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川崎アレクの診療所  作者: 上代湊
一章
2/7

最近の〇〇カフェブームってぶっちゃけゴリ押しだろ


 サビビルから徒歩約三分。


「よくこの場所が分かりましたね、アレクさん」

「今の時代スマホがあればどこにだっていけるからな。それに滅茶苦茶近所だったし。全然気づかなかったぜ」

「確かに、こんな近場に、それもこんな目立つ場所に猫カフェがあっただなんて僕も初めて知りましたよ」


 現在、僕とアレクさんと小さな天使れいかちゃんは、とある猫カフェの入口前に三人並んで立っていた。

 さすがに休日だけあって、街中は人通りが多い。この猫カフェは結構目立つところにあるので、若者からお年寄りまで様々な年代の方がよく入っている。ここがテレビで取り上げられるぐらい人気の理由は、もしかして立地条件も関連しているのかもしれない。

 しかし……完全に邪魔物になってますな、僕達。

 ちなみに、れいかちゃんははぐれたら大変なので、今は僕と手を繋いでいる。僕からしてみればここ最近で一番幸せなイベントだよ。

 これは合法的だからね? 仕方なく繋いでいるだけだからね? そこは勘違いしないようにお願いします。


「さて、それじゃあ乗り込むぞ!」

「あ、ちょっと、ちょっと待ってくださいアレクさん」


 自動ドアが開くか否かの境目ぐらいまで歩いたアレクさんを、僕は慌てて呼び止めた。


「む? どうした風見鶏?」

「いや、今入るのはまずいですって。アレクさんだって知ってるでしょ? あのお昼の特集がいつも生放送だってことぐらい。今僕達が乗り込んだら、僕達テレビの前で堂々とクレーム言っているチンピラ扱いになりますよ? テレビに映るのはまずいですって」


 しかしアレクさん、僕の言い分を全く耳に入れていない模様。


「知るかんなもん! 悪いのはあっちだろ! さっさとケリつけてくる!」

「あ、待って──」


 って、もう遅いか。

 自動ドアを抜けて、喧嘩腰でぐいぐい店内へと入っていくアレクさん。

 あ~あ、行っちゃったよ。どうなってももう知らね。

 すると、れいかちゃんが僕に話しかけてきた。


「あの……、風見鶏さん」

「ん? れいかちゃんどうしたの? おトイレ?」

「あ、いえ、違うんです。どうしてなのかな、と思いまして」

「どうしてって何が?」

「どうしてあの白衣のお兄ちゃんはわたしの言葉を信じているのかな、と思いまして」

「そんなの僕だって信じてるよ」

「でも、普通信じますか? わたしみたいなまだ幼い子供がテレビに向かって『これはわたしの猫だ』って言って、それを易々と大人が信じますか? 普通は疑いから入ると思います。なのに、どうしてあの白衣のお兄ちゃんはあんなにも張り切っていられるんですか? 馬鹿馬鹿しいとは思わないんですか?」


 れいかちゃんが不審がって話すので、僕はそれを吹き飛ばすぐらいの笑顔で言ってやった。


「ははは、あの人はれいかちゃんがいくら幼くたって信じるよ。いつもだらけていてするめいか大好きでほぼニートで最悪の年上で人の気持ちには真っ直ぐと向き合う、そういう人だから」



 十分以上外で待っていてもアレクさんが店から出てくる気配がなかったので、結局僕とれいかちゃんも店内へと入ることにした。

 何分戦っている気だよ、と思いながら自動ドアを抜けて、さっそく戦闘現場を目撃した。

 猫カフェに入ってまず目に入る、猫と人が自由に戯れることの出来る広場がある。そこに我らが似非医師のアレクさんと、恐らく店員であるひょろひょろメガネの男性が対峙していた。二人の足元には様々な毛並みの猫が「にゃー、にゃー、」と寄って集って遊べよと言っている。可愛い。そして逆に、状況を察した他のお客さん達は広場から距離を取った場所で各々猫と触れ合っている。相当迷惑なお客さんになっていますよ、アレクさん。

