神の仕事編 3
水の神(現嫁)との戦いも終わり、俺達は村へと帰った。
ここに来てまだ一度も風呂に入っていない俺は、いい加減風呂に入りたかった。
でも、そんな俺の気持ちを知らないレナは・・・
「夜も遅いですけど村の人達を呼び戻しますか?」
いや、それどころではない。この世界に来て7日以上も風呂に入っていないのだ。
装備スキルで除菌・消臭しているが、生理的に限界がある!
「村の人達は明日でいいよ。それより俺は風呂に入りたいから今から作るね。」
「風呂とはなに?」
ウォルタが聞いてきた。
「ツカサの国にある、大きな箱にお湯を入れて入る水浴びの習慣らしいですよ。」
ちょっと違うのでちゃんと説明した。
「なるほどね、体の汚れを取って心まで癒される。水の神としてその風呂は素晴らしいアイディアだと思うわ。ツカサ、頑張って作りなさい!」
「ツカサがんばれー♪」
他人事だなぁ、まぁいいけど…これまでの経験からするとイメージ次第で魔法は、色々な形になることが分かった。なので、土魔法で石の浴槽を作る。そしてお湯入れればいい。
「浴槽!・・・お湯!」
結構簡単に風呂はできた。
「お風呂入るからあっち行ってて!」
「ええ?!一緒に入らないんですか?楽しみにしててたのに~」
「そうよ、私だって入りたいわよ!」
俺は二人を無視して風呂に入る。
「あ~、極楽極楽♪」
「ひどいです!私も入りますからね!!」
「私だって入るわよ!覚悟なさい!」
「いや、二人とも後で入ればいいじゃん!」
「もう脱ぎましたから遅いです!」
「神様に風邪を引かせるつもりなのかしら?」
神様は風邪なんて引かないだろ・・・もう、いいや。俺は二人の裸を見ないように後ろを向いた。俺の後ろでは二人が楽しそうに遊んでいた…
風呂から出て3人で宿に戻りベッドで横になる。ダブルサイズのベッドが2つなので、俺は別の部屋で寝ようとしたらレナに押し倒された。
「どこにいくんですか!3人で寝ますよ!!」
怒られました…一つのベッドに三人は狭くないですか?
「せ、狭い…」
「夫なんだから文句言わずにこの幸せに感謝しなさいよ!」
ウォルタにも怒られました。
「はい…おやすみなさい。」
肩身は狭かったけど、疲れていたのでみんなすぐに寝ました。てか、ベッド合わせればいいのでは?
翌朝…?…あれ、昼じゃね?
外が騒がしいので起きたらレナが町の人達を連れて戻って来ていた。
ウォルタは騒動を起こしたことを謝罪しているようだ。
「神様なのにちゃんと謝れるんだな♪・・・アイツにも装備作ってやるかな。」
俺はウォルタの防具を作り始めた。
ウォルタは槍使いのようなので、水色のライトアーマーにする。腰当ては、ミニスカートぽくしてうしろにマントみたいなやつでも付けるか…
靴は俺と同じブーツを青色にして・・・完成!
「ふぅ、朝から良い仕事したな♪…昼だけど…
そうだ、刀も飽きてきたからもう一度武器を作ろう。」
双剣はそのままで、大剣の二刀流にするかな。
「2本が合体して超重量級の大剣になったら面白いかも…
あ、あと銃とも合体できるようにしよう。」
俺は片刃のイカツイ大剣を2本作った。その2本は合体すると刀身2.5m、幅が1mの大剣になる仕様だ。
さらに双剣は2丁銃と合体してレーザーライフルになる。極め付きは、銃剣同士も合体できて超火力レーザー兵器にになる。
「スキルに疾風剣と重量無視と嫁の人数に応じて攻撃力倍々とレーザー用に光、雷、炎の属性250%アップと銃剣合体時属性アップ+50%…遊び心満載の鬼畜武器だな。」
我ながらチートしまくっているが、それでも邪神には勝てないだろうな・・・
そんな事を考えていたらウォルタとレナが戻ってきた。
「起きてるかしら?」「ただいまです~♪」
「お帰り~。起きてるよ。」
二人が俺の作った装備に気づいた。
「それはウォルタの装備ですか?その武器も?」
「武器は俺のだよ。一応だけど、嫁には死んでほしくないから俺の鬼畜装備のプレゼントだよ!いる?」
ウォルタは顔を赤くして照れているようで
「あ、ありがとう。ぷ、プレゼントなんて初めてもらったから反応に困るわ。」
ウォルタもなかなか可愛いな♪
「ちょっとウォルタにお願いがあるんだけど…」
「なに?私もレナと一緒に子作りに参加してほしいの?・・・構わないわよ♪」
「全然違います!」
取り敢えず全否定しとく。
「私もできたら二人がいいです!初めてなので…三人はおいおいでお願いします!」
いつかはいいのかよ!!今さらですが、レナはちょっと頭のネジが外れてる気がする。
「そうじゃない!話を聞いて!俺はウォルタに模擬戦をお願いしたいの!」
ウォルタの目が座った…
あれ、俺の言ったことに不満な顔をしてないか?
