた。


「そんなこたぁわかってる! 何が目的なんだって聞いてんだよ!」


 街に入ることだけど。


 そう伝えても埒が明かない。詳しく話すことにした。


「あの……街に入りたくて、でも、水門しかなくて」

「ああん? 船でここまで来なかったのかよ?」


 徒歩で来たのはおかしいらしい。頷くと、おっさんが憐れむような目で見てきた。


「そうか……。まあ、不法侵入は追放処分なんだけど、今回は不問にしてやるよ。怪しいモンも持ってなかったしな」


 こいつを持っとけ、無一文。と銀貨を渡された。価値が分からないけどありがたく受け取っておいた。


「もうここには来んなよ」


 牢屋から出された。


 どうしよう。そうだ、冒険者になろう。


 ネット小説でもよくあった。最近のトレンドは実は最強パーティー追放系。


 俺もさっき牢屋から追放されたし、もしかしたら最強かもしれない。


「行くか。冒険者ギルド」


 早速探しに歩き出した。


 街の中なんて分からないので、早速おっさんに聞いてみた。


「冒険者ギルドぉ? あっちにあるぜ」


 おっさんが指さした方向はレストランみたいな場所だった。


「ギルド食堂もやってんだよ。今どき福利厚生は大事だぜ?」


 超ホワイト企業っぽい。


「そうなんですか。ありがとうございます」

「おう、夢を追うのはいつだって応援するぜ! 次はSランク冒険者になって会おうな!」


 おっさんにありがとうと言いつつ冒険者ギルドに向かった。


「いらっしゃいませ。依頼ですか?」


 美人の受付嬢が笑った。俺も笑顔を返した。


「冒険者になりに来ました」


「そ、そうですか……。えっと、まずは、資格者証を提示してください」


「資格?」


「お持ちではないのですか?」


 資格が欲しいようだった。


「なんで欲しいんですか?」


 ネットじゃこういうのは千円くらいで身分と一緒に買えるでしょ。


「危険な仕事ですし、国からも重要視される業務ですからね。冒険者といえば、魔物の討伐はもちろん。未開拓地の発見、開発。開拓予定地の調査、ダンジョンといった危険地帯での発掘活動などがありますから。人手は欲しいのですが、技術がない人がいても無駄になりますし、危険手当や高給の分資格が欲しいんですよ」


 なんてこった。まともすぎる企業だった。俺にある資格なんて数検とか英検くらいしかない。


 日本で生きていたら、システムエンジニアの為の資格も取らされていたと思う。でも薄給だった。月収二十万円也。手取りじゃもっと少ない。


「えっと、資格とかって、どこで手に入りますか?」


「国家資格なので、毎月銀貨三枚で受けられますよ」


 銀貨は一枚しかなかった。


「そうですか……ありがとうございました」


 冒険者ギルドを出た。出る時、誰かが大きな声で笑ってた。俺のことを笑ってたような気がする。


 やるせない。世界が俺を拒絶しているようだ。


 道を歩くみすぼらしい服の女の子が俺を避けるように小走りで去っていった。


「せめて、奴隷とか欲しいな」


 異世界ときたら、やっぱり奴隷。安い人気のないケモ耳美少女を買って最強ライフ。


 体格的に、盾とか持っても押し負けないだろ。俺の高校時代のあだ名は関取だったし。


 幼馴染にフラれた時は、毎日が千秋楽とか無理だから。だった。決まり手は張り手。


 これでも痩せた方だ。細いかと言われたら別だけど。でも関取ではなくなった。


 ブサイクデブでもセックスくらいはできる。それが奴隷。


 いいじゃん奴隷。欲しくなってきた。処女がいいな。処女だろきっと。こういう世界は中世ファンタジー。血統主義。奴隷を相手になんかしないさ。


 そこを、俺は突く。狙うは奴隷ってわけよ。時代は突っ張り。これが俺の決まり手さ。


「買えるかな。奴隷」


 まあ、大丈夫だろ。国家資格とか受験費用めっちゃ高いし。十万とか軽くいくし。


 車の教習所とか、凄い金かかるし。銀貨一枚でも、十万くらいは価値あるでしょ。


 ネットだったら買えるし問題ないって。


「行くか……」


 いざ、奴隷を買いに……!

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