神の仕事編 4
次の目的も決まり動き出すことに…次の相手はドラゴンだ。
俺とウォルタとクロは宿屋に戻った。
クロの装備を作るためだ。
「俺からのプレゼントだから要望は聞かないよ?貰ってからのお楽しみってことで!」
「ボクはそれでいいよ。ウォルタもレナもそうなんでしょ?」
「そうよ、性能は神ががってるから安心しなさい!」
ウォルタが自慢気に言った。
「それなら安心だね。ツカサ期待してるよ!」
「期待されてもなぁ…そうだ、固有スキル入れたいんだけど得意な攻撃または魔法はある?」
クロに聞いてみる。時間を操る意外での攻撃方法があるなら伸ばしたいところだ。
「ないよ♪」
「何も?」
「うん!」
時の神は時間を止めて攻撃できるので一撃必殺らしい・・・ならお前が邪神を倒せよ!とは言えない。だって泣くし…
「じゃあ、固有魔法にしとくね。」
「うん。任せるよ。」
クロに任せられたので、まず最初に武器を作る。
元々の鎌使いのようなので、大きな鎌を作った。
赤黒い刃で歪な柄の鎌だ。柄の部分はライフルになっていて空気を圧縮した弾が出る。マナを消費して発射する仕様だ。威力は装甲戦車を貫くくらいにした。
次に固有魔法を組み入れる。某RPGシリーズに"メテオ"が時魔法の部類だったのでメテオにした。
「とりあえずコレね。」
出来たての武器をクロに渡す。
「なんかすごいの作ったね!性能がかなりエグいよ(苦笑)」
「あとは防具だね。」
クロはゴスロリ系の服装をしていたけど、似合ってるのでそのまま採用。
フリルの長袖とフリルのミニスカートとニーソ
色は黒メインの白フリル…マニアックな店のメイドを思い描いてしまう。行ったことないけど(笑)
外見が出来たので装備スキルをいれる。
千里眼、照準補正、ドレイン、マナドレイン、攻撃速度3倍、ダブル魔法、光広範囲魔法ホーリーレイン、闇広範囲魔法ダークフレア
固有スキルはこれくらいで、防御系はみんなと同じ。
「出来たよ~♪」
クロに防具を渡す。クロの目が点になって固まった。
「どうしたの?気に入らなかった?」
クロは顔を横に振って涙ぐんでいた。
「う、嬉しくてぇ…うわあぁぁん…」
泣いてしまった…やれやれ、ほんと泣き虫だな(笑)
俺とウォルタが笑っているとレナが帰って来た。
「ただいまです~・・・クロはなんで泣いてるんですか?」
「嬉し泣きよ、ほっといていいわ。」
「なるほど…よしよし♪」
レナが抱き締めて頭を撫でてあげる。
クロは嬉しそうに泣いていた。
「レナって人間で言う母親みたいよね。包容力がずば抜けているわ。」
「そうですか?私は普通のつもりですけど?」
包容力はね…敵にすると怖いけどな…
「レナは良いお母さんになるわね。神が保証するわよ!」
レナの顔が赤くなり照れている。隣にいたクロも落ち着いたようで、着替えていた。
「ツカサ、この光魔法と闇魔法とメテオはなに?」
「ん?ああ、攻撃魔法で全部広範囲系だよ。クロはバックアップ系装備にしたんだよ。」
そう言って俺は銃を見せた。
「光魔法は空から光の柱が前方に何本も降りてきて敵を焼く。
闇魔法は一体を中心に闇属性の大爆発。
メテオは無属性の隕石が無数に落ちてくるランダム範囲系かな?」
「じゃあ、ダブル魔法ってなに?」
「それはね、1回魔法を唱えると同じ魔法がもう1回発動するスキルだよ。マナの消費は1回分で超お得♪」
「凄いね!ウォルタとレナもこんな感じ?」
ウォルタとレナは首を横に振った。
「私は防具しか貰ってないです。剣はアッシさんから頂いたものです。」
レナがちょっと寂しそうに言った。レナの装備は暫定的なものなので、いずれ作る予定にしている。
「クロの装備スキルが異常なほど優秀なんだけど、どういうことかしら?説明しなさいよ。」
ウォルタが聞いた来た。レナの事を気遣って言っているのかな?まったく、言葉は悪いけど良いヤツだな(笑)