「仕方ないわね、装備のお礼にやってあげるわよ!その代わり私とも子作りするのよ!」
「いいけどさ、神様は子供出来るのか?」
「知らないわ。回数やれば分かるわよ♪」
「・・・さあ、外にいこう!」
俺達は村の外に出た。変な噂が流れて村人達も一緒についてきた。
「夫婦喧嘩が始まるってよ!」「世の中の女のために勝つんだよ神様!」「男の意地をみせてやれっ!!」
誤解だ…レナが誤解を解いてる様子が見える・・・がんばれレナ!
「この装備凄いわね!軽いし、水属性8倍になるし、魔力とマナまで桁違いになる。ツカサは鍛冶の神なの?」
「違います!前にも似たようなこと言われたよ…そんじゃ、やるよ!」
俺は闇の中から出来たてホヤホヤの大剣2本を出すとギャラリーが驚いていた。
「あんた、魔法でそんな事まで出来るの?何者?」
「ん?愛しいあなた達の旦那です。ヨロシク!」
「はいはい。じゃあ、いくわよっ!」
ウォルタがワンステップで距離を摘める。槍は使わず肉弾戦で勝負するようだ。
「離れた方がいいよ。この武器ウォルタが思ってるより軽いから♪」
俺は数回武器を振る。大剣を片手に1本ずつ持って軽々扱う俺を見て全員驚いていた。
「ちょっと、危ないわね!」
ウォルタが距離をとって槍を出す。
途端に水魔法のラッシュが始まった。
「ほらほら、昨日のようにはいかないわよ!」
昨日"疾風剣"で負けたことで警戒しているようで、攻撃の隙を与えてくれない。
「ほらほら!反撃しないで終わるつもり?もっと楽しませてよね!」
「分かった…いくよ!」
俺は片方の剣をライフルモードにした。そしてウォルタの足元目掛けてレーザーを発射する。
爆発と初めて見る遠距離攻撃にウォルタの足が止まった。
「よし!疾風剣途中キャンセル!」
俺はウォルタの目の前に立ち剣を突き立てようとしたが、一度やられた技をウォルタが忘れるはずもなく弾き返した!
