表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JC!JC!JC!  作者: けーた
10/13

10月 OB交流会


重い。

もう少しで終わりそうだけど、これからが本番なんだよな。


「副委員長、これで最後。重いから旦那と一緒に運んで。落とさないでよ。島に一つしかない貴重な物なんだから。」


「猿渡くん、私が先を持つよ。」


「は、はい・・・」


野島委員長の旦那さんタフだな。俺の方が全然若いのに、もうヘトヘトだ。

何でだろう?身体が大きいから?それとも、変な薬でも飲んでるんじゃないだろうな。


「大丈夫?きついだろうけど、労働のあとの一杯は美味しいって言うから、その為に頑張ろう!今日は猿渡くんも飲むんだろう?」


「く、薬?」


「薬?それともクスリ?笑ったのかな?それは最近の若者の言葉なのかい?(笑)的なもの?観光協会の会長たるもの流行りには敏感でいなければ。今度、早速使ってみよう。」


「い、いや。や、止めた方が・・・」


「おじさんが使うと変なのかな?しかし駄目と言われると人間やりたくなるものだよね。笑われるのを承知でやってみるよ!」


いや本当に変な薬飲んでいるのか?

薬も「クスリ」も止めた方が良いですよ・・・


「それで全部ですか?本当に貴重な物をお借りできてありがたいです。」


中川専務。汚れても良いようにジャージを着てるんだろうけど「ことぶき」の日本庭園にその、ど派手な原色は似合わな過ぎだよ。

今日はOB交流会なるものが「ことぶき」であるので準備をしてる。

JCは四十歳で卒業だけど、そのあとはOBというものになるそうだ。

そして年に一度そのOB達と交流会を開くそうで、野島委員長はその議案を先月から作っていた。

ということは委員会や理事会もあるわけで。

寿島まつりが終わっても会員拡大と称してあっちこっちに連れていかれながら、それと平行して準備をしていたんだ。

つまり、ずっとずっとJCだったんだよ。

理事会の時には、またもや小柳理事長が怒鳴って、OB交流会に限らず誰かを招待する時はしつらえが大事って言ってたけど、それがこれ?

しつらえの意味が分からなくて調べたら準備って書いてあった。

今、指方さんは庭に面した部屋の準備を手伝っているんだけど、こういうのが本当の準備じゃないのかな。

いや、俺達がしてるのも準備ではあるんだろうけど、これ本当に必要か?


「よし、これでお終い。」


「図面通りね。じゃあ、皆スーツに着替えましょうか。」


「僕は家で着替えてくるから。」


「副委員長はことぶきで着替えるでしょう?案内するわ。」


まだ0B交流会は始まっていないのにこんなに疲れて、俺大丈夫かな・・・


「疲れた?」


「えっ?あ、あの、い、いえ・・・」


「何でこんなに面倒臭いことをするんだって思ってる?」


「い、いや、あ、あの、まあ・・・」


「今日終わったら、また同じ質問するから。」


同じ人に同じ質問したら、同じ答えしか返ってこないだろう?

いや、もっと疲れ果てて返事すらできないかも。

声も出ない程にこき使ってやるってことなのかな。


「はい、ここが更衣室。トイレはあっちね。一時間位は時間があるからここでゆっくりしても良いし、暇だったらシーサーの部屋にお邪魔させてもらったら?」


「い、いえ、こ、ここにいます。」


「そう?じゃあ、五時に宴会場に集合ね。」


女性の部屋にお邪魔するなんてできるわけないじゃないか。

野島委員長は、やたらと指方さんと俺を仲良くさせようとするけど、どういうつもりなんだろう。

ここが更衣室だって言ってたけど実は指方さんの部屋で、わざと案内したとかないよな。

いやいや、そんな漫画みたいなことがあるわけないか。

それはともかく一時間はゆっくりできる。


「うわっ!さ、指方さん!」


「こんにちは。えーと、ごめんね。多分、初めましてだと思うんだけど。どこでお会いしたかな。歳を取ると記憶力がね~。」


「の、お、お父さん?」


「祀子の知り合い?同級生かな?いや、今日はJCだから、猿渡くんだね。」


「は、はい・・・」


中川専務が言ってたけど本当に親子そっくりだ。

性別も年齢も違うから見間違う筈がないのに雰囲気がまるで一緒だから。


「いや~、君のお父さんから聞いてはいたけど本当に似てない親子だね。」


親父め、俺が引き籠りだって皆に言い触らしているのか?