 ちなみに一番心配だったテレビだが、こちらも状況を察してくれたのか極力アレクさんにはカメラを向けないようにしている。この番組はお昼の冠情報番組なので、放送事故だけは避けたいのだろう。そうは言っても、カメラマンと女性アナウンサー以外の番組スタッフの目はアレクさんに釘付けだけど。

 仲間と思われたくないので、僕とれいかちゃんは店の入口付近に身を潜めてこっそりと見守ることに。


「だからお前じゃ話にならねーんだよ! 早く店長を呼んで来いよ!」

「い、いえ、店長は今お忙しく……、だから、そのですね……、この猫は我々の猫でしてね……」

「忙しいもクソもねーよ! 勝手に人ん家の猫を奪っといてどの口が言ってやがる! もういい加減お前とのやり取りは飽きたんだよ! 早く呼んで来い! ぶん殴るぞ!」


 かなりヒートアップしてますな。

 アレクさんの渾身の威圧と脅しが効いたのか、ひょろひょろメガネの店員は「ひぃ!」と弱々しい声を上げると店の奥へ逃げるように走っていった。

 大丈夫か、これ……。

 しばらくすると、さっきのメガネとは正反対のごつい店員が奥から出てきた。スキンヘッドに濃いヒゲ、強面の顔。そして異様に筋肉質な体格。胸元に「キャッツ愛」のロゴが入っている制服は、今にもはち切れんばかりにピチピチだ。

 そのヒグマのような大男は、アレクさんの目の前に立つと高慢に腕を組んで、


「俺がこの『キャッツ愛』の店長、石田だ」


 あ、やっぱりこのヤクザみたいなお方が店長ですか。猫が似合わない男選手権があったら優勝しそうな人なのになぁ。人は見かけによらないとはよく言うけど。

 アレクさんは相手が誰であろうとお構いなしで、


「やっと店長のおでましか。メガネから話は聞いてるよな? デカブツさんよぉ」


 石田と名乗った店長は冷静に頷いて、


「ああ、聞いている。お前が言っている猫はあのカゴで休んでいる白猫だろ?」


 石田店長が指差したカゴには、美しい芸術品のような白猫──アンブレシア=デルマエロッサが気持ちよさそうに昼寝をしている。こうして実物を見ると、本当に神様が直接手をかけて創ったような猫だ。


「あいつはつい最近入ってきた新入りだ。新入りのくせに、たったの一日でウチの指名率ナンバーワンに躍り出やがったよ。ちょっとお高いけどな。そんなにあいつが愛おしかったら、テメーで金払って指名してくれ」

「あぁ!? どうしてそうなるんですか~? あれはお前らの猫じゃなくてれいかの猫だ! 返しやがれ! てか、客に敬語も使えない店長とかこの店大丈夫なのかよ! あぁ?」

「証拠」


 その一言で、アレクさんのバーニングモードが解除される。


「ん?」

「証拠だよ、証拠。証拠がなきゃ、あの猫がお前の猫かどうか分からねーよ」

「…………」


 ごもっともな意見に、黙り込むアレクさん。

 確かに、今この場に明確な証拠はない。れいかちゃんに「この猫はわたしの猫」だと言わせたところで信じる人なんていないだろう。それこそアレクさんや僕ぐらいしか。れいかちゃん曰くアンブレシアには赤い首輪を付けていたらしいのだが、それも外されてしまっていては意味はない。

 僕はコソコソ声でれいかちゃんに訊く。


「れいかちゃん、何か証拠になるようなものは持ってないの? それとも、自分とアンブレシアにしか出来ない芸があるだとかさ。いや、もうこの際何でもいいからさ。何かない?」


