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DESTINY EATER  作者: 伊庭
少年期
9/27

決別編 1

・・・眩しい・・・ここは?・・・

確か、黒龍を倒して・・・ああ、ブレスを受け止めてたブラックホールが爆発したんだっけ・・・


「俺は死んだのか?」


「死んでなんかいないよ。辺りをよく確認してから言いなさいな!」


目で見える範囲を見渡してみる。


「知らない天井・・・ここどこ?」


とりあえず起きてみる。


「うわ~体が重いぃ~。」


だる重な体を起こして辺りを見回してみる。

知らない家の中で知らない女の人がいた。

赤いセミロング髪に布ブラと腰巻き、腕には炎のタトゥー

髪をかきあげた様な髪型からして姉御的な人だろう。胸はかなり大きい、重くないのかな?


「アタイのブレスを食らって生きてるなんてアンタなかなかやるわね♪まさかアタイのブレスが返ってくるなんて思ってもなかったわ!あっはっはぁ~♪」


・・・アタイのブレス?・・・はぁ?!


「えっと、ブレスってドラゴン?マジで?」


「マジだよ♪大マジさ!アンタが気に入ったから助けたんだよ。感謝しな!」


この人ドラゴンなんだぁ~・・・うん、きっと夢だな!


「お疲れさまでした~♪」


俺は布団に潜りもう一度寝ようとしたのだが・・・


「うりゃ!」


ドスっ!


「ぐはっ!・・・チーン・・・」


「チーン、じゃないよまったく!夢なんかじゃないよ、現実!アタイはドラゴンだし、アンタは生きてる!受け入れな!!」


「はい・・・あの~、俺はどれぐらい寝てました?というか怪我は?」


「あ~・・・多分だけど半月ぐらいかなぁ?

怪我はアタイの血を飲ませたからすぐに治ったよ♪そんでアンタはアタイと同族になった喜びな!」


意味不明…半月寝てたのはいいけど、同族になった?血を飲ませられたから?なんでそうなる?

俺が考え込んでると


「アンタ知らないのかい?上位種のドラゴンの血肉を取り込むと竜の力が手に入るんだよ♪

でもアンタは元々どっかの竜族の手が入ってるみたいだったから"覚醒した"が正しいかもね!」


「うちの家系にドラゴンなんていませんし、俺の世界にドラゴンは存在してないんだけど…それに異世界も初体験だし気のせいじゃない?」


俺は今までの人生や俺の世界の話、ここに来た理由など全部話した。


「う~ん…おっかしいなぁ、アンタから他のドラゴンの力を感じたんだけどなぁ…まぁいいや!

アンタ、アタイの夫になりな!」


「はぁ?!なんでそうなる!話を聞いてなかったのか?俺には嫁が三人いるって言っただろ?だいたい俺はまだ名前も知らないんだけど!」


俺は少し怒りながらドラゴンの姉御に食って掛かった。


「あ~そいや名前がまだだったね!アンタが起きて嬉しくなっちまってさ~

アタイは"真紅"エンシェントドラゴンの真紅だよ!」


「ツカサ…俺の名前はツカサ、助けてくれたことは感謝するし恩返しもする。だけど嫁云々は俺の一存で決められないし、家族を探しに行かないといけない。だから真紅の夫にはなれない。すいません。」


誠実に向き合って無理だと理解してもらわないといけない。しっかりジャパニーズ土下座までした。これでわかってもらえるハズ…


「わかった、わかった。頭をあげてくれ!そんなに真面目に言われてもテレるだろ♪」


ん?テレる…ってなんだ?


「そこまで言うならツカサの嫁を探しに行こうじゃないか!そんで了解を得て夫婦になる!」


「え~真紅さん?話を聞いてました?」


「ん?ああ、ツカサの求愛のポーズなかなかだったぞ!」


そう言って真紅は親指を立てた。

・・・やらかしたーーーっ!文化の違い恐るべし!!どうする?いや、どうしよう…

俺の気まずそうな顔を見た真紅の顔が曇る。


「ツカサ、アタイと夫婦になるのは嫌なのか?無理に求愛したなら別にいいんだぞ・・・」


うっ、心が痛い…やっぱ俺は女の人の悲しい顔に弱い…


「そんな事はないから元気だして!とりあえず王都に行こう!」


そう言って立ち上がろうとしたんだけど、上手く立てなくてベッドから落ちた・・・


バタンっ!!


