令嬢は見た!××な浮気現場 プロローグ2
さて、なぜあのような秘密の逢瀬の現場を覗いていたかをご説明致しますわ
私の親友であるメルディナ公爵令嬢と変態王子のアレクシス殿下の婚約が決まったのがお互いがまだ8歳の時だったそうです
公爵・侯爵・伯爵家の同じ年頃の令息と令嬢が集まり、第2王子の取り巻き及び婚約者候補を選ぶ目的のお茶会を経て婚約者の座を勝ち取ったのが親友だったというわけです
もちろん伯爵令嬢たる私も婚約者レースに参加させて頂いておりましたが、若気の至りというか少々思い出したくないというか・・・
まあ色々とありまして、その後にメルディナ公爵令嬢の取り巻きになったり親友になったりしたわけです
そして私たちが14の歳を数える頃にトゥールーズ王国内の身分の高い者達が通う王立学園に入学し、学生の本分である学業に邁進していた頃・・・
いえ、嘘を付きましたわ
私は学業は程々でしたわ
・・・私が学業を程々に演劇に力を入れていた頃、親友は学業だけではなく王子妃としての教育も受けて立派に勤めを果たしておりましたわ
それに対してアレクシス殿下は、既にこの頃から浮き名を流して変態王子の名を欲しいままにされておりました
そんな変態王子も、貴族の中の貴族たる公爵令嬢の貞操観念を突破できるはずもなく次々とハーレムを作る勢いで他の令嬢たちとの噂を作り上げておりました
「ちょっとロゼット!
いつまでそんな目をしているの!」
そんな目とは遠い目のことでしょうか?
「そろそろお城への迎えの馬車がまいりますわ
オーレリア様とご一緒させて頂くのだから、これ以上ご迷惑はお掛けできませんわ」
ご迷惑とは秘密の逢瀬現場をご覧になられた事かしら?
それとも変態王子と同類の私の存在自体?
「いい加減に戻ってきなさい!!」
そう言って親友のなかなかに鋭い掛け声と共に本日2度目チョップが脳天に直撃しましたわ!
「メルディナ!
いい加減に叩くのはお止しになって! 淑女が聞いて呆れますわ!!」
貴族の中の貴族の公爵令嬢と紹介したさっきの言葉も一緒に取り消しますわ!!
「やっと戻ってきましたわね
時間がないから早く本題に入るわよ」
「物語には役者だけじゃなくってナレーションっていう観客に物語を説明する大切な役割もあるのよ!」
観客に対して説明していただけでこの仕打ち!
今日こそ断固抗議してやりますわ!!
「また訳の分からない事を・・・」
親友がそう言って扇子を構える
「さ、さてと・・・本題だったわね
これでマーガレット子爵との浮気については、オーレリア王女殿下が間違いなく証言して下さると思いますわ」
親友を見るのが怖いのではなく、決して暴力に屈したわけでもないがオーレリア王女へ視線と話題を移す
そこには些細な事で顔を赤くしたり、歳相応の少女のように笑っていた姿の面影はなく・・・
「面白いものを見せて頂きましたし、王家の者としてこの状況は些か見逃すことは出来ないようですから喜んでご協力させて頂きますわ」
私から見ても非の打ち所がない完璧な王族としてのオーレリア王女殿下がいらっしゃっいました
「これはこれで・・・」と思う気持ちを親友の視線に遮られ話の主導権も奪われる
「オーレリア様、ありがとうございます
これで証言としては十分集まったと思うけど、これで国王様の説得が出来ますの?」
「いえ・・・当家の縁の者によりますと、あと1人お相手がいらっしゃるようで
その方とアレクシス殿下とのご予定も、もちろん把握済みですわ」
この学園内にいる我が伯爵家縁の者は学園内につれてくる事が出来る侍女ではありませんわ
もちろん屋根裏部屋に潜んだり、物陰から突然現れるような特殊な方々でもごぜいませんわ
前世の経験を生かして雇用した食堂のおばちゃんだ!
当然、恋バナ好きのね! それ限定の密偵だけどね!!
「王家も知らない兄上の予定を知っておられるなんて、伯爵家の密偵は優秀な方なのですね」
「なんで主がこんなのに部下は優秀なのかしら?」
伯爵家が職を紹介して普通に食堂のおばちゃんとして働いているだけであるが、オーレリア王女は実情を勘違いして感心しておりました
それに比べて、おい!親友!!
その独り言のお嬢様言葉が崩れていますわ! そして失礼ですわ!!
「当家の縁の者につきましては、またの機会にさせて頂きまして
最後の浮気相手の調査と証拠集めが終わり次第
次は・・・」
親友に関わったせいで変態王子もおまけについてきて早数年・・・
変態王子のせいで、とても人前では申せないこともございました
それも、まもなく終わりの時が近づいております
「さあ! 婚約破棄ですわ!!」
今度こそ『ざまぁ』は私がしてやりますわ!!
-後書き-
モチベーションという名の勢いだけで書き続けるのが難しいのが分かりました
少し話の内容を書き溜めて修正しながらアップしていくので一時的に更新を停止します
計画性って大事ですね・・・