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DESTINY EATER  作者: 伊庭
少年期
2/27

旅の始まり編 2

ぐきゅるるるぅぅ~...

ツカサの腹が盛大に鳴り響く。そろそろ空腹が限界突破しそうだ。

そんなツカサの腹の音を聞いて

レナは"クスクス"と笑いながら鞄からパンを出し、半分こして片割れを渡した。


「はいっ、どうぞ。」


「(笑顔が可愛い。癒されるわ~)(笑)

女神様、ありがとうごぜぇますだぁ~。

この御恩は一生忘れねぇですだよぉ~。」


冗談を言いながら感謝の言葉を言った。照れ臭かったので真面目に返せないところはやはり子供である。


「いえいえ♪命を救って頂いたお礼の一つと思ってください♪」


レナは楽しそうだった。

ツカサは、パンを食べながら質問してみる。


「レナのプロフィールとか目的地、なんでここにいたのか教えてよ。

目的もないし、よかったら手伝うよ。」


異世界に来てしまった(夢でなければ)自分は帰る方法を探す以外に目的もないし、テンプレで考えれば"神様"が方法を知っているハズ。

前の会話で話ができそうなのは"闇の神"なのだけど焦っても仕方ないので

今はこの世界を楽しもうとツカサは思った。

悪いことすれば"闇の神"は現れるらしいので、いつでも会えるようだ。


「わかりました。」


そう言うとレナは真面目な顔で話始めた。


「改めましてレナ・ロックフォードと申します。ここから北に2日ほど歩きますと

私の住んでいた村"スノーフォレスト村"があります。森の中にある小さな村で、薬や狩りで得た食べ物などを売って生活をしていました…」


話によると、一週間ほど前に猟に来ていた領主とバッタリ会ってしまい

『お前のせいで獲物が逃げた!!』

と難癖をつけられて"体"目的で屋敷で強制労働させられるそうだ。


「なんてヤツだ…こういうヤツのところには闇の神は来ないのか?」


「いいえ、私が悪いので仕方がないのです…」


レナの表情が曇った。

当たり前ではあるがかなり嫌なのだろう。

ツカサは何とかしてあげたいと思ったが、

子供に良い案など浮かばないのであった。


「ちなみに、私の年齢は16歳で、旦那様募集中です♪」


「(いきなり爆弾発言キタぁー!これから肉奴隷になりにいく人の発言とは思えない!)

えっと、領主のとこいくんだよね?断るの?

まぁ、それが良いと思うけどさ。」


そうツカサが聞くとレナは首を横に振った。


「いいえ、できたら領主様のところに行く前に一人の女性として結婚したかったなぁって…

ワガママですよね…」


レナは涙を浮かべて言ってきた。

ツカサはそっと頭を撫でて慰める。

今のツカサには、それくらいしか思い付かなかったのだ。

レナは大粒の涙を流しながら泣き、しばらくすると泣き疲れたのか寝てしまった

すこし寝かせてあげようとツカサは鞄を枕にしてレナを寝かせた。


「さてと…何か俺の出来ることはないかな…」


「何かしてあげたいけど、剣を振るくらいしか思い付かない…やらないよりはマシかな。いや、剣を弾き飛ばされた時のために体術か?」


などと考えていたら霧が出てきた。

ツカサは多少知識があったので、この霧に対して疑問を覚えた。


「なんだこれ…

霧が出る条件を満たしてない気がするんだけど・・・」


ここは山ではない。気温もまぁまぁ高く、湿度も低い。

霧が発生する条件が満たされていないのに

霧は濃くなっていった。


あっという間に霧に囲まれて奥なんてほぼ見えないほど真っ白になってしまった。

レナも見えなくなり、ツカサは一人慌てていると突然後ろから声を掛けられた。


「こんにちは…」


ビクっ!


「うわっ?!!(チビるかと思った~)」


「君が異世界から転移してきた人かい?

思ったより子供だなぁ~(笑)」


爽やかな男の声が霧の奥から聞こえ、近づいてくる影が見えた。

そして視認できる距離まで来た声の主を見る。爽やかな声のとおり顔も爽やかなイケメンなのだが服装がとにかく黒く、登場の演出から察して多分神様的な人だろうとツカサは感じた。


「神様ですか?」


「正解!そうだよ。やはりわかるか?」


「少し話を聞いたので・・・

闇の神様で当たってますか?

