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欠陥ヒーローズ  作者: 茶渋 団子
2/3

授業


 ——熱い。

 いったいどうなってるんだ?

 さっきから起き上がろうにも体の感覚がない。というか、腹の辺りが妙にジリジリする。焼けるようだ。腕もそうだ。両方熱い。変な熱が篭ってる。どうなってんのこれ。

 顔の右側がひりひりする。というか右の目開いてんのかな? なんかずっとくらいまんまなんだけど。

 前髪が邪魔なんかな。でもどかそうにも腕が動かない。体全体が熱い。

 耳も、喉も胸も背中も。全部熱い、ジリジリヒリヒリと。くそっ、なんだこれ、本当にどうちまったんだよ俺。

 妙に周りが焦げ臭いな。煙が立ち上がっているのが見える。何かを焼いてるのかな。


「…あ、ああっ。なんてこと……っ! アーミック…っ!」


 母さん? そこにいるのか?

 なあ母さん、教えてくれよ。俺今どうなってんの? 身体中焼けるように熱くて、動かないんだ。


「まだ、まだだ。あれ(・・)を使えばまだこの子は助かる……っ!」


 ああ、そこにいたんだ父さん。あれって何? 助かるって、なんのこと?


 ……っい゛! ……ったいなぁ、いきなり触らないでよ二人とも。今本当に熱いんだって。

 俺の体に何書いてんの? というか……その手に付いてるのって血じゃね?


「…これ…で、もう、だ、いじょうぶ……だから」


「強く……いき、て……。アー、ミッ、ク…」


 父さん? 母さん?

 いきなり倒れこんでどうしたの?

 周りが光ってるよ。すげー赤いんだけど。ねえ、これってどういう……。


 ……っが。


 ……ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!


 なんだこれ、なんだよこれっ!!

 やばい、痛い痛い痛い痛すぎる……っ!!

 傷口に無理やり刃物をねじ込んでくるように痛い…っ!

 神経一つ一つに針を差し込んでるみたいに痛い……っ!!

 その感覚が身体中に延々と続いてる。やばいやばいやばい……っ!!


 なあ母さんっ、父さんっ、 一体どうしたんだよ! なあっ! 俺今どうなってんだよっ、教えてくれよ……っ!!




 母さん、父さん………っ!!








 目が、覚める。

 昨日は何したっけ、食堂でみんなと別れて、する事ないから寮に戻って、筋トレして、そのまま疲れて眠ったんだっけか?

 体を上半身だけ起こす。

 被っていた布団はベッドの下まで蹴り飛ばされてて、ぐちゃぐちゃのシーツには薄っすらとシミができている。

 寝巻き用の半袖のシャツに手を当てると、ぺちゃっと小さく音が聞こえるほどに汗をかいている。


「…あー、くっそ。嫌なもん見た……」


 先程まで見ていた夢の内容を思い出す。だいぶ昔の出来事だ。しかし、忘れるはずもない。思い出したいものでもないけど。

 窓からは昨日と同様に、強い日の光が差し込んで、外を見るととても天気がいいことがわかる。しかし、清々しい気持ちには全くならない。


「……シャワー、浴びよう」


 流石にこのままでいるのは気持ち悪い。

 俺は床に足をつけて立ち上がる。

 この部屋には俺以外に住んでいる人はいない。シングルベッドに、服を入れるためのタンス。後はシャワー室と洗面所とトイレくらいだ。

 一人部屋にしては少し広く感じる。装備などを置くスペースも十分に取れるほどだ。

 というか学生は、寮では一部屋二人が基本である。多いところは三人の所まであるのだ。例えどれだけ成績が良いとしても、例外は殆ど認められない。

 周りからしたら、加護も受けられない落ちこぼれのくせに、一人部屋を特例で与えられているのだから、面白くないに違いない。そりゃあ嫌味の一つや二つ言われるだろう。

 そんなことを考えながらも、俺はシャワーを浴びるために洗面所で服を脱ぐ。

 びっしょりと濡れた半袖のシャツを脱いだところで、俺は目の前の鏡に視線を移し、鏡に映った上裸の自分を見る。


「…………」


 ふむ。

 ……別に気にしているわけでもないが、俺は顔は悪くない…方だと思う。

 いやまあ、確かにイケメンかと言われれば、ぶっちゃけそこまでではないけども。では不細工かと言われると、そんなことはないと思うし、世間一般で考えれば普通より若干整っているというか、遠くから見たら「あれ、かっこよくない?」みたいな感じに言われるかもしれないくらいには整っているとは思う。主観だが。

 というか、顔が良い悪い以前に、俺はかなり目つきは悪い方だと思う。機嫌が悪いわけではないのだが、普通にしていると仏頂面のようになってしまうらしい。

 自前の黒髪はボサボサで、寝癖ではなくてノーマルで髪の毛が跳ねている。

 癖っ毛というやつだろう。中々に治るものでなはない。

 しかし、一番目を引くのは間違いなくこの身体中を走る傷だろう(・・・・・・・・・)