「いだいぃ~、なんか体がおかしい…」


「う~む…多分なんだが、アタイのブレスを食らったのが原因かもしれないな。マナの流れが乱れてるんだろう…」


マナの枯渇現象みたいなものか?


「マナは十分あるみたいだけど…違う感じ?」


「違うな、マナは簡単に言うなら心の血液だ。怪我をした場所の血管が治るまで時間がかかるだろ?それと一緒だ。」


「どれくらいで治る?早く治す方法とかは?」


「ん~、アタイと常に一緒にいれば治りは早いと思う。アタイのマナの流れがツカサのマナの乱れに影響を与えるハズ!

どれぐらいかかるかは知らん!」


「そっか…じゃあ、念話が使えないのもそのせい?」


アッシに今の状況を説明しようと念話を試みていたが、全く通じなくなっている事に気付いた。


「念話?・・・ああ!神とかホラを吹いてる連中の思念会話のことな!」


ホラを吹いてる?・・・

もしかして・・・



実はツカサの中で今までの疑問に思っていた事があった。

神を名乗っているのに出来る事の規模が小さい。

神のくせに弱い。

神様ってこんなもんじゃないのでは?…と



「あの人達の正体って精霊とかその辺りかな?または天使的なやつ」


精霊と天使が通じるかわからないけど真紅に聞いてみた。


「精霊か…妥当なとこだな。本当の神はこの世界そのものだ。正確に言うならこの世界に溢れるマナが神様ってのが正しい。」


・・・?


「昔から生きてるわけでもないヤツはわからないわな(笑)

簡単に説明してやろう!耳をかっぽじってよ~く聞きな!」


真紅の昔話の内容は・・・


この星の誕生は、俺の世界と同じでビッグバンらしい。

で、この星が星久のぶつかり合いで出来上がってく過程で生じるエネルギーから生まれたのが"神様"なんだそうだ。


神様は大陸とかは元々あったから作らなかったんだけど、生物がだんだん進化していく過程を見て気づいた事があった。

それは、生物の寿命が短命だったらしい。

それは神様の感覚で短いとかではなく、長くても15.6年くらいしか生きられなかったようだ。


そこで神様は生命をもっと生き長らえさせる為にマナへと姿を変え、世界に降り注いだ。

そのお陰で今生きてる生物達はここまで進化して寿命も地球と同じくらいになった。


今現時点の神様達は元の神様の残りカスみたいなもので、それぞれの属性の分野に別れて人形に顕現した存在らしい。

更に時が過ぎて残りカス達は、人の真似事を始めた。

人の生活に溶け込み生活をしながら人々に魔法を伝えた。そのうち神の一人が弟子をとった。

それが"邪神"で、邪神は修行の末に"力"を手に入れ雷の神を殺した。雷の神を殺した邪神は、神の一端を手に入れ落神になった。

落神になった邪神は、火の神と空間の神を殺し姿を消した。

それから徐々に他の神を落神にして今に至る。


「アイツはさ、邪魔な神を三人殺したから満足したんだってさ!本人が言ってたぞ(笑)」


「会ったの?」


「結構いいやつだよ。たまに飯をご馳走してくれるしな!

ちゃんとした理由があったみたいだけど忘れたからそんな感じだと思っとくれよ♪」


真紅は"にこやか"に言った。俺の中の邪神像が崩れていく・・・

てか、そんな大事な理由を忘れるんじゃないっ!!


それからしばらくして、真紅と会話していると誰かがやって来た。


「こんにちは!真紅の姉さんいる?」


中に入ってきたのは、白よりの金髪で艶のある髪が膝裏まで伸びた凛々しい顔立ちの綺麗な女性だった。軽装だけど背丈ほどある大剣を所持しているところからして強そうだった。


「お♪来たな、邪神!」


まさかのラスボスが来たーーーーーーっ!!