 しかしれいかちゃんは黙って首を横に振る。

 どうしよう。


「それに今はテレビ撮影中だ。クレームがあるなら、また後日来てもらおうか」


 石田店長が、元気いっぱいにレポートする女性アナウンサーを横目にそう言った。

 アレクさんはしばし黙った後、静かに口を開いた。


「……今日のところは勘弁してやるよ」


 そう言って大袈裟に白衣をはためかせ、アレクさんは店の出入り口に向かっていく。

 え? アレクさん? あんなにやる気だったのにもう諦めちゃうの? せっかく店長まで引きずり出したのに。

 入口付近で若干困惑する僕達と合流したところで、アレクさんは真っ白な背中を石田店長に見せたまま、こう捨て台詞を吐いた。


「必ず化けの皮を剥いでやる。覚悟しとけこのハゲ頭」



 れいかちゃんがお母さんお手製のお昼ご飯をお召し上がりにお帰りになるとのことで、僕とアレクさんはれいかちゃんをお家までお送りすることにした。

 れいかちゃんはとてもいい子なので「いえ、そんなの悪いですよ……」と遠慮していたが、小さな女の子を一人で帰らせてしまうのは、自称二十一歳と高校一年生のすることではないなと思った。

 れいかちゃんの案内の元、僕達は街中の喧騒から離れて、この街にしては比較的閑静な住宅街に辿り着いた。

 れいかちゃんの家の前まで来たところで、れいかちゃんが顔を上げて、


「あの、白衣のお兄ちゃん」

「アレクでいい」

「あ、じゃあ、アレクさん」

「何だ?」


 れいかちゃんは一息分の間を置いて、言った。


「さっき風見鶏さんには訊いたけど、まだアレクさん本人にはちゃんと訊いてなかったんで、訊かせてください。どうして、わたしなんかの言葉を信じるんですか?」


 するとアレクさんは、れいかちゃんの小さな両肩を持って言った。


「おい、れいか。まずその『わたしなんか』を止めろ。俺はなぁ、その言い方が大嫌いなんだ。自分で自分の存在価値を下げてどうする? 何になる? 得するのか? どんなことがあっても、最後の最後に信じなきゃいけないのは自分自身だ。特にお前はまだ幼いんだから、なおさらそんな言い方を覚えるんじゃねーよ」

「……すいません。じゃあ、言い直します。アレクさんは、どうしてわたしの言葉を信じるんですか?」


 アレクさんは逆に訊き返した。


「じゃあれいか、お前はどうしてアンブレシアに帰って来てもらいたいんだ?」

「え? どうしてって言われても……そんなの決まってます。アンブレシアはわたしの友達……いいえ、私の大切な家族だからです」

「どれだけアンブレシアが大切か?」

「どれだけとか……そんな言葉は多分、使えません。計ることが出来ないぐらい大切ですから。アンブレシアはわたしが小学校に入学した時、お母さんとお父さんが買ってくれた猫です。入学して結構な時間が経っても内気なわたしには友達がいなくて、だからずっとアンブレシアと遊んでいました。いつもどんな時もアンブレシアと一緒だった気さえします。アンブレシアは飽きずにわたしなんかと──あ、いえ、わたしと遊んでくれました。わたしにとってアンブレシアは本当の家族みたいな存在なんです」

「そうか」


 アレクさんは真っ直ぐにれいかちゃんの目を見ると──二カリと笑って言った。


「初めて話を聞いたときから、れいかがアンブレシアのことを相当大切に思っているってことよく伝わってたぜ。れいかがアンブレシアを間違えるはずがない。だから俺はれいかを信じる。それだけだ」



 僕とアレクさんは川崎アレクの診療所へ戻ることにした。

 二人してお昼ご飯を抜いていたので、帰り際に「キャッツ愛」の真裏に最近オープンしたらしいファーストフード店に寄ってから帰ることにした。

 ただここで一つ問題が。

 僕もアレクさんもごく普通のハンバーガーを買ったはずなのに、二つとも肝心の肉が挟まってないという緊急事態が発生したのだ。二人して店員に抗議したが「馬鹿なこと言わないでくださいよ。どうせ自分らで食べたんでしょ?」と追い返されることに。なんて運が悪い。イライラしながらパンとレタスとピクルスを食べて帰ってきた僕達なのだった。

 さて、そんなことはもう忘れるとして。

 こたつに向かい合う形で座って、さっそく作戦会議の始まりである。

 と、その前に、アレクさんは電話を始めた。

 音量をマックスにしているせいか、電話相手の声がダダ漏れである。


「調べてほしいって言ったってねぇ……」


 若い女性の声だ。知り合いだろうか? もしくは……彼女?

