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それぞれのレッスン

 5話目です。

 北澤さんもメルカもコンテストに向けて歌の練習とかを始めている。

 それにしても、さすがは北澤さん。

 今回の学園アイドルコンテストに相当な自信を持っているみたいだしね。

 実際に彼女の歌とかを聴いてみると満更、オーバーな表現ではないって事が認識させられちゃう。

 北澤さんって声は大きくてよく響くし、歌うとその歌唱力に圧倒されちゃうのだ。


 私たちは放課後、校内の音楽室を借りて北澤さんが練習しているのを許可もらって見学した。

 丁度、ダンスをしている最中である。

 華麗にステップを踏む北澤さん。

 手足の動きは機敏且つキレイだし、全体の動きがリズミカルだから思わず釘付けになっちゃう。    時々、目の当たりにする横柄な態度とは全く違う真剣な表情だから尚更だ。

 美穂の方も、北澤さんのプロ並みの上手さに舌を巻いていた。

 例の地味っ娘も一緒である。

 美穂の説明では、北澤さんと同じクラスメートの佐貫静香さんだと言う。

 名前まで地味じゃない。

 でもよく見ると、素顔はキレイだって事が伺える。


 今度は北澤さん、歌を取り入れたレッスンを始めた。

 佐貫さんとマイクを持ったフリをして、体を動かしながら歌うのだ。

 レッスンに使われている曲目はっと…、

 2年前にリリースされた『スラッシュ』と言うタイトルの曲じゃない。

 レディースQクィーンの1人であるサヤカが歌っているソロ曲である。

 レディースQは今もっとも輝いているアイドルグループなのだ。

 リーダーのジュン(勝宮純奈23歳)を初め、サブのエッコ(白石悦子22歳)、ミサ(倉本美佐22歳)、チェミー(八木智恵美20歳)、ヘレナ(黒沼辺玲奈20歳)、リカ(桂理香20歳)、チコ(滝川智子18歳)、サヤカ(柏木沙耶香17歳)、ナツミ(川辺奈津美17歳)、サミー(高山幸子16歳)、モモ(大曲桃子16歳)、ユカ(三苫有加15歳)、最年少のルラ(大石留羅14歳)とマーホ(夕凪真帆子14歳)の14名の美女や美少女でメンバー構成されている。

 北澤さんはサヤカが去年、2枚目のアルバムに入れていたソロ曲を相当マスターしているみたいで、歌い方も振り付けもほぼ完璧に仕上がっている。

 佐貫さんが指導したのかな?

 北澤さんは佐貫さんの動きを見ながら、一緒に合わせているのだ。

 佐貫さんって歌や踊りも上手そうだし、いったい何者なんだろう?

「普段はとても、大人しい人だけどね」

 美穂は佐貫さんの普段の地味な振る舞いと、今の状態とのギャップに驚いていた。



 我がクラスメートのメルカの方は1人で歌の練習をしていた。

 メルカは運動神経が鈍いから踊りはどうするのか気になっちゃうけど、当の本人は歌の方に力を入れていた。

 メルカの場合は、自宅で音楽用のDVDを見ながら練習しているって言うパターンみたい。

 コンテストで披露する歌は『先生、大好き!』って言う、ちょっと乙女チックな曲である。

 実はこの曲、毎週日曜日の朝にオンエアされているテレビアニメの主題歌。

 架空の女子高校を舞台に、超イケメンの若い先生に夢中になる女の子たちが活躍する学園恋愛モノの作品だけどね。

 まあまあ人気の有るアニメなのだ。

 メルカはこのアニメの大ファンで、作品のエンディングの歌を完璧にマスターして勝負に出る構えのようだ。

 エンディングが流れる時、主役の女の子(桜井夢美って言う天然ボケの女子高生)が振り付けをしながら歌うシーンが出て来るから覚えるのには丁度イイ。

 メルカは収録した番組のエンディングを何度も観ながら歌と振り付けを完全にマスターした。

 

 休日を利用して私と美穂、佐々木と一緒にカラオケに行った時にメルカは初めて歌を披露してくれた。

 メルカも歌が上手かった。

 先生、大好き!って言う曲の時、歌詞は全く見ないで歌ったから殆どマスターしていると思える。

 歌い終わったメルカは、まるで勝ち誇ったかのような態度を見せた。

「これで完璧だよ。コンテストは絶対、優勝出来るもんね」

 私はメルカの自信溢れる目を見て、北澤さんと同じように絶対の自信を持っているのを強く感じた。 まぁ…

 メルカ自身が本当にどんな気持ちでいるのかは他人の私には分からないからね。

 だから何も言わないし、頑張ってねと言うだけがコッチは精一杯かな?

 一方の美穂の方はメルカを冷ややかな目で見ていた。

「メルカは本当に、学園アイドルの座を獲得出来ると思っているの?」

 疑問を呈する美穂の質問に、メルカは堂々と答えた。

「出来るに決まってるよ」

「根拠は?」

「私はコンテストで歌う曲を完璧にマスターしたから、誰にも負けないもんね」

「じゃあ…、北澤さんにも勝つ自信が有るんだ?」

「負けない。北澤さんより、私の方が断然歌が上手いからね。私の方が勝つに決まっている」

「イイのかな? そんな簡単に結論付けちゃって」

「何よ? 私の言い方が変なワケ?」

「変なのかどうかは、自分の目で確かめてごらんなさい」

「どうやって?」

「北澤さんの練習の様子を覗いてみるとイイかもね」

「練習? 練習って?」

 今度は私が話しを進めた。

「あのコもね、メルカと同じようにコンテストで披露する歌のレッスンに励んでいるの」

 美穂が補足説明する。

「振り付けも徹底的にマスターしようとしているし、歌もかなり力を入れているしね。

 こんな事言いたくはないけど、アンタ以上に北澤さんはレッスンはチョー真剣だよ」

「真剣だって? 本当かなぁ?」と疑うような目付きをしちゃうメルカ。

 私たちが言う事をどうも、信じてくれない。

「だーかーら、自分の目で確かめてみるんだよ。私たちも一緒に行くから」

 私たちの勧めにあまり気の進まないメルカだけど、それでも私たちは躊躇する事もなく半ば強引にライバル視察に誘った。



 北澤さんの練習を見て、メルカはどう反応を示すのかな?

 続きます。

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