今戦ったらデコピンで死ぬな♪てか、女の人なんだ…


「あら♪彼が姉さんに二発入れた人?貴方やるじゃない!」


邪神のお姉さんは俺に親指を立てた。

ん?二発?身に覚えがないぞ…


「二発って何ですか?一発しか心当たりがないけど…」


「だそうよ?説明してないの?一発目にすごいの食らって頭に来たからブレスを吐いたって」


邪神が語った事に真紅は笑ってる


「もしかして・・・」


俺が聞く前に真紅が答えた。


「さっき言ってたアンタが黒龍の頭をぶっ飛ばした一撃がアタイに当たって少し気絶したんだよ。」


「で、頭に来たからブレスを吐いたら、まさかの反撃が来て少し時間をおいて様子を見に行ったら貴方が瀕死で倒れてたらしいわよ。」


邪神が補足してくれた。


「俺はよく生きていられたな…」


「ああ、そりゃー酷かったぞ!

両手足の向きは明後日向いてたし、出血も凄かったからな♪

ダメ元でアタイの血をあげたら、その場でみるみる回復してくから連れて帰って来た。」


「"面白いヤツがいたから一度見に来い"ってかなり嬉しそうだったわね姉さん?」


「う、うるさい!」


二人とも仲がいいんだな(笑)

真紅には改めて謝らないとな。口が避けても討伐するつもりで来たなんて言えない・・・


「俺は真紅に謝らないと、狙ってないとはいえ攻撃してごめんなさい。あと、助けてくれてありがとう!」


「お、おう!き、き、き、気にすんなよ…アタイが好きでやったんだからさ…」


真紅は照れて髪の毛が真っ赤に燃え・・・燃えてるぅーーーーーーっ!!


「マズイ!逃げるわよっ!!」


「ちょっ!おまっ!!」


上手く動けない俺を担いで邪神は外へ飛び出し、高台へとジャンプした。

下に見える真紅の家を心配しながら見つめていると、家が烈火のごとく燃え出した!


「あ~あ、またやっちゃた。姉さんはね、興奮するとドラゴンに戻っちゃうのよ…」


「マジか?!俺、また悪いことしたなぁ…」


「気にしないでいつものことだから♪」


俺は邪神に気を使われながら家を見つめていた。

炎のなかで何か動いたかと思ったら、デカイ翼が飛び出して黒龍の非じゃないサイズのドラゴンが現れた!真紅って名前なのに黒いな。


「黒色…いや、赤が濃すぎて黒く見えるのか?」


「正確!姉さんはね、本気を出すと体が深紅になるの。名前の由来はそれなんだけど、でも見た目がいいから真の紅で真紅って文字にしたんだって言ってたわ!」


そんな話を今聞かされても頭に入って来ないっすっ!

ドラゴンになった真紅は80メートルぐらいあり、全身からすごい熱を放出していた。

ドラゴン真紅が息を吸ったかと思ったら鼓膜が破けそうなほどの雄叫びをあげた!!


「うっせぇーーーっ!」


雄叫びを聞いて耳を塞ぎながら俺も本気で叫んだ!なんか体が熱い…真紅の熱とは違う、体の中から燃えるような熱さが伝わってくる!


「貴方、大丈夫?」


邪神に声をかけられ返事をしようと邪神を見た。


「っ!ねえっ!その目はどうしたっの?!」


邪神はジャンプして後ろに下がった。

目?何を言ってる?

俺は辺りを見回して見た。なんかスゲー良く見えるぞ!

多分だけど1km先の的も狙えそうなくらい良く見える!


「ねえっ!大丈夫かって聞いてるんだよっ!」


再度邪神に聞かれたので応えようとした時

邪神が叫んだ!


「逃げてっ!」


「え?・・・」


邪神の目線を追って後ろを見ると、真紅の尻尾がこっちに向かって来ていた!

咄嗟に自作双剣の天地を出して防御した。反射的にとった行動で受け止められるわけがない・・・ハズだった。


ドゴォーーーーーーーーーーン!!!


渓谷に轟音が響き渡る・・・


ドラゴンになった真紅は目を見開いて俺を見ている。なぜ?