「甘いわね!」
「どうかな?」
弾き返された勢いに任せて一回転してその場でもう片方の手に握っているライフルを突き立てた。
ライフルモードであってもトンファーと同じ持ち方で剣としても使える仕様なのである。
「ま、参ったわ…」
「手合わせしてくれてありがとう♪」
「私よりレベルが低いのに私より強いのが悔しいわね…」
ウォルタがちょっと怒り顔だ。
「装備スキルが大量に付いてるからだよ。ウォルタは強くてカッコイイよ!」
「う、うるさいわね。恥ずかしいからやめてよ!」
俺達の決着が着いたのを見て村人達は歓声を上げた。そのまま村人主催による宴会が始まり、俺は酒で即潰された。
ぐったりな俺をレナが宿屋まで運んでベッドに寝かせてくれた。レナは俺に状態異常を解除する魔法をかけてくれ、元気になった俺は起き上がりレナにお礼を言った。
「いつもありがとう!レナには感謝してばかりだよ♪」
「いえいえ、これも妻の勤めですから♪・・・それで、その…あの…約束を…」
レナは恥ずかしそうにモジモジしながら"約束"について聞いてきた。俺は子供だけど、女の子との約束を破るほど子供の頭をしているわけではない。
「うん。いいよ、子作りしよう。」
「はい!よろしくお願いします♪」
レナは涙を浮かべて返事をして抱きついてきた。俺達は初めての子作りを流れに身を任せてしていたのですが・・・
途中でウォルタが乱入して、結局初めてが二人相手になったのでした…世の中の男子で言えば俺は幸福者のはず…初体験じゃなきゃね。
そして、疲れきった俺達はそのまま就寝して次の日の朝まで起きなかった。
翌朝にになり、両腕が痛くて目が覚めた。
両隣りを見て原因が判明した。レナとウォルタが俺の腕を枕にして寝ている。
俺は腕の感覚がなくなる前に二人を起こす勢いで起き上がった。
案の定、両腕が痺れて動かない。
レナとウォルタはまだ起きない。
外はかなり明るいが鳥が鳴かない。
「ん?なんかおかしくないか?」
レナとウォルタが起きない。かなり激しく動いたハズ…外も静かで鳥のさえずりも聞こえない…
俺は部屋の中を見渡した。
「おはよう。やっと起きたね。」
「?!誰だっ!」
後ろから声をかけられて驚いた俺はベッドから飛び降り、相手を睨み付けた!
「驚かせちゃった?…ゴメン!そんなつもりはなかったんだよ!」
謝っている相手を観察した。
大きな赤い目。
黒くて膝まである綺麗な髪。
ゴスロリ系な服。
死神のような大きな鎌。
猫耳、尻尾、アホ毛。
そして貧乳。
かなりタイプだ。
「…どちら様ですか?」
俺は警戒したまま立ち上がった。
猫耳の女の子は目を隠しながら俺に話しかけてきた。
「ボクは"時の神"名前はクロ、君に会いに来たんだよ!」
クロと名乗る自称"時の神"は平らな胸を張り俺に会いに来たと言っているが、ちょっとお仕置きをしなければと思う。ビビらされたからね。
「はじめまして。ところで時の神様は、俺達が全裸で寝ているところに突然現れて
布一枚で寝ている俺達を起きるまでずーっと眺め、俺が裸で起きたにも関わらず"服を着ろ"とも言わないで一人勝手に自己紹介を始める変態なんですね!よくわかりました。」
「なっ、ちょ、」
「いいえ、良いんですよ。俺が勝手に敵と認識して全裸でベッドから出たんです。神様が悪いとは言いません。ですが神様たる者、か弱い人間に慈悲を与えてくださっても良いのでは?
そういう考えでいくなら貴女は神ではなくやっぱり変態ですね。了解です!では、その期待に応えて全裸で対応いたしましょう。さぁ、会話ですか?それとも戦いますか?
全裸で戦って俺を外に出して村の人に俺の醜態を晒させて一人で楽しめばいいじゃないですか!それとも今さら俺に服を着ろなんて言い出すんじゃないですよね?ころころ態度を変えるのも如何なものかと思いますけどどうですか?」
「そ、そんな事思ってないよぉ…ぐすっ…ぐすっ」
時の神を泣かせてしまった。
時の神ことクロが泣き出したと同時に外から鳥のさえずりが聞こえ、二人が起きた。
「ふぁ~、おはようございます…」
「ううん…うるさいわねぇ…?!な、な、な、な、なんでクロがここにいるのよ!!」
眠そうなレナはまだ状況を把握できていないが、ウォルタは知った顔が目の前で泣いている事に驚いていた。
「ツカサ、なんでこの子がいるの?しかも、なんで泣いてるの?」
「ん~と、なんでいるかは知らない。なんで泣いてるかは、俺が泣かせた。」
とりあえず本当の事を言っておく。ウォルタは呆れ顔でこっちを見ていた。
レナは寝ぼけながらもクロをなだめている。
俺は着替えながらウォルタに質問した。
「この子はどんな子なの?ただの変態?」
俺の言葉でクロがまた泣き出した。
「うるさいわね。クロ!ちょっと泣き止みなさいよ!…まったく、神様の癖に泣き虫なんだから…ツカサもツカサよ、女の子を泣かせるんじゃないわよ・・・」
ウォルタは一息入れて語りだした。
「この子は"時の神"で
名前はクロ。時間を操れる能力があるわ。
性格はわりと良い子よ。クロ!なんでここに来たのか説明しなさいよ。」
ウォルタに言われクロが口を開いた。
「えっと…ぐすっ…ここに来たのは…ツカサに会いたくてで、…ぐすっ…騒ぎになると悪いから時間を止めたんだ…ご、ごめんなさい。」
悪いと思っているようでちゃんと謝ってきた。ウォルタが言うように良い子のようである。
「俺も言い過ぎたよ。だからもう泣かなくていいよ。」
俺も謝ってクロの頭を撫でてあげた。
「あ!」「ちょっと!」
レナとウォルタが俺を睨む。…なんか悪い事をしたでしょうか?
