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朝だ、ご飯だ、不可解だ

 沖田家 時刻午前7時半

 チュンチュン・・・チュンチュン

 清々しい、朝のスズメの鳴き声が・・・・

「・・・スズメがいるわけ無いだろ」

 俺は、目を瞑りながら人間の声から発せられた、わざとらしいスズメの鳴き声に突っ込みを入れた。ちなみに、スズメや他の動物達は堕天の日以来殆どが死に絶えたのだ。だから、朝昼晩、時間に問わずスズメの鳴き声が聞こえてくることなんてもう一生ないのだ。

「えっへへ、おはようございます。死んだように寝てましたけど、だいぶ疲れてたんですねぇ」

 俺は、今日も満面の笑みを前に起床を迎えた。

「いや・・・それは南瓜のせいで・・・」

 俺は小声でボソっと言う。

「え?」

 声が聞きとれない、と言った様子で首をかしげる南瓜。

「いや、ほんと死ななくてよかったなーってね」

「そうね、お姉ちゃんに感謝することよ」

「あ、ああ。そりゃ感謝してるさ」

「いえいえ、感謝にはおよばねぇですよ。はい、今日の朝ごはんです。」

 今日の朝ごはんは・・・・

「・・・・なんで非常食じゃないんだ!!!」

 俺はびっくりして、つい大きめな声で突っ込みを入れてしまった。

「うるさいわね。近所迷惑だから喚かないで」

「いやっご近所さん全部倒壊してますけどね!」

 まず、ご飯は米をアルファ化させた非常食があるからさして突っ込みどころではないが、今回出してもらった物は朝食の定番

 ご飯とみそ汁

「なんで、みそ汁があるんだ?」

 そういうと、小窓の下にある本棚に南瓜が歩いて行き何百とある一つの本を取り出した。そして俺に、ドヤ顔でその本のタイトルを見せつける。

「ジャジャン!」

「『馬鹿でも分かる一からのみそ汁作成法』・・・・なんか、タイトルに突っ込みを入れたい気分なんだけど・・・」

「タイトルに惑わされちゃいけませんよ久史さん。この本は本当に分かりやすくみそ汁の作り方が書いてあるんですから」

 南瓜が本を取り出した場所の右隣りの本を見ると『分かる人には分かるみそ汁のおいしい作り方』という本があった。

「その隣の本を取らないところらへんが南瓜らしいな」

「えへへ、それほどでも」

「けなされてるのよ」

「いやいや、基本も大事だからな。それじゃ、朝食を食おうか」

 俺はお膳の上に置いてある『おてもと』と書かれた箸袋には、「割り箸がなんであるのか!」と、もう驚くことなく割り箸を取り出して箸を割った。

「あぁ、まだ私のご飯を持ってきてないから待ってくださいよ~」

 そういって、南瓜は右奥の扉に入って行った

 待っている間、やはり、この不思議な家にはとっても突っ込みどころが満載らしく、俺のお膳の上には煎茶が置かれていた。

(この家は、ガスもなくどうやってお湯を沸かしているのだろう。むしろ、水はどこから供給されてくるのか・・・・)

 そんなことを考えたが、もう突っ込み疲れて突っ込むことはやめた。

「・・・・」

 お茶を凝視している間に、小雪ちゃんも南瓜も食事の準備が整っていた。

「それじゃあ、いただきましょぉう!」

 南瓜が箸を持って元気に食事の号令をかける。その手にはプラスチック製の箸が持たれている。

(ああ、やっぱりマイ箸はあるんだ・・・・)

「「いただきます」」

 俺は小雪ちゃんと一緒に手を合わせ、いただきますを言って、まず一番気になるみそ汁から食べることにした。

ズゾゾゾ

「ま・・ま・・ま」

「ま、で止めないでよ!その後に、続く言葉なんて一つしか無いじゃない!」

 まずい・・と、言うとでも?

「いや、だって俺ワカメ嫌いなんだよ」

「知らないわよあんたの好き嫌いなんて!」

 こっぴどく、小雪ちゃんに突っ込みを入れられた。すると、南瓜がもともと正座していた足を崩して足を崩した反対側の床に両手を置いて

「知りませんでした・・・まさか、久史さんがワカメ嫌いだったなんて!」

「え・・・いや、そこまで落ち込むの?!」

「あ~、お姉ちゃんを泣かした~」

「いやっ別に食べれないわけじゃないからさ、ほら全然・・・」

ぱくっ

「ぐおぇ」

「吐くほど嫌いなら無理して食うな!」

「いいのよ。ワカメは全部私が貰い受けるわ」

 そう言って、俺のみそ汁のお椀を南瓜が取ってワカメを採取しだした。

「い、いや、もっと女の子なら間接キスとか気にしないのか」

「か、間接キスってなんですか!?・・・小雪ちゃん!」

「し、知らないわ!なんなのよその卑猥な言葉は!キスとどうちがうの!?」

 どうやらまったく間接キスと言うものを、知らないらしい。キスと間接キスの区別がつかないといった感じだ。

「え?いや、例えば俺が使った箸を南瓜が使ったら間接的にキスをしたって事で間接キスに」

「なるほど・・・」

(二人とも反応がかるい!)

 ちょっと心がめげそうになった。

「まあ、とりあえずもう味噌汁は置いておいて。南瓜にお願いがあるんだ」

 南瓜は、俺のお椀からワカメを抜き取るのを止め、俺のお盆の上に置いて自分のご飯を食べだした。

「ふぁぃ、ふぁんえふぉうは?」

「はい、なんでしょうか・・・だそうよ」

 南瓜のよくわからない言葉を小雪ちゃんが翻訳してくれた。

(よく、あんな言葉がわかるな・・・)

「俺この食事が終わったら、この街を探索してみたいんだ」

「なにその、死亡フラグみたいな言い方・・・」

もぐもぐ・・ゴックン・・

 南瓜の、ご飯を飲み込むまで少しの時間があく。

「はい、いいですよ」

「え?私結構的確な突っ込み入れなかった今?」

 小雪ちゃんが少しおどけた感じで俺たちに質問をする。

「ほんとか!南瓜がいればだいぶ、楽に街を見て回れそうだよ」

「この街のことは私にまかせなさい」

 トン、と胸をたたき自信ありげな感じだ。小窓の外を見ると良い調査日和と言った感じにいつもよりみわたしが良かった。

「え?私置いてけぼりにされてる感じ?」

「しょうがないのよ・・・小雪ちゃんは病気だから置いていくしかないの・・・」

 小雪ちゃんをなだめるように、南瓜が言う。俺は南瓜が小雪ちゃんの話を理解していないことを分かっていながら放置をして小窓の灰で見えるはずの無い遠くを見続ける。今日も、変わらず悪い天気だ。

「違うわよ!!ふーふー!」

 昨日と同じように小雪ちゃんが興奮しだした。はっ、と俺は昨日のことを思い出しあせる。

「あ~、悪かった悪かった。南瓜もそれぐらいにしてそろそろご飯に・・・」

ドーーン!

(まさかの、ゼロ拍子タックルー!)

・・・・・

ちなみに、僕はワカメが大嫌いです

・・・・あれって、好きな人居るんですかね?w

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