「貴方は何者なの?」


邪神に声をかけられた時に俺の意識は飛んでしまった・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・・・俺は夢を見た・・・ここじゃない、元の世界でもない研究室のガラスの中にいる夢・・・

ガラスの中は液体のようだ・・・体は動かない・・・黒くてゴツい男と華奢で優しそうな女の人がこっちを見て何か言ってる・・・


「竜の力の全てを人の体で使うには負荷が大きい。だから言霊なしで2段階…言霊を使って三段階力を解放するように遺伝子に書き込んだ。

最初の段階は血の制御、次は血の覚醒だ。

この二つは体の負荷は無い…だが、残り3つは解放する度に負荷が増える。半端な鍛え方では使えないと思え。」


ゴツい男が変なことを言っている・・・次に女の人が口を開いた。


「力を解放する最初の言霊、竜魂…い…う。次の言・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



夢から覚めたようだ…体が痛い…


「…かさ、つ…さ、ツカサ!!」


「!・・・あ…おはよう…」


俺に声をかけていたのは真紅だった。なんか泣きそうな顔してる…なんで?

とりあえず頭を撫でてあげようとしたけど"力"が入らない(苦笑)


「アンタが死んだかと思った…良かった…」


「心配は嬉しいんだけどさ、とりあえず服着てほしいな…話はそれからで…ね。」


俺は消えそうな声で話した。

あまりにも痛いので、いっそのこと殺してほしいとさえ思ったほどだ(笑)


・・・死ぬほど痛いけど体が動くな。何故だ?

俺はやっとの思いで起き上がりプルプルしながら体を動かした。


「マナの流れが良くなってきたのか?」


試しに魔法を唱えてみる。もちろん回復魔法だ!


「ヒール。」


体を淡い光が包み痛みが和らいだ。


「お!かなり良くなったな!」


立ち上がってみたら普通に立てた♪かなりいい感じだ!


「ツカサぁ~っ!」


泣きながら真紅が抱き着いてきた。てか、まだ服着てないし!


「真紅、服は?」


「家ごと燃えたぁ~・・・うあぁぁん・・・」


もはや、なにに泣いてるのかわからん!

魔法が使えるなら服を作ってやるか。


「真紅に服を作るから離れてほしいんですが…」


「そんな事出来るの?まだ完治したわけではないでしょ?」


邪神に聞かれたが試した方が早いだろうと思う。

俺はいつものように服をイメージして魔法で服を作った。とりあえずドラゴンになる前の服だ。


「貴方は凄いね!錬金魔法を使えるんだ♪

装備はつくれるの?」


邪神は興味津々で聞いてきた。


「ん?ああ、俺の装備は自作だよ。ほら!」


そう言って闇の中から武器一式取り出して見せた。


「?!い、今のは魔法か?!闇の魔法でそんな事も出来るのか!」


武器より魔法に驚かれました…


「魔法って便利だよね~一月前まで使えなかったのが嘘みたいだよ(笑)」


「なっ?!」 「一月前まで使えなかったっ?!」


二人が驚いてるぞ…言ってはいけなかったのか?


「まあ、知識だけはあるんだよね…元の世界には魔法を題材にした物語が腐るほどあったからさ!」


隠しても仕方ないので、元の世界の話をした。

マンガ本やゲームで映像的なものはなんとなく想像できると言って聞かせた。二人とも信じられなそうだったけど、イメージ力がずば抜けていたので納得したようだ。


「それでアッシから私の討伐を頼まれたの?」


「…そうだね、思っていたのと全然違うからやる気なくした。てか、もうどーでもいいかな♪俺は女の人と戦えないし。」


「なぜ女と戦わないんだい?アタイやこの子を倒せば一生楽して暮らせるよ?」


「ん~・・・別にいいや。俺のいた世界では女、子供、老人には優しくするのが当たり前だったからね~。"道徳"っていう教えがあったから常識というかなんというか」


「じっくり聞きたい話ね。」


「簡単に言って、優しく正しい判断・行動ができる人間になりなさいって教えだから改めて言う事でもないよ?

例えば簡単なやつで、aさんが持っていた物をb君が取り上げて返してくれません。貴方がその場にいた場合どうしますか?」


「アタイならボコる」「私も"一言"言ってダメなら多少手荒にするかなぁ。」


「まあ、良くはないけど条件が限定されていた場合は正解かもね~」


「だったら正解はなんだい?」


真紅が"他に正解なんてないだろ?"な顔でこっちを見てきた。


「正解なんてないよ。"どこまで人の為になれるか"ってのを自分達で考える学問だしね。b君がどこまで悪いやつかも設定されてないでしょ?もしも一番の正解があるなら"b君がやった理由を聞いて注意する。で、aさんにちゃんと返して仲直りをしてもらう。じゃないかな?」