あと、俺に何か用ですか?」


ツカサは無難に質問をする。

下手なことを言って怒らせるのが怖かったのだ。


「それも正解だね!

実は折り入って頼みがあるんだけど…僕の信者になって手伝いをしてほしいんだ。

ちゃんと恩恵も与えるし、困ったら念話とかで対応するからさ!

どうだい?悪くない話だろ?闇の神の信者は他にいないから自慢できるよ(笑)」


「自慢とかはどーでもいいんですが…

でも、ちょっと守ってあげたい人ができたんで肉体的な恩恵か武器をください。」


ダメ元で聞いてみる。


「いいよ!それくらいなら問題ないよ!

それじゃぁ~、体術スキルと剣術スキルMAXにして…この武具あげよう。

魔剣と聖剣と瞬足の靴」


そう言って黒くて丸い球体を空中に出した。

その中に手を入れて渡されたのが青く美しい剣と漆黒の剣、それと黒いブーツだった。


「ありがとうございます!で、俺に何をしてほしいんですか?」


藁にもすがる思いだったので内容も聞かずに

ツカサは依頼を受けようとする。

闇の神はにこやかに口を開いた。


「それじゃあ、依頼の話をしようか。

多分だけれど、あそこで寝ている娘から話は聞いているとは思うが聞いてくれ…」


闇の神話によると"平等のため"に人から"力"を奪ったけど、やることありすぎて『一人だと手が回らないから人間の相手を頼む』

とのことで

① 悪いやつを"懲らしめる"または"処刑"する

② 強いモンスターの討伐(街道を結界で守っているが、たまに中に入ってくる強いモンスターがいるらしい。)


「簡単だろ?"力"を奪ってしまったのでこの世界の人間には頼めないんだ。

手に負えないことがあれば念話してくれ。

会話を想像する感じで出来るハズだ。」


[こんな感じですか?]


とりあえずやってみる


[そうだ、問題ないな。]


できてしまった。


「魔法の使い方と、種類とか教えてもらえませんか?俺の世界には魔法がなかったんで分からないんですよ。呪文とかいります?」


俺の質問に闇の神は少し考えてから答えてくれた。


「この世界の魔法は唱える必要はないし、魔法陣も必要ない。イメージして魔法の名前を言えば発動する。この世界の人間は魔力とマナが少ないから基本同じ魔法しか出せない。神の恩恵には一応優劣はあるが、垣根はないから好きな魔法が使える。」


つまりは"火の信者になっても水魔法は使える。その代わり威力は落ちる"ということらしい。

素晴らしいじゃないかこの世界の魔法。

しかも、イメージ次第でどんな属性とも組み合わせが出来るらしい。


試しに空に向かってゲームの魔法をイメージして叫んでみる。


「フレアっ!」

・・・ズバァァァァーーーーーァンッ!!!


唱えた魔法はイメージしたまま大爆発した。

いきなり最上級魔法を出してしまった自分に驚いたが、体が動かない!?


「マナを使いすぎたな(苦笑)。しかし、凄いなー!

初めてでこの威力か、君に頼んで正解だったよ。

では、僕はそろそろ仕事に戻るからよろしく頼む。ではっ!」


そう言って闇の神は霧の中に消えていった…


おいっ!俺はいつ動けるようになるんだぁぁぁーーーーーーっ!


マナの枯渇で動けないので心の中で叫んだ…


そして徐々に霧が薄くなってきてそして消えた。


「霧が晴れたな…レナは…まだ寝てるし…俺も寝よう。」


「(どれくらい寝たのだろう…なんかいい香りがする…)」


ゆっくり目を開けると目の前にはレナの顔が…

やっぱり可愛い。


「お早うございます。すいません!寝てしまいました…」


照れ臭そうにレナは謝ってきた。


「俺も寝たしいいよ~(笑)

そうそう、闇の神に会ったよ。

俺信者になった。」


そう言って貰った"双剣"と"ブーツ"を見せて

一応魔法も使ってみた。

マナの消費を抑えるイメージで魔法を放つ。


「グラビティ!」


手を前に出し、廃屋に向かって魔法名を叫ぶと

縦横3mの廃屋が重力で潰れた…案外威力が強い。

マナはあまり使わなかったみたいで体はまだ軽い。


「す、すごいですねぇ…」


驚いているレナに"闇の神"の手伝いを頼まれたこと、その内容を話した。

貰った物を装備しながら領主の事で悩んでいる

レナに聞いてみる。

ツカサはこんな下らない事で人生が終わってしまうレナを助けたかった。


「ねえ、レナも一緒に行かない?領主のとこなんか行かないで俺と行こうよ。」


ツカサから冒険の誘いを受けて最初レナの顔がキョトンとしていたが、みるみる涙目になり嬉しそうな顔で言ってきた。


「ハイッ!よろしくお願いします!」


レナは深々とお辞儀をしてとても嬉しそうだ。


「(この娘には笑顔が似合う。

これをきっかけに幸せになってほしいな…)」


[神様聞こえますか?]


