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私こそが真のアイドル!

 4話目です。

 北澤琉留奈ってホント、自分に絶対の自信を持つ女の子なのだ。

 北澤琉留奈が何故コンテストに出るようになったかと言うと、3人の先輩と言い争いになったのがキッカケだった。


 昼休みだったかな?

 学食で昼食を済ませた北澤さんは1人、教室に戻ろうとしたら先輩たちに呼び止められちゃった。

 先輩たちとは3年B組の尾山貞美さん、井上紀子さん、笠妙子さんたちの事。

 3人は北澤さんを校舎の裏手へと連れて行った。

「何ですか? こんな所に連れ込んじゃって」

 裏手の一角で怖い先輩たち3人に取り囲まれて、北澤さんは身体が硬直してしまった。

 ビビるのも無理はない。

 この御三人方は、男子でさえも恐れをなして尻込みしたりするぐらい怖い先輩たちなんだから。

 喧嘩の強さも然る事ながら、鬼のような怖い顔で睨みつけられちゃうだけでビビりまくるのだ。

 北澤さんは内心、緊張しながらも平静さを保っている。

「テメーに話しが有るんだよ」

 男勝りの乱暴な言葉を使う笠先輩。 

 鶏みたいな顔をしてて、この人も凄く怖いのだ。

「何でしょう?」

「生意気なんだよテメー」

 いきなり変な事を言われて、北澤さんは戸惑った。

 私だって戸惑っちゃう。

「言ってる事が分からないんですけど。詳しく説明してもらえませーん?」

「何だって?」

 ドライな態度を取られて頭に来た笠先輩は北澤さんの胸倉を掴んだ。

「よしなさい妙子」と尾山先輩が笠先輩を抑える。

 今度は尾山先輩が話しを進めた。

「妙子が乱暴な態度を取ってゴメンね。前から北澤さんに言いたい事が有ったの」

 竜先輩と違って言葉遣いは丁寧である。

「何ですか?」

「北澤さんも結構、人気者だよね? 皆に一目置かれて、どんな気分?」

「別に? どうって事は有りませんよ」

「自分自身はアイドルだって、当然のように思ってるから?」

「んまぁ、そうですね」

「そっかぁ、自分の事を学園のアイドルだと思ってるんだ」

「それが何ですか?」

「なーんか、おこがましいのよねぇ。自惚れって言うか、図々しいって言うか」

「人がどう思うと、先輩たちには関係のない事だと思いますけど」

「そう? 関係ないんだ?」

 何だか、因縁を吹っかけられてるみたい。

「私の言動にケチ付けないでくれます? 不愉快なんですけど?」

「私たちだって不愉快だよ」と井上先輩。

「不愉快だから、つまらない因縁を付けるんですか?」

「別に私たち、そんなつもりは無いけどねぇ。でも、自分を誇示しちゃうような行動を取る姿勢が我慢出来ないの。教室でファンサービスとかやっちゃったりしてバッカじゃないの?」

「馬鹿みたいですか?」

「自分は、凄く人気者だしモテモテなんだって言う事をアピールしているみたいだし」

「尾山先輩の今のセリフ、私に対する不満ですか? それとも妬み?」

「あーら、言い方が悪かったかな?」

「尾山先輩だって、自分の事を学園のアイドルって思ってますよね?」

「うん、まあね」

 

 そうなのだ。

 北澤さんに何だかんだとケチを付けてる尾山先輩だって同じような事をしているのだ。

 でも…

 北澤さんは堂々と尾山先輩の事を言う。

「いくら尾山先輩も学園のアイドルだと言っても、私と違って男子の評判はイマイチでしょう?

 あまりモテナイって言うか」

「…」

 ムッと来ちゃう尾山先輩。

 イイのかなぁ?

 尾山先輩に対して、そんな軽率な事を言っちゃって。

 北澤さんはハッキリと断言した。

「真の学園アイドルは、この私です」

「どうして、そう…自信持って言えるの?」

「美しさ、品の良さ、頭の良さ、生まれつきのセレブ的感覚、数多くの男を虜にしちゃう女の子としての魅力…全てが完璧の私だからです」

「凄い、自信の持ちようね?」

「ハイ」

「でもそれって、北澤さん自身がそう思い込んでいるだけでしょう? 回りの人たちがみーんな、アナタをアイドル視しているとは限らないわよ?」

「実際に、多くの男子が私に寄って来ますよね? それだけ、私を特別に見てくれるって…」

「もうイイ!」と、尾山先輩は北澤さんの言葉を遮った。

「え?」

「アナタの自慢話しとか聞いたって、始まらないもんね」

 さすがの尾山先輩も、下級生のコから軽い口を叩かれ相手の自慢話しまでも聞かされてウンザリしちゃったみたい。

 北澤さんって案外、口は軽いし言う事がキツいからねぇ。

 聞く方も終いには、ウンザリ来ると思うよ。

 更に北澤さんはズバッと言っちゃう。

「どっちが真の学園アイドルなのか? 先輩と議論したって始まらないと思います」

「だったら…、私と勝負しない?」

「ケンカはNGですよ?」

「じゃなくて、コレ」

 尾山先輩は1枚の即席チラシを北澤さんに見せた。

 聖グラン高校・文化祭実行委員会が作成したイベント企画のお知らせのチラシである。

 チラシを見入った北澤さんが目の色を変えた。

 イキイキとした目になったのだ。

「尾山先輩もエントリーしたんですか?」

「もっちろん。そうそう、2年A組の芳村まりあさんもエントリーしたって言う話しだよ」

「ふーん。あの、自惚れブス狸がねぇ」

 自惚れブス狸…、北澤さんや尾山先輩以外に、学園アイドルだと自負する女のコが何人かいる。 

 2年A組の芳村まりあちゃんもその1人なのだ。

 メルカと同じ小柄で、ぽっちゃり系の可愛いコである。

 明るくて気さくでクラスの人気者。

 とても頑張り屋さんなところが、みんなに尊敬されているのかな?

 北澤さんは、まりあちゃんの事を嫌っていたっけ。

 互いに折り合いが悪いし、時には敵対意識を持っちゃう事も有る。

 北澤さんったら、自惚れブス狸とか言うあだ名を付けて彼女を軽蔑しているしね。

「北澤さんも出るよね。聖グラン高校・学園アイドルコンテストに」

「えー、出させて頂きますわ」とまあ、お嬢様気取りの口調での北澤さんは返事。


 こう言った言葉のやり取りがキッカケで、北澤さんは出ると決めたワケ。

 早いよねぇ。

 もう自分が、真の学園アイドルの座を射止めているような思いになっちゃうんだから。

 負けと言う言葉は自身の辞書には書いてないって豪語するぐらいだから、自信が付いちゃうのかな?


 学園アイドルに出る北澤さんである。

 続きます。

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