「クロの装備がよく見えるのは、クロが攻撃スキルが皆無だからだよ。それにレナの装備は俺と同じ試作だから、生命維持しか付いてないんだよ。まあ、そのうち改良するから心配しないでいいよ。それにウォルタのやつもね!」
「はい!期待してますね♪」「了解よ♪」
二人の機嫌がよくなったとこで、みんなに提案してみる。
「ねえ、空飛びたくない?」
「へ?」「は?」「飛びたーい!」
クロ以外は"なに言ってんのコイツ…"な顔してる。まあ、誰も飛んでるやつ見たことないからそう思うよね…
俺は全員の防具に新しく"フライ"(飛翔)の固有魔法のスキルを付けた。
「俺も初めてだから外で練習しよう!」
「嫌よ」「怖いです」「いくいく!」
「なら任せる…じゃ!」
そう言って俺は一人外に出た。クロは二人を説得してるっぽい。
とりあえずやってみよう。
「フライ!・・・?!」
う、浮いた(笑)少し飛ぶイメージで浮くことがわかった。次は…移動…少し前のめりになると前に進んだ。横に傾くと旋回する…なるほど!
俺は空高く飛ぶイメージをして飛び上がった。
「たけー!!眺めいいなぁ♪」
下を見ると村人が驚いていた。手を振ってみる。
「あ、振ってくれた♪」
宿屋にいた三人も出てきたようで下で練習しているようだ。下に降りようと思っていたら三人とも上に飛んで来てるようだ。
「ヤッホー♪楽しいねこれ!!」
クロが俺の前を通過したので、俺は上に行ってしまったクロを見上げた。ミニスカートを履いているクロはパンツ丸見えだった。
「てことは、ウォルタもだよな…後で短パン履かせよう…」
下を見ると案の定ウォルタはパンツを気にして上手く飛べないようだ。一応レナの分もいれて短パン3つ作るかな。
俺達は一通りの飛行訓練と空中戦闘の練習をして下に降りた。
飯時のようで、お腹も減ってきたので宿屋でご飯を食べてから出発することにした。
俺はご飯の前に三人にプレゼントを渡した。
「はい、これプレゼント。」
「これは下着ですか?変わった形ですね…」
「ツカサの趣味なら仕方ないわね!」
「ボクもお嫁さんだから多少の事は我慢するよ!」
レナ以外はオブラートに包むことをしない。てか、俺の趣味じゃねーし!
「俺の趣味でも下着でもないよ!これはショートパンツっていうズボンです!!」
「ああ!」「なるほど!」「そうなのですか!」
三人とも驚いていた。この世界はパンツを隠す習慣はないようだ。
「これで遠慮なく飛べるでしょ?」
「助かるわ!」
「ボクは気にしないけどなー。ツカサ以外に見られても気にならないし♪」
そこは恥じらえ!
「この飛行適正Sと落下耐性は皆さん付いてます?」
「みんなに付けたよ。あと、レナにこれね。」
俺はレナに俺と同じ形で小型の双銃を渡した。色は赤と青だ。俺の銃と仕様が違い、赤が炎の爆風で石の弾丸を飛ばす実弾系魔法銃。青が電気を帯びた石の弾丸を電気の反発力で飛ばすレールガン式魔法銃。
どちらもダイヤルで威力の調整が可能だ。装備スキルに反動無効と超速射を付けた。俺のイメージのままならガトリング並の速さで撃てる代物だ。
護身用なので、太ももに装着するバンド付きにした。
「護身用だからね。太ももに隠しておいてね♪」
「わかりましたぁ…多分♪」
レナの多分はやっぱりいいな。(笑)
俺の口癖の真似らしいけど、レナが言うと特にかわいい。
愛情表現で返したかったので、レナの頭をくしゃくしゃにしてやった♪
「ああ!ひどいですぅ。もっと優しい撫で方を所望します!」
「そのうちね♪」
レナの顔が剥れた(笑)
そんなやり取りも終わり、俺達は飯を食べて村を後にした。村の人が全員泣いて別れを惜しんでくれていたのがとても嬉しかった。
高度約1000メートル
一応人に見つからないように高めの所を飛んでいた俺達は、王都までの道がわかるウォルタとクロが先導していた。
「歩くと10日はかかる道のりだけど空を飛ぶと早いね~♪ボクは良い旦那様をもったよ(笑)」
「俺はお得な旦那ではない…」
すっかり便利なヤツ扱いされている…男の威厳が俺には無いのでしょうか?
