影響を受ける街2
帆咲は聞く。
「私は芸術家肌なのだよ」
「ふうん」
そういってパンケーキを切り分けて口に頬張る。
「うまい」
風雨も満足げにがつがつ食べていた。
十五分で店を出て、また人の波の中に入って行く。
たくさんの店の中に猫用の服が売っていた。
入ろうとしたら風見に止められた。
「猫に服など邪道だ」と。
帆咲は笑った。
風雨も笑った。
二人? で笑った。
また人の波に揉まれる。
色々な店を見て周っているうちに、あっという間に夜になった。
「夜でも昼みたいだ」
風間が言う。
「そうだね、昼みたいに明るいや」
都会のネオンに照らされながらも歩くと、路上ライブをしている人がたくさんいる広場に出た。
「私は音楽も好きだ」
「じゃあ、しばらく聴いていこうか」
二人で(正確には一人と一匹)でのんびり聴いていた。
「私の言った通りだろう。ヒトは夢の中で生きていると……」
「本当だ。風雨の言ったとおりだ」
路上ライブをしている人たちを見て言った。
じゃあと帆咲は言う。
「僕も夢をみているのかなあ」
「さあな。君がどんな夢を見て生きていようが、さして興味はない」
「ひどいな」
「当然、それが猫だ」
「え? 風雨は猫だったの」
「猫以外に見えるのか?」
「質問を質問で返すなんて反則だよ、風雨」