まあ、こんな小さな島だから言い触らさなくても分かるんだろうけどさ。


「性格も違うのかな?」


え?似てないって顔のこと?

昔から両親と似てないってずっと言われていたのは、性格のことだと思ってた。

だって親子っていっても性別と年齢が違えば顔が違うのは当たり前だし。

でも指方さん親子は怖いくらい同じだな。

物凄く普通で次の瞬間には忘れてしまいそうな顔ってところが。


「私と祀子は物凄く似てるでしょう?」


「は、はい。」


なんて世間話をしている場合か。

指方さんのお父さんは東京から乗り込んできてJCを作り「ことぶき」の娘と政略結婚して島に残ることにも成功し、更には寿島JCの最初の理事長になり今に至るという、いわば侵入者なんだ。

今も俺が唯一ゆっくりできるこの部屋に侵入しているし。

さあ、どうする俺?

今日のところは逃げておくか、それともこのチャンスを逃がさずに探るべきか・・・


「何か悩んでいる?」


「えっ?」


「なんでも聞いてあげるよ。といっても初めて会う人にいきなりそんなことを言われても戸惑うよね。なので、こちらから当てよう。JCに対して不信感や不満がある。でも何も言えない。または言っても屁理屈や力関係でねじ伏せられる。そして、この世の中は明らかに間違っている人達だらけだ。そのせいで自分が欲しているものは手に入らない。」


超能力者!俺が何でも顔に出るっていってもこんなに分かるもの?

いや、落ち着くんだ。今までJCでは色んな勘違いをして怯えまくっていたけど、結局殆どが勘違いだったじゃないか。

超能力なんてあるわけがない。とすると、これは・・・


「う、占い師?」


「ばれた?」


よし!俺だっていつも人から見透かされてばかりじゃないんだ。

あれ?でも、お父さんはコンピュータプログラマだって指方さん言ってなかったっけ?

今は占い師なのかな。


「これは占い師の典型的な手法だからね。誰にでも当てはまるようなことを言ってみるってやつ。世の中は不公平で理不尽なものだから、誰にでも不満の一つや二つあるものだよ。でも見事に当たったって顔してたね。欲しいものって何?」


「い、いえ、べ、別に・・・」


初めて会う人にそんなこと言うわけないじゃないか。

ましてや島の平穏を脅かす元凶の人なんかに。


「初対面の人に悩みを話すなんてあり得ないよね。そして、いきなりそんなことを聞く私のことを怪しく思っている。どう?」


確かにそうだけど、怪しく思ってるのはJCに深く関わっている人だからであって。


「君も私もJCだからね。」


そりゃ入会はしているけど、それは島での平穏な生活を取り戻す為であって、俺は実はスパイなんだよ。

あれ?でも仲間だと思ってくれてるなら大成功じゃないか。


「は、はい!」


「志が同じなんだもの。初対面とか歳の差なんて関係ないよ。君は何を望んでいるの?」


「し、島で、ひ、ひっそりと・・・」


なんで言ってしまうんだ俺は!


「静かな生活が好き?」


「は、はい。」


「でも、今はそうではないと。」


だから、それはJCのせいで。


「それはどうかな?君一人で君の望みは叶えられそう?」


一人では大変だと思うけど、周りは全員JCの罠に気付きもしないから、俺が頑張るしかないじゃないか。


「私はね。君の敵ではないよ。」


えっ?実はお父さんもスパイ?

全国に勢力を伸ばしていくJCに危機感を持ち、身分を隠して寿島へ潜入。

そこで指方さんのお母さんと恋に落ち、島に残ることを決意。

スパイであることは家族にも隠したままでJC活動は続ける日々。

そんなある日、同じ志を持った俺が表れて・・・


「君の望みを叶えるのに、いつでも協力するから。でも、こんな年寄りじゃあ不安かな?」


「い、いえ。そ、そんな・・・」


「今日のOB交流会には私以外にも君の味方がたくさん来るから。腹を割って色々話してみると良いよ。」


お父さんを中心として反JCの人達が今日は集まるのか?