「そうですよ!クロはもっとツカサの内面を見てください!」
レナがクロに注意した。
「誉めたつもりなんだけどな~」
クロの耳が垂れ下がった。少し反省したのかな?言葉も個性だし"クロらしさ"ってことにしよう。
「まぁ、好きな言い方でいいよ。中身がちゃんとしてるなら気にしないからさ。」
「うん!」
クロの耳が立った。元気になったのかな?
わかりやすいヤツ(笑)
それから反日が経ち辺りが暗くなり始めた頃、王都と思われる光が見えてきた。
「うっは~もう着いたよ。この魔法便利だね♪
」
「便利だけど使えるの私達だけじゃないかしら?」
「かなりマナを使いますもんね…村からここまで5000くらいマナが減ってますよ!」
一般人のマナの平均が15以下なので、一瞬でマナがなくなるから無理だろう。それに、神様と同じ仕事をしてる時点で俺とレナは普通じゃないよな。
「あの渓谷を右に迂回していくと王都よ。」
「暗くなってきましたので早く行きましょう。」
夕日が地平線に消え始めている。俺達は少し急ぐことにした。早く進むイメージで早くなるのは楽でいい(笑)
噂の空飛ぶ高レベルモンスターが見れるかもしれないと思い渓谷を見た。
ん?なんかデカイ塊が空に浮いてないか?
ちょっと聞いてみる。
「ねえ、渓谷の少し上にある黒い塊は何?」
俺が指を指した方向を見て全員ビックリしている。
「黒龍っ!!」「黒龍よっ!!」
ウォルタとクロは黒い塊の正体を知っていた。
例の空飛ぶ高レベルモンスターはコイツか?
「例のヤツってあれ?」
俺はクロに聞いてみた。
「違うよ。黒龍よりアイツの方が段違いに強いよ。黒龍ならボク一人でも倒せるしね!ツカサとレナで倒してくれば?ドラゴンなんて滅多に現れないよ(笑)」
「えー、めんどい…レナはどうする?」
「え?魔法撃っちゃいました…」
「・・・はぁっ?!」
レナの爆弾発言を聞いて黒龍の方へ顔を向けた。黒龍を包むように今まで見たこのないくらいドデカイ炎の竜巻が巻き起こっている。
「遠慮ないわね~(苦笑)もう瀕死なんじゃない?」
ウォルタがレナの魔法に若干引いている。
クロは笑いながら拍手していた。コイツは呑気だな!
レナの魔法が切れたようで炎は勢いをなくし消えていった。黒い塊だった黒龍は翼を広げこちらを睨むように見ていた。
「そうそう、いい忘れたけど黒龍は怒ると町を吹き飛ばすくらいのブレスしてくるよ♪」
クロの説明を聞いた直後、黒龍が雄叫びを上げた!叫び声で大気が揺れているのがわかる。
「クロがいい忘れたことを教えてあげるわ。ドラゴンのブレスは防御力無視だから逃げないと死ぬわよ♪」
ウォルタの言葉を聞いてみんなバラバラに逃げた。黒龍の狙いは・・・俺・・・
「マジかよ~」
黒龍のブレスに防御関係は無意味だし、なんか気づいたら後ろに王都の光が見えるし…
「こうなったら攻撃で相殺するしかないよな…」
俺は闇の中から大剣2本と銃をそれぞれ合体させてさらにその2本を合体させた。
「これ使うの初めてなんだよな…大丈夫かな?」
黒龍は口にエネルギーを溜め、そろそろ終わりそうな感じに見える。考えてる暇はないようだ。
「全マナのうち半分くらいでいいかな…」
俺は合体させた銃剣にマナを込める。5.4.3.2.1.
「いけーーーーーーーっ!!」
引き金を引いたのと同時に黒龍もブレスを吐いた!