クロは顔を赤くしてこっちを見ていた。
「どうした?俺がなんかした?」
「ズルいです!私もしてほしいです!」
レナが"なでなで"をねだる。ウォルタも頷いていた。
「・・・そんな事より二人とも服を着なさい。目のやり場に困ってきた。」
俺の言葉に二人はブーブー言いながら気着替え始める。なんか疲れて腹が減ってきたな。
「とりあえず飯食いに行こう!話しはそれからにしよう!」
「ラジャ!」「OKよ!」
クロが寂しそうにこっちを見ている。
「クロもおいで。一緒に飯食べよう。」
「いいの?いきなり攻撃するかもだよ?」
「気にしないよ、するならとっくに攻撃してただろ?ウォルタが良い子だと言ったんだから少なくとも俺はクロを信用するよ。」
俺の言葉でクロは笑顔になった。元気を取り戻したかな?レナとウォルタは…ニコニコしてる(笑)
「ほら、置いていくぞ。」
「待ってよ!」「待ちなさいよ!」「待ってください!」
今日は朝から賑やかだな♪そんな事を思いながら食堂に向かって歩き出した。後ろはまだ賑やかである。
食堂に着くと宿屋の奥方が朝食を準備して待っててくれた。
「おはよう旦那。今朝は賑やかだねぇ(笑)」
「ちょっとね~、客が来ててさ。うるさかった?」
「なにさ、賑やかなことは良いもんだよ!うちの村は子供が少ないから最近は静かで寂しかったんだよ。」
「そう言っていただけるとありがたいです!」
「客人の分のご飯はいるかい?」
「お願いします!これ追加のお代です。」
そう言って女将さんに5シルバを渡した。女将は目を見開いて驚いている。
「一人分の食事でこんなにいらないよ!」
「気にしないでいいよ~俺達にお金を使う機会なんてないし~(笑)それにお金が回れば村も潤うから女将さんもテキトーに使ってね!」
「あいよ!若いのに先の事を考えるなんてしっかりしてるね~。急いで作るから待ってな!」
俺は女将さんに手を振って三人が食堂に来るのを待った。しばらくして三人はキャッキャしながら現れると席に着きクロの話をしてきた。
「ツカサに話があるのですが…」
最初に話しかけてきたのはレナだった。
「ん、なに?」
「クロの事なんですけど…」
「まさか、ウォルタみたいに嫁になりたいとか?」
「鋭いわね。さすが私が認めた男ね♪」
ウォルタが正解したことを褒める。別に嬉しくはないけど…
「やっぱり迷惑かな?ボクは邪魔かな?…」
クロが俯いた。そういうのに俺は弱いのレナは知ってるハズ…まぁ、それで二人がいいって思ってるならいいか!