ということはOB交流会とはスパイ側がJCを探る為の集まりだったんだ!


「中には厳しいことを言う人もいるかもしれない。でも、それすら君の為だから。」


なるほど。仲間だとばれないように、わざと厳しいことを言ったりもするんだな。


「そうそう、着替える為に来たんだよね。邪魔をしてごめんね。では、また後程。」


JCと戦っているのは俺は一人じゃなかったんだ。

お父さんはJC打倒の為に一人でコツコツと仲間を集めて、ってお父さん一体何年間やってるんだろう?

島にJCができる前からなら二十年以上?

それだけやってもまだ無理なんてJCは何て強敵なんだろう。

それに一人で立ち向かう気でいたなんて・・・





「やあ、久しぶりだね。」


「ご無沙汰しております。島に戻られていたのですか?」


「そう、今日の為に戻って来たよ。」


「ありがとうございます。」


打倒JCの為にわざわざ寿島に戻ってくる人までいるんだ。

他のOBの人達もニコニコと楽しそうに話していて凄く自然だ。

これなら反JCだなんて誰も気付かないな。

人数は二十人位だけど、一人じゃないのがこんなにも頼もしいことだったなんて。

思えば一月から俺一人で頑張っていたつもりだったけど、実はこの人達が陰で助けてくれてたのかもしれない。皆さん、ありがとう!


「本日はお忙しい中、OB交流会にお越し頂きましてありがとうございます。さて、今年の・・・」


「では、乾杯を・・・」


そのあとは、また野島さんに連れられてお酒を注いだり恒例の「どうも、この度は・・・」を皆に繰り返したのだけど、俺の恩人達だと思うとしっかり顔を見て挨拶しなくてはと思えた。

あと名前は分らなくても全員、先輩と呼べば良いというルールはとても便利だった。


「指方先輩。新入会員の猿渡太郎くんと指方祀子くんです。」


「初めまして。JCはどうかな。」


「初めまして。指方祀子です。指方先輩という方に伺っていたのと、同じところもあれば違うところもあり、大変楽しく勉強させて頂いています。」


「あっはっはっは!」


何だこのノリは。指方さんニコリともしていないけど、今のはボケなのか?嫌味なのか?


「先輩、相変わらず面白いですね。猿渡くんとも初めてですか?」


「いや、先程お会いしたよ。私が更衣室で昼寝してたから、そこでね。」


「あらっ!お邪魔して申し訳ありません。確認してから案内すべきでした。」


「いやいや、私が勝手に入り込んでたから。それに猿渡くんと話もできたし良かったよ。」


最初は侵入者だなんて思ったけど、俺達は仲間だってことが分かったから俺も良かったよ。


「OBの皆とは話せた?」


「は、はい、ひ、一通り挨拶は・・・」


腹を割って話してみろと言われたし、色々と聞きたいこともあるけど、皆さんもスパイなんですよね?とは聞けないから感謝を込めて挨拶だけはしたんだ。

それにしてもOBって何だろう。

年上の人によく使う言葉だけど、OとBは何の略だろう。

歳を取っている人達・・・分かった!

おじいさん、ばあさん!女性には「お」をつけないなんてひどいな!

昔、女性の地位が低かった時代の言葉なのか?


「OBってなんだと思う?」


「え、あ、あの・・・」


指方さん!こんな時は先月の会員拡大の時みたいに宜しくお願い!って、いない!


「う、敬う・・・」


お年寄りは大切にしないといけないだろう。


「お年寄りってこと?」


「い、いや、あ、あの、は、はい。い、いや、そ、その・・・」


「私はね、OBは踏み台だと思ってるんだ。」


人でなく物?しかもお年寄りを踏むなんて。


「悪い意味ではないよ。現役メンバーを少しだけ高い位置に上げてあげられるって意味。

だから必要以上に構えたり緊張することなく、この踏み台はどう使おうかなって考えて実際に使ってもらうのが一番嬉しいんだ。あとは、使い勝手の良い踏み台を長く使う為に定期的にメンテナンスしてくれれば言うことはないね。OB交流会とは踏み台の品評会とも言える。卒業後に立派な踏み台になりました。皆さん、どうぞ使って下さいと私達はやって来るんだよ。OB交流会の準備をしていて、OBになんでこんなにも気を使わなくてはいけないのかなと思った?でも凄く役に立つ良い物は自然と大事に扱うし、保存にも気を付けるよね。だから嫌だな面倒だなと思われている内は踏み台としてまだまだだなと反省して、精進しようと思うわけだよ。」


立派な思いだけど、指方先輩は反JCじゃないのか?