 まるで刃物で体全体を満遍なく斬り刻んだような、そんなボロボロの体。傷は継接ぎの後のようで、正直身体がきちんと機能していること自体不思議だ。

 これが、母さんと父さんの残した、俺の体だ。

 あの日、死んでしまったはずの俺を蘇らせるために施した禁忌の魔法。

 これを使った母さんと父さんは、いったいどんな顔だったろう。いったい、どんな気持ちだったのだろう。


「——はっ、はは」


 俺は乾いた笑い声をあげる。

 多分、安堵の気持ちだったのだろう。幼い記憶の中でも、両親達がとても良い人だったというのは知っていたから。

 母は心優しい人だった。

 とても腕のいい神官で、村の人達は怪我を負った時皆彼女を訪ねてきた。

 料理が得意で、俺は食事時はいつも楽しみにしていた。

 父は勇敢な人だった。

 凄腕の剣士として、村の外まで名を馳せており、幾度となく蛮族から村を守ってきた。

 俺は父さんのその姿を見て、将来は父さんのような剣士になると心に決めていた。

 両親はともに高名な冒険者で、俺の誇りだったんだ。

 そんな二人が、その命を犠牲にしてまで、俺のことを助けてくれたのだ。

 その事実を受け止めた今現在、俺は前よりも両親のことを誇らしく思っている。それは確かなことだ。しかし————。


「……なあ、母さん、父さん」


 鏡に映った、傷だらけの自分の体にある傷痕の一つを、指でなぞる。


「貴方達が命を懸けて残してくれたこの体に、一体『人間の俺』の体は何割残っているんだろうな」


 鏡の自分に向かって問いかける。

 しかし、その問いに答えてくれる者など一人もおらず、自嘲的なその言葉は俺一人しかいない物静かな部屋の中で溶けて無くなった。








 昨日の授業の結果が出ていた。

 シャワーを浴びてすぐに着替えた後、俺のクラスに行く途中の廊下で大きな人だかりが出来ていたのだ。

 遠くから見てみると、どうやら昨日の模擬戦闘訓練の成績で、上位30位のパーティがそこに乗っている。

 俺らのパーティーはGクラス第七班となっているのだが……まあ、当然のごとく乗っていない。


「アーミック。おはようございます」


 それでも諦めがつかなかったのか、成績の張り紙を凝視していた俺に、隣からソフィアが声をかけてきた。

 そちらに目を向けると、どうやらソフィアのほかにティターニアもいたようだ。


「おう。おはようソフィア。それにティターニアも」


「はい。おはようございます、アーミック君」


 ティターニアはぺこりと頭を丁寧に下げて挨拶をする。別に同じパーティーの仲間なのだからそこまでかしこまらなくてもいいと思うのだが、育ちの良い彼女にはこれが普通なのだろう。


「なーんか、朝から騒がしいにゃー」


「おはよう、みんな」


 すると今度は別方向から、コレットとドラケンがこちらに向かってきた。

 コレットはさして興味も無さそうで、起きたばかりなのか、くぁっ…と欠伸を漏らしている。

「おはよう、ドラケン、コレット」と言うと、一拍間を置いてコレットが「おはようにゃー」と返してきた。

 さっきから目をずっと擦っている。コレットは、なんだかここ最近は朝はずっと眠そうにしているのだが、どうしたのだろう。寝不足なのだろうか。

 ともかく、これで七班のみんなは揃ったようだ。

 俺たちのクラスは、基本42人である所を41人であるため、必然的にパーティーは一つだけ五人になる。

 そして、そこに集まったのが俺たちだというのも、決して偶然ではない気がする。


「やあ、やあやあやあ諸君」


 うげっ、この声は。

 恐る恐る振り返ると、そこに居たのはやはりというかなんというか、もしかしなくてもクロードであった。

 クロードはそのテカテカの金髪を撫でながら、ふふんと鼻を鳴らして誇らしげにしている。というか、どこか嬉しそうな感じだ。


「いやはや、やはりこれは確定していた事実というか、僕達パーティーは才能に恵まれていると言うべきなのか。当然の如く上位30名に入ってしまったよ」


 君達とは違ってね、と最後に付け足して尊大に笑うクロード。

 こいつは朝からそんなことを言いに来たのかと、若干…というか、かなり呆れていたが、しかし言われてしまうと少し悔しいようなそうでもないような気がしてくるので、俺はもう一度成績の張り紙を見てみる。