「理想だな。」「そんなヤツなら苦労しないわ。」


「だよね。俺の世界とココじゃ安全のレベルが違いすぎるから規準も変わるよ。でも、悪いヤツならすぐに倒すのは違うでしょ?相手は家族が人質にされて仕方なくやってるかもしれないし、実は襲われた方が悪いヤツのパターンだってあるよね?」


「確かにそうね…深いわ!面白い教えね♪」


「アタイは本能のままいくからいいわ。難しいの嫌いだからね!」


人それぞれだな(笑)


「俺も出来る人間じゃないから自分で"女、子供は本気で攻撃しない"って誓いを作って実行してんの。OK?」


「わかった。・・・なら、本気じゃないなら私達と戦えるのね?」


邪神がニヤニヤしてる…レベル的に無理っ!


「怖いから遠慮したいです。瞬殺される…」


「コイツが本気でツカサとやるわけないだろ?安心しな!」


脅かさないでくれよ・・・


「じゃあ、今度は俺からいい?」


邪神に向かって質問する?


「なに?アッシから離れた理由?それとも雷と火と空間の神を殺した理由?」


「違うよ。君の名前が知りたいな♪他の話は興味ないよ。

それに討伐依頼放棄したしね!」


俺の言葉に二人ともポカーン。名前を聞くのって変な事なのか?


「・・・ぷっ!フフっ、君は面白いね♪

私の名前はティナ、ティナ・ガルフォードよ!よろしくね♪・・・ちなみに私をお嫁さんにしたいなら、私を模擬戦で倒せたらいいわよ?その他は合格だから♪」


また嫁の話かい!


「良かったじゃないか!ティナに認められたヤツならアタイも胸を張れるってもんだよ!!」


「あ、そりゃどうも。」


「やっぱり邪神相手は怖い?これでも一応は女なんだけどな…」


ティナは少し残念そうな顔になった。この世界はこのパターンしかないのか!


「なら明日模擬戦やってみる?きっと負けるけど(苦笑)」


「いいの?手加減しないよ?」


「うっ、お、お手柔らかに…てか本気でやらないって言ったじゃん!」


二人が笑っている。こちらからすれば大問題なのですが…


「面白くなってきたな!アタイも参加したいくらいだよ!」


「やめてくれ、地獄絵図になる…」


夜になり俺達は邪神ティナの家で一泊することになった。俺は自分の防具が壊れてなくなったので作ることにした。


「さてさて、今回は頑張るかな。」


黒のロングブーツ、黒のズボン、白の長袖シャツ、黒のジャケット

を作り、以前と同じスキル+先読み、千里眼、集中、瞬発力200%upを全部の防具に付けた。

真紅のブレスでの教訓だ。


「ツカサ、イケてんじゃん!アタイにも何か作ってくれよ~」


「あいよ!助けてくれたお礼に作るよ。」


真紅のイメージ…軽装だよな…

厚め生地の白いヘソ出しタンクトップ、赤いジャケット、赤いショートデニム


「こんな感じでいいか?」


「うひょ~!あんがと♪大切にするよ!」


まだ嫁ではないので、スキルは"復元"のみにした。ドラゴンになって戻ると裸なのは困るからだ(苦笑)


ティナも羨ましそうにしているけど気付いていないフリをしとく。明日良いことがあったら作ってあげよう。

俺達は雑談をして寝た。ドラゴンの真紅はイビキがうるさいかと思ったけど、以外に静かな寝息で一安心した。

夜中風呂に入りたくなって外に出るとティナがいた。


「寝付けないの?それとも姉さんを見て興奮した?(笑)」


「いや、全然(笑)」


「姉さんが聞いたらガッカリするよ?(笑)

・・・それで、どうしたの?」


「ん~とね、祖国の伝統的な儀式をするために起きた。」


ティナに説明しながら風呂を作る。


「で、この中に裸で入って体の汚れを落とすんだよ。」


「へぇ~、それいいね!私も入る!あ、姉さん起こしてくるね♪」


ティナは走って家の中に行ってしまった。

またこの展開かよ!早く入って早く出よう。

俺はサッと入って出ようとしたら頭を力強く押されて風呂に戻された。


「ツカサ、逃げんな!アタイ達と一緒に入るの!」


真紅は俺を押さえたまま風呂に入ってきた。ドラゴンの力に勝てるわけもなく、俺は手を掴まれたまま風呂に拘束された。


「観念したら?いいじゃない、みんなで楽しみましょうよ♪」


混浴は経験済みなので、彼女達を見なければ普通に出来る。大人になってきたな俺!