「別にいいよ。じゃあ、不甲斐ない男だけどよろしくね!」
俺はクロの頭を撫でた。
「ああっ!また!」「ちょ、ちょっと!何回もずるいわよ!」
「えへへ♪」
またワイワイやっていると奥から女将さんが料理を持ってやって来て
「相変わらず元気が良いねぇ!アンタがお客様だね?たんと食べなよ!」
「ありがとう。あ、ボクねお客からお嫁さんになったんだ♪よろしく!」
女将さんがフリーズした。無理もない、つい昨日ウォルタが嫁になった話を聞いたばかりなのだから(苦笑)
女将さんが正気に戻ると外にダッシュしていった…
なんとなく予想できるけど今は飯を食おう。
食事しながら本題に入る。
「クロは邪神側の神じゃないの?」
俺がクロに質問するとウォルタも疑問だったようで
「私も気になっていたわ、どうやって逃げ延びたのよ。」
ウォルタの質問にクロは胸を張って答えた。
「簡単だよ。時間を止めて魔法で作った身代わりに死んでもらったよ♪」
そう言うとクロは魔法で分身を作って見せた。
クオリティがかなり高い。レナと二人で分身をツンツンしていたら分身に睨まれた!
「分身が怒ってます!凄いですねこの魔法♪」
レナがビックリしている。クロはさらに得意気に説明してきた。
「でしょう?この子にほとんどのマナを入れて死んでもらったから、邪神もボクが死んだと思ったんじゃないかな?ボクは最近までマナ不足で寝てたんだよね♪」
「なるほどね、逃げた方法は分かったわ。で、なぜツカサのところに?まだツカサの噂なんてそんなに広がってないんじゃない?水の神がお嫁になったなんて話しはこの村の人しか知らないわよ?」
ウォルタが情報の出所を探り出そうとしている。
俺とレナはなんとな~く予想できてはいた。
「噂は王都で広がってたよ!何でも"十賢者を退けた人間とエルフェンの夫婦がこの村の近くにいる。"とかなんとか。」
ウォルタが頭を抱えていた。
「アンタ達ね、ちょっとは自重して動きなさいよ…居場所がモロバレじゃないのよ!」
俺とレナは"テヘ♪"っとふざけた。ウォルタはそれを見て重いため息を吐いていた。
「それでアッシに聞いてここに来たんだね?」
俺は情報の出所は"闇の神"だとわかった。
「うん、そうだよ。アッシがよろしく言ってたよ♪…ごちそうさまっと!」
クロは食事を終え立ち上がる。俺達もそれに合わせて立ち上がった。俺はクロと話があるので二人には暇をしててもらう。
「ちょっとクロと話がしたい。いいかな?」
「ボクはいいよ。今後の子作り計画でも練るの?」
クロの一言で二人の顔が般若になっている(苦笑)
「いえ、違います…二人が恐いから冗談でもやめてください…二人は散歩でもしてて頂けますか?」
レナとウォルタは渋々散歩に出てくれた。
俺とクロは外の広場の長椅子に腰を掛け話をする。題材は"時魔法"についてだ。
「子作り以外の話ってなに?」
「時魔法について教えて欲しいかな。なんかあまりイメージしにくくてさ。あと、子作りの話しは忘れてください(苦笑)」
時魔法
ゲーム的なイメージだと行動スピードのバフ・デバフ、時間を止める、時間を巻き戻す的な感じかな?
「えーっとね、時間を止めるってのは難しくないよ…ほら!」
クロが言うと俺とクロの時間以外は止まっていた。井戸端中のおばちゃん達や空を飛ぶ鳥達まで完全に止まっている。
「だけどね、時間を止めるのにマナを常時大量に消費するから維持キツいかも。…やってみる?」
そう言ってクロが時間を戻した。俺は世界中の時間を一瞬で止めるイメージができないので、自分を中心に徐々に広げるイメージをした。
「止まれ!・・・できた?」
俺は辺りを見回す。一応、レナとウォルタとクロ以外の時間を止めたつもりだ。
「クロ!あなた何をしてるのよ!」
ウォルタが走ってきた。
「ボクじゃないよ!ツカサだよ♪さすがセンス良いね!」
簡単にできたけど、30秒もたなかった。
世界中の時間を止めるのはマナが数千あろうとあっという間だった。
「ボクは時間を操るのが仕事だから消耗少ないけど、ツカサは適性が違うから半端ないでしょ?発動するだけでマナの半分は使ってるよ。」
「そうだね、マナの自動回復なかったらきっと倒れてたな(笑)他の方法を考えるね。」
「いよいよ神ががってきたわね!そろそろ神になる気ない?」
ウォルタの言葉でわかったけど、俺の魔法は常軌を逸してるようだ。ここはゲームじゃないし当然と言えば当然なんだけど、簡単に魔法が出せるからそれが当たり前に思ってしまう。
「神は遠慮します。できれば細々と暮らしたいです。」
「私も細々がいいです!田舎でみんな仲良く暮らしましょう♪」
「あ、それボクも賛成♪争いとか嫌いだし。」
だんだん脱線し始めたな…このままみんなで暮らすのも悪くないけど、闇の神との契約があるからモンスター退治とかやらないといけない。
「闇の神との契約が終わったらのんびり暮らそう。それまでは我慢してね。ちなみに、俺はみんなといるだけでも幸せだけどね~。」
「はい!楽しみに待ってます♪」
「模範的な回答ね。でも、嫌いじゃないわ♪」
「ボクも早く終わるように頑張るよ♪」
三人とも満更でもない反応だ。
最終的な目標が出来たところで目の前の予定を考えよう。まあ、邪神なんかと渡り合えるハズもないのでモンスター退治が最優先かな?