踏み台になるって、それでは助けてあげてるじゃないか。


「じぇ、JCを、た、助けるんですか?」


「助けもする。でも一緒に未来を創りたいというのが本当のところだね。」


反勢力のJCと一緒に未来を創る?

JCではないだけで、指方先輩も何か怪しげな団体に所属しているのか?


「さ、指方先輩は、い、一体・・・」


「私なんて大したことない人間だよ。でもJCというシステムを通過したことによって一人で動くよりも大きく早く世の中を変えていける力が付いた。ありがたいことだね。」


「か、変える。」


「世の中に変わらないものはないよ。生きている限り周りに影響を与え続けることは可能だ。バグがあれば修正をしたい。プログラマの習性だね。そして、それが私の終世の目標。どう?」


どうって言われても、話が難しくなってきて、何がなんだか。


「駄目か。結構面白いと思ったんだけどな。」


「指方先輩!家の息子はちゃんと挨拶できましたか?」


「お、親父!」


「JCの集まりの時は猿渡先輩と呼ぶように。いやあ、間に合って良かった。」


「今日は仕事だったの?」


「はい。先輩から紹介して頂いたお客様のところに。お蔭様で無事に商談済みました。ありがとうございます。」


「いえいえ、どういたしまして。島外だから遠くて悪いかなとは思ったんだけどね。」


「いえいえ、とんでもない。」


親父は今日来ていなかったから、敵だったのかと思っていたけど味方なのか?

指方先輩からの仕事で遅くなったっていうのは、親父をOB交流会から遠ざける為の作戦だったのか、それとも本当に仕事を紹介したのか?

どちらかが分かるまでは油断がならないな。

そもそも親父が味方だったら俺にJCのことを教えてくれる筈じゃないか。

でも俺って全部顔に出るようだから事前に知っていたらスパイとして通用しなかったかも。

いや全部顔に出るのなら反JCだってことも最初からばれていたのでは?

しかし誰もそのことについて何も言わないのはどうしてだ?

反JCだと分かっていながらわざと泳がせている?

何の為に?ああ、もう何がなんだか分からない。


「猿渡副委員長。障子を全部開けるわよ。」


「は、はい。」


障子の向こう側には昼に用意したあれがある。

あれにより俺の反JCの証拠が全員の前で暴かれて公開処刑にされる?

そして指方先輩も実は敵で俺は陥れられてた?

親父は?本当は親父がいない所で処刑が行われる筈だったが、それに気付いて助けに来てくれた?


「早く!」


「は、はい・・・」


親父は敵、味方どっちなんだ!?


「それでは、これより寿島JCの歩みと本年の活動紹介を続けてお送りします。」


今年の活動紹介!それは反JCの俺を処分しますって紹介?

JCの旗やまつりの提灯や倉庫にあったわけの分からない沢山の物で飾られた「ことぶき」の庭が俺の墓場となるのか?

これらはJCの歴史だって言ってたけど。それって反JCを抹殺すること?


「猿渡委員長、指方くんはここに座って。」


処刑台!指方さんが処刑人なのか。どうする?どうする?