 いやいや、まさかまさか。


「最近サビビルら辺にオープンした『キャッツ愛』っていうお店なんだよ。本当に知らねーのか?」

「知らないわよそんなお店。てか、私、今サビビルの前にいるんだけど」

「お、ちょうどいいじゃん! 詳しくは会って話そうぜ! 電話代勿体ないし」

「了解。じゃあ、鍵開けててね」

「心配するな。鍵ならいつも開いてる」

「むしろいらない心配が増えたんだけど」

「じゃあ切るぞ」


 アレクさんが通話を切ったところを見計らって、僕は訊ねた。


「あの……アレクさん? さっき電話してた人って……」

「ああ、あれは俺の古い知り合いだ」

「古い知り合い、ですか」

「今からここに来るらしいぞ」

「それは知ってますけど……」


 アレクさんの古い知り合いって……なんか物凄い珍人が来そうなイメージなんだけど。

 でもまあ大丈夫か。電話越しの声を聞いた感じ結構まともそうな人そうだったし。

 そう思った矢先、さっそく玄関が開いた。


「わっ! 何これ! 凄いゴミ! どんな生活してたらこんなことになるのよ……」


 この玄関を「異常」と思えるということは、やはりまともな人間だな。安心したよ。

 アレクさんの古い知り合いの女性が、ゴミ袋山をせっせと越えて部屋に入ってきた。

 初めに言っておく。

 前言撤回。

 その全身を見た瞬間、僕は言葉を失った。


「お~、アレク。こうして会うのは久しいわね。ん? その弱そうな子は誰?」


 いや、あんたが誰だよ。

 どんな生活をしてたらそんなことになるんだよ。

 青いビキニ姿って。


「真夏のハワイかここはっ!!」 


 ついつい突っ込んでしまった。でも仕方ないだろ? どうしてこの人は自然にビキニ姿なんだよ。

 でもまあ、なかなか美人だな。胸も……うん。素晴らしいじゃないか。

 って、おい、煩悩に負けるんじゃない風見鶏よ。冷静さを保つんだ。


「あの……いきなりすいません。どうしてあなたは水着姿なんですか?」


 僕が呆れ半分で問いかけると、ビキニのお姉さんは悩ましげに腕組みをして、


「う~ん。そういえばそんなこと深く考えたことがなかったわね……」


 嘘だろ。

 恐ろし過ぎるよ。

 アレクさんもアレクさんで彼女の姿に何も突っ込まないし。このビキニのお姉さん、もしかしたらコレが通常状態なのか?


