32話 キノコと期末試験
「さて、テストは全員に行き渡ったな? それでは……始め!」
授業開始の鐘の音に合わせて、全員が一斉に問題用紙を裏返す。
俺は鉛筆を能力でコントロールすると、それを使ってまずは名前を書く。最初は不慣れだったサイコキノシスでの筆記も、今では人間の頃のそれと遜色ないレベルにまでは上達済み。人間、慣れればなんでも出来るというわけだ。いや、俺はキノコだけどさ。
しかし慣れているとはいえ、問題を解きながらサイコキノシスを使うのはしんどい。
「(あいてて……やっぱり少し、頭が痛くなるな)」
辛いのは事実だが、泣き言ばかりも言っていられない。
勝負の約束もしているんだ。針馬に負けないように、ベストを尽くそう!
「テスト怖いテスト怖いテスト怖いテスト怖い」
「こらぁ眞城! 静かにせんか!」
「あぅぅぅっ……」
右隣からすすり泣く声が聞こえてくるが……助けることは出来ない。
悲しいけどこれ、テストなんだよね。
「うぷっ……おぇっ、吐きそう」
「眞城っ! 0点にするぞ!」
怒鳴られている眞城の名誉を守る為にも、テスト中の様子の詳しい描写は避けよう。
ただ、まぁ……俺達がどんな風に問題を解いていたかというと――
【一限目・数学Ⅱ】
「(よし、簡単な問題ばかりだ……イケる!)」
「(ふむふむ。まぁまぁ出来そうかなぁ?)」
「(フッ。このくらい、俺と丈人なら余裕だ)」
「(うぅっ、ぐすん……微分、積分、ベクトル……何よこれぇ?)」
【二限目・古典】
「(山が当たったな。これはかなりイケそうだ)」
「(日本語なのに難しいよー。昔の人って大変だったんだねぇ)」
「(丈人には負けられん! 一問も落とすものか!)」
「(いとムズカシス……ワロタ……ワロタ)」
【三限目・英語】
「(この文法は……土曜日に眞城逹とおさらいしたところだな)」
「(あっ! ここって土曜日に木之崎君逹とお勉強したところだぁ!)」
「(リスニングは苦手だが、こういうものは感覚で補えるものだ)」
「(こんなの聞いたことも無いわよ! 日本人は日本語だけ出来ればいいんだから!)」
【四限目・日本史】
「(日本史は覚えゲーだから楽だ……なんて思っていた時期が俺にもありました)」
「(ふぇぇっ……思い出せないよぉ)」
「(お、俺としたことが……くっ、過去の事象に囚われるのは愚か者のすることだぞ!)」
「(あっ、ここら辺は歴史系のアニメで見たことあるわね……にひひひっ、楽勝っ!)」
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