「前から思ってたんだけどさ~、この世界の人って結婚にゆるくない?俺の世界ではもうちょいお互いを知ってから結婚するよ?」


俺が二人に質問した。


「ん~、アタイは本能のままに!だな♪」


「ごめん、聞く相手間違えたわ(笑)」


「なっ?!聞いといてそれか!」


真紅は俺の首をつかみ前後に揺さぶる!


「死ぬ~三回目は確実に死ぬって!」


俺達がふざけていると、それを見て微笑みながらティナがしゃべった。


「多分だけどね、ツカサの近くにいる人は"死"が身近にあるんだと思うな。私も世界を敵にしたからいつ命を落とすかわからないしね…だから直感が働くのかもね♪

きっと死と隣り合わせの生き物は自分の子供を残したいって思うんじゃないかな?」


・・・この人は頭が良いのかもしれない。

ティナに言われるまで忘れていたけど、俺の世界では自分の遺伝子を残すために

死に直面した生き物や死にやすい環境に生活する生き物は相手を選ばなかったり、子供を沢山作るというデータがある。

その逆パターンもあったかな?強い雄の遺伝子を残す的な場合だったと思う。

研究もしないでこの答えにたどり着いた彼女は物事を理解する力が高いのかもしれない。

素敵な人だな・・・

そんなティナに見とれていると気づいた事があった。

ティナの耳の上の部分が切断されたようになっていた。


「気づいた?私ねエルフェンなの。耳を切り落とされて人間みたいになってるけどね。」


ティナが耳について話してくれた。


「アッシの信者になってすぐだったな~、炎の神と雷の神はエルフェンが嫌いで私を闇討ちしようとしたの。その時避けるのが遅れて片耳切られちゃったんだ…カッコ悪いよね?(苦笑)」


ティナが少し悲しそうな顔になった。そして話の続きを真紅がしてくれた。


「で、泣いて謝っているティナに炎の神は

"見た目が悪いからもう片方も切ってやる"とか言って無抵抗なティナの無事だった方の耳を切ったんだよ・・・胸糞悪くなる話だよまったく!」


その話を聞いて俺も怒りが込み上げてきた!そんなヤツが神を名乗っていたなんて信じられない!・・・でも、確かに十賢者の豪炎はエルフェン嫌いだったな・・・


ん?真紅のヤツこの話忘れたとか言ってなかったか???

真紅なりにティナに気を使ったのか?


「まぁ、昔の話だよ。気にしないで…ね!」


無理に明るく振る舞ってる感じがする。俺はティナを引き寄せてそっと抱き締めティナを励ました。


「もう大丈夫、何かあったら俺がティナを守るから!だからそんな顔しないで…な?」


・・・はっ!やってしまったぁーーーーっ!!

レベル的に守られるのは俺だった!!


俺の爆弾発言を聞いて二人が笑っていた。バカにされつつも今日は寝ることにした。

でも俺は見た、ティナが笑いながら少し泣いていたのを・・・


次の日、少し寝坊した俺と真紅はリビングにやって来た。テーブルにはティナが用意した目玉焼きと干し肉を炒めたもの、パンとミルクが準備されていた。


「おはよう♪二人ともご飯食べて。」


「あ、おはよう~…旨そうだね!」


俺は腰を掛けてご飯を食べ始めた。


「旨い!この肉は何?卵も美味しいんだけど!」


ティナのご飯に感動している俺と違い、真紅は寝ながらご飯を食べていた…


「真紅は器用だね・・・(苦笑)」


「いつものことだよ。気にしないで♪」


ん?ティナの頬が少し赤い気がする…


「ティナの顔が少し赤いけど風邪でも引いた?風邪なら休んでいいよ?洗い物やっておくからさ!」


「っ?!ななな何でもないよ。ききき気にしないで!」


俺の言葉にティナが驚いた。てか動揺してるのかな?…なぜ?不思議そうにティナを見ていると真紅が起きたようだ。


「ん?・・・おはよう・・・ティナ~、ご飯~」


真紅が寝ぼけていたのを見て俺達は笑いながら食器を片付けたのだった。



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