 じっくり探すと、クロード達のパーティー、Gクラス第四班の名前を見つけた。ただ、順位はビリの三十位で、凄いんだか凄くないんだかよくわからない順位となっている。

 コレットもそれを見たのか、「言うほどすごくないにゃ」と言いながら、くっくと声を押し殺して片を上下に揺らしている。


 しかし、クロードは耳聡くその言葉を聞きつけたようだ。先程までの優越感に浸っていた顔を歪めさせ、コレットを睨みつけている。


「……おいおい、上位どころか下位争いでも上を狙えないど底辺のパーティーが、随分な口を聞くじゃあないか。偉くなったもんだな、え?」


 またでたよ、落ちこぼれいじり。

 馬鹿の一つ覚えみたいにそればっかり言いやがってまったく。

 つーかこいつ、こういう時だけ無駄に聴力が良いなほんと。聞いてもないこと喋るときは全く話を聞かないくせに。

 とにかく、コレットが言ってしまった分何とかやり過ごさないと。というかコレットが今にも噛みつきそうだ。


「いやぁ、まあ? 俺たちはど底辺のパーティーなんでわかりませんけど。オーガを狩ることのできる優秀なパーティーである貴方達が、まさか上位三十名のなかで最下位だとは思いもよらなかったものですからね」


 今度こそクロードが怒りを露わにして、俺に掴みかかろうとするが。


「おーいお前らー! いつまでもそんなとこにいるな、授業が始まるぞー!」


 と、教師の一人が大声でそう言いながらこちらへと向かってきたので、クロードはすんでのところで立ち止まり、大きく舌打ちをした。


「威勢がいいだけのクズパーティーめ。後で吠え面書かせてやるからな」


 そしてそのままクロードは踵を返して足早に教室へと向かった。


「っちぇ、なんなんにゃあいつ。やっぱりムカつくにゃー」


「コレット、あまり面倒は起こさないでくれ。ただでさえクロード自体が面倒ごとの塊なんだから」


 んべっ、と先を歩くクロードに向かって、舌を出しながらそう言うコレットに対して、俺は叱るように諭す。

 隣では、ふぅっ、とため息をついたソフィアが、先頭を歩き始めた。


「とにかく私達も向かいましょう。授業に遅れて怒られでもしたら、それこそプーシキンの笑いの種でしょう」


 それもそうだな。

 わかった、と言いながら俺達はソフィアの後に続く。

 朝から面倒なことがあるのは勘弁してほしいものだ。








 午前中の授業は主に戦略や魔物の知識についての授業だ。

 今回は多数のモンスターとの戦闘方法と、ボガートについての知識だった。


「ボカートと言うのは、小鬼のような見た目をした魔物です。基本的には悪戯好きとして知られており、主に周辺の村の畑を荒らしたり、牛などを食い散らかしてしまいます。

 中には急激な変化をもたらしたボガートの存在なども確認されており————」


 そのような話を時間まで話したり、時折黒板に重要な部分だけ書いたり、話が飽きないようにと小話を少し織り交ぜてくるが、やはり眠いものは眠いため、コレットなどは早速腕を組んで枕代わりにして寝ている。

 俺は一応、落ちこぼれという自覚はあるので、重要な部分や必要なことをノートにまとめたりしている。

 ドラケンやティターニアも似たような感じだが、ソフィアに至っては一字一句聞き逃さんとばかりにノートに書き込んでいる。それだけでは飽き足らず、先生の説明した戦術に対して、「そこはもう少し中央に据えた方が……」など、自分で修正したりしている。

 彼女はとても頭が良い。パーティー内の頭脳と言っても過言でない。だが使い過ぎてパンクしないようにして欲しいと思う。



 午後の授業は、専攻する役職ごとに別れ、役職ごとの役割を学び、そしてその役職特有の技術を訓練をする。

 俺とドラケンは戦士の専攻のため、学園内にある訓練場の一つで、教官数人と生徒数十人とで訓練をしている。

 とは言っても、ドラケンは『騎士』のため、『剣士』である俺とは別グループで学んでいる。

 ここでは模擬刀をつかって、基本的には技の指導、一対一の模擬戦などをしている。しかし、授業と言ってもかなり自由度が高く、ずっと訓練している人や、何回か休憩を挟んでやる人もいる。

 終了時間も一応定まってはいるが、直接先生に頼めば、時間後も付き合ってくれるのだ。


「ふっ! はぁっ!」


「脇が甘いっ!!」


 そんな中、俺も先生の一人と技の訓練を行っている。剣士の基本技術、鍔迫り合いからの、相手をいなして斬りつける技だ。

 俺は鍔迫り合いになった状態から、なんとかいなして攻撃をしようとするが、隙を狙われて逆にいなされてしまい、模擬刀を横っ腹に食らってしまう。


「ぐぅっ……!」


 勢いよく転げまわり、からだじゅうに擦り傷を負った。模擬刀を食らった脇腹なんかは、結構いいのをもらったので大分、というかかなり痛い。


「言ってるだろ? 脇の締めが甘いよお前は。そんなに開いてたんじゃ力も入らないし、隙だらけだ」


 俺が脇腹を押さえながら、転んだ状態で上半身だけ起こすと、目の前まで歩いてきた教師の一人が嘆息交じりにそう言った。

 雨に濡れたような、しっとりとしていてキラキラと輝く、腰まで届きそうなほど長い金色の髪を、頭の後ろで折りたたんでいる。

 瞳の色は緑で、すっとした鼻筋、桜色の唇。彫刻のように整った顔立ちに、白い肌。でるとこは出てるし、引っ込むところは引っ込んでいる。簡素な鎧に身を包み、腰には煌びやかな装飾の剣。