俺の武器から出た規格外レーザーと黒龍のブレスがぶつかり押し合いをする!
・・・と思ったんだけど、あっさりレーザーが勝って黒龍の頭を吹っ飛ばしてしまった・・・
俺、ヤバイ武器作ったんじゃね????
「これは使う相手を選ぼう…マナ全部注いだら島が吹っ飛びそうだな(苦笑)」
俺が武器を片付けていると三人が戻ってきた。
「ツカサ、お疲れ様です♪流石ですね!」
「その武器二段階合体するんだね!!カッコイイー!」
「そんな武器作ってバカじゃないの!!世界征服でもする気なの?!」
一番まともなウォルタにメチャメチャ怒られた。あとの二人は危機管理能力が著しく欠如している。みんな可愛いんだけどな~。
「とりあえずは使う場面は考えるよ。今回は後ろに王都があったから仕方なかったし…」
ウォルタはタメ息をついて
「ならそう言うことにしてあげるわ。」
とだけ言ってくれた。
「ねえツカサ、ツカサの武器は色々変化するけど名前とかあるの?ないなら付けた方がいいよ。愛着ももてるからね!」
クロに言われて少し考える。
「なら双剣は"天地"双銃を"heaven &hell"
双銃剣を"レーザーモード"大剣を"ブレイカーモード"大剣銃を"バスターモード"にしよう。実は隠し武装もあるけど、バスターモード並みにヤバイ代物だから多分使えない(苦笑)一応付けるなら"ファイナルモード"かな。」
「うんうん、良いね!カッコイイよ♪」
「私も素敵だと思います♪」
「ツカサがいいならそれでいいと思うわ。それよりは隠し武装って何よ!」
「いや、なんでもないです。忘れてください…」
「まったく…まあいいわ、それより黒龍の所に行きましょう。」
「討伐部位ですね!黒龍の鱗回収しましょう♪他にも色々売れる部位があるので宝の山ですよ♪」
以前レナが言っていたお金よりも高価な代物が"黒龍の逆鱗"だったかな?
そんな事よりも、レナの目がお金になって見えるのは気のせいだろうか?
"暗いから明日にしたい"なんて言ったら殺されそうなので急いで向かった。黒龍の死骸は渓谷の手前に広がる荒野に倒れていた。
「コレが黒龍…デカイ!」
頭の無い黒龍の死骸まで来た俺は30メートル位ある巨体に驚いた!
「コイツのレベル250もあったんだね…レナの魔法で死なないわけだよ。」
「ん?レナって今レベルどれくらい?てか、みんなのレベル教えて!」
「なんで今さら聞くの?昨日までツカサのレベルは・・・?!」
ウォルタが、フリーズした。クロを見てもフリーズしてる。レナは俺に拍手してる…
「322レベルおめでとうございます♪昨日から約130レベルアップです!!」
・・・俺もフリーズした。
「な、なんかみんなのレベルが100以上あがってるわよ…」
「変わったことと言えば"フライ"の魔法と、ツカサの武装かな?マナの消費が半端ないからね…」
半月でレベルは300を超えてしまった…
現在の全員のレベルは、
俺322Lvレナ341Lvウォルタ299Lvクロ218Lv
レナだけでなく、俺まで神様よりレベルが上になってしまった。人間卒業ですな(笑)
「・・・考えても仕方ないから、みんなで討伐部位を探そっか。デカイから別れて探した方がいいと思うよ!」
「ラジャ!」「了解よ!」「任せて!」
俺は腕と胸部を担当することにした。大きいだけあって鱗もデカイ。壁に画鋲で貼り付けるタイプのカレンダーぐらいあるんじゃないか?
魔法で照明を点けてはいるけど黒すぎて見にくいよ…
一時間経過・・・
一度みんなで集まる。
「見つからないわ…黒すぎよ!」
「同じく見つからないよ~。」
ウォルタとクロはダメだったらしい。
「レナは?なんか見つけた?」
俺が聞くと"ニコニコ"しながら
「紅くて綺麗な玉が首の下にありましたよ!」
と、言ってきたので
「それじゃあ、それだけでも回収してきて。俺は探索魔法でで警戒してるから。ウォルタとクロも行って来て!」
「了解よ!」「わかった。」「行ってきます!
