りゅうくんとそのかぞく
この子の名前はりゅうくん、小さな子供のドラゴンです。きれいなみどり色のうろこと、白い小さな角が、かっこいいって言われています。
お母さんは空を飛べないドラゴンで、うろこの色は白いです。いつもおいしいご飯を作ってくれます。朝から晩まで畑で働いている、はたらきものです。
お父さんは空を飛べるドラゴンで、うろこの色は青いです。いつもりゅうくんと遊んでくれます。いろいろなお仕事をしていて、昼はお家にいません。たまにおいしいお土産をもって帰ってくれます。
りゅうくんの好きな物は、ヒーローです。ヒーローの動く絵のお話が、大好きです。でも怖い話は、ぞわぞわして見ることができません。お父さんのひざの上でパソコンの動画をみせてもらうのが大好で、ふたりとも夢中になりすぎて、お母さんによく叱られています。
りゅうくんの好きな物は、おもちゃです。動画や、本にのっているおもちゃは、全部欲しいと、いつもいっています。お父さんも、おもちゃが好きなので、たくさん買ってあげたいと思うのですが、簡単に買ってあげすぎて、我慢できない子になると困ると、お母さんがいうので、あまり買わないようにしています。お父さんは、長く大事に遊べるおもちゃなら、すぐに買ってあげとも良いと思っています。……りゅうくんが、おもちゃに飽きたら、お父さんが、貰おうと思っているのは、みんなにはないしょにしています、が、実はみんな知っています。
りゅうくんはお母さんが大好きです。やわらくて、いいにおいがして、ぎゅっとだっこされると、とてもおちつきます。いつも、おいしい、ごはんをつくってくれます。たまにごはんを残すと、悲しい顔をしますけど、りゅうくんは苦手なものはどうしても食べられません。お父さんは、そのうちに大きくなれば食べられるようになると、思っています。体が大きくなる時には、お腹がたいへんぺこぺこになるので、自然に食べるようになると、思っています。
りゅうくんは食べる時テレビやパソコンで動く絵を見ながら食べています。食べている時間がもったいないと思っているのです。食事だけを楽しむことができるのは、もっと大きくなってからじゃないと無理かな?とお父さんは自分の、テレビ大好きだった、小さなころを思い出しながら、思います。
りゅうくんはお父さんが大好きです。いつもおもいっきり遊んでくれて、肩車とかしてくれるからです。ヒーローになりきって、戦いごっこをするときは、どんなに強く攻撃しても、うけとめてくれます。
お父さんはほんとうは痛いのだけど、りゅうくんのにかっこいいところを見せたいのでやせがまんをしています。ちかごろは、りゅうくんの力も大きくなってきたので、少し体をきたえなおそうかな?と思っています。さすがに、りゅうくんに負けたくないですから。
今日はお父さんがお家にいます。りゅうくんは一日遊んでもらえるので、うきうきしています。
「おとうさん、きょうはおしごとないの?」
「うん、おとうさん、りゅうくんと遊びたいからおしごとお休みしたの」
りゅうくんのお父さんは、りゅうくんといっしょにいたいので、あまりお仕事をしたがりません。お父さんは子供が小さいときは、できるだけいっしょにいるのが良いと思っているのです。
「……かいしょうなし?」りゅうくんが言います。
「おもてでは言わないようにね」地味にしょっくを受ける、お父さんです。りゅうくんは、たくさん物語を動画でみているので、いろいろな言葉を知っています。意味をよく知らなくて、ぽろりと出てくる言葉に、まわりの大人が慌てることもあります。
「おとうさんは、りゅうくんといっしょにいたいのです」
「ぼくもおとうさんといっしょにあそびたい!」
「ではおしごとしなくてもよいじゃないですか」
「うん」
本当にそれでよいのかしら?ととなりで聞いて悩むお母さんです。
お父さんがさいげんなくりゅうくんを甘やかせるので、お母さんはいつも困っています。なのでりゅうくんに色々(いろいろ)しつけをしているのはお母さんです。というよりも、お父さんがまるで子供のようなので、大人としていろいろ言うのは、お母さんしかいません。あまりしつけなど上手にはやったことがなかったけど、りゅうくんのお母さんをしている内に、お母さんらしくなってきました。私の母親もいろいろ子育てで、悩んだのかな?と思いながら、毎日りゅうくんとお話をしています。