「この辺りで強めのモンスターの目撃情報がないか村の人に聞いてみよう。みんなよろしく!」
「了解です!」「了解よ!」「任せて!」
「みんな元気がいいなぁ~(笑)
俺は村の外で時魔法の研究をしよう。」
村の外で時間を止める以外の時魔法を考える。
永続的にできそうなやつはスロウ系だろう。自分のマナの消費を考えると現状だと1/4位遅くするのが限界かな?
「やってみるか・・・スロウ!」
世界がゆっくり動いている。一応成功!村に戻り様子を伺う…みんな亀のようだ。
走り回っている子供が歩いてるくらいのスピードなので1/4くらいだとわかる。
遠くの方でクロがこちらに向かって親指を立てていた。時の神には影響がないのかな?
「おーい!クロ!こっち来てーっ!」
マナの消費を調べたいので神であるクロを呼んでみる。
「なになに?どーしたの?」
「ちょと俺のマナがどうなってるか調べて欲しいんだけどさ…わかる?」
「まっかせなさーい!どれどれ?フムフム…」
「どう?」
「うんとね、一秒で-400ってとこじゃない?単純計算で1/4スロウは、持続できて数分じゃないかな?」
「わかった。ありがとう!」
クロにお礼を言ってまた考える。マナの消費を抑えないと実用するのは難しいかな?1/4程度だと強敵相手に意味ないし、1/2か完全停止が数分持続できるくらいにならないとな…
「やっぱ武器スキルかな?とりあえずやってみよう。
数分経過・・・
「できた!今までのスキル+
双剣に魔法消費1/2×2
双銃にマナの最大値+50%×2
鬼畜武器パート2完成!」
武器が出来て喜んでいると、三人が戻ってきた。
「ただいまです♪噂程度ならありましたよ!」
「こっちも同じ内容の噂は聞いたわよ。」
「ボクは王都の近くで桁違いに強いモンスター見つけたよ。」
三人が教えてくれた情報は、多分同じ内容だと思われた。
1 王都までの道のりで空高く飛んでいる奴がいる。
2 どの情報も王都近くの渓谷付近でよく見かける。
3 クロが見たのは空飛ぶトカゲらしい。レベルは458だそうです。ドラゴンかな?
「ちょっとレベルが高いかも…お試し程度に行ってみる?」
俺達は装備スキルがあるからある程度格上のヤツでも戦える。
「レベルの差が大きすぎるから、ワンパン入れてダメそうなら即離脱しよう。…クロの装備は後で作るからね!」
「やった~♪」
「私は買い出ししてきますね♪」
とりあえず俺は装備作成、レナは買い出しに決定。ウォルタとクロは俺の装備作成を見たいらしい。
「レナ、買い物終わったら残りのお金は村に全部寄付していいよ。大分お世話になったしね!」
「了解です!では、いってきますね♪」
レナは楽しそうに買い出しに出掛けた。
俺達は宿屋に戻る。
明日からまた野宿か…少し鬱気味に歩き出した。
闇の神の依頼はまだ始まったばかりである・・・
完