巨大なスクリーンに「寿島JC」と映る

その文字は砂でできていて風で吹き飛ばされていき、それと共に時間が遡っていく。

場面は何もない砂浜

そこにスーツを着た男の人達が歩いてくる

画面はセピア色

写真が次々と映し出されていく

公民館で何かを話し合っている人々

「ことぶき」でお祝いをしている人々

何かを掲げている人。拍手をしている人々

「初代理事長、指方祈和」

農作業をしている人々

漁業をしている人々

伝統芸能を見ている人々

合間に二代目以降の理事長の紹介が続く

花見をする人々

寿島まつりに集まる人々

皆、おどけた仕草でポーズを取っている

画面は段々と色鮮やかになっていく

「十一代目理事長、猿渡転結」

お年寄りが学校で何か話している

皆で提灯を確認している

皆、汗をかきながら笑っている

「二十代・二十一代目理事長、小柳省」

画面は動画へと変わる


「指方祀子です。」

「わ、私は、さ、猿渡自動車です!」

「エントで決定です!」

「シーサーはどうでしょう?」

「本日は新年祝賀会にお集まり頂き・・・」

「ど、どうも・・・こ、このたびは・・・」

「JCにようこそ。」

「京都着きました!寒いです!これから大村JCさんと合流します!」

「ようやく寿島JCのお話の始まり始まり!」

「素晴らしい!メモは大事だよ!」

「JCにおいて返事はYESorはいのみ!」

「今年の飾りつけは指方くんがしてくれました。猿渡くんは、お酒飲んで潰れてしまいました。先輩!すみません!」

「構わんよ。しかし太郎は酒弱いな。」

「毎年のことだからなんてのは理由にはならん!自分の頭でちゃんと考えろ!お前の議案だろう!これでは次回での審議は不可能だ!」

「アイラ、もうひと踏ん張りしよう。頑張っただけ良いものになるから。」

「て、てい・・・さ、さだ・・・」

「定刻!」

「猿渡副委員長。気持ちは分かりますが、副委員長に議決権はありませんので手を下して下さい。」

「審議可決となります。」

「♪♪」

「指方先輩が異世界の扉のことを!」

「エント!挨拶の練習をするわよ!」

「横浜着きました!暑いです!大村JCさんも一緒です!」

「おっ!私の名前発見!」

「連絡きた!」

「午後九時三十分女の子です!」

「しましま、こないだは悪かったな。」

「いえいえ、来年からは仲間なんだから宜しくね。」

「お前と一緒というのは怖いけどな。」

「入会申し込みありがとうございます。クーリングオフはありませんので。」

「やっぱり、お前は変わっとらんな。どんな目にあわされるか。しかし負けんからな。」

「ちゃんと映ってる?音は大丈夫?」

「迫力あるね!先輩喜んでくれるかな。」

「やあ、久しぶりだね。」

「ご無沙汰しております。島に戻られていたのですか?」

「初めまして。JCはどうかな。」

「初めまして。指方祀子です。」

「ことぶき」で皆が楽しそうに話している


場面は砂浜

風が吹いて砂が集まり「寿島JC」の文字ができていく

音楽が消えて画面が暗くなる


スクリーンの前に並んでいた俺達にスポットライトが当たり理事長から順番に挨拶をしていく。


「さ、猿渡太郎です。き、今日は、あ、ありがとうございました。」


皆の前で、あんな巨大なスクリーンで晒し者になるなんて本当に公開処刑だ。





 片付けを終えたあと現役メンバーは「しま」に移動した。


「エント、OB交流会どうだった?最後の映像はシーサーが作ってくれたのよ。」


「い、いつの間に、さ、撮影を・・・」


「ジョーとシーサーがコツコツとね。エントはカメラの前だと緊張するから、こっそりと撮っていたの。シーサーは隠し撮りするの上手くてね。」


そりゃ、あれだけ存在感がなければ上手だろうよ。


「ほら、この写真は凄く良いと思わない?」


この宮殿の様な背景は中川専務の家だ。皆が笑っている。

いつも皆は楽しそうだもんな。あれっ、俺も笑ってる・・・


「では、もう一度質問。時間や手間をわざわざ掛けて、何でこんなに面倒臭いことをするんだと思う?」


世界征服の為だろうとか、結局自分の為だろうと思いたい。

でも、もう自分を誤魔化すのは野島委員長のギャグ並につらい。

辛い目にあいながら、俺には密かな使命があるのだからなんて言い聞かせ、実は楽しんでいる自分がいた。

どうせ俺なんて馬鹿だと思いながら、人から掛けられる言葉に一喜一憂して、次こそはと思う自分がいた。

引き籠りが楽だと思いながら、懇親会で皆と笑っている自分がいた。


「私は皆が喜んでくれるから。エントは?」


「ま、まだ、よく、わ、分からないけど、じぇ、JCやってたら、な、なんか・・・」


「ありがとう。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