りゅうくんの言葉が乱暴にならないように、
「こわいことはいわないでー」とやんわりと注意します。りゅうくんもお母さんが大好きなので、怖がらせないように、すぐに
「はあい」と言って他のお話をはじめます。でも、お母さんにいたずらをして、きゃあと言わせるのが面白いので、ついつい、嫌がることをしてしまいます。
「しくしく」お母さんが泣いてしまいました。
「ごめんなさい」素直にあやまれるりゅうくんは良い子だと思います。
お父さんもお母さんも、りゅうくんがいつもにこにこ笑っていられるようにしようと思っています。もっといろいろなひとに出会ったときも、りゅうくんがどうどうと自分に自信をもっていきていってほしいと思っています。ので、少しづつりゅうくんをきたえていこうとしています。
お父さんはりゅうくんの質問にできるだけ正しく答えようと思っています。ただりゅうくんは、とてもはやくいろいろ質問をするので、わかりやすく話そうと頭の中で考えているうちに、りゅうくんの質問が多くなって、あわててしまいます。難しい言葉を使わないで、お話をするのは、たいへんなんだな、おもしろいな、と、発見して、ちょっとわくわくしながら、りゅうくんとのお話を楽しみにしています。
お母さんは、りゅうくんに文字のかきとりをさせています。なれない、えんぴつを持つという動作も、ちかごろは上手になってきました。りゅうくんは自分の名前ならおてほんを見なくても、かけるようになりました。ひらがななら、おてほんを見ながらかけるようになりました。こんどはかたかなをかけるようにしたいと、お母さんは思っています。
りゅうくんも文字がかけるようになるのは、うれしいと思っています。ただ、もっと他にやりたいことが多いので、あまり文字を書く練習はしません。
お父さんは、りゅうくんが、文字をよめるなら、それでいまはいいかな?と思っています。それよりも、もっと絵を描いてほしいなと、思っています。ただ、いまはいろいろおもしろいおもちゃや、ひーろーのお話がたくさんあるので、自分で何かを作ってあそぶといことが少なくなっているんだろうな、と、ぼんやり思います。
りゅうくんは、とくにむずかしいことはかんがえません。ただ、工作は好きですので、紙でおもちゃをつくったりはします。ただ、お父さんには、紙をひねったものとかが工作に見えないだけでした。たまにごみとまちがえられて、りゅうくんはないてしまいます。お父さんはいっしょうけんめいあやまることになります。
お母さんはそれを見て「なかがよいのね」と言って、笑っています。
りゅうくんはみんなとおふろに入るのが好きです。お父さんもお母さんも体が大きいので、おおきめのおふろでも3人で入るといっぱいです。でも、いつもうれしそうに、いろいろお話をしながら、入っています。でも頭を洗われるのは苦手です。めに水が入るとおおさわぎです。とうぜん、自分ではうまく顔も洗えないのです。
お父さんも、お母さんも、はやく顔を洗う気持ちよさに気がつくとよいなあ、と、思っています。
お父さんは、りゅうくんがあかちゃんのときは、水の中に頭をつけても平気だったのになと不思議に思っています。
お母さんは、目をつむるのが怖いのかなと、思っています。なにも見えなくなるのが嫌なのかもと、考えています。
りゅうくんは、あまり寝たがりません。ぎりぎりまで、いろいろ遊んでいたいからです。おふとんに入っても、お父さんやお母さんにいろいろ話しかけてきます。お母さんは「はやくねなさい」とよくいっています。お父さんは逆にゆったりと話にこたえていきます。そして「りゅうくんがねむれないでしょ!」とお母さんにしかられてしまいます。りゅうくんは、そんなお父さんや、お母さんの楽しそうなお話をききながら、いつの間にか眠ってしまいます。
「りゅうくんのねがおすごくかわいいんですけど」
「ええしってますよ」
お父さんとお母さんが、とても甘ったるいお話を、りゅうくんの寝顔をみながらしています。
りゅうくんとその家族はこんな感じです。
このお話はフィクションですよ
おしまいです