初恋の話
「君が、好きだ、付き合ってくれないか」
そう言った時、彼女は、どんな顔をしていたのだろうか、その時僕は、自分の想いを伝えることで、頭がいっぱいで、彼女顔を見ていなかった。
ミンミンと、セミが鳴く、8月のとある日、僕は、人を好きになるという事を、体験する。
「暑いな、なんだよ、猛暑日って、猛るなよな、太陽さんよ」
その日、僕は、太陽に文句を言いながら、コンビニに、向かっていた、なんてことはない、ただ喉が渇いたので、飲み物を買いに行っただけである。
「ふー、涼しい、コンビニって涼しい」
そう言いながら、ドリンクコーナーに向かう、喉が渇いていたが、せっかくなので、新発売の商品を選ぶ
「これで、いいか」
そうして、ドリンクを持ち、レジに向かう、この日のレジは、中学の時の友達だった。
「あれ、バイト?」
「お、おう、そうそう、夏働いて、彼女に素晴らしいクリスマスを届けるのさ」
「なんだよ、もう、クリスマス考えてるのかよ」
「高校生だからな、夏休みに働かないと、なかなか、まとまった金が、手に入らんからな」
「まあ、確かに」
「てか、お前、彼女いたんだな」
「まあね、って言っても、出来たの、夏休み直前なんだけどね」
「へぇー、そうなんだ、誰よ」
「お前の学校のさ、ほら、あの子だよ」
「えっ、お前が好きだって言ってた奴?」
「そうだよ、自分でも、OKもらった時は、信じられなかったよ」
「へぇー、良かったじゃん」
「へへ、まあね」
その時、レジが終わる
「じゃあ、お幸せに」
「お前も、早く彼女作れよ」
「うるせえよ」
帰り道に、思っていた、単純に、良いなと、羨ましかった、しかし、未だに人を好きになった事がない、自分自身思うが、何故人が、愛し合うのか理解できなかった。
でも、幸せそうな、友達を見ると、羨ましい、と言う感情だけは、芽生える
「なんなんだろう、恋って」
全く、異性に興味が湧かない、不思議な自分、友達との話でも共感出来ない自分、青春って、どんな味? 味なんてしやしない、それが青春、分からない、何も分からなかった、心がもやもやしながら、ドリンク持ちながら、家路につく、やっぱり暑い夏の日だった。
「ただいま、母さん」
「おかえり、ちょっと良いかい」
「何、母さん」
「こちらね、お父さんの、お友達の娘さんなんだけどね、しばらく、預かることになったの、仲良くしてあげてね」
そう紹介された、少女を見た時、胸の中の、何かが弾けた、それは、とても心地よく、それでいて、スーとしていた。
そして、彼女を、見るたびにこの気持ちになる、そうして気づいた、この子が、好きなんだと
「はじめまして、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そう、彼女は、とても可愛らしく、愛らしかった。
彼女が、笑うと、僕も笑った
彼女が、泣くと、僕も悲しかった
彼女のいる、日々は、今までの世界が嘘のように、澄んで綺麗だった。
この夏は、色々なところにいった。
海に行けば、水着の彼女、直視出来なかった。
山に行けば、意外に彼女に、体力があると知った。
ショッピングに行けば、彼女の好きなものがわかった。
僕と彼女は、ドンドン仲良くなっていった。
でも、それは友達でしかなかったのだ。
夏が終わり、秋になる、彼女は、僕と同じ学校に転校してきていた、そうすると、彼女は、すぐに人気者になった。
正直僕は、嫉妬した、彼女に近づく全ての人に、でも、そんな醜い感情を、彼女に知られたくなかった。
「帰ろうか」
「ええ、帰りましょう」
それでも、帰宅の時間は好きだった、彼女と2人きりになれる、わずかな時間だからだ
「ねえ、今日はね、」
彼女が楽しそうに笑う、そうすると、僕も笑顔になる
「でね、こう言うのよ、貴方は天然だって、失礼しちゃうわ」
「それは、酷いね」
でも、楽しい時間が、すぐ終わるってのは、本当なんだ、今日も、家に到着する、あ、着いたか、毎回思う、そして、いつも、心が重くなる
「おかえり、ご飯は、まだまだだから、勉強でもしてなさい」
「えー、勉強ですか」
「そうだよ、勉強って気分じゃないよ」
家に居る、母親を本気で邪魔だなと、思うこの気持ち、人を好きになると、こんなに、醜い心が生まれるんだなと、思うでも、その気持ちに逆らう事が出来ない、ああ、なんで恋って、不思議なんだろう、醜い心が、僕を染めても、嫌じゃない、それ以上の、気持ちになる、どうしたら良いのか分からない、でも、とても告白出来るとは思えなかった。告白出来たら、きっと楽になるんだろう、でも、告白したら大変な事になる、それだけは、分かる、だから、告白出来ない、なんで、神様は、こんな、関係にしたのかな?
「もう、寒いね、あっ、もうツリーが出てるわ」
「ああ、もう冬だからね」
彼女との関係は、変わらずに、冬を迎えた、寒い季節に、寂しい心、今も苦しい、気持ちを持ち続ける。
「ちょっとコンビニに行ってくるね」
すこし、コンビニに用事があったので、コンビニに向かう、コンビニで買う物を持ち、レジに向かうと
「あれ、まだ働いてたの?」
「まあな、でも、働く意味はないんだけどな」
「どうしたの?」
「ふられちまってな」
「えっ」
「夏休みに、バイトしまくってたら、もういいって言われてな」
「そうなんだ」
「おまえも、気をつけろよ、愛を与えないと、恋は逃げるんだぜ」
「ぶふ、何言ってんだ、はは」
「ふん、馬鹿にすんなよ、お前は、恋愛に疎そうだからな、教えてやるんだ、好きな気持ちだけでは、相手は振り向かないんだってな」
「そうですな、まあ、恋愛マスターの言葉、胸に刻んでおきます」
「ふん、馬鹿にして、後悔すんなよ」
「あ、ああ、後悔はしないよ」
レジが終わり、彼の言ったことを考える、後悔するなよ、その言葉が、頭の中をグルグルしていた。
その話は突然だった
「残念ね、ずっといてもいいのに」
「何が、残念なの、母さん」
「あ、ああ、この子ね、帰っちゃうのよ、春で、お別れなのよ」
「えっ」
僕は、世界が真っ暗になる、その後、彼女が何か言っていたが、何も聞こえなかった
その後は、あいつの言っていた後悔と言う言葉が、頭でグルグル、グルグルしていた。
どうすれば良いのか、どうしたら良いのか、分からなかった、ああ、でも、時は残酷で、刻々と、彼女との別れの日はやって来る。
なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ
焦った心と、不安な心、すごく、すごく気持ち悪かった
「ねえ、明日でお別れだね、最近話してくれなかったけど、でも、最後は笑顔でお別れを言いたいの」
僕は、焦っていた、そして、この気持ちが爆発寸前だったんだ、だから言ってしまった。
「君が、好きだ、付き合ってくれないか」
「えっ」
僕の、初恋は、ここまでだった、次に彼女にあったのは、彼女の結婚式だった、仲睦まじい彼女と、旦那、その旦那とは、すこしだけ話した
「どうも、こいつの女子高時代のお友達ですね」
所詮僕は、友達だったんだなと、痛感させられた、初恋は実らないものなんだなと
僕の青春の思い出のお話です。