」
三人を見送って探索魔法で付近の様子を探る。
おや、王都から無数の何かが綺麗な一本線を描いて向かってくるぞ!
俺は急いで三人の所に合流した!
「お~い!首尾は?」
「バッチリですよ♪」
「そんなに急いで何かあったの?」
「きっと一人が寂しかったのよ♪」
「いや…」
ウォルタに睨まれるた。
「そ、そうです。・・・じゃなくて!なんかワラワラ来た!多分だけど王都の連中かも。」
「ボクが挨拶してくるよ♪」
クロが武器を構えた!
「ま、待ってください!最初はお話からしましょう。…ね♪」
「わかったよ…面白そうだったのにな~」
レナに言われてクロは武器を納めた。
「とりあえずここは俺がいくよ。みんなは後ろにいてね。」
「は~い。」「わかりました。」「わかったわ。」
俺達の話し合いが終わって振り返るとすぐそこまで集団は来ていた。ちょっと明かりが弱いので照明の光魔法を八方に打ち上げた。
「止まれ!…各隊整列!」
号令を出した人の後ろから見知った顔が出てきた。
「ん?あれはアッシじゃないか?」
王都からやって来た集団は闇の神ことアッシ率いる十賢者の軍だった。
一応、気を使ってみんなに知らないフリをするように言っておいた。
彼は闇の神であることは伏せている。そしてなぜか十賢者の中では"雷電"と名乗っている。
「この黒龍を討伐したのは君達か?」
「そうですが、なにか問題でもありますか?」
闇の神こと十賢者の雷電の質問に答える。相手の出方次第で戦闘の可能性も考えておかないといけない。
「いや、問題は無い。むしろ感謝しないといけないだろう。コイツは特になにもしてこなかったが、民達が怖がっていたのでね…
礼をしたいのだが、その前に質問をいくつかしたい。いいだろうか?」
「構いませんが、その前に後ろで今にも飛び掛かってきそうな大男を何とかしてほしいのですが…嫌でも目につくので…」
豪炎こと炎の十賢者はエルフェンであるレナの事が気に入らないらしい。以前会ったときも容赦なく攻撃してきた。今回も理由はその辺りだろう。
「まったく・・・わかった。
私と閃光と水華以外の者は先に王都に帰還せよ!到着次第自室で待機!」
聖騎士長の立場の闇の神は随分大変そうだと思った。窮屈そうなので俺は軍なんて絶対入らないと心に決めた。
「いや、すまなかったな。立場上部下の前では気さくに話しかけられないんだ。許してくれ。そしてようこそ!闇の信者達。君達に会えて光栄だよ!」
うわ~、嘘全開じゃん!
俺達知り合いだし、そもそも俺とレナはアンタの子だろ(笑)
あっ、後ろで三人がクスクス笑ってる。
「茶番はその辺でいいんじゃないか?ねぇ、アッシ?」
「そうそう、ボク達さっきから笑うの我慢してるんだからさ♪」
うちの神様二人はこの茶番に耐えられなかったようです。
「無礼者!この方は雷電様であってアッシなどという名前ではない!!」
「まぁ、待ちなさい水華。久しぶりだなツカサ殿…と言っても数日しか経ってはいないが…」
怒った女の人を閃光が止めた。
閃光は光の十賢者で女の人は名前からして水の十賢者だろう。
「あの時はどうも、彼女は?」
わかっていても話を振らないといけない気がしたので、水華のプロフィールを少し聞く事にした。
「彼女は水華、水の十賢者だ。17になったばかりなんだが、真面目過ぎて男が寄り付かなくて…」
「閃光様!関係の無い話は致しませぬよう…」
ものすごい殺気を込めた目線で睨んできた!
怖い…
「しかしだな、17の女子なら結婚の話の一つも…」
「ですから、この者達にする話ではありません!!」
かなり話が脱線したなぁ…アッシと嫁3人は談笑しているし…俺が仲裁すればいいのか?
「あの!」
「なんだね?」「なんですか!」
「少し俺の話を聞きませんか?雷電、アッシの事についてですけど…」
「構わん話してくれ。」「・・・」
水華は無言ってことは、話していいんだよな?
