海
そうだ」
にこと笑って帆咲は言う。
「分かった、探してみよう。絶対見つかるよ!」
「この世に絶対と言う言葉など存在しないに等しい」
達観したように風雨は言う。
帆咲は黙った。
沈黙。
「それでも」と帆咲は言った。
「僕が見つけ出して見せるからね、必ず」
「気持ちだけはもらってやってもいい」
と風雨は言ってくれた。
この日はこれで幕を閉じた。
こうして僕たちは宿に戻ったのだった。
次の日。
帆咲は早起きをした。
目覚まし時計に時刻は六時の針を指していた。
彼女、シェリーを探すために情報収集を始めた。
幸い、風雨はまだ眠っている。
昨日同様、人の波の中に入っていろいろな人たちに聞いてみた。
すると、結構な情報が集まった。
風間に笑顔で話せると手放しで宿に帰った。
昼過ぎて帰ったために風雨は腹を空かせて待っていてくれた。
遅めの昼食になった。
焼き魚を食べながら帆咲は言う。
「シェリーさんの居場所までは分からないけど屋敷の所在は掴めたよ。昔、彼女のオルゴールを買ったって言う人が教えてくれたんだ」
「本当か⁉」と焼き魚をほおばりながら風雨は言う。
「本当だよ。だからとりあえず、屋敷から行ってみよう!」
「その……ありがとう」
下を向きながら恥ずかし気に風雨は言う。
「どういたしまして」
と帆咲は笑って言った。
宿を出て急ぎ足で細い路地裏の一本道を通るとバス停についた。
「ここからはバスじゃないといけないんだ」