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木之元芽琉香・チビだけど可愛いくて頑張り屋さん

2話目です。

あの北澤琉留奈を強くライバル視している女の子がいるのだ。

 さてさて…


 北澤さんにライバル意識を抱いている女のコたちが何人かいる。

 その中の1人が私…堀川友恵が在籍する2年D組のクラスメートで、仲良しの木之元芽琉香…通称メルカである。

 私から見ればとても可愛い女のコで、スッゴく良いコだけどね。

 北澤さんたちは評価はこうなのだ。

 私のもう1人の仲良しで、同じクラスメートの椎原美穂が校内の食堂で盗み聞きした会話である。


 北澤さんの友人である真由美ってコが言う。

「そう言えば、ルルナに対してライバル意識を抱いてるコがいるよね」

「そんなコ、回りにゴロゴロいるじゃない」と北澤さん。

「でもぉ、そのコの場合はハンパじゃないよ? 相当なライバル意識を持っちゃってるし」

「だーれ、そのコ?」

「2年D組のメルカだよ」

 あーあ、あのコって回りのコたちが笑いながらうなずいた。

「メルカってだーれ?」

 北澤さんはメルカって名前を聞いても、ピーンと来なかった。

 何度かその名前を耳にはするけど、面識が無いから誰なのかは分からないのだ。

 辰美さんが説明をしてくれる。

「名前は木之元芽琉香。まあまあ可愛いんだけどね。背はちっちゃいし、ちょっとオツムのネジが外れたような変わったコなんだよね」

 仲良しのクラスメートの事を教えてくれるのはありがたい。

 でも、チビ(身長158㌢で体重が53キロ)だとか気が荒いとか、悪いところばかり説明するのには閉口しちゃう。

 すっごく神経質だとか、人から言われたり指摘とかされたりすると深く気にするタイプだとか…

 もうそんな事ばかり。いつも張り切って頑張っているって言う所も北澤さんに教えてもらいたいよねぇ。


 そのメルカだけど、この頃やけにカラオケとかに通っているように思えた。

 学校が終わると、そのままカラオケ店へ直行!

 …なーんて事も度々なのだ。

 私のクラスメートの男子で仲良しの佐々木剛がメルカの行動を気にするようになった。

 佐々木や私の疑問に答えてくれたのは美穂である。

「コンテストだよ」

 え? いきなり、その一言?

「コンテストって?」

 美穂は自分が持っていたコピーの折り畳みを広げて私に見せてくれた。

「これだけどね」

 それは聖グラン高校・文化祭実行委員会が作成したイベント企画のお知らせ掲示物のコピーである。

「学園のアイドルコンテスト?」

「文化祭イベントでは初めて実施するステージイベントみたいだよ。提案したのは先生たちでね。

 学園アイドルだと言い切る男子や女子が結構多いから、学園祭の出し物も兼ねてコンテストでも企画してみようと考えられたんだって」

 佐々木が話しに加わった。

「それ知ってる。今年は先ず、女子の部を開催して来年は男子の部をやるって言う話しだろう?

 コンテスト当日には、現役の女性アイドル歌手がゲスト出演も兼ねて審査に加わるらしいよな」

「まーだハッキリと、そうとは決まってないみたいだけどね。もし人気アイドルが来るって決まったらコレは今から楽しみだよね。なーんだかワクワクしちゃう!」

 1人でウキウキしちゃってる美穂である。


 私は質問した。

「どんな人が出るのかな?」

 説明を続ける美穂。

「私が聞いた情報では、3年B組の尾山貞美先輩とか…それと…1年B組の平松伊代さんと荒戸みなみさんでしょう。1年D組の小南葵さん、2年E組の小金山美由ちゃん、3年C組の中牟田亜紀さんが出るんだったかな?」

「結構、名の知れた人たちばかりじゃなーい。っで? メルカも出るってワケ?」

「メルカもエントリー候補してる」

「なーんで又、メルカも?」

「生徒会室の前に貼られてあったポスターを見て、出ようと決めたんだよ」


 私たちは後日、メルカ本人からコンテスト出場について伺ってみた。

「美穂から聞いたよ。コンテストに出るんだって?」

 私の問いに、メルカは目を輝かせて言う。

「もっちろん、私も出るからね」

「早くからエントリー候補しちゃったもんね」と美穂。

「頑張って、学園アイドルの座を射止めたい」とまあ、メルカは気合いれまくりである。

「お前、冗談キツいぜ」

 笑いながら言ったのは佐々木である。

「何よ? 冗談キツいって」

「チビのお前が出るなんて,有り得ねー」

 メルカはカッとなり、いきなり佐々木の頬をバシーッ!

「佐々木は黙ってて!」

「…」

ビンタ食わされた佐々木だけど、呆れて怒る気にもなれなかった。

 メルカの積極さに関心を抱いた私は、その思いを知りたくなった。

「どうして、学園アイドルコンテストに出ようと決心したの?」

「自分を試してみたいから」

「自分を、試してみたいから?」

「友恵も分かっているよね? 私って、なーんの取り柄も無いって事をね」

 んもぉ、又だ…。

 ため息付いた私。

「相変わらずだよねメルカって、どーしてそう、自分を卑下しちゃうの?」

 自虐的な思いが強く消極的な一面が、私にとってメルカの嫌いな所なのだ。

「だって事実じゃなーい? チビだし友恵と違って胸無いし。運動音痴でキレイじゃないし、頭悪いし」

「そんな事はない! メルカだって立派なだよ。いつも一生懸命、頑張っているじゃなーい」

 あーもう、ウンザリ。

 私がこんなフォローを何度も口にした事か…。

 そろそろセリフを変えるべきかな?

「だけどねぇ」

 佐々木も言う。

「なあ木之元よぉ、あまり自分を悪く思っちゃうと…本当に何の取り柄も無い人間になっちまうぜ。

 ウチの親父から聞いた話しだけどよ、知り合いの女性が木之元みたいに自分を滅茶苦茶卑下するあまり、終いには本当にダメな人間になったって言うんだ。悪い事ばかり考えちゃうのも、どうかと思うよな」

 ヒュー!

 佐々木も、たまには良い事言うよね。

「佐々木の言う通りかもね? あまり自分を卑下しちゃうと」

「それは分かっているけど…」

 佐々木や私からのアドバイスを理解しているメルカだけど、どうしても素直に気持ちを変えようと言う気にはなれないようだ。


 美穂が話しを進めた。

「自分はダメだって思うのは良くないけどね。それはそれとして…、先ずは今度のコンテストで自分を試してみたいって事だね?」

「うん」

「頑張って、挑戦してみる事だね? 私たちも応援するから」

「何とか、頑張ってみる」

「一生懸命、やれば…良い結果が出るんじゃねーの?」

「ありがとう、佐々木」

 佐々木から励まされて、メルカの表情が明るくなった。

 さわやかな笑顔が、メルカの良い所の1つなのだ。


 メルカが学園のアイドルのコンテストに出ちゃう。

 果たして、吉と出るか凶と出るか。

 続きます。

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