念話で"闇の神"に話しかける。


[もう連絡してくるとは、どうした?]


よかった、すぐに返事をしてくれるデキた神のようだ。


「レナ!君は何かの信者かい?」


レナは顔を横に振った。それを確認にしてからまた念話に戻る。


[神様すいませんけど信者をもう一人お願いします。]


やれやれという感じで闇の神は返す


[彼女か?別に構わないが、君のように強くはならないぞ。それでも構わないか?]


[それでもお願いします。俺が何とかします。]


[わかった。彼女を信者と認めよう。…ではまたな。]


神様との念話を終えてレナに振り返る。


「闇の神にお願いしてレナも信者にしてもらったから改めてこれからよろしくね!」


ツカサは笑顔でレナに握手をしようと手を差し出したが、

スルッと避けられ抱き着かれた。

レナは大きな声で泣いている…


「今日は泣いてばかりだね…」


ツカサはレナの頭を撫でながら空を見上げた。

太陽が真上にあり、大きな鳥が飛んでいる。

レナが泣き止んだのは夕方頃だった。


「もう、大丈夫です…ありがとうございました。」


落ち着いたのか、レナはツカサから離れて大きく背伸びをした。


「ふぅ、これからの予定とか考えましょう!」


元気なレナに戻ったようなので、ツカサは

考えていた事を実行した。


「ちょっと試したいことあるからコレ装備してみて。」


そう言って双剣


魔剣 1.5mのかなり厳ついが細い黒と紫の片剣

聖剣 1.2mの両刃の装飾の綺麗な青い刀身の片手剣


をレナに装備してもらう。

予想が正しければ魔剣と聖剣にはステータス補正があると思ったのである。


「すごいですよ!この二つの剣を装備したら体が軽くなりました!!神様の武器は凄いのですね!」


ツカサの予想は見事に当たったようだ。

いくら弱い設定の人間だとしてもステータス補正があれば簡単に限界突破出来る。

それが魔剣や聖剣なら補正値も高い。

しかも2本も装備した今のレナはこの世界の原住民最強だろう。


「その武器はレナにあげるね。俺は肉体強化したいから靴だけでいいや。」


「いいんですか?神様から頂いた物ですよ?」


「いいよ!俺は自分で強くなりたいし。

それじゃあ、次は魔法の練習しよう。」


などと言ったものの、剣術と体術のスキルMAXというチート状態である。

しかし、ケンカも滅多にしないので練習しないと"その道の人"には勝てないだろう…


「(今さらだけど空手とか剣道やっとけばよかったな。)」


「わかりました。必要なときはいつでも言ってください。」


「うん。それでいいと思うよ。」


その後はレナに魔法の練習をしてもらい、回復系と四大属性の攻撃魔法を覚えてもう。

そして、それにともないそれぞれの名前を自分でつけてもらった。

『癒します』『治します』『燃やします』『冷やします』『飛ばします』『揺らします』


だそうだ。

マンマじゃん!

威力は補正無しの俺の"フレア"並みだった。

これなら大丈夫だろう。


「それじゃあ、今日はこの辺でやめよう。

明日から神様の依頼を近い町からやっていくよ。」


俺の言葉を聞いてレナの顔が少し曇る


「近くの町ですとあの、その、領主様が…」


レナは行くのが嫌みたいだ。当たり前だけど…

でも俺は"ニヤニヤ"と笑いながら


「領主を潰します!」


と、ハッキリ言い放った(笑)


「っ!?な、何を言い出すんですか急にっ!!

領主様に何かすれば聖騎士団も黙ってはいません!死刑になります!」


レナがすごい剣幕で言い寄ってくる!