 100人中100人は美女と称するであろう彼女の名前は、ガラティン・ゴーヴァン。

 人間族の——エルフの血も混ざっているらしいが——女性で、少し男っぽい口調である。実際に、幼少期は男と間違われたこともあるらしい。


 ちなみに独身だ。理由はなんとなくわかるが。


「…あ、あれでも、っすか? 結構自信あったんですけども」


「あほうっ、加護の受けられない自分は、せめて技術で補いたいと言ったのはお前だろ。男に二言は許されない。私が認めるには、お前の技術なんて赤子みたいなもんさ。ほらとっとと立った立った。まだまだこれからだよ」


 模擬刀を突きつけて囃し立てるガラティン先生に、逆らってもかなうはずもない俺は、模擬刀を支えにして立ち上がる。


 再度模擬刀を構え直し、俺は先生へと立ち向かった。


 ……数時間後。



「よしっ、だいぶ様になってきたな。さすが私の教え子だ。今日はこれにて終わり!」


 んんっー、と背伸びをするガラティン先生。その声色には全くと言っていいほど疲れを感じさせない。

 当の俺はというと、身体中アザだらけで、土まみれのボロ雑巾のような状態だ。

 何度も何度も打ち合って、その度に転がされて、それを繰り返し繰り返し続ける。


 もはや拷問だろ。これ。


「……っな、なんで、つかれっ、て、ないんっ、すか……?」


 息切れが激しくて、途切れ途切れしか声を出せないけれども、俺は必死に声を振り絞った。


「この程度で疲れてちゃあ冒険者は務まらないさ。良かったじゃあないか。切り返しも上手くなったし、ほかの技もうまくいっただろ?」


 いや、まあ、それもそうだけど。

 意外と飲み込みが早いと踏んだのか、それともただ単に教師風に吹かれたのか、ガラティン先生は切り返しのほかに二つほど技を教えてくれた。

 一つは、相手の手首を素早く切って、武器を落とさせる技。二つ目は斬撃(スラッシュ)と呼ばれる技で、特殊な足運びから踏み込み、そしてそれら一連の動作から加えられる力を上乗せして、相手に切り込む技だ。これは普通に剣を振り回すより断然威力があり、俺でも丸太を軽々と切ることができる。


「お前は入学前から見てきたけど、なかなかに筋がいいと踏んできたからね。高等科になって戦士を専攻してきたときには嬉しかったよ。教え甲斐がある奴が来たってね。実際その通りになったね」


 そう言って笑いかけてくるガラティン先生に、おれは「どうも」といって立ち上がろうとする。

 すると、手を差し伸べてくるガラティン先生の手を取って、立ち上がるのを手伝ってもらった。


「そんじゃあ、これで終わりにするか……って、ああ、そうだ。伝え忘れてた」


「……なにをっすか?」


 ガラティン先生の言葉に、俺は疑問の声を上げる。

 またロクでもないことじゃないだろうなと、俺は身構えてしまう。

 この先生を入学前から知っている俺は、どうしてもそんなことを考えてしまうのだ。



「そんなに身構えなくてもいいだろう……。もう私もいい歳なんだから分別はわきまえている。そうじゃなくてだな、校長がお前の事を呼んでいたぞ」


 どうやら俺の考えは外れたようだ。

 そのことに内心安堵しながら、俺はもう一度ガラティン先生の言葉を反芻する。


「校長が俺を?」


「ああ、そうだ。まあ、どうせいつもの報告を称しただけの世間話だろ?」


 寂しがり屋だからなあ、あの人、とぼやくガラティン先生に、俺も納得してしまう。


「わかりました。向かいます」


「ああ、わかった。じゃあ今日はお疲れさん。今日覚えたことは忘れんなよ」


 じゃあなー、といって、ひらひらと手を振りながら歩き去る先生に、俺はありがとうございましたと礼を言いながら頭をさげる。


「……さて、と。行くか」


 頭を上げて、俺は校長室へと足を運ぶ。

 訓練場には夕焼けが差し込み、あたりを真っ赤に染めている。

 時刻はもうだいぶ遅く、訓練場には俺以外残っていなかった。









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