「それよりアレク、このピーマンみたいな子の名前は?」

「ん? ああ、そいつはロリホモミドリって言ってな。俺のストーカーだよ」


 何一つ合ってねーよ。


「へ~、そうなの。私の名前は木下(きのした)ネネル。よろしくね、ロリコンくん」


 勝手に人の名前を最悪の方向に改名すんじゃねーよビキニ野郎。

 ふぅ……なんか数分ですげー疲れた。

 さて。

 ということで。

 ネネルさん同席の元「アンブレシア=デルマエロッサ奪還作戦会議」は始まったのだった。


「あの、アレクさん、そういえばどうしてネネルさんを呼んだんですか?」


 まずは、僕がさっきから聞きたかった疑問をアレクさんにぶつける。

 答えたのはネネルさん本人だった。


「それはね、私が『情報屋』をやってるからよ」

「情報屋、ですか……。これまた特殊な職業ですね」

「ちなみに随分前の職業は僧侶でした」


 はい、出ました。

 何となくそんなことだろうとは思っていたけどさ。

 肝心な話が進まなくなるから、こういうわけの分からない話はスルーしていくスタイルにしよう。


「じゃあ、情報屋のネネルさん。せっかくなので最近の動物カフェ事情についてとか、そんな些細な情報でもいいので、知っていたら何か教えてもらえないでしょうか?」

「いくらで?」

「え? 金取るの?」

「当り前よ。こっちは情報で飯食ってるんだから」

「そんなぁ〜」


 すると、アレクさんが真剣な面持ちでネネルさんにこう切り出した。


「金なら出すさ。だから、一つ情報を売ってほしい」

「何よ?」

「『轟木(とどろき)組』についてだ。あのいかつい店長、妙に怪しーんだよなぁ……」

「ほお」


 ……あれ、僕話についていけないんですけど。

 何この急に超真面目な雰囲気?

 轟木組って何?


「アレク、先に言っておくけど、一度売った情報は返品出来ないわよ? この情報を知る覚悟はある?」

「別にいい。だから、」

「だから?」

「ちょ〜っとでいいから安くなりませんかね~?」


 つまりこのカッコ悪さが川崎アレクなのだ。

 ネネルさんは「相変わらずね……」と呆れていたが、短い溜め息を落とすと、意外にも開き直った様子で、


「現金払い、知人久々特別価格で千円!」

「よし買った!」


 僕からしたら情報の相場がどれぐらいなのかがよく分からないので、反応に困る場面でもあった。でもあまり深く考えなくても千円ならそれなりに安いと思う。高校生の僕だって支払えるような値段だし。


「じゃあ、最近の轟木組について話すから、二人ともよく聞いておいてね。あ、大丈夫よ。二人に話すから二倍の二千円だなんてことは『今日は』言わないから」


 もしそんなケチなこと言い出したら、僕はこの人をアレクさんと同等の眼差しで見ないといけないことになっていたよ。その点はよかった。非難の対象がビキニと元僧侶だけで。


「あの、ちょっとすいません。その話をする前に、轟木組って何なんですか?」


 僕の素朴な疑問に答えたのはアレクさんだ。


「何だ、風見鶏。そんなことも知らねーのかよ。ちゃんとニュースチェックしてろよ。ほら、随分昔だが、新聞とかニュースとかで騒がれたじゃねーかよ。暴力団、轟木組の組長が捕まったって。んで、何か一年前ぐらいに刑務所から逃げ出したらしくて、未だに捕まってないって」

「あ、そういえばそんな話あった気がします」


 アレクさんの言葉で思い出したよ。

 指定暴力団、轟木組。

 そういえば、僕が中学三年生のときぐらいに轟組の組長が刑務所から逃げ出したっていうニュースが流れていた気がする。てか、あの組長逃げ出してからまだ捕まってなかったのかよ。


「ロリコンくん、話を始めてもいいかな?」


 疑問は解消されたので、ネネルさんの言葉に「はい、どうぞ」と僕は答える。

 面倒だから口には出さないけど、結局僕の名前はロリコンで確立しちゃったみたいだ。

 ネネルさんは話を始める。


「最近の轟木組って言ったら、夜中に小さな子供を誘拐して身代金を稼ぐっていう話が一番かな。有力な場所で言えばちょうどこの辺りね。あとはそうねぇ、昔は恐喝で稼いでいるっていう噂をよく聞いたけど、最近は全然聞かないわね。警察にバレやすいからかしらね。最近は悪徳なお店を経営しているらしいわ。それこそ今回の猫カフェとかは少し怪しいかも。こればっかりは分からないけど。でも、一つだけ轟木組について確実な、超有力な情報があるわ。今回の目玉はそれよ。これで千円は相当安いわよ」


 ゴクリと生唾を飲む僕とアレクさんに、ネネルさんは得意げにこう言った。


「最近の轟木組は、この辺で相当タチの悪いファーストフード店の経営を始めたみたいよ」

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