俺はある程度砕いて雷電が闇の神であることを二人に伝えた。そして、闇の神の雑用と邪神の討伐を頼まれたことも伝えた。
二人ともポカーンだな…普通の反応ありがとう!
「一応、現時点では他言無用でお願いします。ちなみに、さっきの二人は水の神と時の神ですよ。」
・・・無反応?手を振ってみるか?・・・二人ともフリーズしてる。
しばらく待っていると二人とも正気に戻ったようで"自分の思い描いていた神と違う…"と残念そうに言っていたのが印象的だった。
俺達は黒龍の始末を騎士団がやってくれると言うのでそれに甘えることにした。報酬は3割にしてもらった。
「3割ですか…」
レナが残念そうに言った。
「今の俺達にお金はいらないでしょ?旅人だしね。」
ちょっと可哀想だと思ったので、頭を撫でてあげたらすぐに元気になったのでそれはそれで良しとしとこう。
見張り役の兵士が来るまで時間を潰すことになったのだけど、俺は水華に喧嘩を売られていた。
理由は
「百歩譲ってあのお二方が神だとしても、お前が神と並ぶ者には全く見えん!なので、一度手合わせ願いたい!」
「うん、無理♪」
「何故だ!臆病風邪に吹かれたかっ!!」
「い・や・だ!」
「むぅ、ならば問答無用!」
水華は手に持った槍で俺に襲い掛かってきた!
今の俺のレベルなら避けるなんて簡単なんだけど、誰も助けてくれないし…それどころか水華の応援してるし…
「水華さん、頑張ってください!」
「あなた水の信者なんだから一発くらいは当てなさいよ!」
「ボクも応援してるよ~♪」
「ツカサに勝ったら聖騎士長にしてやるぞ!」
「もっと腰を入れんか!攻めが弱いぞ!!」
誰も俺の応援してくれない・・・
水華は華麗な連撃を放ってくるけど、見栄えばかりで全部に決定打が無い。いうならば舞っているようにしか見えない。
「その戦い方は誰かに習ったの?」
「?!何故そのようなことを聞く!」
「いや、その戦いか…!」
喋っている最中、水華の奥の暗闇が光ったのが見えた!向こうは確か渓谷の方向・・・
ヤバイっ!!俺は水華を無理やり抱き寄せて光が見えた方に向けて全力で魔法を出した!!
「な、何を?!」
「ブラックホールっ!!」
特大のブラックホールが出た直後、黒龍の比ではない超高火力ブレスが飛んできた!
「なんなんだよ!ドラゴンってのは不意討ちもするのかよ!!」
俺のレベルと相手のレベルの差がありすぎるのでブラックホールでも吸収しきれないかもしれない。実際問題、ブラックホールに無数の稲妻が走り始めてきた!
「水華!みんなの所に行け!!」
「し、しかしお前が…」
「いいから早く!!」
「わ、わかった!」
次に闇の神に念話する
[アッシ!みんなを連れて安全な場所に転移して!多分押し負けるからせめてあの子達だけでも頼む!!]
アッシは俺を見て無言で頷いてくれた。
俺は三人の嫁を見て微笑んだ。みんなその意味を察したのか、こっちに来ようとした瞬間に転移していなくなった。
「これで遠慮が要らなくなった!
どうせ負けるなら一発くらいは当ててやる!」
ブラックホールに入れた物はホワイトホールで取り出せるのでヤツにそのまま返してやろう。
「ホワイトホール!おまえも食らっとけーーーっ!」
ブラックホールを全力で出した後だがマナの自動回復スキルでマナが完全回復したので、ホワイトホールも全力で出した!
そしてブラックホールも限界が来たようで、中心からブレスが溢れはじめた。
「死ぬな俺・・・アイツら無事ならいいか(笑)」
ホワイトホールで返したブレスが命中したのが見えた瞬間、ブラックホールも限界がきて爆発した…
ブレスの威力は凄まじく、発射地点と着弾地点には2つの光の柱が立ち上った。
光の柱が消えるとそれまでの事が無かったかのように暗闇が世界を包みこんだ。
翌朝、薄暗い中、一匹の巨大なドラゴンが渓谷の奥へと飛んでいくのが目撃された・・・
完