「まぁ、何とかするよ。」


子供なので後でどうなるかなんて分からない。

でも、コイツだけは許せなかったので懲らしめたい。

俺はどうなるか分からないけど、レナは双剣の補正があるから大丈夫だろう。


しかし、レナは納得しない。

"何とかする"の一言では納得できないのだろう。


「ダメですっ!私の恩人である貴方に危険なことはさせられませんっ!」


「あの、」「ダメですっ!」「でも、」「ダメですっ!」「あ、」「ダメですっ!」


むぅ、発言させてくれない。


「聞いて。」「ダメですっ!」「いいからっ!」

「ダメですっ!」「ちょっ!」「ダメですっ!」


ツカサは不機嫌な顔をしながらレナの顔を見る。

レナも頬を膨らませてツカサを見ていた。

レナをあまり困らせたくなかったので

渋々ツカサが折れて廃屋の中に戻って休むことにする。


「まだ怒ってる?」


気まずいのは苦手なので話しかけてみる


「いいえ、怒ってませんよ。ツカサさんが領主様のところに行きたい理由はなんとなくわかりますから…」


「(お?名前で呼んでくれた。でも、年下なのに"さん"付けは嫌だな。)

ツカサでいいよ、俺は年下だから気を使わなくても構わないよ。むしろ俺が"さん"付けにした方がいいよね?」


ツカサは、今まで呼び捨てにしてしまっていた事を反省した。


「今までのまま"レナ"でいいですよ。ツカサなら呼び捨でも構いません。」


笑顔で答えてくれた。やっぱ可愛い。遊びばかりに夢中で"恋"とかしたことないけど、レナのこと好きになったのかも…


「レナは好きな人とかいるの?」


急だけと聞いてみた。


「ななななんですか急に!!」


「領主の相手をしなくて良くなったわけだから、大事な人がいるならその人のところに帰してあげた方がいいかと思って聞いたんだよ。」


「私の大事な人はツカサだけですよ!親もいませんし、私の運命を変えてくれた貴方が私の大事な人です!」


「なら、結婚する?(笑)冗だ…」「ハイッ!」


…今のは空耳か?


「これから末永くお願いします!」


「えっと…マジ?」「ハイッ!マジ、です!!」


レナは顔を赤くしてモジモジしながらもハッキリとした声で言ってきた。もはや冗談などと言えない空気になっていた。


「・・・(冗談なんて言えないよなぁ、でも正直嬉しいかも(笑)結婚とかよくわかんないけどいいのかな?)

・・・子供ですがよろしくお願いします。」


正座して一礼する。

お金を稼いだら指輪を買ってあげようと

ツカサは心に決めた。


「じゃあ寝ようか。」


「はい。おやすみなさい」


「おやすみぃ~。」


二人とも疲れていたので"手を繋いで"朝まで爆睡した。

後で知ったのだが結婚初夜はかなり大事なイベントだったようだ…

朝になり先に起きた俺は、魔法で水を出して空中に留めた状態にして顔を洗っていた。

イメージ次第でなんでも出来るってのは便利である。

レナも起きたようだ。


「おはようレナ。」


「おはようございます…ふぁ~…早いですね。私寝坊しました。」


「そんなことないよ、俺も起きたばかりだしね。」


まだ眠そうなレナは少し"ぼー"としていたが空中水の玉が浮いていることに気付き"?"になっていた。


「なんですか?それ」


指を指す。


「コレ?ああ、洗顔用の水」


ツカサの一言に驚いた顔をしていた。


「魔法って便利なんですね♪」


「そうだね、レナも早く顔を洗っちゃいな。」


「わかりました!」


そう言ってレナは顔を洗い、二人でレナの持ってきていたパンを食べて出発の準備をした。


「ここから近い町は噂の領主が住んでいる町だよね?」「はい…」


レナの顔が曇る


「戻ると2日くらいでレナの村だけど食べ物が足りないから…」


「構いませんよ、領主様の町に行きましょう。夫婦になりましたので、ツカサと運命を共にします!」


レナは俺の手を握り笑顔で答えた。夫婦になるだけで覚悟って決まるのか?

と思ったけどレナの気持ちが変わるといけない。


「よしっ!俺達の冒険のに出発だ!」


「ハイッ!」


こうして出会ってスグに結婚してしまうというハプニングもあったけど俺の冒険が今始まる。

・・・

レナの方が装備的に強そうじゃないか?


思い描いていた内容を文章に変換するのは大変ですね。まだ自分らしい書き方を探している最中ですので"多少読みにくい"とか、"前と書き方が違うのは"勘弁してください。


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